ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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試練

 安倍灯葉の返事は今のハリーにとってはとても辛く感じていた。

 

 なんで教えてくれないんだろう・・・・

 

 灯葉が発した言葉の意味を考えながらも、ハリーはもう一度質問する。

 

「それはどういう意味?」

「それを知る事も大事な事です。待っていたら何も起こらない。何も知ることは出来ない。それは停滞という怠惰です。特に私、陰陽師はそれを嫌います」 

 

 

 灯葉はハリーを見つめる。その切れ長の目は真剣な眼差しで見ていた。ハリーは灯葉の顔を見れずに支援を地面に向けて、何も言い返せずにいる。

 灯葉はハリーから興味を無くしたかのように地面に横たわるユニコーンの方に移動し、膝を地面を付けて、ユニコーンの容態を見る。

 

「やっぱり血を吸われていますね。それもかなりの量を」

 

 その時、急いで走る足音が複数 ハリーの後ろから聞こえる。それと同時にロン、ハーマイオニーとハグリットの叫び声が聞こえる。

 

「「ハリー!!」」

「ハリー!ケガはしちゃおらんか!!」

 

 ロンとハーマイオニーはハリー達がケガをしていない事を確認して、安心したのか抱き合って再会を喜んでいる。一方、ハグリットはハリーが無事なのを確認したのか、息を吐き、横たわるユニコーンに近づく。

 

「もう助からんか?」

「もう無理です」

「そうか。後は俺に任せろ」

 

 ユニコーンはハグリットに任せて、ハリー達は寮と帰っていく。

 その道中、ハリーはロン達に何かあったかを聞かれたが、生返事で答えるだけだった。返事よりもハリーは灯葉の言葉を考えていた。

 その灯葉の言葉にやっと答えを見つけたのは、ベットに寝ころんだ後だった。

 

「敵は味方。もしかして、スネイプは僕の味方なのか・・・」

 

 だとすれば、スネイプの今までの行動は何だっていうんだ・・・・

 僕を見かけると、いちゃもんをつけて、減点する。ハロウィーンもダンブルドア校長の目をトロールに向けさせて、賢者の石を取ろうとした。さらにはクィディッチでは箒から落とそうと呪文を唱えていた。

 特に僕を見つめる目。あれはダドリー一家と同じ目にそっくりだ。冷たく、愛を感じさせない目。

 

 味方なはずがない。きっと灯葉の勘違いだ。そうに違いない。

 

 それをずっと考えていたら、睡魔に襲われて、ハリーは夢の中に入っていった。

 

 

 

 

 ハリーはずっと眠りにつくまで考えていた頃、灯葉はベランダの手すりに腰かけていた。灯葉の肩には梟が止まっていた。梟はじっと灯葉を見つめている。

 灯葉は梟に会話するかのように話している

 

「もう少し、ハリーに優しくですか?今知りたいのはハリーにかけられている魔法の事だけですよ」

 

―スネイプという男に言う前に主も優しくしたらどうなの?―

 

「ハリーに興味がありましたけど、それはどうやって死から退けた事だけです」

 

「蓋を開けてみれば、ハリーには何の力もない。ただ魔法のおかげで死から退けられただけ。おそらく、あの魔法は他者から掛けられた守護の魔法。ハリーは何も知らない。知ることさえもしない。そのハリーにどうやって優しくするんですか」

「今回も単なる決めつけで犯人をスネイプと決めている。何にも調べずに」

 

―せっかく。良い男の子だったんだけどね。まぁいいわ。私は関係ないわ―

 

 梟は紙に変わり、消えていく。

 灯葉は紙を拾い、ベットに入り、眠りにつく。

 

 

 

 

