書いた直後は良いけど、あとで読み直したら酷そうだなぁ。というわけで、大きく変える可能性があるかもしれません。その時は、ご容赦を。。
あと原作では名前(カナ)ですが、本作品では漢字としています。理由は、カタカナ表記だと見栄えが悪い気がしたからです・・・
「知らない
なんて、お約束の一言とともに気絶状態から目を覚ましたのはドン=フリークス。こんな無秩序が秩序の代名詞みたいな場所に好奇心が赴くままに探検しに来たバカひとr・・・と考えていたら、また殴りかかられた。
「あのさ、いくら俺が傍にいたとはいえ、よくこんなところで無防備に寝てられるよね? 危機感あるの? バカなの? 死にたいの?」
「お前がやったんだろ(物理で)」
「そんなの拳骨1つで簡単に沈むドンが悪い。調子に乗るな、雑種」
挑発すると
その後、一通り唸り終えたドンと再度お互いの持っている情報交換的なことを経て新しく得た情報は、どうやらこの世界における人間界の時間軸はハンター暦で1497年とのことだ。ふーん。また、ドンからは気絶させる前に俺が言っていた言葉の真意を確認したいと聞かれることになった。
「それで、お前の見立てだと10年じゃ無理ってことだが、それなら実際に回るに当たって必要な時間はどれくらいになりそうなんだ?」
「それは、このメビウス湖の沿岸部(東側半分)を汲まなく探索するのに掛かる時間がどれくらいかって意味で良いのか?」
「そうだ」
そこで一旦話を区切って少しだけ考え込む素振りをする。
そしてドンを見てから出した結論は、
「うーん、まぁ、結んだ『契約』に従ってドンをこれから鍛えながら案内していくって事になるんだと思うけど、今のままだと順当に行っても500年じゃ全然足らないんじゃないかなぁ?」
「マジか」
「マジだ」
俺の言葉にドンは、かなりの衝撃を受けたらしく完全に四つん這いの状態で地に伏せっていた。その様子に今度は俺の方が驚いてフォローを入れる。
「ま、まぁ、ドンは、かなり素質ありそうだし、きっと見立てよりも短い期間で周れるよ。たぶん」
「だから『たぶん』なんていう不安を掻き立てるフォローになってないフォローするんじゃねぇ・・・」
俺の言葉を受けて、ちょっとだけ驚いた顔こちらに向けて叫ぶドン。だが語尾に覇気が無い。う、失敗した?
「まぁ、でも、きっと何とかなるよ」と言うと「どれくらいだよ?」と拗ねた口調で質問してくるので、「えっと、300年くらい?」と言ったら、またすっごい顔になっていたけど・・・
それから、たっぶり10分は凹んでいたドンだったが、その後、気を取り直したのか「ま、事実、今の俺は弱いんだから仕方ねえな」と完全に割り切ったかのようなスッキリとした顔つきで言い放った。立ち直り早いなぁ・・・。
「そういえば、お前「
いい加減、お互いに簡単ではあったが自己紹介を終えた後だというのに、ドンの口から偶に出てくる俺の「お前」呼びには思うところがあったので、これを気に訂正させる。まぁ、俺自身は他の誰かが俺のことを何と呼ぼうと俺が最も毛嫌いしている『真名』でさえ呼んでくれなければ何でも良かったんだが、それが出来ない理由もあったからだ。あれ、でも、そういえば名前は教えたけど正確な自己紹介は、まだしてなかったっけ?
