主人公は一応、赤元秋人「あかもと あきひと」となります。
木原 桜「きはら さくら」と高瀬冬樹「たかせ ふゆき」の2人とは小さな頃からの親友であり幼馴染みという設定ですね……ってか、今になって名前やら幼馴染み設定言うのってどうなの……?
あんまし長くないのですが、投稿してみますm(__)m
異能特別調査を終えた秋人は冬樹に、「いつもの公園に先に行ってる」
とだけ伝え、1人でこの場を後にした。
この場所から約5分ほど離れた小さな公園で少し一人になってついさっきの事を自分なりに考えてみようと思っての行動だ。
冬樹には先程の秋人、と言っても冬樹からしてみたら、秋人が突然外に出ていっただけと見られるが、冬樹から桜にも伝わるだろ。だから先にある程度纏めておこうと思ってのことだ。
二人に話をしたい、だが何が起こったのかが未だによくわからないこのまま話すのは良くない、何故かそう思えてならない。だから先に自分が考えられるだけのことをしようとしていた。
「アイツは誰なんだろうな…」
只者では無い、それはよく分かる。
「俺を知ってる……のは不思議じゃないしな…」
10年前の異能特別調査。
その後すぐに世界的に知られることとなった秋人含める7人の存在。
今でも知ってる人は知ってるだろうからそれはアテにならない。
「はぁ…ダメダメだなこりゃ」
本日何度目かのため息を吐いて下を向く。
辺りは車がたまに通るくらいで基本物音一つしない静かな環境で、それは昔から大差ない。
落ち着いては居られるが、頭の中ではあらゆる思考が巡り巡っている。
あの少年は誰で、何を知っていて、これから何が起こるのかもきっと知ってる。
何よりも焦燥感が後を絶たない。
じっとしているままだと、手遅れになってしまうのではないか?
何が、とはわからない。だが、目の前に突然現れた少年を見てからずっと消えないでいる。
「何も起こらないといいな…それが一番だ…」
腕時計で時間を見ると、冬樹達と離れてからもうすぐ10分経とうとしている。
そろそろ来るな。
そう思い、顔を上へと上げる。
すると、
「ここに居た」
物音一つ立てずに、気配さえ感じさせずに、秋人の目の前には女の子が立っていた。
茶髪掛かった髪色で、青色の瞳。
桜より少し高そうな背の子が一言、そう呟いた。
ーーーーー
「そんでよー、アイツったら急に外に向かって走ってくからどうしたのか心配になっちまってよー」
「急な用事でも思い出したとかなの?」
異能特別調査が終わってから数分。
先に終えた秋人が「いつもの公園に居るから」とだけ冬樹に伝え、先に行ってしまったので、少し遅れて出てくる桜と共に公園へと向かっている。
外で降っていた雨は止んではいたが、まだ曇り空は晴れていなかった。
「んーむ…すぐに異特が始まっちまって、最後まで話せなくてな、まだ何も聞けてないんだわ」
学生カバンを頭の後で組むようにして持ち、空を眺めながら呟く。
あの時の秋人は、普段から見ている冬樹からしても、イマイチよくわからない行動を取っていた。
「秋人…やっぱ何か不安だったのかなぁ」
桜も隣でポツリと呟く。
10年前に行われた異能特別調査。
そこで秋人は世界中の注目を集める「7人」の内の1人として取り上げられた。
本人も周りも、何故こんなことになっているのか分からない状況で不安と不満で1杯だった秋人を知っている俺と桜は、正直今日の異能特別調査の日を心配していた。
「まぁな……それもあるだろ」
「とりあえず、合流してやらないとね」
「だな、飲み物でも買っていくか」
「うん」
近くにある自販機で二人は「「秋人はコレ!」」と、
一緒に少し甘めなコーヒーを選んだのだった。
ーーーーー
「ぇ」
本日2度目の小さな「ぇ」
話したこともない人と、今日、それも短時間の内に相手から話しかけられた。
秋人はえっと、とつなげて話しかける。
「ここに居たって…?君は誰?」
ここに居る事は冬樹に伝えはしたが、それ以外には喋っていない。
別にだからといって、ここに居るのを見つけるくらいなら偶然でもできるかも知れないが…
だが、話しかけられるとなるとまた違ってくるのだ。
なにせ、秋人はこの人を知らない。
「……やっぱ覚えてないの、じゃあ仕方ない、行きましょう」
「うんごめん、説明不足すぎるし手を取られてもね?ちょい待って!」
女の子は秋人の手をとって歩きだそうとするが、秋人的には少し嬉し恥ずかしではあっても、ちょっと待って欲しいのが本音なのだ。
「覚えてないって、どこかで会ったことあるか?てかどこに連れてこうとしたんだよ…友達待ってるのもあるけど、知らない人には付いていけねぇな」
言われてから多少記憶を辿ってみたりしたが、全然出てこない。
顔立ちやスタイル、声も透き通っていて全体的に綺麗なのだが、秋人には覚えがない。
仮に、どこかで喋っていたりしたら忘れられそうになさそうなのなのだが…
「最初に私の名前が出てこない時点で貴方は忘れている。仕方ないことよ、でもその理由を私からは言えない。そういう決まり。ここから連れ出そうとしてるとこはここよりも安全な場所。すでに少し時間が遅れてるからあまり止まっては居られません。せめて動きながら話をさせて?」
「……いや、やっぱちょっと待ってくんね?俺と君は会ったことある感じなの?」
状況の整理も着かない。
というか、ここより安全な場所に連れてこうとしてるってことはここは危ないってことなのか?