 禁じられた森から翌日、ハリーは灯葉の忠告に対し、何にも行動を起こさずに学生の最大イベントである学年末試験の為に勉強に日々を費やしていた。

 ハリーはもちろんだが、ロン、ハーマイオニーも試験の為に勉強している。ロンやハリーは分からない所があれば、灯葉やハーマイオニーに聞いていた。

 しかしながら、ハリーは灯葉の間には溝が段々と深くなっていく事を感じていた。

 だが、ハリーはその溝を埋めようとはしなかった。

 灯葉が言った言葉を無視するかのようにスネイプをまだ疑っていて、目の敵にしていた。その事に対して、安倍灯葉はただ静観するだけだった。

 そんな中、ハーマイオニーはニコラス・フラメルの事を知る。ニコラス・フラメルは錬金術師で、ダンブルドアと共に賢者の石を作った事を知り、フラッフィーは賢者の石を守っている事を知る。スネイプはそれを狙っているとハリー達は考えていた。

 

 

 

 そして時が経ち、学年末試験最終日

 

 学生達は試験の結果に対し、話題しながら、勉強から解放された喜びを共有している。もちろん、ハリー達もそうだった。

 しかし、その場には灯葉はいなかった。灯葉はダンブルドア校長に呼ばれて、校長室へと行ってしまったからだ。

 灯葉を除くハリー達3人は解放感を味わうべく、外を歩いていた。だが、歩いている途中でハリーは額を抑える。ロンとハーマイオニーは心配そうにする。

 その時、何か閃いたのか、ハグリットの方へ向かう。

 

「おかしいじゃないか。タイミングが良すぎる」

「どういう事?」

 

 ハリーはハグリットがドラゴンを探していた事を知っていた。しかし、それは限られた人しか知らない。探していた所に偶然、ドラゴンの卵を持っている人がハグリットの所に現れるのか。

 ハリーはその出来事は全てスネイプの計画じゃないかと疑って、ハグリットに尋ねる。

 ハリー達はその時の状況を知り、ハグリットはその人にフラッフィーのなだめ方をうっかり教えてしまった事を知る。ハリーはスネイプが全部仕掛けたと確信する。

 

 ハリー達はマクゴナガル先生に事情を話し、ダンブルドア校長に注意を促そうとするが

 

「ダンブルドア校長はアベと共に魔法省へと行かれましたよ。なんでも留学について聞きたい事があると」

 

 ハリーは愕然とする。今、この場で一番頼れるダンブルドア校長がいない。しかも、同学年で頼りになる灯葉もいない。

 なら、自分達で守るしかない。

 ハリー達は賢者の石を守るべく、決心する。

 

 

 その日の真夜中、ハリー達はフラッフィーの下へと行く為、移動する。その時、ネビルは待ち伏せをして、ハリー達の前に立ち塞がる。

 

 

「何処へ行くのかは分からないけど行かせないよ!またグリフィンドールの点が減る。それにハリー。トウハと最近仲悪いんでしょ。トウハと仲良くしない限りここは通さない!」

 

 ネビルは拳を握り、戦う姿勢をハリーに向ける。

「ぼ、僕戦うぞ!」

「ごめん。ネビル」

 

 ハーマイオニーは杖を向けて、呪文を唱える。

 

-ペトリフィカルス・トタルス-

 

 ネビルは石のように固まり、地面に横たわる。ハリー達はネビルに謝罪を述べて、先へと行く。謝罪を述べる時、ハリーは一言、ネビルに言う。

 

「僕だって、仲良くしたいよ」

 

 ハリー達は透明マントのおかげで、無事にフラッフィーの所へと着く。

 フラッフィーは誰もいないのに音を奏でるハーブのおかげで寝ている。足元の仕掛け扉は扉が開いていた。まるでハリー達を誘っているかのように。

 

 ハリー達は扉の中に入っていく。賢者の石を守る為に。

 最初の罠は悪魔の罠だ。ハーマイオニーが罠を言い当てて、ハーマイオニーの機転で誰もケガすることなく3人は突破していく。

 

 次は無数の羽が生えた鍵の中から1つだけ鍵を探し出すという試練だ。

 この試練はハリーの箒の技術でクリアしていた。

 

 次の試練はチェスだった。ロンは自ら犠牲となり、ハーマイオニーは炎に囲まれながらも冷静な思考を失わずにハリーを先へと進ませる。

 ハリーは先へと進んでいく。先には敵が待っている事を知った上で。たった一人で奥へ行く。賢者の石を護る為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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