モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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海賊としての格 4

 

 

「...流石に過小評価をしていたのは認めよう。前言撤回だ。」

 

モリアは素直に自分の非を認めた。“麦わら一味”を取るに足らない、一歩も動かないと斬り捨てていたのは誤りだと思ったのだ。第一モリアは完全に意識を奪ったと考えていたため植物の監獄をルフィの攻撃の為に盾に変えたことの判断ミスと戦闘の意志を残す程度のダメージと恐怖しか与えきれなかったと感じたからである。

 

「案外律儀なんだな...。」

 

フランキーは顎を摩りながら口に出した。そしてモリアという人物は敵だが人格者の片鱗を感じた。するとモリアは小さく鼻で笑うと口を開いた。

 

「現実を見据えぬのは愚か者のすることだ。だが非を認めたからと言って未来は変わらぬと知れ...。」

 

モリアは常に自分を客観的な位置で見る事ができる人間である。世界の平和の為に動くが自分を一海賊である事を認めているし、それが自分の自己満足である事も認めている。感謝される事はあるが、それはあくまでも副産物であり、どう捉えるかは千差万別、十人十色であるのでそれを誇りに思う事など微塵も無かった。

 

「ヨホホホ!私から行かせて頂きますよ。“鼻唄三丁矢筈...ッ⁉︎」

 

“麦わらの一味”を巻き込んだと自覚しているブルックがモリアへ戦闘を仕掛けた。彼は元々居合術に優れとある王国の護衛戦団団長を任されていた。だがそれは所詮とある王国の護衛団のボスである。この海を統べる七つの怪物(七武海)の一人を担うゲッコー・モリアに通じるはずもなかった。モリアは左手の人差し指と親指で仕込み杖の剣先を掴んだ。ブルックは彼の指の力ですら解く事ができない事に驚いた。

 

「“悪魔風脚(ディアブルジャンブ)”“画竜点睛(フランバージュ・ショット)”。」

 

地面に脚をめり込ませ回転する事により生じる炎を纏った蹴りをモリアへ繰り出した。彼はブルックの背後から人体の急所である首筋を狙ったが、モリアに炎の届かない脛の部分を掴まれた。

 

「身体能力は中々...。」

 

モリアはブルックの刃を掴んだままサンジを力任せに地面に叩きつけた。地面は彼のパワーに押されまるで2メートル程のクレーターの様な穴が空いた。そして素早く回し蹴りに切り替えてブルックの腹を蹴飛ばした。ブルックは吹き飛ぶと森の木を数本倒しそのままグッタリとした。

 

「能力なしでこの強さかよ!“火の鳥星 ファイアーバード”ッ。」

 

「“サンダーボルト・テンポ”ッ!」

 

ウソップはモリアのパワーに驚いたがモリアはかなり加減をしていた。モリアとしてはこの一味の全員をゾンビにする為、出来る限り損傷しないようにしたかった。無論実力差があるため覇気など一度も使ってなかった。だから彼は体術で終わらせるつもりだった。ウソップとナミが遠距離で炎と雷の攻撃を仕掛けるがモリアは一瞬で二人の間へ移動すると二人の顎を撫でるように軽く力を込めて弾いた。少し離れて倒れているサンジを地面に無数に生やした手で避難させていたロビンは彼の身体能力の高さに驚いた。そしてロビンの方を振り返った。するとその背後で二人の脳はモリアの与えた軽い衝撃で脳震盪を起こし意識を失い、ゆっくりと倒れた。次はロビンを潰す(やる)かと考えたモリアだったが、真横を振り返った。

 

「吹き飛びやがれ!“風来砲(クー・ド・ヴァン)”」

 

フランキーの両の腕が大きく膨らむとモリアへ強力な突風で吹き飛ばそうとした。ロビンが動けないサンジを移動させているのを止めてはならないと考え、この攻撃で時間を稼ごうとしたのだ。だがモリアはそんな事を見抜き素早く身体を少し跼めて風の影響を極力避け、そして腹を少し強めに殴った。アブサロムからサイボーグである事を聞いていたのでこの程度の力加減が最適だった。無論一撃で意識を刈り取られた。

 

「硬いな...。」

 

「“腕力強化(アームポイント)”。“刻蹄(こくてい)”“桜吹雪(ロゼオミチエーリ)”。」

 

モリアがフランキーの硬度を感じつぶやくとフランキーの隣にいたチョッパーが何やら小さい丸薬を噛むと腕の筋肉が発達し、モリアへ攻撃を仕掛けたがモリアは体勢を崩しながらも蹴りを加えてチョッパーを吹き飛ばさせた。

 

「“六輪咲き(セイスフルール)” 。」

 

「遅ぇ...。」

 

サンジを避難させたロビンがモリアへ関節技をかけようと六本の腕を生やした。関節技を決めようと手を伸ばしモリアの身体へ触れようとした瞬間、ロビンは掌底を腹に打ち込まれた。気絶した事により能力の手が消えると背後から研ぎ澄まされた殺気を感じた。

 

「“二刀流 羅生門ッ! ...ッ⁉︎」

 

ゾロがモリアへ向けて攻撃を仕掛けたが、刀を抜く前に両手が止まった。見ると目の前にモリアが現れて自分の手首を押さえ込んでいた。目を見開くと同時にモリアは顎蹴りあげた。ゾロはかろうじてモリアの攻撃を予測し激しく歯軋りをして耐えようとしたがゆっくりと倒れた。

 

「お前ッッッッッ!!!!俺の仲間に手をだすんじゃ...『ボゴン‼︎』

 

身体が元に戻ったルフィがやられて倒れた仲間を見て吼えたがモリアが今更相手にするわけはなく、覇気を纏ってルフィの顔を殴った。ルフィの意識が一撃で刈り取られると地面に叩きつけられ、サンジの時にできたクレーターの倍以上の広さと深さはあると思われる程の穴が空いた。

 

「“エニエスロビー”を落とした海賊もこの程度か...。とても“新世界”で生き残れる海賊には思えぬ...。まだ若い...。」

 

モリアがつぶやくと背後から本の微かな気配を感じ、背後を素早く振り返ると目の前に刀を抜きかけているゾロがいた。

 

「“一刀流 獅子歌々”ッ! 」

 

 


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