過去分の見直しは、まだ出来ていませんが手隙の時に随時進めていきます。
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狒々の姿をした魔獣ことパワーさん
「もともと俺たちの一族が、この場所まで移り住んできたのは、かれこれ2,300年くらいになるか。以来、ゾバエの脅威を利用し、それに守られる形で潜むようにして暮らしてきた。そこの御嬢さん「
「何度でも言ってやりますよ。
そういうと何か変なものを見るような目で此方を確認するドン=フリークスと狒々の魔獣ことパワーさん。全く、幾ら私が裡側の存在に引き摺られるカタチで
私は "男" だ!!
―――と。
「そうは見えねえけ「ドンさんには後で話があります」・・・すまん」
そう真顔で伝えると即座に謝ってきた。本当に納得しているのか不明だが、まぁ、追及したところで労力の無駄だろうから、この変わり身の早さにも目を瞑ることにする。釈然としないけど。そう考えていると裡側からは―――
『諦めよ』
―――と冷ややかに伝えてくる声が聞こえた。
もう放っておいてくださいよ。私は心中でさめざめと泣くのだった。
閑話休題
とりあえず、
「森を抜けるまでに情報交換をさせて貰ったところでは、八尋とドンとやらが狙っているのは、この先にある
「おう」
「では、次の確認だ。
そこには偽りなく質問に答えてほしいという意図があり、その意図を汲んだドンさんは自らの目的について詳細にパワーさんへと語っていた。曰く、人間界から来たこと。暗黒大陸での探検を本にしたいこと等を詳らかに、隠すことなく魔獣の一族へ伝えていた。
「なるほど、承知した。
どうやら我々の当初懐いた懸念は相当お門違いだったようだ。この場を借りて改めてお詫びする。申し訳なかった」
「いや、いいって事よ。俺は、それよりも腹が減ってきたからな。八尋
「それで、何だっけ? あぁ、そうだった、そうだった。ドンは、
親に叱られた子どもが『最初は分かった』とか何とか言って謝ったことに味を占めて、頃合いを見てもう一度とか、そういう心境で童のような若作りをしている40過ぎの男が見た目と変わらないヤンチャをするってことなら、もう2度そんなヤンチャが出来ないように魂に刻み込んでおいた方が良いのかな? ん?
そうだね、少々の手間ではあるけれど、今ならサービスで全身汲まなく、魂の欠片に至るまで真人間、聖人の類と勘違いされるくらいに変えてやっても良いよ? 特別サービス! なに痛くはしないさ、そこは安心してくれて良い。何故そこで後ずさるんだ? 遠慮しなくて良いって言っているだろう? ほらほら。もっと近くに寄れってば」
「悪かった。俺が悪かったから、それをしまえ」
先程、俺ではない
「とりあえず、これに懲りたらアイツと姫さん相手に遊ぶのは止めておけ。少なくとも、今の状態で姫さんへ同じことをすれば一瞬でミンチに変えられるぞ?」
「お、おう。マジで気を付けるわ・・・」
「分かればよろしい」
そう言って魔獣の方へ向き直り、すまない脱線したと1つ頭を下げて話の再開を促したのだった。
「それで、何の話だっけ?」
「八尋、ヒトの話聞いてなかったのか?」
「うん、あんまり。というか寝起きで頭が痛い」
「もう、お前は黙っとけよ」
その言葉に話の経緯を曖昧にしか把握できていない俺は、それこそ "ぐうの音" も出ずに
そこから聞き耳を立てていたところでは、どうやら狒々の魔獣たちは俺たちのように稀に他の地区から訪れるモノ好きな奴らに対し、収穫した
なるほど。数百年前に俺が、初めて此処に来たときにはパワーたちの様な魔獣の一族はいなかった認識だから、この辺りも大きく様変わりしているのだろう。
そこからは更に込み入った情報交換を行い、俺たちの手持ちから出せる材料なども提供しつつ、様々な話をすることが出来た。
「ここから、もっと東側に入ったところにある『三原水』については知っているか?
「実物を見たことは無いが、聞いたことくらいはある。というか、何故、八尋やドンが、その塒に潜む
「「単に懐かれたから連れてきただけだけど?」」
珍しく、俺とドンの声がハモった。アイが、俺とドンのどちらに懐いたのか、或いは両方なのかまでは把握していないが、そういうことは特に深く考えずに連れだって今に至ると何となくだが覚えている。うん、詳しい理由は忘れた。まぁ、いいだろう、癒しだし。
そう思って、いずれは塒に戻るんだろう? と、抱えたままだった
「なんだか俺も頭が痛くなってきた」
と呟く魔獣を尻目に、あとは探検を本にしたいドンと、この辺りの守人も務める魔獣の一族を
―――翌日
前日の
「まさか、あの巨木の果実だけではなく、葉や花なども食材になるとは。分からないものだ」
とは魔獣の一族を代表するパワーさんの弁。他にも長老殿や一族の魔獣さんたちも受け入れられて、まさに料理人冥利に尽きるというものでした。
宴が一段落してアイツと入れ替わるようにして俺は戻り、残りを口に入れて「美味い」と呟く。こればっかりは食材の声を正確に聞き取れない俺では、同じ手順を踏んでも此処までは至れないだろうと感心してしまうほどだった。
その後、日が昇ったタイミングで、パワーと一族の長老に先導される形で
「まさか、此処までメタリオンが育つとはね」
「八尋は知らなかったのか?」
「知識としては引っかかるものは有ったけど、実物を見るという意味では初めてかな」
その育成の手順や手間などには素直に頭が下がる思いである。ただし、このサイズまで育つと、それはそれで問題があるらしく、採れる貴金属に植物特有の不純物も多く含まれるようになるとのこと。つまり純度の高い貴金属が欲しければ、ここまで育てずに苗が若いうちに刈り取った方が良いのだと魔獣たちは言った。
「あちらを立てれば、こちらが立たずか。難しいもんだな」
「まさか、それ、全部本に書くつもりか?」
「いや、育てるにも収穫するにも、こんな複雑な手順が必要ってことは、ある意味、これは
ドンの物言いに、そうだな、と俺は頷き返した。こういう真っ直ぐなところが、俺は好いているのだろう。本当に眩しいとさえ思う。
だが、なるほど。教えてもらった手順を実践できる環境さえあればメタリオンを育成し、そこから貴金属を回収する手間はグッと省ける。間違えなければ植物を枯らしてしまうこともないし、これなら西側まで足を運んで得ることのできる幻想金属類も、もしかしたらメタリオンから回収した方が楽なのかもなと考えたのだった。まぁ、今すぐに必要になるなんてことは無さそうだが。
「ところで、どうする?
長老たちは加工した装飾品とか持って行っても良いと言っているが、なんか要るか?」
「うーん、荷物になるからなぁ・・・」
まぁ、持ってあること自体は俺の用意した
―――疲れた?
その物言いに何か引っかかるものを感じたが、俺は、とりあえず案内されているメタリオンの育つ群落の更に深くまで見て回ることにしたのだった。
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(答えられるかは別ですが・・・)