モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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ダークサイド

 

 

 

 

 

 

 

地面に叩きつけられたモリアの全身が薄く黒い煙が湯気の様に立ち昇っていた。そしてモリアはゆっくりと立ち上がると唯一残された顔は無傷で土煙の汚れしか付いていなかった

 

 

(もう“影法師(ドッペルマン)”は使えぬな...。)

 

 

この技は“影法師(ドッペルマン)”の強度を鎧として全身に纏い更に武装色を二重で覆う。故に強力で鉄壁の鎧と化す。この技は“常闇狭霧”と対になるモノで“常闇狭霧”は『自分より武装色の劣る者』が対象であるがこの技は『対強者用及び覇気の力量が不明な強者』に使用するものである。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

〜3時間後〜

 

 

 

 

 

「ハァ...ハァ...これが最強か...。俺の実力不足が手に取るようにわかる。」

 

頭から血を流しつつも影の鎧は破壊されていなかった。白ひげの能力は“振動”を与えることでダメージを与えられる。その振動に武装色を織り交ぜる事により爆発的な破壊力を誇るのだ。振動とはどこまでの突き抜けて全身にダメージが響き渡るためモリアの影の鎧ではある程度しか効果がなかった。仮に“白ひげ”の覇気よりモリアの覇気が上回っていれば勝機は十分にあった。

 

「グララララ...。この海(新世界)でもおめぇの強さはかなりのもんだ。」

 

微かな汗と目に疲れた様子の見える白ひげはここまでモリアがやるとは思ってもみなかったのだ。だがモリアの顔は冷たく淡々とした口調で語りかけた。

 

「なぜそう呑気でいられる...。」

 

「あん?」

 

モリアの情緒の突然の変化に白ひげは聞き返した。言葉の意味がすぐに理解することができなかったのだ。

 

「わからぬのか?なぜゴールド・ロジャーの残した椅子につかぬ...。」

 

「...。」

 

モリアはこの時代の頂点に君臨する力がないと理解し、白ひげに問いかけた。その気になれば“海賊王”になれるのに白ひげはそれを望んでいなかった事に対して疑問と怒りを抱いていたのだ。

 

「なぜ貴様はそれ程の力がありながら貴様は王座につかん!!約束された地位でありながら!!貴様がその座に就くことでこの海が安定することを理解しておきながら!! どうして王にならぬ!!!!」

 

モリアは白ひげの様子に感極まり大声をあげた。彼が“白ひげ”を殺し頂点になる事を望んだ理由は世界の安定の為である。ロジャーの処刑後世界の海賊達が“ひとつなぎの財宝(ワンピース)”を求めて海へと飛び出した。ロジャーの死後、次期海賊王と呼ばれていた“白ひげ”は“ひとつなぎの財宝(ワンピース)”を探さなかったのだ。その結果海賊達が世界で略奪、殺人、誘拐などの狼藉を働き罪なき人々の平安を侵し続けた。

 

それ故モリアは“白ひげ”を始末し、自分が“ひとつなぎの財宝(ワンピース)”を見つけ海賊王になる事によって海賊達の勢いを抑え込もうとしたのだ。

 

 

 

 

「...俺ァ“ひとつなぎの財宝(ワンピース)”なんぞに興味がねぇんだよ。」

 

 

 

“白ひげ”の一言はモリアを激昂させた。彼の命と世界の均衡をかけた決意を“興味がない”...。ただそれだけの事で彼の想いを踏みにじられたのだ。

 

「そうではない!!!!強者とは常に強者以外の全ての状況を揺るがす !! 強者の頂点たるお前の一声で海賊から足を洗う連中がどれ程いるかを知らぬわけではあるまい!!!!お前の匙加減一つで多くの人々の命が救われるのだぞ!!!!」

 

モリアは興味がある、ないではなく海賊という害意の権化から市民という存在を守る為に海賊王にならねばならぬと説いた。

 

「この俺に意見するたァ...生意気な小僧だ...。まだ暴れたきゃこの海で俺の名を背負って好きなだけ暴れてみろ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の息子になれ...。」

 

“白ひげ”はニヤッと笑いモリアの元へ歩いたそして手を差し伸べた。ゲッコー・モリアという男を家族にしたいと心から思ったのだ。だがその勧誘もまた彼の神経を逆撫でした

 

「ふざけるなァァッッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが敗者に人権は非ず...

従わせたいのなら従わせろ...殺すなら殺せ...

 

俺はこれから起こり得る現実の全てを受け入れる覚悟などとうにできてる。」

 

モリアは影の鎧を解いた。彼は“強者は全てを肯定できる”と考える男でそれを持論として振舞ってきた。海賊を狩ってゾンビにするもの強者の権利、海賊から影を奪って島から出さぬのも強者の権利。

 

無論その持論は己を例外でないことは初めてその理を悟った時から、己がいつか敗者としてどの様な現実が待ち構えていようと“耐え抜く”か“抗い続ける”かの覚悟はできていた。たがモリアは“白ひげ”の仲間になる気は微塵もなく戦闘で敗れた以上抗うだけ見苦しいと考え死を受け入れるつもりだった。

 

彼の矜持を前にした“白ひげ”は更にモリアという男をいたく気に入った。そして満足気に呟いた。

 

「くそ生意気な...。」

 

 

“白ひげ”がそう呟き終わると同時にモリアの耳に悪魔のような高い声をした男の声が響いていた。

 

 

(キシシシシシ...なんてザマだ。お前は無様で惨めな雑魚だ。)

 

 

モリアが一切の気配の感じぬ男の声を耳にして周囲を勢いよく見回した。だがその男らしき男は見当たらない。

 

「誰だお前は⁉︎どこにいる⁉︎」

 

「お前は何を言ってやがる?」

 

モリアの様子に“白ひげ”は理解できずに声をかけた。どうやら自分だけにしか聞こえぬ声のようだった。

 

 

(馬鹿だな...俺は“お前”だ。白ひげは俺にやらせろ。お前みたいな雑魚じゃ勝てねぇ...。)

 

 

「俺だとッ⁉︎何を言ってやがる!」

 

 

(キシシシシシシ!馬鹿な野郎だ。だったら無理矢理奪えば済む話だ。俺に全てを寄越せ。)

 

 

謎の男の声がモリアの脳内へ響き渡ると今まで感じたことのない程の頭痛が彼を襲った。モリアが突然頭を抑え込んでもがき苦しむ様子を見て“白ひげ”の後ろにいたマルコが仲間に船医を呼ぶ様に指示を出した。

 

「うオォォォォッッ...ック!クソがッ!」

 

 

(キシシシシ...。早く楽になれ。俺に全てを委ねろ。全てを終わらせてやる。)

 

 

「...。」

 

「大丈夫か?」

 

突然大人しくなったモリアに“白ひげ”が問いかけるとモリアはゆっくりと顔をあげた。モリアは狂気的な程歪んだ笑みを浮かべ、悪魔の如き恐ろしく冷たく高い声を上げた。

 

「キシシシ...キィッシッシッシッシ!!!!漸く手に入れた!!!! 感謝するぜ白ひげェ!!!!」

 

 





〜後日〜


この投稿後かなり不評でしたが、ちゃんと次の話で作者の仕込んだ設定が発動します。大半の伏線を回収できますのであと一話だけでもご覧ください。

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