遅れてしまって申し訳ありません。受験とかで忙しかったんです。本当です。マジです
そして私がここで言えることはただ1つ・・・。
pixivで仮面ライダーB・S書きはじめたから皆読んでねってことだけだッ!
さぁ、では楽しんでもらいましょうか15時間目!レッツらまぜまぜ!
結局、美術部に顔を出してなかったために美咲先輩に絞られた次の日。つまりは日曜日。
ベットの上でぐだぐだしていた。_(:3」∠)_(注:顔文字はイメージです)
やることがないのだ。ゲームをすればいいとは思うのだがスマホ関連のゲーム、ソシャゲーはあまり俺の趣味ではない。皆が進めてくるパズドラとかモンストとかはしっくり来ないのだ。アクションが少ないからなのか。それともストーリーがないからなのか。自分でもわからんがとりあえずゲームをやる気分ではない。
んじゃ学生の本領、勉強をするかと思ったがよくよく思い出せば宿題だのなんだのは昨日のうちに終わらせてしまった。
スーパー戦隊見て、人気ドラマシリーズ『マスクド・ザ・ライダー』を見て、プリキュアを見る。あとはニュースをちらちら見るだけだし・・・。
そんなこんなで気付けば夕方だ。
「・・・そういや玉置のオフ会そろそろじゃ」
そんなことを考えてしまうと今度はいてもたってもいられなくなる。
この問題の当事者でないのに気になってしまうのはクラスメイトや部活仲間である故なのか。それとも俺が事件に首を突っ込みたがる馬鹿だからなのか。
「ちっ・・・」
そんな考えを振り切り起き上がってパソコンを立ちあげる。
使い慣れ、完璧に暗記されたIDとパスワードをさっさと入力し、LA内の俺の家に降り立つ。
アバターをいつもの喫茶店に向かわせた。
席にシュヴァインやアプリコットがいるのはいい。でも、ルシアン。お前はダメだろ。
ルシアン『なんだ、キリト。お前も来たのか。皆暇なのか?』
正直イラッと来た。アコから逃げ、今起きてる事件に知らないふりをするコイツに。
俺はプライベートチャットを開き他の3人をぶち込む。
キリト『英騎。何でお前がLA内にいる』
ルシアン『おいおい。いくらプライベートチャットだからって本名だすn』
キリト『いいから答えろ西村英騎!何故お前は玉置亜子がピンチにも関わらずそれに知らぬ素振りをしてゲームをやってんだ!』
英騎のタイピングなど無視し、俺は感情のままにキーボードを叩く。
ルシアン『な、なんでお前が怒ってんだよ!』
キリト『何で、だと?お前が何知らぬ顔で!自分の全てが気になる感情を押し殺して!ここにいるからだろうが!』
アプリコット『落ち着け、キリト。ルシアンもだ。ここでそんな言い争いしてもなんの解決にもならない。特にキリト。君が切れたところで何も変わらんよ。この事件は君が言った通り二人の問題なのだからな』
・・・っ。
そうだ。俺は昨日自分でそう言った。完全に冷静さを失ってたな。
1回深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
キリト『ルシアン、悪かった。唐突にキレたりして』
ルシアン『いや、俺も悪かった。でもな。アコが言ったんだぞ。ゲームと現実は別だって。なら俺にできることはねぇよ』
と、俺は今までのログ、過去の会話を思い出す。何故なら違和感を感じたからだ。玉置亜子だけでなく、西村英騎の発言に。
・・・もしや。
キリト『ルシアン、いや、西村英騎。俺はあんまゲームと現実を区別するタイプじゃない。・・・と思う。まぁ、玉置とか御聖院ほど区別してない人間ではないな。そこはいいんだ。問題はお前だ』
タイピングする指を1回止める。これはある意味西村英騎をさらに悩ませてしまう種だろうから。
でも、言わなければ気付かずに始まりもしない。だからは俺は指を動かした。
キリト『お前は、ゲームと現実を
ルシアン『・・・俺が『ルシアン』を軽く見てる?』
キリト『そう。なんつーんだろうな。『アコ』が惚れた存在が『ルシアン』だけど、その『ルシアン』はお前の一部っていうか、そのうーん・・・』
