モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み) 作:ニルドアーニ四世
パンクハザード編、お待たせしました。漫画を片手にセリフを書くのは手間がかかるし、原作を読まれた方も退屈だと思ったので可能な限りショートカット、他の文が比較的手抜きです。
(今回は9割は原作通りです。)
申し訳ありません。
〜とある島付近の海域〜
「助けてくれぇっっ!!!」
麦わらの一味の乗る船“サウザンド・サニー号”に危険信号が届いた。海軍の使う罠の常套手段であることを忠告されたにもかかわらず船長のルフィは即座にでんでん虫をとった。
「あぁ寒い!!!ボスですか?仲間達が次々に斬られてく!!!侍に殺されるッッッ!!!!」
でんでん虫により通話ができたことを理解したのか、受話器の向こう側の男が切迫している声で救助を要請した。
「おい!お前名前は⁉︎そこどこだ⁉︎」
船長にして最悪の世代の中でも最も問題児であるとされる“麦わら”のルフィはその男がどこにいるのか尋ねる。
「誰でもいいから助けてくれ!!!ここは...
“パンクハザード”ッ!!!!」
***
少し離れた海域
「パンクハザードだと?」
盗聴用でんでん虫から助けを求めた者と麦わらの一味との会話を盗み聞いていた“G-5”に所属している海軍中将“白猟”スモーカーはその地名に聞き覚えがあるようだった。
「しかし、スモーカーさん。パンクハザードは四年前の事故以来、完全に封鎖された無人島です。」
スモーカーの副官である女性の名はたしぎ、赤いメガネにアップされた黒髪、端正な容姿とは裏腹に天然で少し抜けたところから部下に“大佐ちゃん”と呼ばれ好かれている。
「そうだな、現在生物が住める様な環境じゃねぇが手掛かりはそれしかねぇんだ。」
嫌がるような部下達をよそに船の進路をパンクハザードへ変更した。
***
〜パンクハザード〜
麦わらの一味は目の前にある燃え盛る島がパンクハザードだと判断し、船を近づける。
そしてクジ引きで誰が島内へ入るかを決めた後、航海士のナミの技で4名が向かう。
しばらく進むと世界政府のマークと厳重に封鎖された柵があった。入り口にはパンクハザードと書かれた看板があり、この島で間違いないということを確信した。
一味は柵を躊躇なく破り、中へ侵入する。
「たいそうに封鎖してあんのはここが燃えて危なくなったからか?それとも元々ヤベェ施設なのか。」
「この島を“記録指針”ログポースが示さないというのもひっかかるわね。」
“海賊狩り”のゾロ、“悪魔の子”ニコ・ロビンは災害か事故か“何か”で建物が燃えさかっている様子や不審な点から何かを感じつつも更に奥へ奥へと突き進む
「お〜い!!!さっきの奴いねぇか⁉︎助けに来たぞッッッ!!!!」
熱いのに寒いという矛盾を一味は感じながらも救助を要請してきた人を探し続ける。
突然、ルフィ達の目の前の建物がガラガラと音を立てながら、ゆっくりと起き上がった
「うわ巨人⁉︎」
「いや、巨人よりもデケェぞ。」
「いや、空想上の生物だ、存在するわけねぇ。」
「だけどこの姿、そうとしか思えない。」
唸り声をあげながら完全に立ち上がったソレは無数に並ぶ巨大で鋭利な牙、鱗で覆われた鉄のような皮膚、ひとたび羽ばたけば全てが吹き飛はせるかのような羽根ーーー、
それはドラゴンだった
「何奴だ...。」
確かに仲間の声でない誰かの声がした
***
〜サニー号〜
船番をしていた麦わらの一味のクルーは全員が催眠ガスにより倒れており、その船内を数名のガス対策をしたスーツを身に纏った者達が船内を物色するように歩き回る。
