とりあえず、17日から何事も無ければ5連休なので、ちまちま進めていければとか考えてます。
というか、そろそろ[仮題]を除いた方が良いんじゃないかと思い始めた。。ぐぅ。
俺が行った外敵排除の為の
とまぁ、こんな具合で、この辺りの雑多な景観を見回していたときに傍と思いついた
「メタリオンは、この前は栽培方法が難しいとはいったけど自生しているものをしっかりと調査する時間さえあれば、もしかしたら案外あっさりとコツを掴むことができるのかもしれない。そうすれば仮に偏りを持たせて貴金属を生み出す方法が分からなくても、ある程度の貴重な貴金属を思いのままに生産・収穫できるようになるということだからね。とはいえ、栽培に必要なのが土壌や大気などの環境に起因するものであれば持ち運びは困難を窮めるだろうし、持ち帰れたとしても管理・維持していく設備に何が必要なのか割り出すのも苦労するだろうね」
「そうだなニトロ米は、まだしも集落の魔獣たちが人工的な手入れで栽培・収穫の実例を見ている以上、栽培自体の難易度はそれほど高そうに見えなかったが、こっちは八尋でも分からないんだろ?」
「うん。でも、そんなに悲観することも無いんじゃないかなって思うよ。ドンは、それで家庭菜園やりたい訳じゃないでしょ?」
「そりゃあ言えてるな」
その相槌に2人で笑う。ドンが纏めている『(仮題)新大陸冒険譚』は、この世界の一部である暗黒大陸と呼ばれる大陸の中にある
「とは言ってみたものの、やっぱり栽培方法・生み出す貴金属に偏りを持たせる方法については気になることは間違いないんだよね」
「そういうもんか」
「そういうものだよ。仮にだよ?
「あぁ、確かにそれは魅力的だな」
「とはいえ、やはり他に難点があるとすれば、俺が以前に見た印象通りだと栽培方法の確立無しでは、メタリオンの苗1つから取れる貴金属の量にはバラつきあるうえに量自体も本当に少ないから、それでナイフの1本を作るのにも若い苗木の状態のものからだと先の集落で栽培していたニトロ米の畑一反程度の広さが必要になる気がする」
「げっ」
俺の言葉を受けて渋い顔をするドンだったが、実際にはメタリオンから採取する貴金属を1つの苗につき
「反面、メタリオンが生成する貴金属に偏りを持たせる方法は分からずとも栽培方法さえ確立させてしまえば、永続して貴重な金属を生み出し続けることができるというのは、かなりの強みになるかな。若い苗よりも、強く大きく育ったものの方が一度に収穫できる量も増えるはずだしね」
メタリオンから得られるリターンを最大限に活かすには、最低でも栽培方法の確立が必須と聞いて「うーん・・・」と首を捻るドンであったが、そのうち「ま、なるようになるだろ」とキッパリと割り切っていっそ気持ちのいいくらい朗らかに笑っているのを見て俺も釣られて笑ってしまった。本当に、こういうところは素直に好感が持てる男である。
ちなみに俺自身が統一言語を使って世界に対してメタリオンの栽培方法を聞くこともしなかったのには理由がある。それは知ったところで、おそらく恐ろしく煩雑であろう手順を1人で取りまとめるのが面倒くさかったのと、もう1つ。メタリオンよりも先にメビウスの沿岸部を北西側へ進んだ先にある巨大な火山群の近くに住居を構える魔獣の一族が、そこで取れる鉱石からオリハルコンの精製を可能にしていたこと。また別な地区の魔獣の一族は同様にヒヒイロカネを。これから案内することになるかもしれない沿岸部東側にある無限回廊山脈と呼ばれる場所に住む魔獣?は、やはり同様にアダマントを自在に精製/加工する技術を持っていたし、そいつ等とは普通に交渉の卓に着くことができる間柄でもあったので気にすることがなかったのだ。ま、その鉱物自体も生産が限られるのと、やはり加工に掛かる手間が困難なので、かなり貴重なものであるのは間違いないのだが、それは本旨とはズレる話題となるので置いておこう。
とはいえ、その中でも無限回廊山脈と呼ばれる場所に住む魔獣?は、俺でも統一言語なしでは意思疎通が全く図れない(あれは最早異界常識の類だった)のが完全なネックだったが、西側に点在する魔獣たちであれば相手が誰であれ、少なくとも全く取り付く島もないという感じで追い返されることはないはずだ。取り囲まれている環境が環境なので辿りつくのも、かなり苦労することを除けば、だが。
そういった理由もあり、この後に説明することになるであろう俺をして
「・・・ん?」
「どうした?」
「いや、なんか今とても重要なことを思い出したような・・・?」
「忘れないうちに言え、今すぐに言え」
いろいろとあれこれ考えている最中にふと脳裏を過ぎった重要な情報があった様な気がしたが、ドンから結構な剣幕で肩を揺すられている内に、すっかり脳裏の奥に消えてなくなってしまった。なので俺に取れる対応は1つだけ。
「んー・・・ まぁ、その内、思い出すさ!」
残念! 俺は脳裏を過ぎった重要なナニカの存在を思い出せなかった!!
