モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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ハリス・アーノルド

 

 

 

ほんの少し慌てた表情をするローとは違い、ルフィは落ち着いた様子で口を開く。

 

「おめぇ...モリアの仲間なんだってな。だったら強いに決まってる。」

 

ハリスは少しニヤっと笑う。自身の主人から麦わらの一味には気をつけろという忠告を耳に挟んでいたからだ。

 

「ボクはそこまで戦闘に自信はないんやけど、強いんは事実や。まぁ、おいで。」

 

彼は少し頭を下げて見下すようにして覇気をむき出しにする。強大な威圧ではなく冷たい鋭い雰囲気であり、とても不気味だった。

 

「ギア2、ゴムゴムのーォ“jet ピストル”ッ!」

 

ルフィは腕を軽く振るい、血液の流れを活発化させると身体から蒸気が溢れ出す。そして自身の中でも最速の技とも言えるソレを放った。

 

ハリスはニコニコしながら構えることなく一歩も動かない。彼へ当たる寸前で拳は硬い何かに激突した。そこに見えない壁のようなモノがあったのである。

 

「...ッく⁉︎ 痛え。アイツ、何したんだ?」

 

ルフィは拳がヒリヒリとした痛みを感じ、その壁に武装色の覇気が込められていたという事を理解した。

 

ローは自分の刀を抜き臨戦態勢に入るとルフィへ声をかける。

 

「麦わら屋、気をつけろ。“ルーム”。」

 

ローは手のひらから薄いドーム状の膜のようなモノを広げて、内側に3人が十分に入る大きさにすると固定した。

 

「残念、対象内(・・・)や。」

 

ハリスが軽く指をパチンと鳴らすと一瞬でルームが消え去った。あっけにとられるローとは裏腹にルフィは無策で相手の間合いに踏み込む。

 

「“ゴムゴムのーォ ブレッド”ッ!」

 

ルフィは拳を硬化させてハリスの脇腹を狙うが、またもや見えない壁の所為で本人にはダメージが通らない。今度は武装色を込めていたため痛みはほとんどなかったが、自分より上手のようだった。

 

再びハリスは指をパチンと鳴らすと何かが弾けたような衝撃がルフィを襲う。ルフィは吹き飛ばされるが、ローの真横へ華麗に着地する。特にダメージはないようだ。

 

「あらら...なんともないん、結構来たやろ?」

 

ハリスは意外そうな顔をしていた。今のはそこそこの威力を持つ攻撃だったようだ。

 

「効かないねぇ、ゴムだから。」

 

「そうやったね...。」

 

ゴム人間には打撃が効かないという事を思い出す。ルフィは彼の見えない壁を破壊しようと、武装色で硬化した拳で“ジェットガトリング”という技を繰り出す。比較的威力の弱い拳だが、速度と連打が可能な技である。

 

「そんなんじゃ、これは割れんよ。」

 

するとローが素早くルームを広げ、ハリスの背後を取ると素早く斬りかかる。ローはハリスの背後と自分を入れ替える事により瞬時に死角からの攻撃を可能にした。だがその程度の事は見聞色の覇気で対処できる。

 

ハリスは左腕を硬化してローの斬撃を受け止めて防いだ。オペオペの実を食べたローはルームの中であれば出血をさせずに身体をバラバラにすることができる。だがそれは程度にもよるが武装色の覇気で防ぐ事が可能である

 

「それも対象内(・・・)。」

 

再び彼は指を鳴らした。

 

するとローの刀が一瞬で消え去った。まるで始めから何も存在しなかったかのように。

 

彼の能力を知っていたとしても生まれる一瞬の隙を彼は逃さない。ローの鳩尾へ素早く武装色を纏った蹴りを加えると吐血して倒れた

 

「トラ男ッ!」

 

ルフィが叫ぶと同時にハリスは指を鳴らして壁を消した。風圧を受けたルフィは技を中断させられるが、今度は足を踏み込んで耐える

 

「今度は君らの力量の確かめようか。」

 

ハリスは指を弾くと一瞬でルフィの目の前に現れる。CPの“剃”のように一瞬で何度も地面を蹴るのではない、ほんの一度すら蹴らなかった。つまりこれは瞬間移動(・・・・)だった。

