モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

8 / 69
影の英雄 1

 

 

 

“聖地マリージョア”

 

 

 

 

 

聖地“マリージョア”にはこの世で最も気高く、世界の頂点に君臨する一族“天竜人”が住んでいる。そして天竜人はどんな振る舞いをしても許される。なぜなら海軍大将を自由に呼べ動かせる権限を持つため傍若無人な振る舞いを事実上認められていた。そして天竜人が所有する奴隷の一人が捕らえられている牢獄の目の前に二人の男が突然現れた。容姿の整った貴族のような黒い服を着た男とそこそこ容姿の整った長い金髪の男は牢獄の中で捕らわれている赤い肌をしたタイの魚人を見た。そして黒い服を着た男、モリアは口を開いた。

 

「御機嫌よう…。“フィッシャー・タイガー”。」

 

モリアはタイガーに挨拶をするとタイガーは不機嫌そうな顔をした。二人が突然現れたことに関して驚かなかったのは何度かタイガーの元を訪れているからである。

 

「消えろ人間...。七武海だろうが俺は奴隷なんだ。関係ねぇ...。」

 

タイガーは天竜人の振る舞いや人間による魚人の迫害から大の人間嫌いなのだ。初めはモリアの言葉を無視し続けていたが、やがてタイガーが折れて多少の会話をするようになった。

 

「なぁに...あんたと取引がしてぇ。見返りはあんたの自由だ。」

 

モリアはそろそろ本題を切り出すべきだと思い、タイガーへ提案をした。自由が見返りと聞いたタイガーは目を見開いた。

 

「...ッ!何が目的だ?あんたは海賊とはいえあんたは政府側の人間のはずだ。」

 

タイガーはモリアの意図を探ろうと尋ねた。そもそも七武海とは政府が略奪を許す代わりに政府の犬とならなくてはいけないのだ。

 

「俺は全ての奴隷を解放したい。」

 

モリアがその一言をその言葉を聞いた瞬間に身を乗り出してモリアへ詰め寄ろうとしたが、途中で鎖が張り金属の音が響いた。

 

「あんた...。七武海にいられなくなるかもしれねぇぞ。」

 

タイガーは目を見開いてモリアへ尋ねた。だがモリアは全く動じず口を開いた。

 

「大丈夫だ...。バレたら皆殺しにすりゃいい。まぁ極力やらないけどな。」

 

「...話してみろ。いや話してくれ。」

 

タイガーはモリアの揺るがぬ瞳を見て話を聞く価値があると考えた。七武海という地位を賭けて奴隷を解放したいと言っているのだ。むしろこちらが頼むほうだろう。モリアはニヤッと笑うと口を開いた。

 

「あんたに“奴隷解放のシンボル”となって貰う。」

 

「どういうことだ?」

 

タイガーはモリアの“シンボル”という言葉の意味が理解できないようだった。

 

「俺には立場がある。俺も奴隷解放に参加はするが、七武海という座は守りたい。」

 

 

(偶然思い出したけど、タイガーがどうやって脱獄したかは原作に乗ってないんだよな。偶然かもしれないけど、爆発する首輪はあった今でもあるから内通者がいた可能性が高い。何もしなくても脱獄するだろうが、どうせならいずれ七武海になるジンベエやハンコックに恩を売ったほうがいい。もちろん俺の方が奴隷は安全に解放できるからな。)

 

 

「つまりお前が得る奴隷解放の名誉と罪を俺に背負えということか?」

 

タイガーはようやくモリアの意図を理解した。つまり自由と引き換えに海軍から一生追われる身となるのだ。そして天竜人は海軍大将を動かす権限を持っている。

 

「そうだ。このままクソみてぇな生活を続けるか俺にかけてみるか...。」

 

モリアの提案を聞くと同時にタイガーはニヤッと笑って声をあげた。

 

「のってやろうじゃねぇか!あんたに俺の命を預けた!計画を教えてくれ!」

 

タイガーはモリアの提案を受けると言うとモリアは檻の中に手を差し出した。タイガーは驚いたような顔をすると戸惑いながらも手を握り返した。魚人を同じ人間として扱ってくれる人間に出会わなかったのだ。冒険家として世界を回りつつも魚人だからという理由で避けられ、海賊にはハクをつけるために襲われたりもしたのだ。だがこの人間(モリア)は自分の地位を脅かす計画を魚人(自分)に委ねてくれるのだ。こんな人間がいたのかとタイガーは思っていた。

 

「契約成立だ。まずはあんたを単独で逃す。理由はあんたが単独で奴隷を解放させたとして世界政府の追撃を受けるからな。だからあんたの無事の手まわしだな。一年であんたの命を匿うあてを見つけろ。最悪スリラーバーグで一生を過ごすことになるがな...」

 

モリアはタイガーが海軍からの追っ手から逃がさなければならないため、手を回さなくてはならない。スリラーバーグはモリアが匿えば安全圏だが、天竜人にバレるのはマズイため外へ出すわけには行かないのだ。

 

「わかった。それにはアテがある。奴隷はどうやって逃す?俺は何をすればいい?」

 

「まずはあんたがマリージョアで暴れろ。そして俺が奴隷達をスリラーバーグへ匿う。あんた以外の奴隷だとわかっても七武海の傘に守られれば世界政府とはいえ迂闊に手を出せないだろうな。」

 

モリアは七武海として最も政府のために働いている。政府の命で狩った大物の海賊達も少なくはない。(ただその分モリアは強力な死体を得る事ができたのでどうでもいいが...) 奴隷を解放したタイガーでなく、いち奴隷ならば諦める可能性が高いのだ。

 

「だが“天竜人の枷”はどう外す?爆発しちまうぞ。」

 

天竜人の枷とはセンサーがついており、一定の範囲外へ出ると爆発する仕組みになっているのだ。つまり枷を外さない限りタイガーだけでなく奴隷達を解放するわけには行かないのだ。

 

「簡単だ。俺の能力を使う...。」

 

影法師(ドッペルマン)”を使い檻の中に入ると驚くタイガーを余所にゆらゆらしている影を手から出し、タイガーの鍵穴へ入れた。そして影を実体化し、鍵のように捻ると首にかけられた枷は外れた。そしておなじ要領で足首にもつけられた鎖を外した。

 

「さぁ逃げようか...。どこへ連れて行って欲しい?」

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。