モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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フェイク 1

 

 

 

 

〜SAD製造室〜

 

 

 

〜ハリス、ローside〜

 

 

 

 

 

 

 

「麦わら屋がお前を殴ろうとした時、見えねぇ壁に阻まれてた。」

 

ローは時間稼ぎのためにハリスに己の疑問をぶつける。確かにルフィの攻撃は見えない壁のようなモノに防がれていた。

 

「空間を消したんや、次元の異なる壁なら彼の拳どころか、どんな攻撃をも防げる。だから、“悪魔の実を封じる悪魔の実”って呼ばれとる。」

 

ハリスは顔色ひとつ変えることもなく、更に何の迷いもなくスラスラと答えた。しかしローはその答えにニヤリと笑う。

 

「だったら覇気なんてどうやって纏う?」

 

ハリスは普段閉じかけている目を少しだけあげてローを見る。彼が驚いている事を察したローは追い討ちをかけるように己の考察を述べる。

 

「存在しねぇのにできるわけもねぇ。それにお前は“そのなんじゃ、これは割れない”、そう言った。」

 

消滅であるならば壁、もとい物質を生み出すことなど考えにくい。

 

「つまり、割れるんだな?お前の能力は消滅じゃない。」

 

ローはそう結論づける。彼の表情の変化からその答えが正しいことを物語っていた。

 

「それを見抜いたんは...14人目や!」

 

ハリスが指を勢いよくパチンと弾くとローは激しく吹き飛ばされて壁に打ち付けられる。そしてそのまま受け身すら取れずに身体を地面に叩きつける。

 

「そう、確かにボクはあらゆるモノを消滅させる能力者やない。」

 

「はぁはぁ....、“一定範囲において、あらゆるモノを圧縮する能力”。」

 

「お見事、ボクは“グシャグシャの実”を食べた圧縮人間や。」

 

ハリス・アーノルドは自分以外の条件付きだが、万物を圧縮できる能力を持つ。

 

消滅というワードは彼の属する海賊団の参謀から仕込まれたモノであったが、彼の頭脳では咄嗟にごまかせないためにフェイクであることを見抜かれることも少なくはなかった。

 

「でも、なんでわかったん?」

 

「お前が麦わら屋に使った白い衝撃波、アレはバーソルミュー・くまが使っていた“大気を弾いて造った衝撃波”に似てた。」

 

彼が手のひらに纏った白い光は大気を圧縮して一瞬で戻すことにより可能となる衝撃波で、2年前の頂上戦争で参考にして習得したのである。

 

「それも正解、でも発動条件はわからんやろ?」

 

ハリスは普段通りの様子に戻ると逆に尋ね返した。彼にとっては能力の詳細など隠すほどの価値はないと考えていたからだ。

 

「一定範囲は6、7メートル程、そして物体には直接触れる必要がある。」

 

「...ッ!!!」

 

ハリスは完全に目を見開いて唖然とした。彼自身の能力をほぼ完全に見抜かれていたからである。以前にも消滅ではないという結論に達した者は何人かいたが、たった一度や二度の戦闘で答えに達した者はいなかった。

 

「ヒントをありがとう、お前がベラベラ喋るヤツで助かったよ。」

 

ローは不気味に笑いながらハリスを挑発する。だが彼にそんな手法はあまり効果がない

 

 

(うん、全部あってる。)

 

 

「でもわかったところで何ができるん?」

「できたさ、こっちに向かって来てる。」

 

 

ハリスは部屋の外から何かが物凄いスピードでこちらに向かって来ていることに気がついた。そして研究所の壁に一瞬で巨大なヒビが入ると砕ける。すると巨大な漆黒の拳がハリスへ向かって来ていた。

 

「ハリスーーーーーーーッッ!!!!」

 

ルフィの叫ぶように名を呼ぶとそのまま彼を殴りかかる。ハリスは不意を突かれて躱すことができなかった。

 

武装色で硬化した両腕を交差させて受けようとするが、勢いを殺しきれずに飛ばされる。そして部屋の壁へ激突すると土煙が舞う。

 

「あ、あの見えねぇ壁なかったな。」

 

ルフィがそうつぶやくとローが得た情報を共有するために話しかける。

 

「ヤツの能力がわかったぞ、あらゆる圧縮させる能力だ。あの壁は大気を圧縮して固体化、それに武装色を覆ってた。」

 

「...?」

 

ルフィはピンと来ていないようだったがローはそれを見逃して話を進める。

 

「お前、シーザーの件はどうなった?」

「あ、まだ誘拐してねぇ。」

「お前なッ!!!」

「にしし。悪りぃ、悪りぃ。」

「笑い事じゃねぇぞ。俺がなんのために!!!!」

 

気分屋のルフィにローはペースを乱される。すると土煙の中から人影が見えて彼らの目の前に現れる。

 

「誘拐ねぇ...。そんなんしてどうすんの?」

 

無傷のハリスは歩きながら彼らとの間合いを詰める。するとルフィが一歩前に出る。

 

「トラ男、こいつは俺がやる。今度は俺が勝つ。」

「俺も負けてんだ!!!」

 

ローは声を荒げながらルフィと並びハリスの攻撃に身を備える。しかし既にそこは彼の間合いだった。

 

「動けねぇ...。」

 

ルフィとローはまるで金縛りにでもあったかのように全身を拘束させられる。しかしローは想定内だと言わんばかりに口を開く。

 

「俺たちの周囲の空気を圧縮してんだ。」

 

“ルーム”とつぶやくと自分たちがサークルの先頭になるようにして、ハリスの能力範囲外である後方へと移動する。

 

ローは可能な限りハリスから離れたかった。彼自身のサークルの封じられる可能性をギリギリまで下げ、更にハリスの間合いから逃れるためである。

 

 

 

 

 

(麦わら屋、作戦がある)

 

「ん...なんか言ったか?」

 

(お前の頭の中に話しかけてる。流石に俺達の生半可な策で勝てるほどヤツは甘くねぇ。ここは俺の作戦の通りにしろ。)

 

「わかった。」

 

ローが己の能力の1つであるテレパシーを使い、ルフィの頭の中へ直接作戦を伝える。ハリスはその事に気がついていないため実に効果的だった。

 

 

 

作戦を全て伝えるとルフィが一目散にハリスへと突っ込んだ。そしてとにかく連続して攻撃の手を緩めない。ハリスは彼の攻撃を捌いたりガードをして防ぎ続ける。

 

 

(身体能力において、お前とヤツじゃ。お前の方が上だ。だからとにかく攻め込め。)

 

 

ルフィはローの指示通りに兎に角、防がれようが躱されようが攻め続ける。

 

するとハリスが能力を発動させて圧縮した大気の壁を作る。むろん覇気を込めておりルフィは拳に痛みを感じる。

 

ルフィは素早く攻撃の手を止める。

 

 

(壁で防がれたら何もしなくていい、ヤツも攻撃できないからな。)

 

 

ハリスは親指を中指に添えるように置くと弾いて音を鳴らした。

 

圧縮された空気を一瞬で元へ戻すと激しい風圧と共にルフィは飛ばされながらも、親指を軽く噛んだ。

 

 

(ヤツの能力は指を弾いた瞬間に解ける。その隙に俺がお前を...)

 

 

「“ルーム”ッ!!!」

 

ローのサークルがルフィとハリスを包み込んだ。そしてローは不気味に笑いながら“シャンブルズ”と呟く。

 

 

(...飛ばす!!!)

 

 

「ゴムゴムのォ〜“エレファント・ガン”!!!!」

 

 

一瞬で背後を取ったルフィの拳はハリスを撃ち抜いた

 

 


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