モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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怪物

 

 

 

「元帥殿!湾内の海賊達が妙な動きを!!!」

 

赤犬によって溶かされた海を海賊達が泳いでオーズの方へ向かっているのを発見した海兵がセンゴクへ報告した。

 

海軍は砲撃を海賊達へ向けて放ち続けるとゴポゴポと海面へ気泡が上がり始め、やがて巨大な影が現れると激しい水飛沫と共に艦船が現れた。

 

「コーティング船を海底へ待機させていたか...。」

 

「ウチの船が出揃ったと言った憶えはねぇぞ。」

 

巨大な艦船は帆を畳んでいるにも関わらず速い速度で突っ込んでくる。

 

外輪船(パドルシップ)です。こちらへ突っ込んできます!」

 

海兵は艦船を砲撃し続けるがそれが誤りだと気づくには遅すぎた。

 

「行くどみんな!!!」

 

オーズが雄叫びをあげながら艦船を抱えて湾内へ引き上げた。そして船から次々と降りた

 

「エースを救えェェッッ!!!!」

 

誰かの鼓舞により士気のあがる海賊達だったが、限界が来たのかオーズが倒れた。その様子をしみじみと見た“白ひげ”は薙刀を構え、先端に白い光を覆うと一気に振り抜いた。大気が割られ振動で前線にいた海兵達がまるで埃を払うかのように吹き飛んだ。

 

「野郎共ォ!!!!エースを救い出し、海軍を滅せェェッッ!!!!」

 

白ひげが海軍本部へ己の存在を轟かせると再び薙刀の先端に白い光を覆いもう一撃食らわせようとしたら、一人の海兵が現れて氷を放った。

 

「“アイスボール”」

 

青雉の攻撃により白ひげは全身が凍りついて動かなくなった。数秒経つとピキッとヒビが入った。

 

「あららダメか...“振動”は凍らねぇな...どうも。」

 

バキンという音と共に氷が砕けた白ひげは素早く覇気を込めた薙刀で青雉の身体を貫いた。

 

「覇気で刺した!!!死んだか青雉!!!!」

 

「NOォォ〜、バカ言ったいけねぇよ。」

 

青雉は軽く受け流した。彼は確かに覇気で貫かれたが、身体に覇気を纏った。そしてその青雉の覇気が白ひげの覇気を上回ったため無傷だった。身体を貫かれたまま平気な様子で薙刀をパキパキと凍らせ始めると真横からの衝撃を受けた。

 

「オヤジ...先へ。」

 

「あぁ...。」

 

ジョズのラリアットにより青雉は全身が粉々になったが、すぐさま全身を元通りにした。覇気はあくまでも能力者の実体を捉えるモノであって無効化ではい。それ故ロギア系の能力者は覇気で身体を破壊されようとも時間さえあれば容易く復活する事ができる。これは攻撃を受け流せることと共にロギアの強みとして知られている。

 

白ひげは道を開ける海賊達の間を進み先頭へ出ると先端に白い光を覆い振るった。すると白い光とは相反する黒い影が受け止め、周囲に強力な衝撃波が飛んだ。

 

「ようやく機が熟した...。」

 

モリアは影を纏った足で薙刀の刃を踏みつけるように抑え込んで相殺したのだ。先ほどモリアの妨害をしたマルコとジョズは黄猿、青雉と向かい合っており、到底モリアの進撃を止められる状況ではなかった。

 

「懲りねぇ野郎だ...。邪魔だな...おい。」

 

「そう邪険にするな...。俺とて老人を嬲るのは気が引ける。」

 

二人が本日二度目の邂逅を終えると共にモリアが下がって間合いを取った。そしてすぐさま下から持ち上げるように拳を握ると地面から白ひげの周囲を円状に無数の影の剣先が現れた。

 

「“影喰球(ダークスフィア)”。」

 

モリアが呟くと一気に円状に散りばめられた影の剣が白ひげへ襲いかかろうとした。白ひげは薙刀の下に白い光で覆うと地面を突いた。すると影の刃は無残に割れ散った。

 

