モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み) 作:ニルドアーニ四世
「オヤジッ!!!!」「ここで死ぬ気か⁉︎」
「俺ァ時代の残党だ!!! 新時代に俺の乗り込む船はねぇ!!!!」
「「「「「「「親父ッッ!!!!」」」」」」」
息子達は涙を流しながら父親を呼んだが、白ひげは一切振り返らずただ息子達の敵を屠らんとギロリと睨んだ。
「随分長く旅をした...
***
〜モリアside〜
「あのジジイ...マリンフォードを鎮める気だな。勝負はお預けだ。」
モリアは白ひげを睨みつけると地面にある影に潜り込んでその場から消えた。
「モリア!!!!」
「エース!!!!行こうおっさんの覚悟が!!!!」
その様子を見たエースが叫ぶがもう遅かった。するとルフィが白ひげの想いを受け止めてこの島から脱出するべきだど言った。
「わかってる!!!無駄にゃしねぇ...。」
***
〜モリア・白ひげside〜
「歳不相応に暴れてくれるよ...俺は血の気の多い老人の介護などする気はないぞ。」
モリアと白ひげが三たび相見えると挑発するような余裕の笑みを浮かべ、嘲笑した。彼は今まで何度も白ひげとの
「グラララ...墓は要らねぇ。海軍本部の瓦礫の上が俺の墓場だァァァッッ!!!!」
目を血走らせ命を削りながらモリアへ攻撃を仕掛けようと薙刀を前に振るった。モリアは後方へ軽く下がり避けると、薙刀の刃は地面に激突し土煙が舞った。
すると土煙の隙間から刃が迫り来たのでモリアは覇気でガードするが少し後方へ押された
「先よりパワーが増している...。やはり貴様は俺の予想の上を行く...。」
モリアは命が枯れそうになりながらも最強の海賊として親父として息子達を守らんと暴れまわる“白ひげ”エドワード・ニューゲートという男に舌を巻いた。
「お前らそこをどけ!!!!」
突如モリアと白ひげを崖を除いた全てを取り囲んでいた海兵達が豪炎に包まれて苦しんだ。炎の中にはエースがおり白ひげへ土下座をしていた。これは謝罪としてではなく感謝としての意味を持つという事を誰もが理解していた。
「一つ聞かせろエース...。俺が親父でよかったか?」
「勿論だ!!!!」
白ひげはエースの鋭き視線を受けると愉快そうにニヤッと笑った。
「グラララララ...。」
そして声をあげて笑うとエースは後ろを振り返り走り始めた。満足そうな顔をすると白ひげはゆっくりと息子達の殿の為に目の前の敵わぬ強敵(モリア)を見据えた。
「すまねぇな...時間取らせた。」
「決意の固めた男の
***
〜ルフィ・エースside〜
「エースを逃して即退散とはとんだ腰抜けの集まりじゃのう白ひげ海賊団...船長が船長...それも仕方ねぇか。白ひげは所詮先の時代への敗北者じゃけぇ...。」
ルフィとエースの背後から赤犬が挑発する様につぶやいた。その言葉を聞き逃さなかったエースがピクッと反応し振り返った。
「敗北者...?...取り消せよ...今の言葉ッ!!!!」
エースは父親の侮辱を耳にし赤犬へ距離を詰めようとした。
「エース!!!乗るなッ!!!!」
海賊の一人がエースの肩を抑えて親父の望みを為すべきだと言ったが、エースはそれを払いのけて距離を詰める
「白ひげは敗北者として死ぬ!!!ゴミ山の大将にゃ誂え向きじゃろうが!!!!」
赤犬がエースを挑発するとエースは激しく歯軋りをして大声をあげた。
「白ひげはこの時代を作った大海賊だ!!!!」
(俺を救ってくれた人をばかにするじゃねぇ!!!!)
「この時代の名が!!!!白ひげだァ!!!!」
エースは豪炎を纏った炎を、赤犬は炎をも焼き尽くすマグマを、二人の拳は激しく激突したがエースが軽々吹き飛ばされて身体が焼けた。その様子をわき見していたモリアが口をあけた。
「向こうでも始まっ...ッ!!!!」
白ひげが薙刀の先端に光を纏って薙刀を振るおうとしていた。モリアは命の尽きかけていた老人を前に僅かな慢心があったのだ。普通の強き老人であれば何の問題もなかっただろう。だが相手は“白ひげ”エドワード・ニューゲート。彼はその隙を一切逃さなかった。完全に薙刀の間合いに入っていたモリアは到底避ける事ができず、辛うじて“
***
〜ルフィ・エースside〜
「よぉ見ちょれ...。」
焼かれた痛みに耐えるエースを他所に赤犬はルフィへと目を向けて狙いを定めた。
エースの制止に赤犬は全く耳を傾けず、エースをも焼き尽くすマグマを右手に纏いルフィの身体を貫こうとした。
ルフィが赤犬の攻撃が自分へ向けている事に気付いた瞬間、目の前を炎が遮った。
ルフィはその炎がエースであると理解すると同時に彼が腹を貫かれて血反吐を吐いたのを目の当たりにした。赤犬はエースの身体から己の腕を抜くとゆっくりとエースはルフィへもたれかかるように倒れた。そして海賊達の悲鳴のような叫びと兄が自分を庇って致命傷を受けた事に錯乱するルフィの耳元でエースが静かに呟き始めた。
「ルフィ...おれがこれからいう言葉をお前からみんなに伝えてくれ...
オヤジ!!!みんな!!!そしてルフィ...
今日までこんなにどうしようもねぇ俺を...
鬼の血を引くこの俺を...
愛してくれてありがとう!!!!」
その言葉を言い放つと同時にエースはゆっくりと倒れ、まるで人形の様に抵抗せず地面へ突き伏せた。
ポートガス・D・エース...。彼の死した顔には笑みが浮かんでいた。彼はこの悪夢とも言える大海賊時代を引き起こした“海賊王”ゴールド・ロジャーを父親に持つ。即ち誰もがロジャーを憎んでおり、誰もが嫌悪していた。その悪魔の様な息子である自分という存在が誰からも必要とされていないと幼き頃より肌に感じていた。
だが今では自分の命を投げ打ってくれる
悪魔の子を受け入れてくれた
そして数多くの修羅場を超えてまで己を助けようと模索してくれた
彼の望んだ本当のモノは名声や力などではなかった
『自分はこの世に生まれてきてよかったのか?』
その答えを知る事こそが彼の想いであり、そしてその問いの答えは彼の幸せそうな笑みが全てを物語っていた