次元跳躍者の往く、異世界放浪奇譚   作:冷やかし中華

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やっと原作に登場する人物との邂逅編。
でも、この展開は、風呂敷は絶対畳める気がしない。。



002:そして始まる物語

 この新しい世界にきてから情報を整理した。これは、いつものことだが、1つ前、それ以前の「記憶」に関しては相変わらず何処か虫食い状態で朧気にしか思い出せないこと。特に出会ってきた人々や生物の持つ固有の名前は殆ど思い出すことが出来なかった。だが、それに反して、それまでに巡った世界で蓄えてきた「経験」に関しては殆ど問題なく回想することも出来るし、成人然とした今の状態であれば、その身に合わせた動くも寝ていても反射で行えるように調整していくことが可能であろうことが分かったので、とりあえずは良いだろうと結論付けた。

 

 また、この世界が前世で過ごした世界の敷くルール(例えば法律とか?)と呼べるようなものが同一ではないということ(あたりまえか・・・)は分かったが、それについても今のところは特段問題は無い。無秩序が秩序みたいな弱肉強食を地で行く世界観だ、むしろ、そうであればこそ抑止力(ガイア)の発動を恐れて一旦は二の足を踏んだ食事の方法(大気食)も思うが様に繰り返しても問題ないのかもしれない。これは今後の要検証課題かと脳内にメモをしておく。

 

 次に考えていたのが前世の終わりがどういうものであったのかということ。これは出会った人々の名前同様、どれだけ思い出そうと思ってみても断片も引き出せなかった。こんなことは早々無いことだったと「経験」が語っているが思い出せないものは仕方が無い。そのうち万が一ということもあるだろう、その時が来れば良いと頭の隅に置いておく。

 

 そこまで考えて食事ではない、生きるために必要な分だけの呼吸を繰り返し、落ち込み始めた気分を落ち着けたところで俺は今代の生を最期の時を迎える、その瞬間まで楽しむために。

 

 ---『・・・・・』

 

 ああ、そうだな。それが良い。

 

 心の裡から聞こえた声に1つ頷き、その第一歩を踏み出した

 

 

 ・ ・ ・

 

 

 時は経ち、この現世を巡り巡って相当の時間が過ぎた。明確な基準らしきものを設けていなかった為、一体どれほどの間、この世界を観て回っていたかは分からない。数百年か、あるいは数千年か、その間でさえ古代遺跡の文明跡らしきものは幾つも発見したが、そこに住まう人語を解す魔獣の類や人語を解さないものの知恵を持つ獣、何かの防衛機能を備えた兵器らしきもの等々、様々なものがこの世界にはあった。

 

 幾つもの出会いがあり、別れがあり、時に誕生の瞬間を祝い、時に崩れ消え行く存在を悼んだ。永遠を生きることしか許されていないこの身には無い終わり方を幾つも見てきた。記憶に残る「人間」とは比べ物にならないエゴに立ち向かったこともあった。勝利、敗走、成功、失敗、イロイロなことを経験した。それでも、この身は顕世の終わりを許されなかった。出会いがあり、別れが訪れる度に、どうして「永遠」などという悪夢(ユメ)を見てしまったのかと自問自答する夜があった。その度に、まだ終われないと気力を振り絞り立ち上がって新しい出会い(希望)を探すために歩き続けた。全ては、この身を永遠から解放する(終わらせる)為に。

 

「戻ってきてしまったな」

 

 誰に対してでもなく一人ごちる。目の前に広がるのは、曰く、メビウス湖と呼ばれる、この世界でも屈指の大きさを誇る湖だ。生憎と湖の内側には入る機会は今まで唯の一度も無かったが、この世界を多く見て回ってきたのだから、そういうのもアリだろうと考え、しかし、その前に折角ここまで戻ってきたのだからと珍味を獲ってからにしよう思い至ってメビウス湖からみて南東に広がる密林へ足を向けることにした。

 

 その珍味の名は「ヘルベル」という蛇型をした双尾の魔物だ。

 

 ヘルベルは、それが潜んでいる縄張りに獲物となる生物が入り込むと、誰彼構わず襲い掛かってくる凶暴性と、どんな相手にも一定の効果を齎す強力無比な猛毒を口の牙と双つの尾に隠し持つ針に蓄えている。例え既にこの世界において自然界の暗黙の了解であるかのように絶対強者として周りの生物からは避けられつつある存在()であっても躊躇することなく襲い掛かってくるほどだ。相手の強さを見抜けぬ知恵や感性が備わっていない訳ではないのだろうが、成体となり長く生きた固体であればあるほど、その凶暴性は他に類を見ないほど高いものが多い。

