ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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1年の終わり

 ハリーが目を覚ました時、医務室のベットの上にいた。ベットの傍には誰かがお見舞いに来たのか、多くのお見舞いの品がある。傍には安倍灯葉がいる。

 灯葉はハリーが起きた事を知るとリンゴを渡す。リンゴはブイの字の皮が付いている。

 

「これは?」

「ウサギです」

「ありがとう」

 

 ハリーはそのリンゴを齧る。リンゴの酸味としゃりしゃり感が感じられる。灯葉も同様にリンゴを齧る。

 ハリーは何か言いたげな様子で、灯葉をちらちらと見る。灯葉はその視線に気づいていない様子だ。ハリーは勇気を出して、口に残っているリンゴを胃に押し込み、灯葉に話しかける。

 

「トウハ。この間はごめん」

「なんで謝罪をするんですか?」

「スネイプが犯人ではない事を教えてくれたのに、忠告を無視するなんて」

「ああ、その事ですか。問題ないですよ」

 

 それから会話が続かなく、ハリーを会話しようとするが、言葉が出てこない。

 

 なんて言えばいいのだろうか・・・・

 なんて、情けない。

 

 ハリーは自分が情けないのか、悔しさに耐え切れないのか、ズボンを握る。

 灯葉はそんなハリーに気づかないのか、立ち上がり、医務室から立ち去ろうとする。

 ハリーは出ていく灯葉を引き留めるかのように声を張り上げる。

 

「トウハ!あの・・・・これからは」

 

 灯葉は振り返り、ハリーに向かって微笑む。その微笑みは今のハリーにとって、眩しすぎて、直視できなかった。

 

「ハリー。貴方の行動は立派でしたよ。けど今度は自分の力だけで動いてください。何時までも赤ん坊のままでは駄目ですよ」

「わかった。ありがとう!トウハ」

 

 灯葉の言葉で、ハリーの中にある情けなさが無くなったのか、灯葉を見つめて、感謝を述べる。灯葉はそれを聞いて、医務室から出ていく。

 

医務室出ていく灯葉は壁によりかかっているスネイプに話しかける。

 

「スネイプ先生。ハリーが起きましたよ」

 

 スネイプはその場を動かすにじっと灯葉を見つめている。

 

「アベ。貴様。ポッターを煽り、また見守ったり何をしたいのだ?」

「何も。私はただ知りたいだけ。ハリーに掛けられた魔法の事を」

 

 スネイプは表情が変わらないものの、眉をピクリと上げ、灯葉に近づく。灯葉とスネイプの距離が数十cmの所でスネイプはいつもよりも低い声を出す。

 

「貴様はその事を何も知らなくていい」

「ポッターにそこまで熱心になるとは。魔法と関係あるのですか?」

 

 その時、スネイプは灯葉の首筋の服を掴み、自分の額と安倍灯葉の額をくっ付くかくっ付かないの距離に近づいて、さらに低い声で言う。

 

「もう一度言う。あの魔法には関わるな。いいな」

 

 灯葉の返事は無く、ただ微笑みで返す。その事にイラついたのかスネイプはさらに力を入れて、服を強く握る。

 

「ゼブルス。よせんか」

「・・・・ふん」

 

 スネイプはダンブルドアに後ろから名前で呼ばれて、冷静になったのか、服を握る手が弱まり、服から手を離す。スネイプはダンブルドアと灯葉を一瞥し、去っていく。

 去っていくスネイプを見たダンブルドアは仕方ないと言ったような表情で立派な髭を触る。

 

「よけいなお世話だったかのぅ」

「いえ。助かりました」

「それは良かった。それよりトウハ。本当に魔法の興味だけでハリーを見守っているだけかのぅ?」

「そうです。それだけです」

 

 灯葉とダンブルドアの間に一瞬だけだが、空白の時間が生まれる。

 

「そうか・・・なら、今後も見守ってくれんか」

「本当に興味が失せるまでなら」

 

 灯葉はダンブルドアに一礼して、大広間に向かう。ダンブルドアは去っていく灯葉もまた見ていた。

 

 

 

 

 

