モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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SAD製造室 1

 

 

 

 

〜シーザー、モネside〜

 

 

 

 

 

「通路を封鎖した上で、入口の壁を破壊してシノクニを流し込め。」

 

シーザーがルフィらの脱出を察知すると素早く指示を出した。

 

「え、そんな事をすればウチの警備兵も一緒に!」

 

部下はルフィらを食い止めている仲間までも“シノクニ”の餌食になってしまうと忠言する。しかしシーザーは公開実験を成功させたいのかイライラしながら声をあげる。

 

「いいからやれ!改めてブローカー達への公開実験を仕切り直せ!」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

〜チョッパー、ホグバックside〜

 

 

 

 

 

 

「おい、とっとと歩け!」

 

「ちくしょう...なんで俺が。」

 

怒っているチョッパーはロープでぐるぐる巻きにされているホグバックを引っ張りながら仲間の元へ向かっていた。

 

そして散歩を嫌がる犬のように歩くのを渋る彼をチョッパーは引きずりながら進む。

 

すると目の前に一人でスタスタと歩いているローと遭遇する。ほんの少し目を見開いて驚く彼にチョッパーは声をかける。

 

「トラ男、コイツに子供達の治療させるよ。腐っても名医だ。」

 

「良くやったトニー屋。これで作戦成功の可能性があがった。俺は大事な用がある、ソイツをどっかに隠しとけ。」

 

 

 

***

 

 

 

 

 

〜シーザー、モネside〜

 

 

 

 

シーザー達はモニターで“シノクニ”の様子を観察していると、自動ドアが開き中へ入る

 

「は?」

 

シーザーの目の前にいたのはルフィであった。そして彼は驚いた一瞬の隙に間合いを詰められる。

 

「シーザーァァァァッッ!!!」

 

ルフィはシーザーの腹を思い切り殴り吐血させる。彼の覇気はロギアの実体を捉えることが可能なレベルにまで達していたのである

 

「痛えな、“無空世界(カラクニ)”。」

 

シーザーは両の拳を握り潰すとルフィの周囲の酸素を抜いた。彼はガスガスの実のガス人間であり、気体を操ることすらできる。

 

「息が...。」

 

ルフィは素早く後方へ回避して酸素を吸う。彼の能力の間合いから離れたのである。

 

ルフィは大きく息を吸うとギア2で身体から蒸気を発しながら背後を取った。

 

「“武装硬化”ゴムゴムのォ〜...」

 

ルフィは左右の拳を武装色で硬化するとシーザーを殴りつけようとする。

 

だが突然、シーザーとルフィの間に白く冷たい壁が現れる。

 

「“カマクラ”」

 

ルフィは自身の攻撃を止めることなく壁を殴りつける。

 

「...ガトリング”ッッ!!!」

 

壁にヒビを入れるとすぐにそれは粉々に砕け散る。ルフィはシーザーの側に鳥の羽根のようなモノが生えた美女に気がついた。

 

「マスター、お逃げを。無駄な戦いです。」

「あぁ、全くだ。」

 

シーザーの秘書であるモネがシーザーを逃がそうとする。

 

「待て!」

「彼は追わせない。」

 

シーザーを誘拐しようとするルフィは追いかけようとするが、モネに遮られる。

 

 

「お前には負ける気がしねぇ!」

「私も貴方と戦って勝てる気はしない。でも戦闘力と勝敗は別物よ。 」

 

モネは自身の冷たい身体でルフィに抱きついた。

 

「私に抱きつかれたら、この冷たい身体にみるみる体力は奪われて行く。」

 

モネはルフィを優しく包み込むように抱き締め続けると、次第にルフィの気力が落ち込み始める。だが突然、目を見開くと彼女の腕から逃れようと力を込める。

 

「ゴムゴムのォ〜 “jet(スピア)”ッ!」

 

ルフィは地面に蹴りを入れて下の階へ逃れようとしたのである。

 

