アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜   作:ドラソードP

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2016年 11月25日 幸子誕生日特別記念回
カワイイボクへのサプライズ1/3


特別短編

カワイイボクへのサプライズ1/3

 

 

「おはようございまーす、プロデューサーさん!」

 

「やあ、来る頃だと思っていたよ」

 

「何です、飛鳥さんのマネですか?」

 

「むしろこんなことを言うのが飛鳥以外に該当者が居ないと思うが……」

 

俺は作業をやめ、体を向き合っていたデスクの方から幸子の方へ向ける。

 

「今日はなんだか怖いくらいに上機嫌ですねえ、プロデューサーさん」

 

「そうか? 別にいつも通りだぞ」

 

「そうですか、なら良いですけど」

 

そう言うと幸子は荷物を起き、ソファの方に行くといつも通りに座る。

これも幸子なりのルーティーンの様な物なのだろうか。

 

「で、プロデューサーさん。今日の予定はどんな感じですか?」

 

「今日はいつも通り写真撮影やら、雑誌の取材、後は番組の収録だな」

 

「本当に何も変わらず、いつも通りの日程ですねえ……」

 

「まだまだアイドル活動を始めて三ヶ月と少しなんだ、早々簡単に大きな仕事は増えないよ。暫くは日常を楽しんでくれ」

 

日常、か。

 

数ヶ月前には遥か彼方に見えていた今の日常だが、今こうなってみるとそこまで何かが変わった様な気もしない。

結局来た依頼や仕事をこなしながら、いつも通りこの見慣れた事務所で話したり、書類整理なり何なり、とりあえず何かをしているだけだからな。

かといってそれが嫌になることは不思議とないのだが。

 

「あー……そうだ、幸子。今日はちょっと俺の方が忙しくてな、どの仕事にもちょっと一緒に着いていけないかもしれない」

 

「……ま、まあプロデューサーさんはボクの為に仕事をしてくれているんだし、忙しいと言うなら仕方ありませんねえ。ちょっと寂しいですけど」

 

「幸い今日の番組収録は飛鳥や美嘉が居るからな。彼女達のプロデューサーにも連絡しといてあるから、今日の所は現地で何かあったら彼女達やそのプロデューサーに相談してくれ」

 

「ふふーん! わかりました!」

 

幸子は意外とあっさり了承する。

てっきりもう少しごねると思っていたのだが、以外な反応だった。

これは彼女が成長したのか、はたまた俺なんか居なくても仕事はできるという暗示なのか。

まあ間違っても後者ではあって欲しくないな。

 

「所で……そのー……プロデューサーさん……」

 

と、幸子は何故か急にそわそわしながら何かを言いたそうに話しかけてくる。

 

「ん? どうした?」

 

「今日はそのー……ですね、何か特別な日らしいんですよ」

 

「特別な日? なんだ、今日は別に祭日でもないし、クリスマスはあと一ヶ月先だし、何かの記念日か祭日だったか?」

 

「あ……ま、まあなんの日だかはボクも詳しくは知らないので、別に気にしなくて良いですよ! ただ物知りなプロデューサーさんなら何か知っているのかなと」

 

俺は携帯を取り出し今日の記念日について調べる。

しかし書いてあることと言っても特に幸子と関係のありそうな事は無く、俺は首を傾げる。

 

「ま、まあ聞いてみただけです! と、とりあえず今の話は忘れて下さい!」

 

「お、おう……」

 

幸子は何かを必死に伝えてこようとするが、全く分からない。

そこまでして伝えたいことがあるなら素直に言えば良いと思うのだが。

まあそこかが彼女の魅力と言えばそうなのだがな。

最もそれで拗ねられると困るが。

 

「じゃ、じゃあ気を取り直して、最初の仕事は何時からなんです?」

 

「最初の撮影は社内撮影スタジオで十時から、取材はその後続けて十一時から、番組収録は四時から、唯一最後の収録だけが社外だから美嘉や飛鳥と一緒に車で現地まで移動してくれ」

 

「わかりました!」

 

「しかし特別な日か、本当に今日何かあったか……?」

 

「まあ、プロデューサーさんが無いって言うなら無いと思いますよ……」

 

幸子は少し寂しそうな顔をする。

 

「あー……なんだか知らんが悪いな、俺にも思い当たる節が無い」

 

「いや、良いですよ。大したことでもないので」

 

