ハリー達はニコラス・フラメルという名前のみを手かがりに3頭犬が守っている物が何なのかホグワーツの図書館で探していた。しかし、ニコラス・フラメルはどこにも載っておらず、ただ時間が過ぎていき、十二月となる。ホグワーツは白一色。雪に覆われ、ホグワーツの近くの湖も凍る。
この時期はクリスマス休暇でほとんどの生徒はクリスマス休暇でいなくなる。しかし、ハーマイオニー以外の4人組は実家に帰らずにホグワーツで過ごしていた。
実家に帰ろうとするハーマイオニーに安倍灯葉はクリスマスプレゼントを渡す。
「ハーマイオニー クリスマスまで早いですが、プレゼントです」
「トウハ。ありがとう!これは紙と本、『
「初級の式紙術です。本を読むと、さっき渡した紙で式紙が出来ます」
灯葉は紙を取り出して、紙を折る。折った紙は鶴のような形となる。灯葉は折った鶴に向かって息を吹きかけて、唱える
―急急如律令―
呪文が終わると、鶴は紙の羽を動かし、ハーマイオニーを中心にしてぐるぐると飛び回る。ハーマイオニーは自分の周りを飛び回る鶴を感嘆の表情で見ていた。
「すごい!これが日本の魔法、式紙術なのね?」
「そうです」
「これも神仏からも力を借りてるの?」
「ええ。これも紙頼みの術なので、紙だけに神頼みしています」
ハーマイオニーは灯葉の言葉に若干苦笑いをして、本と紙を鞄にしまい、チェスをしているハリー達に何かの本と言葉を残して、実家へと帰っていった。
そして、あっとう間にクリスマス。
ホグワーツに残っている生徒達は実家から送られてきているプレゼントを開けて喜んでいた。
ハリーとロン達もまた然り。ロンは手編みのセーターを着て喜んでいる。一方、ハリーは透明マントが届く。
「すごい!ハリーこんなすごい物初めて見たよ」
「首が浮かんでるように見えますね」
ロンと灯葉はただ驚いている。ハリーは騒ぎにならないようにマントを仕舞う。灯葉は2人に日本のお菓子、八つ橋をプレゼントした後、どこかへと行ってしまった。
灯葉が出ていった後、ロンとハリーは禁書の棚へ入る手順を考えていた。
寮から出ていった灯葉は校長室へと向かっていた。ダンブルドア校長に八つ橋を届ける為だ。合言葉を唱えて、校長室へと行く。
校長室にはダンブルドア校長が机で羽ペンを持って何かを書いていた。灯葉が来た事に気づき、羽ペンを止めて、灯葉に話しかける。
「トウハか こんな所に何の用じゃ」
「先日のお菓子のお返しです。日本で八つ橋という御菓子です」
「ありがたい。トウハも一緒にどうかの?」
「では頂きます。粗茶も一緒に持ってきたのでこれどうぞ」
ダンブルドア校長は灯葉にカップと皿を取り出す。灯葉もダンブルドアのいう事に従い、ダンブルドア校長の向かいの椅子に座り、ダンブルドア校長と一緒に八つ橋と抹茶を頂く。
「ほぉー。柔らかくて甘い。トウハ。この黒いのは?」
「餡子です」
「アンコか。これも中々」
「ダンブルドア校長っていくつなんですか?八つ橋を食った事はないんですか?」
「110歳じゃ。日本のお菓子は機会がなかったからのぅ。これが初めてじゃ」
ダンブルドアは抹茶を飲む。
「苦いのぅ。八つ橋の甘さが口に残って、さらに引き立つのぅ」
「それが日本の頂き方です。あくまで、お菓子は抹茶の引き立て役ですからね」
「なるほどのぅ。お菓子がメインだと思っていたが違うのか」
「そうです。メインは抹茶です。こういう勘違いはけっこうありますよね」
「そうだのぅ」
灯葉は八つ橋を一口頂き、抹茶を飲む。
「外国の学問で陰陽道と似ている学問があって驚きましたね」
「・・・・その学問とは?」
「錬金術です。そういえば、ダンブルドア校長。ニコラス・フラメルと友好ありますよね?ご紹介をお願いしたいのですが」
「彼も色々と忙しいからな」
「そうですか。せっかく賢者の石をご教授をしてもらいたかったのですが。年も700歳以上ですし、色々と知っているだと思っていたんですが」
灯葉とダンブルドアは最後の八つ橋を頂き、抹茶を飲む。抹茶を飲むまでダンブルドアと灯葉は一口も喋らない。
ダンブルドア校長は目を瞑り、ため息を吐いて、目を開き、灯葉を見つめる。
「何が望みじゃ?鴉や梟を使って、色々と探っていたようじゃの。好奇心は良いことじゃが、いつか身を滅ぼすぞ」
灯葉は勝ったという笑みをダンブルドア校長に向けて言う。
「好奇心が無ければ、知識は得られない。私の望みは先ほど言った通り、ニコラス・フラメルと会う事」
「会って、賢者の石を作るのか?不死を望むのか?」
「不死は望みません。ただ知識を得るだけです」
灯葉は口調を強めて言う。まるで不死を望む事が無いように。ただ知識を得たいと言いたいかのように。
「そうか。紹介はしようかのぅ。ただ1つ条件がある。彼も色々と敵がいるからのぅ。簡単に教える訳にはいかん」
「了解しました。その条件とは?」
ダンブルドア校長はその条件を告げる。灯葉はその条件を飲む。ダンブルドア校長は灯葉と互いに信じるかのように握手をし、ダンブルドア校長と灯葉は夜まで校長室で話をしていた。
ダンブルドア校長と灯葉が話をしている間、ハリーは透明マントを使い、禁書の棚へと入ったが、そこで叫び声を出す本を開けてしまい、アーガス・フィルチに聞かれてしまった。フィルチから逃げる時、言い争うスネイプとクィレルと出会ってしまう。
「貴様。何のつもりだ?」
「ななな、何の事ですか?」
スネイプは親の仇を見るかのように睨む。クィレルはただ視線から逃げるかのように顔を背ける。
その時、スネイプはクィレルから視線を外し、横を睨む。その視線は透明になっているハリーを見ていた。
「誰だ!?」
「私です。スネイプ先生」
ハリーの後ろにある暗闇から灯葉がスネイプに向かって微笑みながら出てくる。灯葉の真っ黒な髪は周りの暗闇と同化する事なく、月の輝きに反射しているのか、輝く。スネイプは安倍灯葉を睨む。
「こんな夜に出歩くとは何の用だ?」
「ダンブルドア校長にまだ日本からの土産を送っていなかったので、届けに行ってました。そして、つい話に夢中になりまして、こんな時間になりました」
「ダンブルドアと?」
スネイプは灯葉の返事にクィレルの服を掴んでいた手が緩む。その隙にクィレルはスネイプから逃げてしまう。スネイプは苦い顔をする。
「クィレル先生に何か御用でしたか?」
「何でもない。さっさと寮へ戻れ」
「もしかして、寮対抗戦の時ですか?それとも、トロールの時ですか?」
「二度目は言わんぞ」
スネイプはクィレルを睨んでいた目を灯葉に向ける。灯葉は謝罪するかのように腰を曲げて、暗闇に消えていく。しかし、安倍灯葉は暗闇からスネイプに話しかける。
「もうちょっとハリーに優しくしたらどうです?」
スネイプは灯葉に返事を返せずに安倍灯葉の逆方向の暗闇へと消えていった。ただハリーはその場面を見ているだけだった。
紙だけに神頼み・・・
思い切り滑ってますが これが日本の魔法という設定です。