 

「おやすみ。」

 

ハリスは右手に白く輝かせるとルフィの顔を掴み、左の指をパチンと鳴らした。するとルフィへ武装色を纏った衝撃波が顔から全身へと伝った。彼は意識を失い、白目を剥くと同時に地面の雪へと身を任せた。

 

「ーッ、クソっ。こんなところで。」

 

ローは意識を取り戻したのか、フラフラしながら立ち上がる。ハリスはニコニコしながら彼へ声をかける。

 

「...起きた?青い膜作ってもボクが消すだけ、観念しぃや。」

 

「もう作り終えた(・・・・・)よ。」

 

ハリスは驚いたがすぐにハッタリだと考えて彼との距離をつめて意識を奪おうとする。だが突然、ローはその場から消えた。

 

「あれ、ルームは作ってなかったよな?それにサイボーグも居らんくなったわ。」

 

ハリスは知らないがルームは当人の命を少し削ることで目に見えないほどの薄い膜を作ることが可能である。

 

そしてルフィの後ろに居たはずのサイボーグが居なくなっていることに気がついた。

 

 

 

手負いが2名に無傷が1人、あの場面で確実にローが逃げるにはサイボーグに担がせて逃げる事ぐらいだ。ルフィを連れて行くと運ぶ側の負担が大きくなってしまう。

 

比較的ローは軽症で休めば回復できるレベルだが、ルフィは意識を失ってる。休んでもしばらくは戦力にはならないだろう。同盟を組んだ時点でルフィの身は守らなければならないが、自分達ごと捕まるリスクが高くなる。

 

尋問をしなくてはならないため、ルフィを置いてはいけないハリスとしてはロー達を深追いはできない。実力で敵わないなら不意打ちか取引でしかルフィを取り戻すことは不可能である。そして彼は後者で新たな作戦を考えついていた。

 

 

 

その作戦を見抜くほどの頭脳がないハリスは取り敢えず、ルフィを連れて行こうと考えた

 

 

 

***

 

 

 

 

 

〜裏口〜

 

 

 

 

ナミの人格のフランキーは逃げながらローの話を聞き、納得した上で一味の元へ戻った。そしてルフィが捕まった事や同盟を組んだことを皆へ話した。

 

「すまねぇ。麦わら屋は取り返せなかった。だが手はある。」

 

その手とは当初の予定と同じく、シーザーを誘拐はするが、ルフィの身柄と交換するのだ

その時にあらかじめシーザーの心臓を奪っておけば自分達の優位な状況へ持ち込める

 

ローは人格を元に戻せるだけ戻す。フランキーとチョッパーは元へ戻ったが、ナミは自分の身体を持つサンジが侍の胴体を探しに向かっているため取り敢えずサンジの身体へ入る

 

ローは素早く指示を出した。チョッパーは子供達の麻薬の成分を調べるため、研究所へ侵入すること、

 

子供達が再び暴れ始めたら眠らせる事ができるウソップとサンジの身体で上手く戦えないナミは待機となった。

 

そしてロビンとフランキーはシーザーを誘拐するローのサポートとなった。

 

このメンバーで唯一覇気の使えるローがロギア系能力者のシーザーと戦うしかない。だが体力が全回復したわけではないため温存しておくべきで、ロビンとフランキーが雑兵の相手をすることとなった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

〜研究所、玄関〜

 

 

 

 

 

 

スモーカーとたしぎは部下と共に研究所へ侵入するために敵と交戦していた。そして彼らがパンクハザードにいたはずの囚人であると理解した。

 

 

 

***

 

 

 

〜シーザーside〜

 

 

 

 

『プルプルプルプルプルプルプルプル...』

 

 

 

秘書であるモネの“でんでん虫”が鳴り始めたため、彼女はシーザーに電話に出るよう声をかける。

 

「出なくていい、扉を開けたって報告と中から何かが出た、仲間がやられた、助けてくれ。耳障りなだけだ。」

 

シーザーは海軍が玄関先に来る前に手を打っていた。それは一つの倉庫の扉を開けることである。

 

「今回の実験体はアイツらだ。俺のペットを紹介しよう。シュロロロ、誰一人島から出られやしねぇ。」

 

 

 


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