無理だ。言葉にできん。言いたいことはあるのに纏まってくれない。倫理の授業とか嫌いだからしょうがない。
いや、しょうがなくはねぇよ。
と、今まで黙ってチャットを見ていたアプリコットが入ってきた。
アプリコット『簡単だ。ルシアンが持つ優しさは西村英騎君、君本来の優しさだ。キリトだってそうだ。なんだかんだ言っても結局は仲間である我々を助けてくれる。ゲームでも、こういう現実関係でも、だ』
キリト『待て。俺は仲間になった覚えはねぇぞ』
そんな俺のツッコミをスルーし続ける。
アプリコット『つまり、だ。君の中にアコを好きという思いは少しはあるのではないかな?』
ルシアン『・・・なんか納得できない』
キリト『・・・まあ、その気持ちもわからなくはない』
俺も輝にみやびが好きだろうって聞かれた時は否定してたもんだ。・・・たった1ヶ月前の話なのに今じゃ否定する俺が想像できん。
ルシアン『でもそれがアコを助けに行く理由にはならないよな。それとも「俺の嫁に手を出すな」って行くのか?それができたらどんなにいいかと思うけど』
シュヴァイン『待って?今助けに行きたいって言わなかった?見たの私だけ?私だけなの?』
何故か入ってきたシュヴァインを無視し俺達は続ける。
キリト『ならそれでいいじゃないか。嫁を助けるのは、旦那の務めだぜ』
ルシアン『・・・そうだな。俺の大好きな嫁に手を出させるかよ!』
キリト『そうそう。それでいい』
シュヴァイン『今好きって言った!というより大好きって言った!私見たんだけど!?っていうかなんで反応しないの?もしかして私だけブロられてる?ねぇ、ちょっと!』
キリト『瀬川うるさい。Shut Up&BE QUIET んじゃさっさと助けに行ってこいよ旦那様。嫁が大ピンチだぜ?』
ルシアン『ああ、行ってくる!』
シュヴァイン『え、それ大丈夫なの?警察沙汰にならないよね?』
ルシアン『安心しろ。ぶっとばしてやる!』
シュヴァイン『それが安心できないんだけど!?』
キリト『いちいち話の腰を折るな。本当に黙ってなさいよ』
シュヴァイン『なんで私が悪いみたいに・・・!?』
ルシアン『んじゃ行ってくる!』
キリト『おう、いってらー』
こうして英騎はログアウト。さてと。
キリト『英騎も行ったし俺は落ちるわ』
シュヴァイン『えー・・・。喝入れるためだけにログインしたの?』
キリト『いなかったらしなかったけどな。んじゃおつー』
瀬川や御聖院の返事を聞かずにログアウトする。
着替えた俺は駅へと向かう。
意味無いとは思うんだが、それでも見届けないと気が済まないのだ。
と、玄関で靴を履いてる時にみやびに話しかけられた。
「夕方だけど・・・。今からどこに行くの?」
「んー?駅」
「えっ、何で?」
「英騎と玉置のいざこざの結末を見に行ってくる」
「西村君と玉置さんの?」
「・・・一応現代電子遊戯部の部員でダチだからな」
「・・・ついていっても、いい?」
「いいけど・・・。なんで?」
「なんでもいいの!早くしないと始まっちゃうよ!」
「お、おう」
なんでこう、みやびの方がテンション高いんだ?まぁ、いい。みやびの言うとおり早く行かないと始まってしまう。
駅に到着した俺らは建物の影に隠れて、オフ会の相手を待っている玉置を監視していた。
「西村君も相手もまだだね」
「英騎は自転車で来るぐらいだから少し遠いんだろう。相手はこの駅で会うことを条件にしてたらしいから遅いのにも一応納得はできる」
「どっちが早く着くかな・・・」
「どっちが早く着いても望む結末はハッピーエンドしかない。最悪俺が殴りにいく」
「それはハッピーエンドっていうのかな・・・」
「言える。最優先条件は玉置が一切の手出しをされないことなんだから」
「うーん、何か違うような・・・」
何故か頭を抱えるみやびを無視し、俺は玉置の監視に戻る。
直後、玉置の肩を叩く人物が現れた。アイツがオフ会の相手か・・・?
目を凝らすと髪が長くラインが細い。女性?おっとこれはレズ?百合?・・・What?