 

 

それから数分が経ち、幸子は撮影の為に部屋を後にした。

 

「あいつに何か悪いことしちまったのかな、俺」

 

俺は部屋の中で一人、幸子の悲しそうな表情の意味を考えていた。

今日はクリスマスには丁度一ヶ月早いし、別に何か約束があった訳でも無かった筈だ。

だがあのテンションの下がりようや落ち込み具合からして、何かあるのだととしたら並大抵の記念日では無いはずだ。

普通そんな記念日を俺が忘れる筈無いと思うのだがな。

 

しかし一体、何の記念日なんだ……

 

 

 

「……なーんちゃってな」

 

俺は溢れそうな笑いを堪えながら携帯を取り出す。

 

「……よし、行ったか」

 

俺はスマホにインストールしてあるグループチャットのアプリを開く。

そして俺は、その中のとあるチャットルームに文章を書き込む。

 

『さてそろそろ時間だ、諸君。これより例の計画の最終フェイズを実行に移す。今降りるなら止めはしない、だがここから先に進めば戻れないぞ? なんちゃってな』

 

と、すぐに俺の発言に反応する様に返信が何件か来る。

まるで待ってましたとでもいった感じで。

 

『幸子P、なんだか突然厨二っぽいかも〜』

 

『まあ、プロデューサーと僕は似た波長を持っているからね。これもまた運命か』

 

『我と同じく瞳持つ者、行き着く先は同じよ!(私達、なんだか似てますからねー)』

 

『ま、まあ厨二関連の話は置いておくとして、本当にみんな良いんだな?』

 

『吐いた唾は飲み込めない、進んだ時は戻せない。ああ、つまりは了承の意だ』

 

『うんうん、アタシはもちのろんで大丈夫』

 

俺は今、とある計画を実行に移すべく動き始めた。

そしてこのチャットルームはその計画への協力者、賛同者による部屋だ。

グループチャットなんてものは始めて使う様な身だが、正直この人数には圧倒される。

 

『とりあえず、みんなの進行具合を聞きたい』

 

『こちら会場本部、私もしまむーもしぶりんも全然問題ないよー!』

 

『こっちの調理班は今、ちゃんと例のブツを作ってるよーん。かなり良いテイストのやつができそうってカーンジ』

 

『僕達の企画班も問題は生じていない。今の所順調だ』

 

『ああ、各自順調そうで何よりだ。俺の方もこれから行動を開始する。そうだ、何か足りない資材とか連絡は無いか?』

 

『私の方は大丈夫!』

 

『アタシの方も平気』

 

『僕の方も問題ない』

 

『こっちも大丈夫』

 

『わかった。皆忙しい中本当にありがとう。俺としても皆の協力がなかったらここまでの規模の物なんて、恐らく実現できなかったと思う』

 

『良いの良いの、気にしないで。アイドル、辛いことも楽しいことも助け合いだからさ!』

 

『今宵は同胞の生誕した日を、盛大に祝おうぞ!!(幸子ちゃんの誕生日、みんなでたくさん祝ってあげましょう!)』

 

『サプライズで誕生日会だなんて、そう言うのロックで嫌いじゃないよ!』

 

『まーたりーなチャンはロックロックって……まあでも誰かの為のお祝いはみくも大賛成にゃ!』

 

『ありがとう……みんなのその優しい言葉で俺泣きそうだよ。みんな天使か』

 

『天使だなんて……その言葉は幸子ちゃんにとっといてあげて』

 

『そりゃそうだな。俺が幸子以外の人に天使や可愛いって言っているのを知られたらどうなるかわからないからな』

 

『それねー』

 

『わかる』

 

『その光景が目に浮かぶ』

 

全く俺も幸子も、本当に良い子達と出会えた物だな。

このチャットルームの文章を見ているだけで、様々な思い出が蘇りなんだか本当に涙が出てくる。

 

『まあとりあえずこちらも朝の書類整理等が一段落したら会場の方に合流する。なるべく早く合流するからすまんが本部班は待っていてくれ』

 

『あいさ! 了解しました! さっちーのプロデューサーの方も頑張ってね〜』

 

『ああ、繰り返ししなるが本当にありがとう』

 

俺はスマホをしまう。

 

 

 

そう、俺が先程から話をしていた

チャットルームの名前、それは

 

 