 

 そういえば鹿王の森に潜む獣たちも、特定の時期に森へ訪れる侵入者に対しては、そういう習性だったかなぁと思う。イマイチどうだったか思い出せないが・・・ まぁ、本筋とは関係ないので忘れることにしよう。

 

 ちなみにヘルベルの成体を獲って食う場合、気を付けなければならないルールが1つある。それは、食べる前の下拵え(毒抜き)が必須ということ。この下拵えに失敗した個体(ヘルベル)を誤食すると毒の作用で一種の興奮状態が長時間継続することになる。誤解の無いように先に書いておくと「興奮状態」といっても、それは性的な意味ではなく、暴力的な意味で、だ。

 

 ヘルベルの持つ毒は、対象となったものの体内へ適量を越えて吸収されると周りの目に見える全てが「どうでも良くなる」様な衝動に駆られ、目的無く暴れまわりたくなるという神経に直接作用してくるタイプのものである。尚、毒の利用方法としては、摂取する個体に対する適量を守って使用すれば、ある種の眠気覚ましとして有効利用ができないこともない。しかし、重ねて言うが度を越えて摂取してしまった場合、本人も周りも近くにいる全てが不幸になるので、用法、用量を守って正しく使用すること。お兄さんとの約束だ。

 

 そうして毒を許容量を越えて打ち込まれた獲物は、仲間同士で争い、傷付け合い、ぼろ雑巾のようになって疲弊を極めたところを捕食するというのがヘルベルという魔物の恐ろしさとも言え『殺意を伝染さえる魔物』の2つ名を持つに至る所以とも言える。

 

「というわけで、この(毒抜きに失敗した)ヘルベル食うか?」

 

「食えるか!」

 

 チッ

 

「なんで、そこで舌打ちするんだ! おかしいだろ!!」

 

 そう目の前で怒鳴る「人間」が目の前にいた。この世界に来て出会った始めての生粋の人間である。俺よりも前に此処に来ていたのか、かなりボロボロであるもののヘルベルの毒をくらった様子も無く目に見える外傷も少ない。よって一先ずは無事と判断しても良いだろう、この男の見た目は20歳後半、身長は俺(176cm)よりも小さいことを除けば中々に骨のありそうなワイルドのイケメンだった。爆発しろ。

 

「お前が言うな!」

 

 あとツッコミのセンスがある。うん、面白い人間だ。こっちの世界に来てから初めて遭ったということもあって少し感傷的になっているのかもしれないが、それはそれ、これはこれと留めておこう。まずは、そう、自己紹介だな!

 

「俺の名は八尋(やひろ)、この世界には大分前に来て、ずーっとイロイロなところを観て回ってた。ところで、こんな無秩序が秩序みたいな場所にやってきたキミは誰?」

 

 湧き上がる何時しか感じることが少なくなってきていた喜びを表す感情が声音に乗って放たれる。

 

 何故、こんなにもワクワクとした気分になるのか、それは俺自身にも分からない。けれど、その答えはきっとコイツと、或いはコイツと別たれることになっても、コイツの血を引いた系譜の者と一緒にいれば得られるに違いないと半ば確信めいた予感がした。

 

「俺か? 俺の名前はドン。ドン=フリークスだ。メビウス湖の中にある人間界と呼ばれる場所から暗黒大陸って呼ばれているこの場所に冒険しに来た探険家だ!」

 

 それは運命の日。永遠を生きることで罪を償うことを強制された化物(人間)が、この世界に来た意味を知る第一歩となる出会いの瞬間だった。




 基本的に待機時間が多いので・・・ 職場で仕事するフリして黒歴史を量産してます(恥ずかしい)

 でも、さすがに職場からハーメルンには入れません(当然)

 なので、こそーり印刷(おい)

 自宅に戻ってきてテキストエディタにカキカキ(アナログぅ~)

 削ったり、増やしたり、削ったり、増やしたり。(印刷してきた下書きを写すだけなのに、何故か、メモ通りには絶対にならないよね)

 そして、投稿!(イマココ)


 こんなノリで、やってます。とりあえず8話までは積み重ねたけど・・・ オチが本当に思い浮かばん。ノリと勢いって怖い。。

 本当は、もう少し下書きが続いてたんですが、とりあえずキリが良かったので此処で一旦投稿します。

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