「どうしたの?」
「相手が女性っぽいんだが・・・」
「え?男の人じゃなくて?」
「ああ。女性。茶髪でポニーテール、メガネをかけていて胸のサイズはそれなりにあるな・・・。ボディラインもいいし。結構美人のタイプだな」
「純君?」
「いや、ただ分析しただけだから」
何故怒られないといけないのか。いや確かに好きなやつの前で他の女を褒めてるのはいけないのかもしれんが。ここはあれだ。機嫌を直すために褒めよう。
俺は顔を赤くしながらみやびに告げる。
「いや、まぁ、その、俺的にはみやびの方が好みなんだけどな。うん」
ああー!恥ずかしい!なにこれ!なんでこんなのサラッとできるのさ世の中のイケメン共は!
「そ、そうなんだ・・・///」
ああああァァァァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ッ!照れてるみやびが可愛い・・・ッ!ヤバい!照れみやびの破壊力ヤバい!語彙力が消失する!尊みを感じる!誰か医者を!メディック!メディィィィィィィック!
そしてなにより俺に褒められて照れてる、つまり俺を一応男と認識してくれていることが嬉しい。
「なにやってんの・・・」
「ドワォ!?ってなんだ、瀬川かよ・・・」
意識が完全にみやびに向いてたから気が付かなかった。
「つかなにやってんのはこっちのセリフだ。なんでお前がここにいんだよ」
「簡単だ。気になったからだ」
「御聖院まで・・・。いつからいた?」
「君がその少女に『好みなんだけどな。うん』と言ったとこらへんだ」
「よりにもよって1番恥ずかしいところじゃねぇか!」
「はっはっはっ。別に録音したりはしてないぞ」
「聞いてないのに答えてる時点で録音してんじゃねぇかコノヤロウ!」
「え。瀬川さんって現代電子遊戯部の部員・・・?ネトゲしてるの?」
「えっ、あっ、なんで穂高さんがいるのよ!?」
なんでそっちはそっちで修羅場ってるんですかね。
「ちょっと!キリト!」
ここで振るか普通!つかなぁ!
「おいシュヴァイン!?何故わざわざアバター名の方で呼んだ!?ここ公共の場だぞ!?これはプライバシーの損害な訳だが!」
「今アンタもアバター名で呼んだでしょう!人前よ!なんで呼んだのよ!」
「確かにお前の名前の元ネタドイツ語で豚だけど!先に呼んだのはお前だろうが!」
「それは言うなって言ってんでしょうか!この丸パクリ!」
「だだだだだだだ誰が丸パクリだ!」
「キリトとか黒い装備品とか片手剣とか完っ全にパクリじゃない!」
「パクリじゃないですぅ!リスペクトですぅ!というか豚に言われたくない訳だが!」
「なんですってぇ・・・?」
「やるかぁ?いいぜもう徹底抗戦だ!お前がまいったって言うまでやってやるからな!」
「上等よ!あんたの負けっ面観るが楽しみね!」
「まぁまぁ落ち着け。ケンカは後だ。オフ会を見に来たのに争っていても仕方ないだろう?」
「ちっ・・・。御聖院に感謝するんだな」
「それはこっちのセリフよ。よかったわねぇ、穂高さんの前で泣きっ面晒さなくて」
「あぁ?」
「何よ?文句ある?」
睨み合う俺ら。転がり出した石はなかなか止まらないというが確かにそうだ。現にこうして俺らは止まらない。
「二人とも落ち着いて!ケンカはダメ!」
みやびが慌てながらも入ってくるがそうそう止められるかってんだ・・・
「アコぉぉぉぉぉぉぉ!」
「なんじゃとて!?」
おいおい唐突になんですか何事ですか。思わず変な言葉出しちゃったじゃないか。
「あれは・・・ルシアンだな」
「アイツやっと来たの?遅いわね・・・」
「これ安心安全に終わるんだよね・・・?」
「英騎が止められたら俺が殴るから大丈夫」
「それが不安なのよ!」
瀬川に止められる。何故。
ついに英騎VSオフ会の相手の因縁の対決が始まる・・・。
ところで。
「御聖院。なんでお前端末構えてる訳?」
「録画に決まってるだろう」
決まってはないだろ。
「そういうことじゃなく。録画の意味ある?、って意味で」
「あるぞ。よく対戦相手を見ろ」
「あ?」
さっきもよく見たが女性だとしか・・・。
「あっ・・・。斎藤先生・・・?」
「待てみやび。斎藤先生だと?」
もう1回対戦相手の女性を確認する。茶髪ポニーテール。一致。メガネも一致。あまり言いたくないけど体つきも一致。というか顔が一致。
・・・?
