斬る?違う、粉砕だ   作:優しい傭兵

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第二十六話

 

ドガアアアアアアアアアン!!

 

 

 

「中々粘るな。流石イェーガーズと言ったところか」

 

「こちとら、伊達に海賊や海の危険種共とやり合ってなかったからな」

 

ウェイブと戦い始めて約数分。大聖堂の庭はありえないと言うほどボロボロであった。

 

 

「でもこっちも時間を掛けてはいられないんだ。悪いが再起不能になってもらうぜ!!」

 

『Boost!』

 

(まただ。あの音声が鳴るにつれてデストロイヤーのパワーが上がってる。一体どんな能力なんだ・・・)

 

 

「いくぜぇぇぇ!」

 

『explosion!』

 

 

音声がなったと同時にリュウの力が倍加する。これは10秒後とに自信の力が二倍になる倍増ののうりょくである。ほかにもパワーアップした力を仲間に譲渡する事も出来る。

 

 

因みに、庭がボロボロになっている大半の原因はリュウの倍加の力によるものである。

 

 

「だぁ!」

 

ドゴォン!

 

「ぐぉ!」

 

ウェイブの腹に直撃。だが休むな。殴り続けろ!

 

 

ドドドドドドドドド!

 

「うおぉぉらああ!!」

 

「ぐぉああ!」

 

腹、胸、腕、顔。すべてに打撃を与え、

 

 

「再起不能になってもらう」

 

渾身の一撃を叩き込んだ。

 

 

ゴォォンン!!

 

「がはぁぁあ!」

 

 

庭の奥に聳え立っている木々の中に飛んでいき、大聖堂を取り囲んでいる壁面に直撃する。

 

 

「野郎・・・。飛ぶ前に後ろに飛んで衝撃を減らしやがった」

 

やっぱり戦いの経験って奴かな。流石は海の男。

 

 

壁面に直撃したウェイブがフラフラと立ち上がる。

 

 

「二度も負けるわけには・・・・・・いかねぇんだ・・・。クロメを・・・守らないと・・・・・・」

 

ドサッ。

 

気を失ってそのまままるで糸の切れた人形のようにバタリと倒れる。

 

「悪いな・・・。お前の信念は俺には届かない・・・・・・・・・」

 

 

 

クロメを守りたい。仲間を傷つけたくない。その気持ちは俺は痛いほど分かる。恋人であるチェルシーを守りたい、俺とライバル的存在でいてくれるタツミを守りたい、俺の師匠のような存在のアカメを守りたい、いつも怒ってくるがちゃんと俺を気遣ってくれるマインを守りたい、からかわれたりされるが優しくしてくれるレオーネを守りたい、俺のある意味でもの仲間でもあるラバックを守りたい、任務を優先するが部下を信じているボスを守りたい、みんなをずっと見てくれているスーさんを守りたい。ナイトレイド全員を守りたい。俺はこの想いを胸に秘め戦っている。お前もボルスやセリューを失って悲しい気持ちになっているのは分かる。だが俺にも、シェーレやブラートみたいに、仲間を失いたくないんだ。同じ気持ちでも・・・・・・。負けるつもりは微塵もない。

 

 

「こうしちゃいられん。早く大聖堂に・・・・・・・・・・・・」

 

 

行こうと思い振り返った瞬間・・・・・・。

 

 

 

ドガアアアアァァァァァァァァァアァアアアン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大聖堂の天上が吹き飛んだ。

 

 

そしてその吹き飛んだ天井の瓦礫のなかに居たのは・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

「スーさん!!!」

 

体の部分部分がなくなっているスーさんが俺の元に飛んできた。

 

「おい!大丈夫か!」

 

「む・・・リュウか。俺は回復できるから大丈夫だ。それよりナジェンダ達の所に向かってくれ。まさかイェーガーズにあんな奴がいたとはな・・・・・・」

 

「奴?」

 

「俺も見た時は驚いた・・・。しかも強い。あのアカメが苦戦するほどだ」

 