 大広間に着くと、他の寮の生徒達は集まっていた。生徒達は昨夜の話題で持ち切りだ。その話題はハリーがホグワーツに隠されていた賢者の石を護った事だ。

 ハリー達は一夜で話題の者になってしまった。そのせいなのか、ハーマイオニーとロンは大広間に居づらく、大広間へ続く廊下で待っていた。

 それに対し、灯葉は大広間、ネビルの横でハリー達が来るのを待っている。

 

「トウハ。ハリー達と何かあったの?最近、仲が悪くなってると見えてしまって。もしかして賢者の石の事?」

「関係ないです。それより、ネビル。私の心配をしているのですか?」

「ううん!それは、ええっと」

 

 灯葉はネビルの質問に一言で返しつつ、ネビルに質問で言葉を返していく。ネビルはその質問にどうやって答えようか悩み、顔を下を向けて、言葉をつまらせる。

 その様子を見た灯葉はネビルの顔を下から覗き込んで、様子を見る。ネビルから見て、灯葉は上目づかいになってネビルを見ている。その視線に耐え切れず、ネビルは顔を下から横へと動かす。顔は湯気が出る程、赤くなっている。

 ネビルの様子を見ていたフレッド、ジョージの双子はネビルをからかう。

 

「どうした?色男?答えろよ。返事を待ってるぞ」

「トウハが待っているぞ」

 

 ネビルは双子のからかいに耐え切れないのか、席を移動する。しかし、顔はまだ赤いままだった。

 

「ネビル。どうしたんでしょうね」

 

 灯葉は呟く。呟きを聞いたフレッド、ジョージは灯葉に聞こえないように灯葉に背を向けて、ひそひそ話をする。

 

「フレッド。教えようか」

「いや、これはこれで面白い」

 

 灯葉は2人の笑い声が聞こえていたが、無視を決めて、ハリー達が大広間に来るまで、同じ寮の人と喋っていた。

 ようやく、ハリー達が到着すると、少し、遅れて、ダンブルドアも到着し、寮対抗戦の結果を報告する。

 

「また1年が過ぎた。今年の最優秀の寮を表彰したいと思う。では、得点を発表しよう。

第4位グリフィンドール、312点。第3位ハッフルパフ、352点。第2位はレイブンクロー。得点は426点。そして、第1位は472点で、スリザリンじゃ」

 

 その報告でスリザリンからは喜びの声が上がる。他の寮達は声を上げない所か、スリザリンを睨む生徒達がいた。しかし、ダンブルドアは拍手し、労いの言葉を送る。しかし、続けさまに報告する。

   

「よーしよしよくやった、スリザリンの諸君。だがのぅ、最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまい。ギリギリで得点をあげた者がいる」

     

 ダンブルドアはハリー達が賢者の石を護った事を称えるようにハーマイオニーに50点、ロンに50点を加算する。そして、ハリーには60点加算する。それによって、スリザリンと並ぶ。

 生徒達は全員、今年はスリザリンとグリフィンドールの同時優勝だと思っていた。他に活躍した人は話題に上がっていないからだ。しかし、ダンブルドアはネビルに友達と立ち向かう事を称賛し、10点加算する。

 結果、グリフィンドールの単独優勝となる。

 

 グリフィンドールは帽子を空に挙げて、逆転優勝をした事を表現する。ハッフルパフ、レイブンクローもまた、グリフィンドールに向かって拍手を送っていた。喜びの声はホグワーツの外まで聞こえていた。

 

 生徒達はいよいよ実家に帰る時間となる。

 生徒達は鞄に荷物を突っ込み、汽車へと乗り込む。安倍もまた鞄に荷物を突っ込み、汽車へと乗り込む。手には一通の手紙を持って。

 その手紙には、親愛なるダンブルドアの生徒 トウハ・アベ、また、手紙の封蝋にはNFの印が押されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




1話だけ閑話、クィディッチの練習の状況を書こうかなと思っております。

あと設定上、交換留学となっていますが、日本マホウトコロにいった魔法使いは本編には出さない予定です。
暇があれば、閑話で出そうかなと思っております。
ちなみに魔法使いは具体的には決まっておりませんが、マルフォイ家の遠い親戚でいこうかなと思っています。

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