モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み) 作:ニルドアーニ四世
〜研究所〜
「各地の非合法なるブローカー諸君。これから見せる毒ガス兵器をお見せしよう。用途は様々、気に入って貰えたら取引しようじゃないか。」
シーザーは“映像でんでん虫”を使用して各地に散らばる兵器のブローカーへ向けて宣伝という名の実験を度々行なっていた。
「スマイリーは四年前にこの島を殺してみせた。だが前回の問題点は毒を食らった者達が弱りながらも安全な場所へ避難できたという点だ。」
スマイリーとは毒ガスの生物であるスマイルの名前である。そしてブローカーにも分かり易いようにプレゼンを行う
「そこである効力を追加し、完璧な殺戮兵器を完成させる。その名も“シノクニ”。」
画面にスマイリーが映され、スマイリーが進行方向にあった飴のように包まれた“何か”を食べる。するとスマイリーはもがき苦しみ始め毒ガスを放出した。
ガスの速度は常人の速度を上回り、逃げ遅れたシーザーの部下達は追いつかれる。そして彼らをコーティングされるように白い膜の様に固められて動かなくなった。
「シュロロ、成功だ。灰のようにまとわりつくガスは皮膚から侵入して全身を一気に麻痺させるのさ。」
モニターで様子を見ていたシーザーは得意げに実験成功を喜ぶ。あとは上手く“シノクニ”の効果を見せつけるだけで利益の半分を手にする事が出来るのだ。
彼は近くに置かれている檻をチラリと見る
牢の中にルフィ、ロー、フランキー、ロビン、そしてスモーカー、たしぎが囚われている。そしてあるボタンを押すとガコンという音と共に外へ剥き出しの状態で出された。
「“シノクニ”の前じゃ、4億の賞金首、海軍の中将、王下七武海でさえ何もできないと世界に証明してくれ!」
シーザーは笑いながらそう言い放った
「相変わらず悪趣味やねぇ、まぁウチには必要なモンやからしゃーないか。」
ハリスはそう呟いた。
彼のボスはモリアである。兵器の実験を続けさせているのは彼の意向でブローカーとの取引も認めていた。それは資金を搔き集めるという目的もあるが、中断させれば彼の兵器を強く望む者達を敵に回しかねないからである
だがシーザーの兵器取引の利益の半分をモリアへ護衛代として納めている。彼自身が賞金首で怨みを買う事をしているためこの程度の防衛費はさほど高く感じられなかった。
更にシーザーは自分が天才であると世界に認めさせたいという自己顕示欲の強い気質であるため金にはあまり興味はなかった。だが女性関係には少しだらしがないようだった。
実験の観察を続けているシーザー達を他所に研究所の外へ剥き出しとなったルフィ達だが、危機感がないようだった。
「作戦は変わらず、今度はしくじるな。反撃に出るぞ。」
呆れたようにローを策を講じる。
「物を燃やせるヤツはいるか?」
「俺ならスーパーやれるぜ。」
「向かって右下の軍艦を燃やせ。」
フランキーがローへそう答えると彼はすぐさま指示を出す。指示通りにフランキーは息を軽く吸うと火の玉を飛ばして船へ着火させる
風に乗って煙が彼らの檻を覆うように纏った。フランキー達は煙たがるがローは己を縛っていた鎖から解放され立ち上がる。
「さて、これで“映像でんでん虫”に映らねぇ。すぐにはバレずに済む。」
海楼石の鎖であるのにローが解放された理由をルフィが尋ねると、初めからただの鎖だったと答えた。
そして能力を使用するとブォンという音と共に彼の手に刀が現れる。
「さて、お前らをどうしようか。少し知り過ぎたな。」
同盟を組んだ麦わらの一味のクルーだけを解放するとスモーカーとたしぎを見下すように薄気味悪く睨みつける。
「どうするかは決めてあんだろ、さっさとしろ。」
