モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み) 作:ニルドアーニ四世
〜スリラーバーク城内〜
「筋のある情報じゃ...ここにある可能性が高いのよ。」
先ほど一味が集められ、モリアの部屋と思われるところでナミとウソップが二人きりで部屋の中にいた。ウソップは訳がわからぬ様子だったが、ナミは部屋の中を物色し始めた。
「ナッ...ナミ⁉︎バレたら殺されちまうかもしんねぇだぞ!」
ナミはモリアの机の引き出しから何やらゴーグルの様なモノを取り出し胸の間に隠した。するとウソップが慌てて止めようとした。
「大丈夫よ。バレなきゃいいのよ。」
「そうだな...。バレなければ何もしていないのは事実だ。バレなければな...。」
ナミが盗みなどバレなければないいと言い放つとナミの真後ろにいたのだ。二人はゆっくりとモリアの様子を見て叫んだ。
「ヌォォォォッッ!!!!」「ギャァァッッ!!!!」
二人はお互いの手を合わせ顔色を青ざめさせている。モリアは両手で耳を塞ぐと口を開いた。
「騒ぐな...。欲しいなら許可を得ろ。」
「「へ?」」
予想外の言葉にキョトンとする二人をよそにモリアは再びわかりやすく言い直した。
「やるよ...。ロロノアという男に出会えた礼という事にしよう。部下に向かい入れたいところだが、命を張る程の価値のある一味を抜けるつもりはないだろうからな。」
モリアはゾロという男に出会えた事を良く思っており大層気に入っていた。そして部下に引き抜きたかったが、ゾロの決意は本物だったため、仲間に勧誘するだけ無駄だと思ったのだ。
「ん?金なら腐る程ある。トレジャーマークぐらいなど取るにたらん...。俺も存在を忘れていたぐらいだ。“右手”のもな。」
「「あっ...ありがとうございます!!!!」」
モリアは海賊達を狩るついでに宝を根こそぎ奪っているため、金などそこらの国家財産より多く持っているのだ。そのためいち海賊の宝の在り処など興味ないし、大して必要でもないのだ。二人は礼を言うとモリアの気が変わらぬ内に一目散に逃げ出した。
「クックック...生意気な女だ。俺の書斎の裏に保管してあった“
“
***
五分後
〜スリラーバーク広間〜
「ナミ...どうだった?見つかった?」
酒を飲み交わしている男共を他所にローリング海賊団船長ローラとモリアの部屋から逃げ出したナミがヒソヒソと話していた。
「えぇ...でもバレちゃったけど結局モリアがくれたわ。貴重な情報ありがとう。」
ナミがモリアの部屋に忍び込んだのはローラから情報を得たからである。ある日、森の中でアブサロムが一つの棺を抱えて城へ向かっている途中にモリアと出会うと、アブサロムが棺の中ならゴーグルのようなモノを取り出したのだ。二人をいち早く見つけすぐ側に隠れていたローラは二人の会話を盗み聞いていると悪名高い伝説の海賊“キャプテン・ジョン”の財宝の在り処を示すトレジャーマークだと知った。そしてモリアが興味を示し『これは自分が預かっておく、他の財宝は金庫にぶち込んでこい』と指示を出していた。そのことをナミに教えたのだ。
「くれたの⁉︎じゃあ約束通りに...」
「もちろん!...ゾロの“爪”よ。寝てる時に少し削ったけど、気付かれなかったわ。」
ナミは小さな小瓶に入った白い小さな爪の欠片をローラへ渡した。これはナミがモリアの財宝についてダメ元で嗅ぎ回っていた時にローラから有益な情報がありそうだったためビブルカードを作る時に必要な爪を取引として要求したのだ。ローラはモリアから説明を受けた時にゾロの男気を耳にし、惚れたのだ。“求婚”の名を持つ彼女だが心から人に惚れた事がなかったのでいつもの調子が出せなくなり、臆病になってしまったのだ。そこで心の用意が出来た時に再会出来るようにこっそり爪を取ってきて欲しいと頼んだのだ。
「ありがとうナミ!私達は姉妹分よ!」
「えっ...えぇ...。」
ローラはゾロの爪の欠片が入った小瓶を受け取るとグラスに酒を注いでナミに渡した。当初ナミはローラを利用しただけのつもりだったが、酒を酌み交わしたことで意気投合し、本当の姉妹のように仲がよくなった。
***
〜スリラーバーク医療室〜
「フォスフォスフォス...この病気の患者はここをこうやって...。」
「すげぇな“ドクトル”!どうしてこんな発想ができるんだ⁉︎」
ゾンビの改造をする医務室とは別の医務室でホグバックはチョッパーと話をしていた。そして医術書を片手に教えていたのだ。チョッパーは正直で嘘をつけないタイプなので素直にホグバックを褒め称えた。これは自尊心の高いホグバックには心地よいようだった。
「そりゃおめぇ天才だからよ。あっ!プリン食うか?」
「食うぞ!」
ホグバックは胸を誇らしげな顔をし、冷蔵庫に残しておいたプリンをチョッパーにあげようと思った。するとホグバックの使用人ゾンビのシンドリーが二個のプリンを持ってテーブルの前まで来た。
「さっさと食えよクソ野郎...。」
シンドリーはプリンを投げ置く様にテーブルに置いた。そしてホグバックはその様子に抗議をする様に声をあげた。
「ちょっとシンドリーちゃん。口が悪いよ。可愛いん『キメェんだよ。デブ野郎が!!!!』
その一言にホグバックは反論できずにテンションをただ下りの中プリンを食べ始めた。ホグバックはシンドリーの影を可愛くお淑やかな女の子の影を入れて欲しかったが、モリアは一般人から影を奪うわけなかった。流石に男の海賊の影を入れるわけにもいかず、止むを得ず女海賊の影を入れたのだ。お淑やかさなどとは無縁だが、第一人称が俺になるよりかはマシだと割り切ってしまったのだ。
***
〜次の日〜
<スリラーバーク海岸>
「“麦わらの一味”...強くなるがよい。
モリアは“麦わらの一味”の出航の見送りをしていた。ホグバックの手により傷は完全に塞ぎ、チョッパーにその後の治療を任せたため命に別状はないと判断したため、出航を許可したのだ。そしてモリアは一味にたわむけの言葉を送った。
「あぁ...いつか俺達はお前を超えてやる!そして海賊王に俺はなる!!!!」
「クックック...好きに生きろ!そしてそれが許される程の強者になりし時、俺に挑みに来い。海賊王としての器に足るかどうかを試してやる。」
モリアとルフィが言葉を交わすと船は出航し、やがて準備のできた影を奪われていたローリング海賊団も出航しスリラーバークを出て行った。
誰も居なくなった海岸でモリアは新たな七武海の情報と政府の緊急招集の理由を探り、これから何が起きるかを見抜いていた。そして静かに呟いた。
「...これから世界を揺るがす“戦争”が起きる。どちらが勝とうとも時代は大きく変わる。その時代の狭間に敗北という味を知った“麦わらの一味”がどう成長するのかが楽しみだ。それより“
血が滾る...。」
次から頂上戦争編へ行きます。ストロングワールドの話も書くつもりですが、戦争終了時に番外編として書きます。
あとこじつけと御都合主義の件はすみません。作者の勉強不足で原作との辻褄が合わなくなってしまった結果です...