それが俺の幾つかある呼び名の1つで、もしかしたら、俺が真の意味で「人間」であった頃の本名だったのかもしれない名前を改めてドンに伝えた。まぁ、それについての真偽の程は、もう定かではないが、この名前自体は何だかんだと最も気に入っている呼び名であることは事実なのだ。
ちなみに今の状態、つまり永遠を生きることを余儀なくされた
だから、この世界の初めてのトモダチであるドンには教えないでおいた。こいつは、約束さえすれば調子に乗ってペラペラ吹聴して周るような性格じゃないのは短い付き合いの中でも十分に把握できたが、例えそうであったとしても誰にでも『ウッカリ』ということはあるのだ。そうなった時に俺はコイツをミンチに変えたくはない程度にはドン=フリークスという人間を既に始めて出遭ったそのときから気に入っていってしまっているからだ。
閑話休題
「それで俺の年齢の話だっけ?」
「そうだよ」
えーっと、この顕世に来た頃から数えても詳細は判然としないのに、それ以前の事まで考えると更に分からないよな。うーん。。。
まぁ、考えても仕方が無いので分からないと素直に答えておこう。
「さぁ? って、八尋、自分の生きてきた年齢も分からないのかよ」
「あー、うん。まぁ、(この世界で生きてきた時間だけでも)たぶん、数千年という単位になると思うよ。たぶん・・・」
正直、自分の言っている事に全然自信なんか無いので、視線をドンから外しながら語尾も弱々しく呟いた。
「数千年って・・・ 例え "念" に莫大な制約と誓約を掛けていたとしても、そんなに長生きなんかできねーよ。いや、そういう能力なのか?」
「そもそも "念" って、何?」
「え?」
「え?」
俺の年齢の話をしていたはずなのに、ドンの口から出てきた、また新しい単語に俺は食いつく。その "念" とやらについてドンの口から根ほり葉ほり聞いてみたが、なるほど、この世界の人間達の一部では、その "念" と呼ばれる個人の生命力を源泉とした特殊なチカラを使える者達が、ごく少数だがいるらしい。なるほど、だからか。ドンからやたら美味しそうな匂いg・・・げふんげふん・・・
それでドンや既に全滅してしまって、この世にはいなくなってしまったが、この暗黒大陸と呼ばれる場所を冒険しようとしていた探検隊のメンバー達は使えるチカラだったっぽい。ふーん。まぁ、必要になったら覚えてみるかと考えたところで、俺は "念" という概念を頭の片隅へ追いやった。そんな俺の様子を、如何解釈したのか、ドンは彼自身が考え付いた結論を俺に話しかけてきた。
「無意識的に使っていることはあったんだろうな」
「そうなの?」
「おそらく、な。そうじゃなければ説明できないことが八尋には多いというのは確かだからだ」
ドン曰く、"念" は、使えれば便利ではあるが、それは万能の魔法ではないとのこと。その説明を聞いて、まぁ、それはそうだなと思う。そもそもの "念" と呼ばれる "
けれど、"念" が使える人間たちは、それが万能の魔法ではないと言っておきながら、何か不可解な事象が起こると全て "念" の作用であると片付ける傾向が人間界にはあるらしい。その最たる例が "俺" なのだろう。ドン自身がそう考えているのかは分からないが、何だか、わけわからんな。
「んー、まぁ、俺は "統一言語" や "高速神言" が使えるから、やっぱり、今更その "念" とやらは意識して覚える必要は無さそうだねー」
他にも条件を揃えれば "神代回帰" なんかも出来るし、そもそもそんな状態にならなければならないほど追い詰められることが殆どないというか、これまでの「経験」上も、1度あったかどうか、だろう。とはさすがに言わないでおいた。"神代回帰" は、"大気食" と一緒で、とにかく周りへの影響が大きすぎるからな、と宙を仰いだが、ドンは、そのどちらも知らなかったらしく、逆に質問攻めにあった。迂闊・・・。
・・・統一言語と高速神言について説明中・・・
「という感じなわけだ。おっけー?」
そう聞くと、ドンは真顔で「なんだそれ? 反則じゃねえか」と乾いた笑いを浮かべながら言ってきたが、仕方が無いじゃん?