「お前の上司のヴェルゴを調べろ。アイツは海賊だ。」
***
〜ハリスside〜
ハリスはローから奪った刀を自分の部屋へ持って行っていた。すると突然、刀が一瞬で消えた。一瞬だけ自身の能力かと勘違いするがその様子はない。
「刀が消えたね、ロー君の細工か。」
ハリスがそうつぶやくと、ファンファンというサイレンが研究所内を木霊する。
シャッターが勝手に開いた時になる警告音と共に元囚人達が走り、止まっていたハリスを追い抜かしていく。
***
〜ゾロら、茶ヒゲside〜
「おいおい待て待て、シャッター閉めるな!」
麦わらの一味は“シノクニ”から逃れるために爆走する茶ヒゲの背に乗っていた。ゆっくりと閉まり始めるシャッターにウソップが声をあげるが、完全に閉まってしまう。
「鉄は斬れるか?」
「あれしきなら。」
「そのまま走れ茶ひげ!」
ゾロが錦えもんと即座に話を合わせると走り続けるよう指示を出す。
壁にぶつかる寸前、二人は同時に斜めに斬り裂くと、壁を茶ヒゲが突き飛ばして内部へ侵入した。
偶然、内部にいたG-5の海兵達は内部に“シノクニ”が侵入することを恐れて素早く閉じた
「ゾロ達だ、みんな来たな。」
ルフィが笑いながら集合した一味を見ていると海軍が麦わらの一味と茶ひげへ銃を向ける
「ここにいる全員に話しておく!!!毒ガスに囲まれた研究所から外気に触れずに直接海へ出る通路が一つだけある!!!“R塔66”と書かれた扉がそうだ!!!」
ローが大声を出して逃げ道を教えると皆は自分のすべき事を最優先に動き出した。ルフィはシーザー捕獲へ向かい、スモーカーは誘拐された子供を回収しつつR塔66へ。錦えもんとゾロらは彼の息子であるモモの助を助けに行く事になった。
***
数分後
〜ハリスside〜
「ん〜、彼らの目的はなんやろ?まぁ分からんモン考えてもしゃーない。手当たり次第潰そうか...。」
ハリスは比較的回転の鈍い自身の頭で考えるが、無策で突き進むことに決める。
すると遠くから連なる複数人の足音が近づいている事を理解した。
「ん?」
海兵の一人が自分達の進行方向に一人の男がいることに気がつく。そしてそれが誰であるかをすぐさま理解して無意識に足を止める。
やがて、彼らを束ねていた“たしぎ”がハリスに気がついて自然と彼の情報を口に出す。
「ハリス・アーノルド、8億越えの海賊。最も警戒すべき人物の一人。」
彼女の頭には彼の情報が羅列するように出てくるが、それ以上は何も言えなかった。戦闘において自分達が敵うはずないと本能で理解しており、刺激してはならないと考えたからである。
「いや、ここは“何が大事なのか”...やな。」
ハリスは海兵達に興味がないように見向きもする事なく、歩き続ける。そしてようやく自分が何をすべきなのかを理解すると、そこへ向かい始める。
海兵達は後退りを始めるがその内の一人が震えながら銃口を彼へ向ける。数少ない手柄を立てるチャンスだと思ったのだろう。
それに続くように陣形を素早くとってハリスに銃の標準を合わせる。だが彼は歩みを止めることはなかった。
「待て、ハリス! 」
前後数列で並び固まった海兵達が冷や汗をながしながら銃口を突きつけるが、震えて狙いが定まる事がない。やがて冷静さを取り戻した“たしぎ”が部下達にやめるよう指示を出そうとするが、なぜか声が出ない。
「ん?あぁ、ボクは用事ができたんよ。邪魔せんどいてや。」
ハリスは冷たく冷めたように笑いながら歩き続ける。やがて海兵達の震えが同時に止まる
緊張が溶けたのではない、恐怖を感じる主人を他所に身体がピクリとも動かなくなったのだ。
全身から汗が噴き出し、死を覚悟する海兵達だったが、ハリスは彼らに手を出すことはなく無言で通り過ぎた。
早くオリ部分を書きたいのですが、もうじき中間試験があるので少し遅れるかもしれません。