『輿水幸子誕生日会(仮)』

 

 

今日は俺のたった一人の担当アイドル、輿水幸子の誕生日である。

無論そんなことは最初から分かっていた。

全く、演技をするのもなかなか大変な物だな。

 

 

事の発端は先週辺りだったか、飛鳥や乃々、志希との何気ない会話だった。

俺が幸子の誕生日が近いと言うとみんなで幸子の誕生日会をやろうと言う話になったのだ。

 

で、最初はその三人と美嘉辺りの数人でこじんまりとやる予定だったのだがどこからか話が漏れ、気が付けばシンデレラプロジェクトのアイドルや、他事務所のアイドルを巻き込んで話が大きくなっていた。

 

協力者は飛鳥や乃々は勿論、シンデレラプロジェクトのメンバーや美嘉、志希、その他彼女達のプロデューサー、そしてまさかのアイドル部門の部長までもが協力してくれるとの話だ。

 

何故幸子一人の為にそこまでの話になってしまったのかは俺は良く分からないが、一説によると美嘉が起因なのだとか。

美嘉から美嘉の妹である莉嘉に、莉嘉からシンデレラプロジェクトのメンバーに、そうしてその話が大きくなっていく段階で部長の耳に入り、今回の誕生日パーティーの開催許可が出たらしい。

 

また、部長としてもまだ発足したばかりの346プロで最近になり急激にアイドルの数も増えてきたので、ここらで交流会の様なものを開きたいと思っていたらしく、丁度都合が良かったとの話だ。

要するに、今回のこれは幸子の誕生日会とは言っているが実質346プロアイドル部門全体のちょっとしたイベントみたいな物も含んでいる。

まあそれは各自ここまでやる気も上がる訳だな。

 

ともかく、まさか幸子一人のためにこんな話になるとは俺も全く思っていなかった。

結局なんだかんだ言って幸子を祝ってくれる人達が沢山いたりして、幸子もなんだかんだ愛されているんだなと思う。

……まあ、一部志希の様なただパーティをして盛り上がりたいだけの人種も居るが。

 

 

因みに今回の誕生日パーティは各自、先週辺りから空き時間を見つけてコツコツと準備をしてきていた。

 

ニュージェネレーションの三人を筆頭とした誕生日会場の整備、セッティングや全体の指揮をする誕生日会本部。

志希や乃々、その他料理のできるアイドル達による調理班。

アスタリスクの二人や、蘭子、美嘉達による誕生日パーティを盛り上げる為の企画を考え、準備をする企画班。

以上三つの班が中心となり動いている。

 

これだけ聞くとまるで高校の文化祭か何かみたいだ。

俺も数年前まではやっていた身だから、なんだかこういうのは懐かしい様な気がする。

 

なお今回の話は幸子の耳には入らない様に徹底して貰っている。

まあいつも幸子には振り回されているからな、たまには良い意味でも悪い意味でもちょっとびっくりさせてやろうという事だ。

全く俺ってば性格悪いな。

 

 

 

という訳で、こうしている間にもパソコンのメール確認、本日のお知らせの確認、書類整理をなれた動作で終わらせた。

今日は幸子の誕生日会をやるとはいえ、ちゃんとプロデューサーとしての最低限の仕事はあるからな。

そこの辺りは区切りを付けていかなければ。

 

 

 

さて、ここからはいよいよ俺の方も本格的に幸子誕生日会の準備に取り掛かる。

一応俺はこの計画の最高責任者でもあるからな。

 

朝の仕事を終え部屋を出た俺は会場であり、企画本部であるシンデレラプロジェクトの部屋へすぐに向かった。

扉を開けて部屋に入ると、こちらに気がついた未央が近寄ってくる。

 

「あっ、さっちーのプロデューサー! そっちの方は片付いたの?」

 

「ああ、もう仕事は全て終わった」

 

俺は部屋を見渡す。

なんだかちょっと早めのクリスマスのような感じで、様々な電飾や折り紙で作った飾り物等が沢山ある。

 

「凄いな、これ。未央達だけでやったのか?」

 

「そうだよ、みんなで頑張ったんだから! まあ流石に高いところの飾り物とかは私達のプロデューサーに頼んだけどね」

 

「なんだ、今回の企画は未央達のプロデューサーまで手伝ってくれてるのか」

 