「誰なんだよそいつは!勿体ぶらないで教えてくれスーさん!」

 

俺はその答えを早く知りたいためにスーさんをせかした。俺はこの任務が開始してから嫌な予感がしていた。もしかしたらその嫌な予感がそいつなのかもしれない。

 

 

 

 

「良いか・・・。良く聞け。その人物は・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

俺はその言葉を聞いて、驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リュウ。お前がイェーガーズにいる』

 

 

 

 

世界にそっくりな人物が三人いるという話を聞いたことがある。だがこの世界が本当に俺の生きていた世界と同じであるとは思えない。その話を聞いたのは俺がまだあの世界で生きていた頃に聞いた話だ。

 

だが、スーさんの言葉を聞いたとき確かに驚きは隠せなかったが、それほど仰天するほどではなかった。それはなぜか?あの戦いの時だ。

 

ボルス・クロメ暗殺の時に奪われた俺の能力だ。大体の予想はつく。エスデスが俺の能力を収めたあの勾玉を大臣にでも渡したのだろう。その勾玉を使ってその人物を実験などで使ったのだろう。

 

 

だが俺は自分で確かめないと信じないタチなのだ。

 

 

 

俺は再生しているスーさんをその場において大聖堂に全速力で走った。

 

背中に嫌な感覚が波打っている。冷や汗が止まらない。

 

 

 

俺は大聖堂の正面の壁を蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

ドガアアアアアアアアン!!

 

 

 

大聖堂の壁を潜り抜け中に入り込む。そして顔を上げた時に目に入ってきた光景は。

 

 

 

 

大聖堂の壁にめり込んでいるアカメとマイン。倒れているボスとチェルシー。奥の玉座に座っているボリックとその横に立っているクロメ。レオーネにレイピアを突き立てているエスデス。そしてその中央にインクルシオを身に付けたタツミとラバックの頭を鷲づかみしている人物。蹴った衝撃によって起こった土煙が晴れ見えたその人物の姿は、虚の仮面をつけているから一瞬分からなかったがすぐに理解した。

 

 

 

 

 

【本当に瓜二つの俺が立っていた】

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

瓜二つの俺がタツミとラバックの頭から手を話し此方にゆっくりと近付いてくる。

 

 

「来たな。デストロイヤー。大臣から貰ったこちらのデストロイヤーとナイトレイドのデストロイヤー、どちらが強いか見ものだな」

 

レオーネの体のあちこちに傷をつけたエスデスがボリック達の元に向かう。

 

 

 

 

「野郎・・・・・・・・・」

 

鎧を外し仮面を装着する。

 

 

「仲間の下に向かわなくていいのか?」

 

初めてこいつの声を聞いた。少し俺の声を低くした感じかな?だが俺とほぼ瓜二つってのが腹が立つ。

 

 

「近付かないと、テメェをぶちのめせないんでな」

 

 

俺と奴の距離が約2㍍の距離まで近付いたときにお互い立ち止まる。

 

 

「自己紹介をしよう。俺は【ビャッコ】だ」

 

「ビャッコ・・・。覚えとくぜ。俺の分身野郎」

 

「分身とは人聞きが悪い。これは本当の名だ。ある人物の実験でこうなっちまったんだ。だが気分は悪くない。おかげでこんな素晴らしい力を手に入れたんだからな」

 

仮面をつけていて分からないが俺にはわかる。俺のことを上から目線で嘲笑っているのが分かる。

 

 

「俺の能力で・・・・・・・・・みんなを傷つけてんじゃねえよ!!」

 

「その能力で俺は満足してるんだから喜べよ。楽しいぜ。この力があれば誰も相手にならない。例え・・・・・・お前でもな!!」

 

「っ!!」

 

 

今ので俺はプッツンときた。楽しい?人と戦って傷つけて楽しいだと・・・・・・・・・。

 

 

 

「ぶちのめす!!」

 

「やってみな!!」

 

 

戦闘態勢にはいる。

 

 

 

 

「スタープラチナ!」

 

「ザ・ワールド!」

 

お互いの背後からスタンドが飛び出す。

 

 

『オラァ!』

 

『無駄ァ!』

 

 

ドォォン!!