「おい!」
途端に悔しそうに膝を打つドン。そんな珍問答を繰り広げつつ、また暫く進んだ先に漸く本命のニトロ米(原種)の群生地を見つけたことで一段落着くことになった。まぁ、後のことよりも今のことの方が大事なこともあるからね。貴重な原種の群生地を発見できたお陰でドンは先程までの陰は何処へやら。嬉々として観察に精を出す後姿に俺も続いた。
「これが?」
「うん。ニトロ米の原種だろうね。集落で見たものとは稲の色や形に若干の違いは認められるけど概ね断定して間違いなさそうだ」
「収穫は無理そうだな」
「そうだね。これは、まだ青すぎるよ。ちょっとタイミングが悪かったかもね」
「まぁ、仕方がねえか」
そんな会話をしながら2人で原種をしげしげと見て回っているとドンから「そういえば、八尋は原種を見たこと無かったのか?」と聞かれたので「もちろん。これが初めてだよー」と返したら酷く驚かれた。いや別に、この世の全てを知っているなんて自惚れてはいませんよ。さすがに。
俺の言葉に一瞬瞠目した様子を見せていたドンだったが、わざわざ原種を観察しに来た理由と、そうでなかった時のことを簡単に伝えるとモヤっとしたものが解消したらしく納得の表情を見せていた。
つまり俺も見た事がなかったので、ものの次いでとばかりに原種が自生する群生地を訪れてみたが、もし存在を把握していたなら一直線にメタリオンを目指すでしょと言っただけである。ドンにしても魔獣の手が加わっているとはいえ、苗を植えるところから収穫までの流れをキッチリ把握していたのだから拘る必要は無かったのだから納得に至ったのだろう。此処で原種の育ち方の一部始終を確認できたことで品種改良されたものとの違い把握できたみたいなので得るものはあったようで良かった。結果オーライ。いい言葉だね。
「集落では陸稲方式だったが、こっちでは沼地という土壌もあって、どちらかと言えば水稲っぽいんだな」
「そうだね。そろそろ追い払っていた魔物たちも戻ってきそうな気配もあるし、観察も適当なところで切り上げて沿岸部まで戻ることにしますか」
「そうだな」
それを合図に頼まれたことも合わせて2人で手早く原種の育ち方について見た目から分かる範囲のメモとスケッチなどを取っていたのだが、なかなかどうして、意外と凝性な2人が揃うと時間も忘れて没頭してしまった所為か、気が付けば陽も落ちかける時間となっていた。その為、ヘルベルなどの魔物の気配が戻りつつある中で無造作に寝るのも憚られたことから、俺は
「なんだ此処」
「え? 俺のマイ・ルームだけど別に初めてじゃないでしょ?」
なんか見当違いの疑問を投げかけられたような気がしないでもないが、ドン曰く「いや聞いてねえし、見たのも此れが初めてだ」と言われたので「そうだっけ?」と首を捻る。まぁ、しかし、これが初めてであろうが、2回目であろうが大した違いは無いので深く考えることも無く、この空間の概要だけ簡単に説明してドンを押し込み、俺も入ると入り口を閉じたのだった。これで、ひとまず寝床は確保。ゆっくりして行ってね!
