ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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クィディッチ

 ハロウィーンのトロール騒ぎ後、安倍灯葉とハーマイオニー・グレンジャーの2人組、ロン・ウィズリーとハリー・ポッターの2人組がくっ付き、当たり前のように4人組で行動をしていた。

 4人組はハロウィーンの後、3頭犬に出会ったり、スネイプにいちゃもんをつけられるが、スネイプの足がケガをしているのを見て、3頭犬が守っている物を狙っているのではないかという話題で持ち切りだった。

 しかし、その話題は近々行われるグリフィンドールとスリザリンの寮対抗戦のクィディッチの話題に切り替わりつつある。

 ハリーは対抗戦まで日にちが少ないのか、4人で行動しているときも無心でクィディッチに関する本を読んでいる。ロン、ハーマイオニーはそんなハリーを見守り、励ましたりしている。

 灯葉もハリーの練習を最初から最後まで見守っていた。しかし、グリフィンドールのキャプテンであるオリバー・ウッドが灯葉にマホウトコロの練習方法を聞いて、グリフィンドールの練習が一段と厳しくなった事は灯葉とオリバーだけの秘密だ。

 

 

 

 

 そして、時間が過ぎていき、本日はグリフィンドールとスリザリンの対抗戦。スリザリンの生徒は自分の寮の旗、グリフィンドールの生徒は自分の寮の旗を振っている。一方、レイブンクローとハッフルパフはスリザリンに勝ってほしくないのか、グリフィンドールグリフィンドールの旗を振っている。

 

「随分と嫌われてますね。スリザリン」

「そりゃそうだよ!スリザリンはラフプレーばっかしてセコい手しか使わないし」

 

 灯葉は観客の様子を見て、ぼそりと言ったが、灯葉の右隣にいるロンがハリーを応援するのに作ったらしい旗を手に持ちながら、スリザリンが嫌われている訳を灯葉に話す。

 

「トウハもクィディッチ出ればよかったのに!見てたよ!ハリーの初練習の時、トウハも上手かった。流石。マホウトコロ出身は違うな!」

「ハリーの方が上手かったですよ。それよりもハリーが出てきましたね。少し緊張してますね」

 

 グリフィンドール、スリザリンチームが出てくる。他の選手と比べてハリーも背が小さく、また、落ち着かない様子で他の選手を目で動かして、様子を見るのではなく、首を動かして様子を見ている。

 そんなハリーを見て、ハーマイオニーは心配に言う。

 

「大丈夫かしら?」

「大丈夫だろう。ハリーは」

「本番に強そうですし」

 

 

 気遣うようにロンと灯葉は言う。そんな事を言ってる間に審判のマダム・フーチの声に従い、選手が全員箒にまたがる。そして審判が笛を吹き、全員が一斉に空へと舞い上がる。

 試合がいよいよ始まる。

 

 試合の序盤はグリフィンドールの優勢が始まる。

 実況のグリフィンドールであるリー・ジョーダンはグリフィンドール贔屓の実況で会場を盛り上げる。途中でマクゴナガル先生の注意が入るが、それも毎度の事なのか誰も気にしていないどころか、さらに会場の雰囲気が熱が入る。

 

 ポッターは邪魔をしないように選手のさらに上空で待機して、スイッチを探して、捕まえようとする。

 しかし、マーカス・フリントの邪魔によって、取れずにいる。その邪魔は他寮からはブーイングの嵐を受けていた。

 試合は進んでいき、スリザリンのプレースタイルにグリフィンドールは翻弄されていく。ついには逆転されて、30対20で10点リードされていく。

 グリフィンドールチームは点を入れるべく、更に箒の速さが早くなるが、その時、ハリーの箒がハリーを落とそうするかのように出鱈目な動きをする。

 

「なんだ?ハリーが」

「ハリー!?」

「……」

 

 その時、ハーマイオニーが何かに気づいたのか向こう側の観客席を見る。

 

「あ!スネイプの様子が!!」

 

 スネイプはハリーを見て、瞬きせずに口を動かしている。

 ハーマイオニー曰く、呪文を唱えているらしい。ハーマイオニーは止める為にスネイプがいる観客席に向かう。

 ロンはハーマイオニーが早く対処してくれと願いつつ、双眼鏡でじっとスネイプの様子を見ている。一方、灯葉はスネイプの上にいるクィレルを見て、呟く。

 