「こりゃ陽動だろ。」

 

白ひげは素早く薙刀を後方へ向けて振りかざした。するとモリアが背後に移動して攻撃を繰り出そうと間合いを詰めていた瞬間であり、到底躱せぬと思われた。

 

「“影法師(ドッペルマン)”」

 

白ひげが薙刀を振り抜くがモリアは目の前から完全に消えてしまっていた。そして前方を素早く振り返ったが、モリアは完全に攻撃を仕掛けており、武装色と影を覆った手刀で白ひげの腹を貫いた。

 

「ゴフッ...。」

 

モリアの手刀は完全に白ひげの内臓をも傷つけていた。モリアは素早く手を抜くと辺りに大量の血飛沫が飛んだ。白ひげは膝をついて傷口を抑え込んだ様子を見たマルコとジョズが気をとられた瞬間に二人の大将は攻撃を仕掛けた。ジョズは全身を凍らされ、マルコは不死鳥の能力を封じる為に海楼石の手錠をはめた後に黄猿のレーザーに貫かれた。

 

「やはり老いた老兵は戦場に出るモノではないな。もはや戦場(ここ)に貴様の居場所はないと思え...。」

 

白ひげは止まらぬ出血を他所に心臓辺りを抑え込んでいた。彼は病にかかっており、戦場へ出てきていいという身体ではなかったのだ。その様子をモリアが悟った瞬間に背後から大声が聞こえた。

 

「何をしている!!!!早く白ひげを討ち取れ!!!!」

 

モリアがいる事を他所に一斉に海兵達が大砲を放ち、剣で次々と白ひげの胸を貫く。まるで蟻が象を薙ぎ倒す様に激しく攻め立てた。モリアは素早く“影法師(ドッペルマン)”で後方へ回避したため無傷だったが、少し不満げな顔をした。

 

「モリア...わかっちよろうの...。」

 

背後から赤犬がモリアに忠告をすると彼は当たり前だという顔をしながら返事をした。

 

「無論...。これより俺は防衛に徹しよう。」

 

モリアは海賊の頂点たる白ひげが同じ海賊であるモリアに殺されたのであれば海兵としてのメンツが立たない事を理解していたため、赤犬の真横を通って後方へ歩いて移動した。

 

「「「「「「「「「親父!!!!」」」」」」」」」

 

モリアの背後で胸を無数の海兵に貫かれた白ひげはもろに砲撃を顔に受けた。そして後ずさりとしたが踏みとどまった。

 

 

「こいつら...これしきで...。ハァ...ハァ...

おれを殺せると思ってやがる...。助けなんざいらねぇよ...ハァ...ハァ...

 

 

 

 

 

俺ァァ白ひげだァァッッッ!!!!」

 

白ひげは薙刀に力を加えて力の限り振るった。すると海兵達がゴミのように一斉に吹き飛んだ。この手負いでなおこの強さ、その場に居合わせた者達は『怪物』だと理解した。

 

吹き飛ばされ宙を舞う海兵達は己の死を覚悟したが、身体の中心に細い影の糸が巻きついて停止するとゆっくりと地面へ降ろされた。そして吹き飛ばされた海兵達が全員無事であることから圧倒的に短い能力の発動時間に精密度、そして己らが怪物と感じた白ひげより実力者と思われるモリアという男もまた怪物であると理解した。

 

「前言撤回だ。老いてもなお怪物か...。」

 

 




ちょっとオリジナル展開が少な過ぎて少し疲れました。気分転換の為にチラシ裏に1話だけ投稿します。

以前から多少ほのめかしていたハンコックの性別逆転をやります。数話しか投稿しませんので失踪は無いです。

『九蛇から一匹の蛇が生えて十蛇(♂)』という題名にします。銀魂ネタですが題名以外には使いません。

私情ですが申し訳ありません。少し休ませて下さい。

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