「なんで斎藤先生いんの?」
「斎藤先生がオフ会の相手ってことでしょ!わかりなさいよ!」
何故気付かなかった・・・?もしかして俺ボケた・・・?そんな。そんなバカな・・・。
けど待てよ。斎藤先生がレズor百合の直結厨?
そんなことはありえない。俺のクラスの副担任であり、学級委員である俺は斎藤先生とそれなりに絡みがあったが、彼女が百合やレズではないことを知っている。それどころか職員室に入る時こんなことを呟いていた。
「彼氏欲しい・・・」
その時の俺は資料を出さずに帰ろうかと思ったほどだ。狩生も同様で「うわぁ・・・。ああはなりたくない・・・」と呟いていた。
確かに彼氏ができずに女の子に手を出そうって考えに至った可能性もある。
本当か?本当にそうか?
これは本当に、玉置のピンチなのか?
ああ、そういうことか・・・。
「だいたいわかった」
「何がわかったのよ」
「これ誰のピンチでもねぇや。いや、ピンチの人物いるけども」
3人ともハテナを浮かべている。
「まず、勘違いして英騎が斎藤先生から玉置を守る」
というか今現にそうだ。大声で直結厨のレズとか言うのやめてあげなさい。
「勘違いだと?どういう・・・」
「いいから話を聞け。次に斎藤先生が落ち着かせ英騎が事態を理解していく」
思った通りに英騎の怒りのボルテージが下がっていくのが目に見える。
「こ、この次は・・・?」
「英騎は全てを理解する。これは玉置が斎藤への相談、というか話し合いの場だったと」
今きっと恥ずかしい思いしてるだろうなぁ。そんなことを思いながら俺は話を続ける。
「けどここで忘れちゃいけないのが玉置の性格だ」
「「「???」」」
「みやびが知らないのは理解できるが他の2人は理解出来るだろ。だからな。ここで勘違いしてるのは英騎だけじゃない。玉置もだ。今玉置はこう思っているはずだ。『この泥棒猫』、と」
「ひぃっ・・・」
「キリト、まさか、それは!」
「???」
「そう。そのとおりだ」
唯一置いてかれているみやびはほっといて俺は唾を飲み込み、言う。
「斎藤先生大ピーンチ・・・ッ!」
そう、俺は知っている。パーティーメンバーではなかったが1年間玉置とプレイを共にした俺達には。
「え、どういうこと?どういうことなの?」
「・・・玉置はな」
「う、うん」
「玉置は・・・ヤンデレなんだ」
「ヤン、デレ?」
「そう。ヤンデレ」
「・・・ヤンデレって何?」
「ああ、知ってたよ。夜中アニメあんま見ないお前のことだから」
指パッチンしてアニメWikipediaさんこと瀬川を起動させる。
「瀬川。あっちでみやびに解説を」
「わかったわ」
瀬川がみやびを連れて行く。ショックを受けるだろうがまぁいい。
「御聖院。今どうなっ・・・」
「まずい!」
「どうした!?」
「ある意味予想通りの状況だ、キリト!アコが刃物を取り出したぞ!」
「ちっ!解説に時間を割いちまったのがいけなかったか!」
俺は走り出そうとするが遅く、玉置はカッターナイフという獲物を手に、目を暗黒に染めながら斎藤に走り出していた。
くそっ、間に合わないか・・・!?
カッターナイフが斎藤に触れる━━━
ことはなかった。
「は?」
斎藤の右腕が玉置の首にクリティカル。つまり、ラリアット。
「キリト!」
「ぐえ!」
俺が必要なくなったゆえに引っ張られた。けどさ、もっといい場所あったと思うんだ・・・。
後に聞いた話だと斎藤先生は女子レスリング部の部員だったらしい。何その部活。んなマイナーなのあんの?