そもそも、この子は一体…?
「そうね、貴方が思い出せないのも無理はない、でも君呼ばわりされるのはなんかムカつくから…」
ムカつくの部分で「ふんっ」とでも言いたげに頬を少し赤くするの可愛いから辞めてほしい。
少しだけ考えていたのだろうか、というか、普通に自分の名前を教えてくれれば良いのだから考える事も無いだろ…
「私の事は、若葉、そう呼ぶことにしましょう。本当の名前は貴方が思い出すこと、分かった?」
「……いや、教えてくれればそれでいいんだと思うけど、忘れてる俺も俺だけど、本当にあったことあるのか?」
「……ある、それに、思い出せないようなら、貴方は生き残れないよ、赤元秋人君」
「……」
若葉、そう名乗った彼女は不敵に笑って見せた。
これが!シャフ度ってやつか!
いやそうじゃなくて、本当にわからない。
それが秋人の答えだった。
そんなやりとりをしていると
「おーーい!」
手を振ってこちらに駆け足で向かってくる桜とその後の方で片手を上げてる冬樹の2人が見えてきたのだ。
ーーーーー
「私達お邪魔だったみたいだよ冬樹…」
「そうだな……先に店行ってるから!来てくれれば時間気にしないから!むしろごゆっくり!」
桜と冬樹はタイミングよく「「じゃっ!」」と手を上げ退散しようとした。
が、
「いやいやいや、どこか行かせるわけねぇだろ!俺も全然知らない人だからね?」
「少なくとも今名前は教えてあげたから、全然知らない人ではないと思うけど?」
秋人は2人の手をガシッと掴み逃がさない。
後ろで小さくため息を吐く若葉は改めまして、と前置きをしてから二人に小さくお辞儀した。
「私は、若葉。この人と一緒に貴方達も連れてくわね、時間が無いの」
「「どこへ!?」」
桜と冬樹は相変わらずのテンションのままだった。
若葉はそんな初対面の2人を前にしても、至って変わらずのままだった。
「お願い、本当に時間はないの。説明なんて体を動かしながらでも出来るでしょ」
少し苛立ちを隠せなかったのか、語尾が強くなる。
桜は、うーんと頭を右へ左へ動かしてからとりあえず、わかったとだけ答えて秋人を見る。
冬樹は若葉の言葉に疑問を持ったままだろうな、そんな面をしているが、秋人に視線をちらりと1回だけ送って以降目を瞑ってしまう。
秋人は若葉の言ってることが正直本当に危ないことなのかわからない。
だが、もし仮に本当なら、秋人以外のこの辺に住む人たち、更に桜と冬樹の2人も危なくなるのかもしれない。
なら、と。
「わかった。とりあえず着いてくよ。だから若葉が誰で、何が起こるのか教えてくれよ。少し前にもよくわからない事が起こったばかりだから
「その事を詳しく教えなさいっ!」
若葉の言葉の中でこの短時間の内にここまで感情がわかり易いものなど無かった。
だからなのか、少しだけこちらも早口気味になってしまった。
「小さな子供みたいな奴が現れたと思ったら急に何もかも止まっちまって、手をとるとか、俺が気づいてないだけでもう始まっているとかなんとか……」
「もうなの…やっぱ少し遅れすぎたのね…」
右親指の爪を甘噛みする様にして、若葉も焦る。
秋人からしてみれば、若葉は何かを確実に知っている事になる人物へと変わっていき、さっきから全然動けてないままに、質問内容が頭の中に次から次へと浮かび上がる。
が、先に若葉の方から言葉が飛んでくる。
「……貴方はその手を取ったの?」
「いや、取る取らないの前にしまわれたからな」
「そうなの…良かった…」
「どういう意味だ?俺にはこの数時間に起こってる事の意味がまるでわかってないから知ってるなら教えて欲しい」
「それは…いえ、だから時間が無いの!もう行くわよ、付いてきて」
若葉は半ば強引に話を終わらせて、秋人の手をとる。
振りほどこうとはしないものの、秋人は動こうとしない。
桜と冬樹はさっきからこの2人は何を話しているのかさえ聞けず、ただ目の前に居る2人の会話を聞くことしか出来ていなかった。
「わかった…2人も良いな?」
「なんか焦ってるみたいだし、秋人についてく!」
「まぁ…とりあえずいいか」
三人のやり取りを終えてから、若葉は行くわよと、少し足早に前へ動き出した。
若葉……名前は決めていたけど、茶髪で良かったのかなぁ、青っぽい黒とかにもしたかったんだよなぁ……
次回は少しだけ戦闘を書いてみたいと思ってたりします。
ありがとうございましたm(__)m