「人間二人に人間らしき鉄人一体、ペット一匹。」
「全員縛り上げろ。マスターに捧げよう。海賊が消息を絶っても誰も騒ぎやしない。」
***
〜ルフィ、ゾロ、ウソップ、ロビンside〜
ドラゴンを倒してバーベキューをしていた麦わらの一味は背から人間の下半身が飛び出ていることに気がついた。
それにルフィとウソップが興味を持ち、引き抜こうと、下半身の腰の部分に手をかける
「抜くぞ。」
ルフィがそう言うと力を込めて下半身を引き抜こうとする
「おい、何奴だ!手を離せブ。」
下半身はもがいて抵抗しようとするが、ドラゴンの身体からスポンと抜けた。だがそこに上半身の姿はない。
ルフィは慌てふためきながら叫ぶように謝るが、それはスタンと立ち上がった。
「おぉ、離れられたでござブ。」
下半身からは血など出ることはなく、まるで自我を持っているかのようだった。
「どういうこと?こっちに身体が千切れた跡なんてないわ。」
驚くメンバー達をよそにロビンは冷静に観察をする。ドラゴンの背には上半身がありそうではなく、完全に独立した下半身が存在しているだけだった。
「逃しはせぬぞ、あの戯けた七武海めが!」
謎の下半身はそう叫び、逃げ出そうと走りだすが、興味を持ったルフィにすぐに捕まった
***
〜ナミ、サンジ、チョッパー、フランキーside〜
閉じ込められた密室の中でサンジは扉を破壊しようと蹴り続けるが、打撃を吸収する性質を持つのか壊れない。船にいたはずのブルックが連れ去られていないことから死体だと勘違いされたようだった。
やがて全員が目覚めると誰かの声が密室で響いた。
「お主達、“判じ物”は好きか?異国語でパズル。」
皆は自分達の声ではないことを理解して、声の主を探す。
すると、8個に別れた人間の顔のパーツがそこにはあった。
メンバーはその顔を組み立てながら、会話を重ねた。やがて自分達が海賊であると知ると眼を血走らせて激昂する。彼は海賊が吐くほどに嫌いであるらしい。
「どいてろ、コーラは満タンだ。“ラディカルビーム”。」
フランキーはサイボーグである。己の身体を改造し、コーラを燃料にパワーをあげたりビームを撃ったりすることが可能なのだ。
今回は両の手からビームを扉へ向けて放った。命中すると高温からか扉が焼けて溶け落ちる。メンバーは密室から脱走しようとするが、サンジだけは首だけの男を見る
「お前どうすんだ?俺達が海賊じゃなきゃ、一緒に逃げたかったんじゃねぇのか?」
「黙れ!行け海賊。」
「一人で首だけで逃げられる見込みはねぇだろ、ワノ国の“侍”」
サンジは自分達が緊急信号でこの島にやって来たことを伝え、頭部の髪がまげ を掴んで持ち上げる。彼はワノ国特有の髪型である まげ を知っており、これがそうであると見抜いていた。
「拙者、己を恥じるような人斬りはせぬ、この島に息子を助けに来た!!! 邪魔する者は何万人でも斬る!!!!」
サンジはその首の息子への想いを見て何かを感じながら、そのまま掴んで密室を飛び出した。他のメンバーからは人斬りが怖いと言われながらも自分が責任を取ると言い放つ
メンバーとサンジに抱えられた生首は奥にあった扉を開いた。すると中には巨大な子供達が大勢いる。メンバーは巨人族の子供達かと考えるが、中には普通の子供もいるようだった。
彼らは深く考えずにこの部屋を通り抜けようとするが、目の前を一人の子供が遮るように顔を出す。
「助けて!」
「ねぇお姉ちゃん、私達を助けて」
「僕たち、もう病気治ったよ」
「おうちに帰りたいよ、ねぇ助けて」
次々と子供達が救助を求める。皆は怪訝な顔をするが、逃亡中の彼らにそんな余裕はない。だが一人だけは立ち止まる。
