モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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若き王の成長

 

 

 

 

 

 

「命を救われた“恩義”があるとはいえ...貴様を狙うのは申し訳なく思う。強者の我儘は全て許される権利がある。ただ義務ではない。それ故俺は貴様以上の強者となり“貴方へ”の不義理を正当化する...実に不本意だが俺にも立場というモノがある...」

 

確かに強いからと言って“赤髪のシャンクス”のように傍若無人な振る舞いをしない者もいる。つまり権利がありそれを行使するかどうかは別問題なのだ。白ひげはモリアの言葉の一部にピクッと反応するとニヤッ笑った。

 

「グラララ...かつて俺と張り合った男にしちゃ甘ぇこというじゃねぇか。」

 

白ひげが皮肉めいた言葉をモリアへぶつけた。モリアは不快そうな顔をすると口を開いた。

 

「張り合っただと?くだらん。あれは政府の誇張と戦闘後の状況のみよって都合良く書かれた報道により植え付けられた妄言(プロパガンダ)に過ぎない。当時の俺は若く実力も海賊としての心構えもなってなかった。」

 

モリアは白ひげとの決闘は惨敗だったと思っていた。無事に生きて帰ったモリアは政府の息のかかった新聞記者の取材にありのまま答えた。翌日の新聞にはダークサイドの事は一切書かれておらず胸上と右手から出血している“白ひげ”の写真が撮られていた。もちろん敗れたと明記してあったが、僅差であったと曖昧な文章が載せられていた。この時に初めてモリアは自分がつけられていた事に気付き記者の隠密行動のスキルに関心した。そして“白ひげ”もこの新聞を読んだが大して気に止めなかった。

 

考えがなっていないというのは海賊としての覚悟が足らず“白ひげ”が王座につくかどうかは強者として選ぶことができたはず、それなのにモリアは敗者として意見を述べてしまった事を若気の至りたして恥じていたのだ。

 

「「「「親父ッ!!!!」」」」

 

モビーディックの先端で向かい合う2人の王に白ひげ海賊団は声をあげた。若く未熟だった王は筋の通す絶対的な王へと成長し、絶対的な王はもはや伝説の王へと老いた。海軍側は知らぬ情報だが“白ひげ”は病に侵されていたのだ。“親父”の強さは重々知っているが今を生ける最強の七武海が一対一(サシ)で11年前の決闘の再戦を行おうとしていたのだ。

 

「「モリアッ!!!!」」

 

 

 

白ひげの後ろにいたマルコが右前へと飛び出し両手から青い炎を噴き出すと不死鳥として、そして地上から船に飛び乗ったジョズが身体をダイアに変えてモリアを挟み撃ちにしようとした。

 

「余計ぇなことをしやがって...。」

 

白ひげは2人の様子を見てぼやいた。するとその言葉通りに2人の身体は静止した。2人が己の影を見ると武装色の覇気を込められた“針”が刺さっていた。

 

「横槍は控えて貰おう...

 

俺は貴様に敗れた直後己の全てと向き合いダークサイド(ヤツ)を封じ込む為に鍛錬を積んだ...。結果は俺という存在は強者として、海賊として高みへと登りつめることとなった...

 

俺にチャンスと命を与えた貴様を殺さなくてはならぬ事を末代までの恥と心得る。」

 

かつて一方的に喧嘩を吹っかけた若き日のモリアに“白ひげ”は最強として登りつめる機会を与え、更に勝者として彼の命を散らす権利を得たのに見逃したのだ。その二つの大恩を仇として還す事を恥と言わずになんと言うのかとモリアは考えていた。

 

「よく口が回るじゃねぇか...。」

 

「無口だと申告した憶えはない。」

 

 

 

 

白ひげの向かいあい同時に地面を蹴った。モリアは硬化した右手に影の鎧をつけ、そして白ひげは硬化した右手に白い光を覆った。

 

二人の攻撃が亀裂を産み11年前と同じ様に再び王の資質のある者達が衝突すると二人の拳の間の大気にビキビキと亀裂が入り周囲に衝撃波を与えた。やがえモリアの覇気が上回り白ひげを後退させた。

 

「やはり最強とはいえど齢には勝てぬようだ...。覇気が以前やりあったより数段衰えている。もはや貴様の薙刀は俺には届かぬ。」

 

「親父から離れろ!!!!」

 

真横からマルコは脚で攻撃をしたけたがモリアは軽々としゃがんで躱しフッと挑発的な笑みを浮かべた。

 

「覇王の衝突で針が抜けたか...。」

 

「前を見ろよい...。」

 

薄っすら笑みを浮かべたマルコが前を見る様に言うと目の前にはダイアの上から武装色で硬化した強靭な肩が見えた。

 

「“ブリリアントパンク”ッ!!!!」

 

モリアはジョズの渾身の一撃を回避する事は出来ず致命傷を避ける為に両腕を硬化させてガードするしかできなかった。モリアはジョズのパワーを前に勢いよく吹き飛ばされた。海軍の後方部隊の場所まで飛ぶと硬化した手を地面に突き立てて勢いを殺した。

 

「さすがにタイマンなんてやらせねぇか。隊長を引き離す程に追い込んでからだな...。邪魔が入っちまう。」

 

モリアはノーダメージで立ち上がると平然と歩き始めて戦場へと戻った。その様子を見たジョズはモリアを見て嘆いた。

 

「クソッ!なんて野郎だ...。」

 

ジョズの肩はビリビリとした鈍い痛みを感じていた。彼の攻撃にモリアは武装色でガードをしていたに過ぎない。モリアが無傷でジョズにダメージを与えたのは単純に武装色で上回ったからである。ジョズが吹き飛ばせたのはモリアの体重が彼の衝撃に耐えられなかったに過ぎず、むしろモリアは抵抗せず衝撃をモロに受ける事により距離を取ったのだ。

 

「だから余計だと言ったろ...。次は邪魔をするんじゃねぇ...。」

 




アレです。モリアさんが本気を出すのはもうちょい先になりやす。

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