「うん、まあね! プロデューサーはあんな感じで基本無口な人だけど、結構根は良い人だから」

 

どうやらこれは後日、様々な所にお礼を持って回らなければ行けなさそうだな。

特に未央達のプロデューサーには前にも世話になったし、機会があったら色々ちゃんと話をしたい物だ。

 

「という訳で見ているだけってのもアレだし、とりあえず何か俺にできることはあるか?」

 

「あ、それじゃあこの飾り付けをあの辺に……後、それが終わったら今度は……」

 

 

 

俺は未央に指示された通りに部屋に飾り付けをしていく。

 

話によるとこの飾りは殆ど手作りだそうで、凸レーションやキャンディーアイランドのメンバーが中心になって作ってくれたとか。

彼女達が楽しそうに飾りを作っている姿が想像できる。

 

しかし仕事の合間だけで良く作れた物だな。

まあ彼女達は俺と幸子の様な個人プロデュースではなく、団体のユニットや一つのプロジェクトととして活動をしているから人数的にも時間的にも多少余裕があるのか。

 

「……よし、とりあえずこっちの方は指示通り全部飾り付けは終えておいたよ」

 

「あ、りょうかーい! ありがとう!」

 

「むしろお礼を言いたいのはこちらの方だ。わざわざ他部署のアイドルの為にここまで盛大にやって貰ってるんだからさ」

 

「いやいや、私達も今回のこの準備とかを通して仲を深められたからさ。お互い様って感じだね!」

 

「そうか。俺としても何か貢献できていたのならならこちらとしても嬉しい」

 

俺はソファに座る。

しかし、この部屋のソファはなんだか俺達の部屋のソファより座り心地が良い。

部屋に置かれているものも上質で少し羨ましいものだ。

 

「それにしてもさっちーとプロデューサーって前から思っていたんだけど、今回みたいに誕生日を祝ってあげたり、凄く仲良いよね。もしかしてアイドルとプロデューサーが仲良くなる秘訣とかがあるの?」

 

「あ、私も聞きたいです! まだ私達のプロデューサーさんとは出会って一ヶ月位しか経っていないので参考にしたいです!」

 

「私も……ちょっと気になるかも」

 

話を聞きつけて卯月や凛も集まってきた。

そして気が付くと三人はテーブルを跨いだ向こう側にあるもう一つのソファに並んで座っていた。

 

「プロデューサーとアイドルが仲良くする秘訣、ねえ……言うほど俺と幸子は仲良さそうか?」

 

「はい! いつも一緒に居て、楽しそうにお話をしていて、なんだか仕事上での関係と言うより仲の良いお友達みたいです!」

 

「うんうん! わかる。お互い気を使っていないというか、立場の壁を超えた信頼関係みたいな物ができているよね!」

 

彼女達に言われ、普段の俺と幸子の掛け合いを思い出してみる。

だが彼女達が絶賛するほど変わった点も特に無く、お互い普通に素で接しているだけにしか思えない。

 

「なんだろうな、別に俺の方が何か意識をして接しているというより、むしろ幸子の方から積極的に来ている感じだからな……」

 

「なるほど、アイドルの方からプロデューサーに積極的にアピールする……」

 

「お、しぶりん真面目にメモなんてしちゃって〜……」

 

「ああ、あんまり俺の言うことを過信するなよ? うちの場合は俺と幸子が特殊過ぎるだけだから」

 

未だに幸子の本心は読めないからな。

俺に対して好意を抱いているのか、俺のプロデューサーという職業に好意を抱いているのか、はたまた彼女は好意を向けているつもりでは無くあれで素なのか、四ヵ月近く彼女と接してきた俺でも正直まだわからない。

 

「しかし、秘訣だなんてやっぱり思い当たらんなあ……別に俺達は何も考えず、お互い普段通り普通に接しているだけだし……」

 

「その普通が私達には難しいんだよね。たしかに、私達のプロデューサーは真面目で私達の為にちゃんと仕事をしてくれる人なんだけど、真面目すぎるというか、まだ高い壁を超えられないというか……」

 

「まあそれが本来のプロデューサーとアイドルの姿なのかもしれないけど、やっぱりさっちーとプロデューサーのやり取りを見ていると楽しそうだよな〜って私も思うね」

 

「楽しそう……か。そう言ってもらえると幸子と上手くやれているみたいで安心するよ」

 

