プロローグ
「先生さようなら」
何処にいるような子供達が声を揃えて学校を出る。
子供達は全員ほぼ淡いピンク色のローブを着ている。子供たちは鳥の群れに向かって歩いている。
鳥は大きく、子供が大勢乗れる程だ。子供達が乗ると鳥は羽ばたき、学校から離れていく。
学校は海に囲まれており、孤島となっている。この学校は無機質なコンクリートではなく白いヒスイで作られている。
最後の鳥が羽ばたき、飛ぼうとした時、学校から駆け足で来る中年の男性。その男性は鳥に向かって叫んでいる。
「おーい!安倍待ってくれ!」
しかし、鳥は空へと飛ぶ。男性は膝に手をつき、息を整えながら、独り言を呟く。
「間に合わなかったか……」
「何ですか?先生?」
先生の前には青色のローブを着ている子供、その隣には子供が乗れる程の折り紙の鶴。
子供は人差し指と中指をくっ付けたまま伸ばし、親指を薬指に当て、他の指は折り曲げる。その手を折り紙の鶴に指す。
指した瞬間、鶴は小さな長方形の紙となる。紙には何やら模様が書かれている。
先生は紙を拾っている子供に話しかける。
「流石だな。校長が呼んでるぞ」
「比丘尼校長がですか?分かりました」
子供は校長室へと向かう。
校長室は庵となっていて、周りが水に囲まれていて池となっている。
池は蓮が浮いており、校長室に行けるように石橋がかけられている。
子供は石橋を渡り、庵の襖を開ける。中は巻物が多く積めている棚、畳が敷かれている。畳は新しいのか、畳の臭いが感じられる。また、棚から巻物が人間の手を借りずに出て宙を舞っている。
そんな部屋の奥には立派な御座に座っている一人の尼がいる。
頭巾を被っているせいで顔以外は見えないが、その肌と顔は20代後半だと思われる。
その尼は手に巻物を取っており、読んでいたが安倍が来たことを知ると巻物をしまい、安倍に微笑んだ。まるで孫と久々に会ったかのような微笑みだ。
「安倍さん。待っておりました。貴女に用事がありまして、座ってください」
尼と向き合うかのように棚の下の収納箱から、座布団が誰の手からも借りずに移動する。
安倍はその座布団に座り、尼に話しかける。
「用事とは?」
「安倍さん。もうすぐ11歳になりますね。優秀な貴女にこのマホウトコロに入って頂きたいのですが……」
尼は言葉を切り、懐から何かを取り出して、その何かを安部に渡す。
その何かは手紙だ。手紙は封がされており、裏には【ホグワーツ魔法魔術学校】と書かれていた。
「中を見ても?」
尼は言葉を発せずに頷く。安倍は確認すると封を切り、中身を確認する。
中身を確認したのか、手紙を封筒に戻し、視線を尼の方へと向ける。
「今年から学校の仲を深める為にお互いの生徒を留学させるんですね。その生徒が要するに私ですか?」
「そうです。無理とは言いませんが、是非貴女に行ってもらいたい。その年で金色の3つ下の色をしている貴女に」
安倍と尼の間に少し間が空く。安倍は目を閉じて考えている。尼はそれを黙って観ている。
安倍は目を開け、尼に伝える。
「そうですね。外国の魔法気になりますし、行きます」
「英断感謝します」
尼は笑みを浮かべて感謝の言葉を述べる。尼は、尼の背後から何かを取り出す。
それは先端が輪となっていて、その輪には数個の鉄の輪が通している杖、錫杖だ。
その錫杖を鳴らすように上下に振ると安部の前には封筒と袋が現れる。袋の中身は金貨数十枚、封筒はマグルの飛行機のチケットと英語で書かれた本、可能なペットのリストだ。
「金貨は私の餞別です。本は1年生に必要な物。封筒は1年生に必要なリスト、イギリスまでの航空チケットが入っています。後詳しい説明はあちらの先生に任せています」
「有り難うございます」
安部は懐から風呂敷を取りだし、尼から受けとった物を風呂敷にしまう。風呂敷は荷物ごと小さくなり、安部の手のひらサイズとなり、安部の懐へと入れていく。
「失礼します」
安倍はその言葉で庵を後にする。
暫くして、島から一匹の鳥が飛んでく。
その鳥の上で安部はローブを風になびかせて、独り言を言う。とても嬉しそうな顔で。
「ふふふ、ハリーポッターに会える」
日本の魔法といえば陰陽師という安直な考えです
せっかく、マホウトコロが発表されたので書きたいなと……下手くそですが