扱いをどうするか微妙だったので、一覧にも表示させず、検索結果にも反映させず、ランキングからも除外するという徹底っぷりだったのに発見された時には戦慄した(マジ)
非ログイン状態では見つけることができなかったので活動報告へリンクしておきました。興味がある方は覗いてみて下さいませ。
(なお、そちらでは思いっきりTS要素が出てきますので、ご注意ください)
俺がドンとパワーに施した荒療治から3ヵ月の月日が経った。
1人と1体にストックしておいた『臓器の実』を全て使い切ってしまい、今後、2, 300年は、こんな無茶は出来ないだろう。三原水やニトロ米、その他、治療に使った様々なアイテムのストックも、その殆どを枯らしてしまっている状態だった。さすがにしんどい。ちょっと疲れた。それが事を終えてから今に至るまでに抱いた俺の正直な感想だった。
だが、腕を振るった甲斐もあり、狒々の姿をした魔獣のパワーに関して言えば、幸いなことに五体満足、部分的に直近や過ぎた日々の記憶に混濁した症状が見られるものの無事に快復することができたようだった。
しかし、もう一人のゾバエ罹患者であったドン=フリークスに関して言えば、未だ眠りから醒めない状態が続いていた。
「なぁ、早く起きろよ~ 冒険して、そこで見たもの、触れたものを本に書くんだろ~? いい加減起きろ~!」
「あい! あい!!」
種族は違えども、パワーの方が無事に回復することが出来たのだ。ドンに関しても問題なく回復できるものと思っていたのだが、その間の期間、俺は少しだけ普段よりも砕けた口調で眠りから醒めないドンに声を掛け続けていた。
既に3ヵ月、パワーが目覚めてからは2ヵ月強もの間、適当に他の者と交代でドンの身の回りの世話などをしながら過ごしているのだが、どうにも快復の兆しが無い、それに焦燥感の様なものを持ちつつあった。
「ドンの奴。本当に目を醒まさねえのな………」
「あぃ………」
既に一緒に旅の友となってから半年近くなるガス生命体ことアイに話しかけると、こいつも何か思うことがあるのか、どうにも語尾が弱々しいものとなって俺の声に応えている。
とはいえ、こうしているばかりではいられないと俺は魔獣たちの集落でメタリオンの栽培から収穫、そして加工方法に至るまで様々なことを改めて魔獣たちの一族から聞きいっていた。
そんなある日の出来事。
『あ、もしかしてこれって………?』
『どうした?
『ご主人、ちょっと身体借りても良いですか?』
『別に構わないけど』
そういって俺たちはなり替わる。もう一人の俺こと
* * *
「やっぱり………」
大きく育ったメタリオンを前に
「どうかしたのか?」
「あ、こんにちわ。
いえ、そういえば初めてあったときに見せていただいたゾバエ避けの
「なるほど。そういうことか。だが、あの "香" の生成方法は残念ながら一族秘中の秘である故、幾ら八尋たちが恩人であるとはいえ教えるわけにはいかない。他の事であれば場合によっては答えられるのだが……… それがどうかしたのか?」
「あ、いえ。あの "香" の作り方であれば、もう分かったので大丈夫です。私が言いたかっ「なに? それは本当か!? 一族の誰かが漏らしたのでは」………いえ、これは他の方々の誇りに誓って断言させていただきます。部外者である私たちに一族の秘を漏らした方は誰一人としていませんよ」
話の途中で言葉を遮られたことには少しだけムッとしたものの、それでも
「安心してください。あの "香" の作成方法が分かったのなんて本当に偶然ですから。それに言いふらして回るつもりもありませんし、そもそも原材料が
それは
「これがあればゾバエに罹患してしまったものに対して、ある程度の即効性を持った対応が可能になります」
「本当か!?」
「えぇ。とはいえ、罹患したものを楽にする、というだけで病に侵された者を治療できるかどうかは別問題です。なにより、そのイチかバチかの賭けをするには分が悪すぎますしね」
治療薬としての効果があるか確かめたいので、この場にいる誰かにゾバエに罹ってきてくださいというわけにもいかないので、と続けると「それはそうだな」と笑いが広がった。それほどまでに
それもそのはず、これまではゾバエに罹患した さまようもの たちが香の匂いを嫌う特性を利用して樹海の中を移動していたが、それでも個体によっては、香の効果が薄いもの、そもそも香が効かないものなどがおり、そういうもの達と遭遇しないために更に慎重になって樹海の中を進む方法しかなかったことを考えると、これからは万が一にも、そういったものたちと遭遇した場合でも対処方法が増えるという意味では大いに助かると
この
『ゾバエとメタリオンの関係を考えていて、あの美味なる
そう
『え、あー、うん。
『うむ。あの植物の果肉は、なかなか旨かったな。惜しむらくは、我らの身体が抗原に反応するアレルギーを起こさないことだったか。敢えて花粉を吸いこみアレルギー反応を起こした状態で、それを中和する果肉を食べればより一層深い味わいを堪能できたそうだからな。実に惜しいことをした。
ときに、あの植物は、こちらでも育てられないものだろうか』
ダメだ。この2人……… 会話が噛み合っている様で、まったく噛み合ってない。これは話を振った
というかですね、
または、それに並ぶフルコースの食材などでなければ、例え品種改良されたものであっても栄養不足で殺人花粉を撒き散らしかねないですから。まぁ、
その様なことを考えながら、
* * *
それから、また暫くしたある日のこと。俺たちがメタリオン畑を見て回っていると集落の若い魔獣が息を弾ませながら声を掛けてきた。
「八尋殿、アイ殿。ドン殿の目が醒めましたぞ!」
「マジで!? 良かった~」
「あい!!」
それは待ちに待った希望の一言。もうダメなのかもしれないと思い始めていた矢先だっただけに、俺はホッと安堵の息を漏らしたのだった。
「ですが………」
「何か、あったんだね?」
魔獣の声は少しばかり影を落としている。たぶん此処に来たばかりというわけには行かなかったのだろう。それは治療の最中でも半ば覚悟していたことだった。
「ご察しのとおりです。ドン殿の身体には不調は一切ない、むしろ頗る快調だとは本人も認めているところなのですが肝心の記憶の方が、私らのリーダーであるパワーの時と同じく………」
「わかった。でも、それは覚悟をしていところだ。
そういって俺は報せを届けてくれた若い魔獣の後に続くのだった。
「誰だ、お前………」
「え? それは何の冗談??」
ドンからの第一声に俺は自らが立っている足場が崩れ落ちそうになる感覚を覚えながら聞き返した。俺は自分の声が、指先が僅かに震えているのを感じていた。込み上げてくる何とも言えないモノを押さえつけるのに必死だった。
それは、この時、この瞬間まで多少なりとも治療を施した際にした無茶の代償として
―――この世界に来てから俺の中に見つけた太陽が沈んだような気がした。
これが何かの悪い冗談であってくれと願ってしまった。こんなことは今までも何度も通り過ぎてきたはずなのに、それなのに………
「うそ、だろう?」
魔獣たちは、みな俯き、目を逸らす。その様子を目の当たりにして、俺は、そう漏らすことしかできなかった。
此処までは構想が出来ていたんですが、
万病に効く香草が取れる古代の迷宮都市(ブリオン)
無尽石が採掘できる険しい山脈(パプ)
それ以外に原作には出ていなかったオリジナル(既に、話そのものがオリジナルだろというところは置いといて)要素のギャグっぽさを全開にした場所
そんなところも書こうかと思っていたんですが、どうやら、無理そうだ。。
いや、頑張れなくもないけど。。
需要ありますかね?