他人からの言葉程信頼できるものは無い。

いくら俺が幸子と上手くいっているように感じても、それは俺個人の感想だからな。

今の未央の言葉に少し俺はほっとする。

 

「よし、分かった。じゃあそんな君たちにちょっとした先輩として、まあアドバイスや秘訣になるかは分からないが一つ助言をしよう」

 

「おっ、それじゃあちゃんと聞かないと」

 

と三人は姿勢を正し真面目な顔付きになってこちらをじっと見てくる。

 

「ああ、そんな大した話じゃないから改まらなくて良いぞ?」

 

「いやいや、師匠のありがたい言葉なので」

 

「そうか、では」

 

俺はコホンと咳払いをする。

彼女達が真面目に聞く体制に入っているせいか、自然とこちらも姿勢を正してしまう。

 

「休める時は休んどけ、かな」

 

「えっ? それだけ」

 

「まあな。やっぱりアイドルとしての仕事も大切だが、時にはプロデューサーや他のメンバーと……例えばババ抜きやボードゲームでも良い、そんな物をやって息抜きをするのも必要だと思う。案外お互いに仕事以外の素が見えて、プロデューサーとも仲良くなれるかもよ?」

 

「へぇ……実際アイドルと仲が良いプロデューサーに言われると至って普通の事でも謎の説得力があるなあ……」

 

三人は顔を合わせ何かを小声で話しあっている。

どうやら俺の一言が良い何かになった様だな。

 

「そうそう、ただし罰ゲームを付けるのは辞めておけ。何故とは言わないがあまり良くない事になるからな。思わぬ恥をかくぞ」

 

「ははーっ、師匠のありがたいお言葉、参考にさせていただきます」

 

「後は休日にプロデューサーが良いと言うなら仕事関係抜きで一緒に出かけてみるとか……」

 

と、未央達と話していた所携帯に突然電話がかかってきた。

 

「悪い、ちょっと電話だ」

 

「はいはーい、私達はお気になさらず〜」

 

俺は電話をかけてきた相手の名前を見る。

どうやらかけてきた相手は志希の様だ。

 

『あー、もしもし? プロデューサー元気〜?』

 

「なんだ志希か。何かあったのか?」

 

『まあねー。今お祝い用ケーキのサンプルが何個か出来たからちょっとプロデューサーカモンってカーンジ?』

 

「ああ、了解。てかサンプルが何個かってことは何パターンか作ったってことか?」

 

『まーそうだね。皆が色々提案してくれたからさ、プロデューサーにそれぞれ食べてもらって一番良かったヤツを採用するから』

 

「あー……一応聞いておくがどんなケーキなんだ?」

 

『ふっふっふ……それは来てからのお楽しみ〜。大丈夫、多分食べて死ぬような奴は多分ないから』

 

「食べて死ぬようなやつは無いってそれどういう……」

 

『じゃっなるべく早く来てね〜』

 

と、志希は通話を一方的に切ってしまった。

 

「あー……どう? 向こうは順調そうだった?」

 

「まあ……あれが平常運転と言えば、そうなのか?」

 

「あはは……なんだかしきにゃん達の方も色々楽しそうだね」

 

気になるワードは少しあったが、ともかく早めに一度行った方が良さそうだな。

 

「すまない、ちょっと一度調理班の方に行ってくるからここを空ける。こっちの方は引き続き三人共頼んだ」

 

「はい! 島村卯月、頑張ります!」

 

「了解、任されたよ」

 

「任されました、さっちーP隊長! なーんちゃって!」

 

「さっちーP隊長って……ま、まあ分かった。それじゃあ行ってくる」

 

「行ってらっしゃーい!」

 

こうして俺はシンデレラプロジェクトのプロジェクトルームを後にし、調理室へと向かった。

正直昼時も近いし腹も減っていたし、色々と一石二鳥になりそうだな。

 

 

 

 

 

 




補足

現状本編より後になる為新登場人物として、シンデレラプロジェクト、志希、ありす、楓さん、川島さんが新たに居る。

シンデレラプロジェクトのプロデューサーは勿論武内Pであり、今後本編にて絡む予定。
またシンデレラプロジェクトのメンバーと幸子のプロデューサーはとある件で既に知り合っており仲良しという設定

そもそも予定をがっつり繰り上げた結果の為ほぼ独立した話として見てもらっても構わないかと

文章の改行や空白

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