「よーしよし、子供達。そこにいるのは怖い人達だ。こっちにおいで。」
先ほど船にいた全身ガスマスクの人間が銃を持って数名入ってくる。
「ナミさん、早く!」
サンジは立ち止まって子供達の様子を伺っているナミに早くこの場から去るべきだと言う
「助けよう、子供達。」
意外にも冷静で頭のキレるサンジは即座に反対する。今、自分達は追われてる身で仲間の安否すらままならない状況だ。ある意味当然の反応だったかもしれない。
「子供に泣いて助けてって言われたら、もう背中向けられないじゃない!」
「もう構わねぇ、ガキごとやっちまえ!」
マスターと呼ばれる男が子供を傷つけることを許さないため遠慮をしていたが、催眠弾であり脱走者を逃す方が重罪だと考え、銃口を子供達ごとメンバーへ向ける
ナミの言葉を聞いたサンジは無言で催眠銃の上へ飛び乗ると、持ち主を蹴り飛ばした
***
〜マスターside〜
「マスター、おられますか?」
全身ガスの対策されたスーツを身につけた男が自身の上司に報告をしにやって来た。
目の前にはガス状の塊が蠢いて何やら薬品のようなモノを調合している。
「あぁここだ。」
マスターと呼ばれたガス状の塊は返事をする
「海岸にG-5の軍艦が一隻...。」
「軍艦⁉︎なんとしても追い払え!毒ガスを散布しろ。」
***
数分後
〜スモーカー、たしぎside〜
「スモーカー中将、ムリだ。まだ毒ガスが漏れてる、四年前のペガパンクの化学兵器の失敗で島は腐っちまってるんだ。」
部下の一人が引き換えそうと提案をする。
「いや、こんなにガスが発生してる方が不自然だ。」
スモーカーはサングラスの奥から見える鋭い目で、このガスが人為的なものだと見抜く
「2年前、ここは火も氷もねぇ、ただの島だった。そして有害物質もだ。」
「だから赤犬と青雉はパンクハザードを決闘の場に選んだ。天候を変えちまうほどの大ゲンカをな。」
2年前、マリンフォード頂上戦争後に“海軍元帥”センゴク、“英雄”ガープは現役を退いた。そして政府は新たなリーダーを選出することとなった。政府の意向は二つに分かれ、決闘で新たな元帥を決めることとなった。
勝者は赤犬、敗れた青雉は海軍を去り、四皇の一人に加担しているという噂が流れている
スモーカーは大砲で氷を破壊しながら進み続ける。その様子を確認した研究所の人間が内部の報告先へ連絡を行う。
「マスター、スモーカー中将がやがて研究所へきます!対応はどうします?」
「誰もいちゃいけねぇんだ、お前らも見つかるな、俺も出られねぇ。」
どうやって海軍を追い払うかの算段がつかずに、両者の間に沈黙が流れる。すると奥から二つの足音が響いてくる。二人とも若い男性である。
一人は目つきが悪く黒い斑点のある白い帽子をかぶり、自分の身長ほどもある日本刀を持った男
そしてもう一人はさらさらの白い髪に白い肌、細い目からは得体の知れぬ何かを感じさせるような雰囲気を醸し出していた
「ボクもソレは避けときたい。頼むわ。」
さらさらの白髪の若者はニコニコしながら、横の無愛想な若者へ追い払うように頼む。
***
〜スモーカー、たしぎside〜
海軍が扉の入り口を封鎖しており、スモーカーはブザーをならして家主を待つ。
やがて巨大な扉がゆっくりと鈍い音を響かせながら開く
「俺の別荘になんのようだ?白猟屋。」
海兵たちは驚きを隠せずに震え始める者もいる。なぜなら彼はあることを引き換えに海軍本部へ海賊の心臓を100個届けた狂気の男だからである。
そのあることとは“王下七武海”の称号、男の名前は“死の外科医”トラファルガー・ロー