「へぇ。つまり裏のチャンネルの入り口を開くチカラを自由に使えれば、緊急時に脱出をする手助けにもなるし、こうして安心して休める場所の様なものも作れるのか」
「そう。とはいえ俺の
「お、おう・・・」
またドンの常識でツッコミを入れられる前に、俺の作り出したマイ・ルームの存在について "念" で作り出したものとは違うと釘をさしつつ話を再開する。否、正確には "念" でも同じことは出来るだろうが、それがどのくらいの精度で再現されるかは甚だ疑問である。
「裏のチャンネルとは、通常、意識のみが到達できる世界。そこは現実の世界とは違って時間の流れが酷く歪で基本的には凄く遅いのだけど、それを特定の条件を満たすことで人工的に作り出すことが出来るようになる。俺たちは、それをワープ・キッチンと呼んでいる。その空間を利用して現実と虚構との間に
「何故、そこで料理が出てくるのかがイマイチよく分からねえが、その裏のチャンネルを開くチカラが自在に使えたら凄く便利なことだけは良く分かったぜ。なんの制約も誓約も無しに安全場所を確保できたり、目的地まで最短距離で移動できるなんて、まさに夢の様なチカラだな。でところで「今のドンじゃ無理だよ」・・・そうか」
何を言おうとしたのか、そんなものを皆まで聞く必要も無く分かってしまったので少なくとも今の時点では不可能だと告げた。というよりも、この世界にグルメ細胞なんてものがあるのかも不明だし、仮にあったとしても、それを復活させる鍵となる8つの食材があるのかがあるのかが分からなかったからだ。否、あるんだけどね、あるけど・・・ それをドンに打ち明けるには
使えたら便利なんてチカラは、その下地を作らずに唐突に使えるようになっても大概碌なことにならないのは、かつての「経験」から、よく知っているのだ。だから今のドンには、まだ早い。そう自分自身に言い聞かせてて俺は、そっと目を閉じた。
本編とは微塵も関係ありませんが、活動報告も更新しました。良かったら見てやってください。
また稚作についても感想や評価(思うところあって字数制限を設定させて頂きましたが)
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以下、能力解説。
●猿武(えんぶ)
トリコに登場する技術の1つ。グルメ界:エリア7に生息する猿たちが習得している野生の格闘術であり、別名「モンキーダンス」。下位から「新入り」、「10~6級」、「5~1級」、「初段~五段」、「六段~九段」、「師範代」、「師範」区分けされピラミッド状に階級分けされている。その頂点には猿王と呼ばれる存在がいる。
猿武の基礎は、力の受け流しであり、60兆を超えるグルメ細胞(本作では、身体を構成する細胞としている)の意志を全て統一することから修行は始まり、修行にはビービーダンゴムシ(本作には亜種が登場)が用いられる。全細胞の意志を全て攻撃に転化すると莫大な力を生む奥義となり、昔、猿王の祖先はたった一撃のパンチで巨大な大陸を粉々にしたと言われるが、基本の数十倍もの体力と精神力を要する。その正体は格闘術ではなく、猿王がかつて恋人と共に踊ったダンスである。最後まで踊りきるのに要する時間は僅か10秒だが、その中には壁画1000枚分にも及ぶ膨大な過程が存在する。最後は猿王とキスをすることで完了される。
ちなみに主人公(八尋)の実力は表皮を脱ぎ去って本気を出した猿王と一対一で全力で遊べる程度。また、ひょんなことから猿舞を覚えることになったドン氏の今の実力は、猿舞のコツを掴んだトリコ達には少し劣る程度である。
●裏の世界(うらのチャンネル)
トリコに登場する所在不明の場所の1つ。
トリコの世界では、アナザと呼ばれる魚が八王の一角である鯨王から逃れる際に、光速を超えた影響で開いた通常では認識できない特殊な空間のこととされている。その世界では、まるで時間が止まっているかのようで、時間の進みが遅い分、自分がまるでワープしたような感覚に陥るが、人工的に作ったものは時空の歪みが弱く、生身でも自由に出入りすることができる。主人公は、この性質を神言詠唱で再現し自在に持ち物を仕舞える空間やセーフゾーンとして使える空間(後述)を作り出している。
もちろん神言を使わずとも裏の世界への入り口を開くことは可能。
この世界の登場人物も、トリコに登場する8つの食材と同等のものを食べれば使えるようになるのかもしれないが、そうすると作者に掛かる負担が尋常ではないため大変困っているとか。
●俺だけの自由空間(まい・るーむ)
主人公が裏の世界をヒントに神言を用いて作り出した空間。
技の名前に「俺だけの」と付いているが、念による産物ではない為、別に主人公1人しか入れないという制約も誓約も存在しないが、「何処でも便利な収納鞄」とは違い、中の広さを8畳程度に設定しているため、物理的な収容可能人数の限界は一応ある模様。その為、現状は、主人公が誰にも邪魔されずにいたいときに利用する私的なスペースとなっている。