「なるほど。保護は効いていない。間接だったら、保護は無効という事ですか」

 

 灯葉は懐から紙を取り出す。紙は煙に包まれて、鳥となる。鳥は鴉のように見える。鴉はじっと灯葉を見る。

 

―また、姿を変えたのね。何の用かしら―

 

 その声は灯葉にしか聞こえないらしい。

 

「月神、ターバンの男に攻撃をお願い致します」

 

―ターバンの男。なるほどね。あの男、何かに取り憑かれてるね。すごい嫌な陰ね―

 

 鴉は一鳴きすると、灯葉から離れて、真っすぐにクィレルの下にいく。鴉はクィレルの頭、ターバンの上に降り立つ。クィレルは集中しているのか、頭に鴉が降りた事に気づいていない様子だ。その時、ハリーが箒から落とされて、宙ぶらりんとなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 クィレルは内心で微笑む。もう少しでハリーが箒から落ちて、上空から落ちる。ハリーは重症を負うだろう。あわよくば、死亡も有りうるだろう。死亡すれば、あの方も喜びになり、何かを下さるだろう。

 クィレルは先の事を考え、更に呪文に力が入る。

 その時、クィレルの目がしらに白い物が走る。

 クィレルは顔をしかめながら、呪文を唱える。ここで止める訳にはいかない。もう少しでハリーに止めを刺せるのだから。

 白い物は重力に従い、クィレルの顔を伝いながら落ちていき、クィレルの口へと入っていく。呪文を唱えている口は白い物を受け入れてしまう。そこでクィレルは白い物の正体に気づいてしまう。

 その正体に気づいたクィレルは思わず、呪文を唱えるのを止めて、叫んでしまう。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 その叫び声は周りの人の注目を浴びてしまう。周りの人はクィレルを見る。

 クィレルは頭に鴉を乗せていた。更には頭の上で糞をしたのか、白い線が走っている顔を周りの人達は見てしまう。周りの人たちは思わず、クィレルから後ずさりをしてしまった。

 クィレルは顔を拭きつつ、観客席から出ていく。鴉はいつの間にか頭から離れて、クィレルの様子を見ていた。

 クィレルの様子が可笑しかったのか、鴉は笑うように一鳴きして、上空へと飛び立つ。

 

 

 その間、ハリーは箒のコントロールを取り戻して、スイッチを追い、急降下する。ハリーは手を伸ばし、スニッチを取ろうとする。しかし、ハリーは箒から落ちてしまった。ハリーは転落した衝撃で何やら苦しそうだ。

 ハリーは口から何かを吐き出す。それはスイッチだ。

 ハリーはスニッチを高々に上げる。それを見た、スリザリン以外の寮は大歓声を上げる。スリザリンはブーイングの嵐だ。

 

 グリフィンドールとスリザリンの対抗戦はグリフィンドールの勝利で幕を下りた。

 

 その後、ハグリットが祝勝会を挙げるというので、ハグリットの家に4人は集まる。

 祝勝会でロンとハーマイオニーはスネイプが呪文を唱えて、ハリーに呪文をかけていた事、3頭犬の件を告げる。

 ハグリットはスネイプがそんな事をしないと否定しつつ、思わず、口を滑らせてしまう。

 

「いいか!あの犬、フラッフィーと先生方が守っている物に関われるのは、ダンブルドアとニコラス・フラメルだけだ」

 

「ニコラス・フラメル?」

「あぁ、しまった。口が滑ってしまった。言うてはいかんかったな。もう帰ってくれ。頼む。俺がこれ以上なにも言わないうちに」

 

 

 ハグリットはしまったという顔をして、4人を追い出す。

 ハリー達は納得がいかない様子で寮へと帰っていき、疲れたのか、すぐ様、寝てしまった。

 灯葉はまだ寝ずにベランダにいた。安倍灯葉は梟に話しかけている。

 

―さて、今度は梟ね。何の用事かしら―

 

「ニコラス・フラメルについて調べてください」

 

―了解―

 

 梟はホグワーツから飛び立つ。

 

「もう少しで分かる。貴方達はどう動きますか。ダンブルドア。クィレル」

 

 


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