 

拳がぶつかった瞬間、その衝撃波によって当たりに散らばっている瓦礫などが吹き飛ぶ。

 

 

「くっ・・・・・・リュウ」

 

「大丈夫かナジェンダ」

 

「スサノオ・・・。私はいい・・。他の皆の所に連れて行ってやってくれ・・・・・・。今の状態じゃ動く事もボリックの下に行く事も出来ない・・・」

 

「分かった・・・・・・。だが今はなんとしてでもボリックを討つ」

 

「あぁ・・・。もしもの時はお前の奥の手を使うぞ」

 

「ナジェンダの言葉で変身できるように準備してある。いつでもいけるぞ」

 

「よし・・・。アカメたちをみてやってくれ」

 

「了解した」

 

俺達の攻防の間にボスたちはこっそり行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!』

 

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!』

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!

 

 

お互いのラッシュが当たるが、俺は少し焦っていた・・・。

 

 

(傍から見たらお互い互角に見えるけどスタンドの性能的にあっちの方が上だ・・・。このまま押し勝つ事は出来るかもしれないけど奴に時を止められたら終わりだ。

 

 

 

その予想通り、俺の嫌な予感は的中した。

 

 

「こりゃ戦いが長引きそうだな。お前と長く戦うのも良いけどそんな事してたらエスデス将軍の拷問を受けてしまうんでな。お前の知ってる技を使ってやる!」

 

 

「ま、まさか!!」

 

「そのまさかだ!『ザ・ワールド!時よとまれ!!』」

 

ザ・ワールドから発したオーラらしきものが俺達を包み込む。ビャッコ以外の時が止まった。

 

 

「とは言ったものの、お前もこの止まった時の中は見えてるはずだ。動きはしないがなぁ」

 

1秒経過。

 

(野郎・・・・・・。調子に乗りやがって・・・・・・。だが俺のこの中で動ける時間は5秒だ。その時間内にスタープラチナを叩きこんでやる!)

 

2秒経過。

 

「今思っている事は、動ける時間内でスタープラチナを叩きこむだろ?

 

(っ!?)

 

3秒経過。

 

「青ざめたな。図星だろう?確かにいい考えかもしれない。まだ俺はこの能力を完璧には使いこなせてないんでな。お前に負けるかもしれない。だが、お前の読みが通じるか試してやる」

 

4秒経過。

 

「今だ!!」

 

『オラオラオラオラオラオラオラ!!』

 

「ふんっ」

 

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!』

 

 

ザ・ワールドが時を止めていられるのは9秒。残りの時間が5秒となったとき、俺は攻撃を仕掛けた。

 

 

ドドドドドドドドドドドドドド!!

 

「いけぇ!」

 

「うごぉぁああ!」

 

スタープラチナの拳がビャッコを捉えた。ありったけの拳打を浴びせた。

そして・・・。

 

9秒経過。

 

 

「ざまぁみやが・・・・・・・・・っ!?」

 

「くくっ・・・・・・」

 

9秒経過した瞬間、時は動き出す・・・『はずである』。なのに俺の動きだけ止まりビャッコは普通に動いていた。

 

 

「かかったなアホがぁ!止められる時間はのびてるんだよ!今じゃ11秒なんだよ!読みはハズレだ。ざんねんでしたぁ」

 

 

(くそったれが!)

 

これくらい予想できたはずだ!あのままな訳がないと言う事に!!

 

 

「悪いな。デストロイヤー・・・。これで、チェックメイトだ!!」

 

 

 

『無駄!』

 

ドゴォォン!!

 

 

ザ・ワールドの拳が俺の体を貫通した。

 

 

「っ!!!」


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