ソードアート・オンライン 白い罪人   作:かえー

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死神に憧れた

「無所属のリンネだ。アモネを迎えに来た。」

 

「…入れ。」

 

どこかから門番だろうか、ミラではない声が俺に反応しそれに合わせ門が開く。門は比較的軽い様子で開いており襲撃に対してガバガバと思える。門をくぐり周りを確認する。少し先にステージがあり、その上には玉座に座るミラ。その横にはおびえながら座るアモネの姿があった。ミラとアモネの位置を確認すると俺は走り出した。すぐに兵士が俺を取り押さえようとするが追いつかず、50mほどあった距離はすぐに縮み手を伸ばせばアモネに届く距離となっていた。ここで、ゴルドレムが俺を妨害することは知っていた、だからおれは敢えてゴルドレム押さえに行く。この予想外の動きはゴルドレムのバランスを大きく崩すことに成功し、時間を稼ぐことに成功した。巨神兵のいない無防備な二人にカザネが切り込み、慌ててミラが剣で応戦、ただ彼の当時のレベルは俺と同じくらい弱く、戦闘能力なんて皆無に等しい。怒涛の突きにたじろぎ防ぐことが精一杯のミラ。カザネはアモネを保護しクラッカーで爆音を響かせる。すると、アジトの裏門から大量の囚人が侵入しアジトを数秒で占拠する。おれはゴルドレムを囚人と来たローべに任せ、ミラの元へと向かう。ミラは状況を把握できておらず唖然としていた。

 

「…何故、何故こんな動きが……」

「…ミラ、お前は本来ここで俺から逃げてこの物語を終えるはずだった」

「は、はぁ…?君は一体何を言って…!?」

「俺は…お前を殺す。お前を殺して…おれの死神としての働きはここで終わるんだ」

「や、やめてくれ…俺が悪かった、一度話し合おう…!」

 

返事も聞かず鎌を思い切り振り下ろしミラを一刀両断、盾に真っ二つになったミラは断末魔を残してポリゴンとなり消えて行った。その光景を誰もが言葉をなくしてみるしかなく、数分間誰も動くことができなかった。そう、俺は本来はあり得なかった歴史をこの手で塗り替えたのであった。

 

 

 

 

時間が経ち夕日が上がる頃、小屋みたいな俺の家では久しぶりに四人で食事を行っていた。ご馳走、とまではいかなもののアモネの料理スキルで大盛りのチャーハンがそれぞれの前に置かれていた。もりもりと食べながら家を見渡すが…やはり懐かしい。と、ふと気になることがありふと呟く俺であった。

 

「そういえばゴルドレムはどうなったんだ?」

「あぁ…確かゴルドレムさんなら旅に出ましたね…そのまま残ってくれたら嬉しかったのですが…」

「それより、ここって本当のSAOの世界なんだよなぁ!!まさかこれると思っていなかったが本当に!!」

「あ、あぁ…とりあえず落ち着いてご飯食べようローべ」

「動きはALOとそっくりで気にしなんだけど、SAOってどんなゲームなのかしら?」

 

 

元々カザネはALO出身のプレイヤーで、SAOの世界のことを全く知らない新米プレイヤーだったのだ。ローべはSAOを購入することができず、運良くデスゲームに巻き込まれなかったらしい。俺はデスゲームの世界、ソードアートオンラインを説明した。ログアウト不可能、魔法や飛行の要素がないこと、そしてなにより一番の違いはHPがゼロになると現実でも死んでしまうデメリットだろう。この世界は剣が全て、俺も何度もその世界を目の当たりにして来た。しっかりとルールとして当てはまった異常な世界なのだ。

 

 

「あんたすごいわねそんな世界で…ま、まぁとりあえずわかったわ。でも私たちはどうしてこの世界に来たのかしら…」

「きづいたらここにいてよう、俺更衣所で休憩していたはずなんだよな」

 

俺も、帰っている途中だった気がするが思い出した映像はぼんやりともやがかかったようにはっきりせず確信がない。そもそもそうだったとしてナーヴギアを外出先にもっていなかった俺はどのようにログインしているのだろう、不思議であり不気味である。だが、ここが本当に過去にさかのぼっているのならここをクリアして脱出しなければならない。メニュー画面にログアウトの文字がないことを確認した俺は一つ決心した。

 

 

「…俺、攻略組に入れるように……いや、攻略組に入るよ」

「…えっ!?」「リンネ…」「あんた…流石にそれは無茶よ!そんなレベルで…」

「そんなすぐにはこの世界はクリアされないはずだ、アインクラッドも残り15層とは言え…もう上層だから時間はあると思う。だから俺は…純粋にこの世界を楽しみたいんだ」

「リンネさん…いいですよ、その希望私も相乗りします!」

「俺もだ!なんか戦いが増えるって楽しいしな!!」

「しっかたないわね…死なれるのが嫌なだけなんだからね!」

「あの…それ、俺にも手伝わせてくれない!?」

 

 

ドアの外から聞こえる少年の声。俺の「入れ」の声で俺たちは戦闘準備を整え身構える。予想通り、声の主はこの前カザネの兄を襲った少年だったのだ。身構える俺達、だが少年は腕を組み半笑いのまま小屋へと入る。何かおかしいか分からないが手で口元を押さえながら肩を震わせている。今にもとびかかりそうな女性二人を鎌で制止しつつ相手の様子をうかがった。我慢できないカザネが口を開く。

 

「あんた…この場で私たちを殺そうものなら……今度は容赦しないわ!」

「ま、まぁカザネ…話だけでも聞こう」

「そうだよ、短気な女はモテないよ?おばさん」

「…で、手伝うとは具体的に…どうゆうことでしょうか?」

「お、お前ら…技術はあってもレベルがなきゃこの先大変だから…俺の狩場を教えてあげてもいいなーって…」

「あんたの狩場なんて行かなくても…私たちは強く」

「いいかもしれんな、何もないならついて行こう」

「ばかなのあんた!?この前まで人殺そうとしてた子よ!」

「俺もそうだったから…俺はこいつを信じる」

「決まりだな!ちなみに俺レベル70はあるから、俺が先輩だから!ナディ様と呼ぶように!!わかったか…死神、筋肉マッチョ、チビ、おばさん!明日の朝、この家の前で待ってるからな!感謝しろよ!」

「…また、大変な人が仲間になりましたね…」

 

 

低い身長ながらタメ語で横柄な態度をとるナディ。カザネはアモネとローべに抑えられ大噴火直前の状態だが、俺としてはいい機会になるため行きたいと思っている。三人を何とか宥め、ナディのレベル上げに同行させてもらうことになった。

俺達が思っていた以上にレベル上げは大変だった。襲い来るリザードマンの群れ、神出鬼没な植物、そして極めつけは多種混合、いろんな昆虫が集まる巨大な巣窟、記憶から消し去りたい血のにじむような訓練を超えレベルは50まで上げることができた。他の三人も70近くまでレベルアップに成功し、ここまではナディの機嫌を損ねることなく、むしろ喜ぶという最高の形で強力を続けた。他の三人も最初のころにっ比べナディと打ち解けているように見える。ほっと溜息をつき今の階層76まではマージンが足りないが、引き続き今はレベル上げに専念していくことにした。自分が前線で活躍する姿を思い浮かべると少し照れくさくて四人に顔を合わせられない。ナディに続いて俺は全速力で次の階層へと駆けていくのだった。

 

 


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