俺だって気が付いたら使えるようになってたんだから、と笑って返すと「聞いた俺が馬鹿だった」とポツリ。
だが、直後に「八尋が気が付いたら使えるようになってたってことは、俺にもチャンスがあるわけか?」と切り返して来たので、俺は思いっきり噴出した。ヤダ、なにそれ、ドン面白すぎ。その発想は無かったわー。
「ま、無理だろうな。俺がコレを使えるようになっていた
「なるほど、良く分かった」
そうかそうか。無駄に食いつかれるよりも素直に引いてくれて俺は大変うれしいよ。うんうん。ドンの様に出来ることと出来ないことをスパッと切り分けることのできる物分りが良い子は嫌いじゃないぜ?
「じゃあ、八尋や、八尋と互角以上に戦えるような連中をブッ飛ばせるくらい "念" を極めれば良いだけだろ?」
「ブブー」
「おわ、きったねえ! 何しやがる!」
「ちょ、ちょっと待って。ドン、それマジで言ってるの?」
「おう、大マジだ」
曇りなく輝くその目に嘘は全く含まれていない。その顔を見て俺は先程以上に、また噴出して分かってしまった。不謹慎だとは思うが、もうこれは止められない。散々、笑い転げて、その様子にイラっと来たらしいドンの攻撃を避けながら、また笑う。すごい、本当にコイツ面白すぎる。どうしよう、耐えられない。
そうして一頻り笑ったところで立ち上がり、向かってきたドンの拳を手のひらで受けて一言。
「ま、期待しないで待ってるよ」
俺は今度こそ笑顔で、大真面目にそう返したのだった。
「おう、いつか絶対、その顔をブッ飛ばしてやるから期待して待っとけ!」
俺は、そう言い切ったドンの笑顔を、この先、生涯忘れることは無いのではないかと思うほどに、発せられた言葉と笑顔を心に刻み込むのだった。
きっとドンというか、フリークスの系譜なら、どんな強大な相手にも、いつか必ず一矢報いる宣言をすると思うんですよ。原作のゴンが、圧倒的強者のヒソカ相手にしたように。
それを上手く再現できてたら良いなと思いながら書いた回でした。
○以下、wikiさんから能力説明について一部転用
『統一言語』
バビロニアの神話における「バベルの塔」において神によって「言葉を乱された」以前に使われていた言語。
神代において全てのモノが共通して話していた、カタチのない言語。『万物に共通する意味の説明』を可能とする。
人が人に話しかけるのではなく、世界そのものに話しかけて意味を決定させる言語。人々が分かれる前にあったとされる「真理」のようなもの。
神代では皆が統一言語を知っていたから会話が成立したが、現代(HUNTER世界)では主人公と極一部の種族(本編には登場予定なし)のみしか話せない言語であるため、この言語による会話は彼が話しかけるだけの一方通行となる。ただの言語ならば独り言にしかならないが、彼の言葉は世界そのものに話しかけ、自分の意思を言い聞かせる。
存在論的なヒエラルキーとして、モノが世界に存在する時には、「世界に存在するモノ」がモノの上に位置する。世界に意味を伝える統一言語によって「世界に存在するモノ」に話しかけられ意思を伝えられると、「それに否定する」ということが「世界に存在することの拒否」になるため、抗うことができない。
故に「言語絶対」。主人公の言葉はそのまま真実となる。要するに、ゴドーワードは万物に対する最高の催眠術といえる。人間が記憶しているものとは別に、世界そのものが記録している過去を聞き出すことすら出来る。
『高速神言』
神代(神が治めていた神話時代)の言葉。魔術を発動するとき一言で大魔術を発動させる、高速詠唱の最上位スキル。呪文・魔術回路の接続を必要としない。区分としては一小節に該当するが、発動速度は一工程と同等かそれ以上。しかも威力は五小節以上の大魔術に相当する。呪文自体が「神言」である為、詠唱の長さと威力が比例するという法則は適用外。故に本来ならば相応の触媒を用意しておかねば実現不可能な、「大魔術をただの一言で発動させる」という行為を可能とする。現代人の舌では発音不能、耳にはもはや言語として聞き取れない。