「にっしっし!うわぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

ルフィは満足げな顔をして笑うが、すぐさま重力に逆らわず落ちて行く。この部屋の下には部屋などなかったのだ。

 

 

「そこから落ちると、ダクトを通って地中深くのゴミ箱行きよ。自滅とはね。」

 

モネはルフィの底力を感じつつも、もうあがれはしないと判断してその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

『こちらD塔より、第三研究所全棟へ、緊急連絡!!!只今、トラファルガー・ローが“SAD”製造室へ侵入しましたッ!!!!』

 

 

 

 

 

「なんだと⁉︎正気かあの野郎、2人の四皇を敵に回す行為だぞ!!!」

 

シーザーは顔を青ざめさせながら彼の狙いを理解した。自身を誘拐して“SMILE”を作らせないということである。現在、ソレの取引は密かに四皇の一人と行われているのである。

 

 

『...しかし、SAD製造室にはハリス殿がおられます。皆さんは目の前の敵に専念してください!!!』

 

 

 

***

 

 

 

〜地下〜

 

 

〜ルフィside〜

 

 

 

 

 

「ハリス、あいつがトラ男のとこに...。」

 

ルフィは地下深くのゴミ箱で鯰のような生物と遭遇して、共に脱出を試みようとしている時に先ほどの緊急連絡が聞こえてきたのである。

 

ルフィはハリスに負けたままである事に納得していないため、SAD製造室へ向かうと決心した。しかしそこまでのルートを知らなかった。そこで彼は見聞色の覇気を使用したのである。

 

「この島で一番強ぇヤツは?」

 

ルフィは目を閉じて島全体にいる全ての生物の強さを図ろうとする。そして二人の強い覇気を感じ取ると、そこが自分の目的地だと確信した。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

〜SAD製造室〜

 

 

〜ロー、ハリスside〜

 

 

 

 

 

 

「ボクの能力の前じゃ、君は無力。」

 

頭から血を流しながら倒れているローは血の気のない鋭い目でハリスを睨みつける。

 

「やっぱ、強ぇな。」

 

ローはハリスがSAD製造室に立て籠もっていることは想定内だった。しかし彼の計画上、ここにシーザーを連れてくることに意味があったのである。交渉をするにおいて最も大事な事は相手より優位に立ちながら優位に進めることだからだ。

 

しかし、それは彼を誰かが仕留めなければならなかった。ローは自分一人でハリスに勝つことが出来ないことを知っている。それなのに彼はハリスと戦うことを選んだ。

 

なぜならハリスがSAD製造室に立て籠もるのではなく、無差別に味方を倒し続け大量の人質を取られることのほうが面倒だったからである。

 

 

 

ローはふらふらと立ち上がりながら元上司だった男の言葉が脳裏によぎる。

 

 

 

『敵わねえ敵を消す手段なら幾らでもある。』

 

 

男は高笑いしながらそう言い放った。自分の恩人を殺したソイツはその言葉通りに邪魔で自分より強い者をも消してのしあがった。

 

だが自分がそれを成し得るには少し心もとなかった。これは彼の事前に想定していた1つの結果であり、自分の同盟相手には作戦を伝えてなかった。

 

 

「うるせぇ、だからやってんだろ。」

「...?」

 

 

ハリスはローの言葉に疑問を浮かべながらも特に聞き返しはしなかった。

 

 

(麦わら屋がシーザーを誘拐するまでの時間稼ぎだ。)

 

 

ローは人差し指を軽く上へあげて岩を地面から槍のように突き出させる。ハリスは見聞色の覇気で容易く躱す

 

「危ないね、でも意味はない。ボクはこれを消す事ができる。」

 

ハリスは地面から突き出ている岩にチョンと触れると一瞬で消え去った。するとローは不敵な笑みを浮かべながら口を開く。

 

「ひとつ腑に落ちねぇ事がある。お前の能力は消滅(・・)じゃねぇだろ。」

 

 

 

 


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