モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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影の英雄 3

 

 

 

〜聖地マリージョア〜

 

 

 

 

「襲撃だァァッッ!天竜人の方々を逃せぇぇッッ!敵は魚人たった一人だ!」

 

聖地マリージョアが豪炎に包まれる中モリアが逃がしたタイガーが力の限り暴れまわっていた。天竜人の近衛兵が銃や刀で襲いかかるがタイガーに軽く蹴散らされる。

 

「クソッ!“CP0”はなぜこない!」

 

『プルプル...プルプル...』

 

近衛兵のリーダーらしき男が“でんでん虫”を天竜人直属の諜報機関の最上級組織である“CP0”へ連絡をしようとした。ここがマリージョアとはいえ、ここを警護するのは数名の手練れがいるはずだ。それなのに前代未聞の大事件にCP0が一人も援軍に来ないのだ。だから“新世界”にあるCP0の本部へ直接連絡をし、近くにいるCPのメンバーを呼び出そうと思ったのだ。

 

「これであの魚風情を始末でき...『ゴキッ!』...。」

 

すると突然リーダーの首が横にへし折られ前に倒れた。驚いた部下の近衛兵は銃を向けるが誰もいない。すると無数の細く黒いヒモのようなモノが飛んできて一瞬で近衛兵達を斬り裂いた。

 

ここ(マリージョア)にいるCP0は全員始末したが、援軍を呼ばれんのは面倒だ。」

 

そう声が聞こえると一瞬でフワッと二人の人物が現れた。一人は黒い仮面を被り、黒のローブを羽織っている。そしてもう一人は目元が隠れる仮面を付けている。そして黒いローブを羽織った人物は受話器を直すとでんでん虫の音が切れた。

 

「“リーダス”...。お前は中に取り残された奴隷を解放しろ。お前なら手錠ぐらい素手で破壊できるな?」

 

「了解...。」

 

リーダスと呼ばれた男は一瞬で消えた。もちろんリーダスはアブサロムの偽名であり、黒いローブを羽織った男がモリアである。原作のアブサロムは覇気を覚えていないようだったが、モリアがペローナと共に覇気を教えたので新世界でも比較的上位に食い込む程の力量を持っている。見聞色の覇気を使えば奴隷がどこに居るのかを判断できるし、爆発する錠は力任せに引っこ抜いて手を武装色で覆えば爆発を限りなく抑え込めるのだ。

 

「何者だ!」

 

二人の存在に気づいた近衛兵がモリアへ向かってきた。するとモリアは仮面の下でニヤッと笑うと口を開いた。

 

「ただの反逆者だよ。“三日月の影(ダーク・ナイト)”。」

 

モリアがそういい放つと伸ばした手に影を纏わせると真横に一閃振った。すると真横から近衛兵達は鎧ごと斬り裂かれ生き絶えた。

 

「さてと...マリージョアに眠る宝や悪魔の実を根こそぎ頂くか...。」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

30分後

 

 

 

 

「自由だッァァ!こんな地獄から抜け出せるなんて何度夢見たことかッ!」

 

暴れまわっているタイガーが手錠の鍵を奴隷達に渡すと次々と外へ出て走り出した。すると後ろにいた若い女性の奴隷が口を開いた

 

「でもどうやって逃げるのよ!ここはレッドラインの頂上!降りるなんて不可能よ!」

 

確かにその通りである。ここはレッドラインの頂上であり、誰もが原作のタイガーのようにレッドラインをよじ登るような芸当は不可能である。すると真横から足音が響き渡るとその持ち主が口を開いた。

 

「安心しろ...。我が能力ではそんなこと容易い。」

 

扉鏡扉(シャドウ・ホール)”モリアがつぶやくと天にまで届くほどの巨大な扉が現れ、ゆっくりと開いた。扉の向こうはとても暗くまるで先の見えないトンネルのようだった。

 

「何だこれは⁉︎」

 

「この技で二つの扉を創り繋いだ。一つはここに、もう一つは俺の拠点に。そこに俺の部下がいる。そいつがお前達を世話する手筈になっている。」

 

すると扉の前にするが奴隷達は入るか入らまいか迷っている。敵か味方かもわからぬ得体の知れぬ男の得体の知れぬ技により創られたモノに飛び込む勇気は持ち合わせていないようだった。

 

「早く行け。ここの奴隷達全員を逃したいのだ。天竜人の世話を今一度受けたいか?」

 

一人の奴隷がその言葉を聞いて勢いを付けて飛び込むとそれに続くように次々とモリアの創った扉へ入って行った。人間、魚人、小人、ミンク、魚人、手長族、足長族などが次々と扉へ入って行くと政府の役人がやってきて声をあげた。どうやら天竜人は逃がしきり、近衛兵の様子を見に来たようだった。

 

「何だあのドアは!能力者か⁉︎」

 

「どけ!」

 

すると後ろから美しい黒髪の若い人魚を担いだアブサロムが役人を蹴り飛ばした。その様子を見たモリアは口を開いた。

 

「他に人魚はいたか?」

 

「いやこの娘だけだ。大半の奴隷はもう後ろにいない。ん?その子は何だ?」

 

アブサロムはモリアの足元に小さな耳にモコモコした人型の生き物に気づき尋ねた。

 

「子兎のミンクだ。離してくれなくてな。」

 

可愛らしい子兎のミンクは小さなウルウルとした涙目でモリアの足をギュッと掴んでピッタリ離れない。モリアは何度も扉へ行くように声をかけたが頭を横に激しく振るだけだったのでモリアが諦めたのだ。

 

「そうか...俺は人魚の娘をスリラーバーグの海岸まで連れていく。」

 

「あぁ。俺はタイガーを待つ。」

 

モリアは足に子兎のミンクを引っ付けたままタイガーを待った。奴隷達が次々と扉へ駆け込む中20分程待つと両腕に小さな子供を抱えた血塗れのタイガーが現れた。今にも倒れそうでフラフラしている。

 

「ハァ...ハァ...ハァ...これで全員だ。」

 

モリアは二人の子供を受け取り、左腕で二人を抱え、タイガーの肩を抱えた。

 

「よくやってくれた。さぁ行こう。早く手当をせねば...。」

 

モリア達が扉の中へ入ると扉はだんだん小さく縮みはじめ、そしてシュッと一瞬で消えた

 

 

これが後々“聖地マリージョア襲撃事件”として英雄フィッシャー・タイガーの名を世界に轟かせる事となる。そして協力者の黒いローブの男の正体は誰もわからなかった。

 

 

 

 


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