呼吸を整え監視に戻ろうとしたところでみやび達が帰ってきた。
「・・・・・・」
「どうしたみやび」
「いや、あれを見せたらこうなった」
「あれ?」
「三角関係のあれ」
ああ。遅いと思ってたらあれの最終回見せてたのね。
「やめなさいよ。あれ俺もトラウマなんだから」
「穂高さんも見事にトラウマよ」
「ヤンデレって・・・」
「「ん?」」
「怖いね」
俺は黙って頭を撫でることしかできなかった。
しかし、ヤンデレを知らなければみやびは大変なことになっていたかもしれない。
良薬は口に苦し。仕方のないことだったのだ。
だから俺には頭を撫でることできない。
「・・・・・・」
「なんだよ、ジロジロ見やがって」
「アンタらって付き合ってないのよね?」
「・・・そうだけど。それが何か」
「なんでもないわ」
なんだよ思わせぶりな感じ出して。気になるじゃねぇか。
「キリト、ルシアンたちはカフェの中へ入っていくぞ」
「・・・席に座ったあと俺らも入るぞ」
「了解だ」
「あと」
「?」
「俺はキリトじゃない。姫矢純だ」
「いいではないか。今はアレイキャットの活動中だぞ?」
「だとしても俺はメンバーじゃねぇだろうが」
「なら何故・・・」
「英騎達が席についた。行くぞ」
俺は御聖院の言葉を遮る。これ以上、余計なことは言われなくなかったのだ。
そうだ。その前に。
「御聖院。撮った動画を携帯に送っておいてくれ」
「構わないが何に使うのだ?」
「それは企業秘密だ」
・・・周りの視線が痛い。
カフェに入った俺を襲ったのはその衝撃だった。
英騎、玉置、斎藤先生、そして俺と同席してる
そう。この席、俺以外美少女ばかりなのだ。そして男は俺1人。
目が鋭いだけの普通の高校生にこれは無理だ。
「・・・俺だけカウンターダメ?」
「なんでよ?めんどくさいでしょうが」
「いや、俺的にはこっちの方がめんどくさい」
「もしかしてキリト・・・。照れているのか?」
「何言ってんだお前」
「だってなぁ。こう、美少女3人に囲まれているのに照れているのだろう?可愛い奴め」
違う。断じて違う。別にみやびの隣嬉しいなー、とかこいつらいい匂いするなー、とか本当に黙ってれば美少女だよな・・・、とか思ってない。絶対に思ってない。
「純君・・・?」
「姫矢ぁ・・・?」
「・・・思ってないし照れてない。」
何故思ってることがバレるのか。いや、思ってないんだが。
思ってないったら、思ってないんだからねっ!
・・・んなことはどうでもいい。
「それはそれとして、だ。今英騎たちは何を話してるんだ?」
「説教中・・・といったところか?」
「やるときはやるんだな、あの人・・・」
「純君、それは失礼じゃないかな・・・」
「いやでも・・・」
あの人結構怠け者よ?怠情。その言葉が合うレベル。俺が言えたこっちゃないのだが。
「確かに私達でもわかる怠け者よ。でも一応目上の人で副担任。少し口を慎んだ方がいいわよ?」
「・・・善処する」
まさか瀬川に正論を言われるとは・・・。ただの俺様厨二病ネナベプレイヤーだと思ってたのに・・・。
「姫矢?」
いえ、なにも。
しかし、説教か・・・。さっきも駅前で玉置に対して何か言いそうだったし。
・・・まさか。
そう思考にふけていると御聖院が口を開いた。
「・・・そろそろかな?」
ん?
「何が」
「彼等の話し合いに決まってるだろう姫矢君。君は何しに来たんだ」
「あ?終わったん?」
「終わりそうなのだ。たまに抜けてるな、君は」
「そうか?」
「うん」
「学級委員も抜けてるときあるしね」
・・・そんなに抜けてました、僕?
なにかショックを受けてしまい立ち上がれない。
そんな俺をほっといて女子組は英騎たちの席に。
アフターケアがない時点で俺の扱い方を完全に習得してやがる・・・。特にみやびよ。付き合いが短いはずなのにある意味完璧だ・・・。
さらにショックを受けてしまい意識喪失に陥りそうになる。
俺が席で「燃え尽きちまったぜ、真っ白によ・・・」をやってる間に英騎、玉置をからかい始めた。みやびは傍観。なんて予想通りの展開。
さてと。じゃあ俺は斎藤先生と話すとしますか。
席を立ち斎藤先生の肩を叩く。
「こんにちは斎藤先生」
「ひ、姫矢君?君もいたの?」
「はい。玉置が1人の時からいましたよ」
「結構前からじゃない・・・!」
「そうですね。俺がここにいる訳は単純です。あなたと話がしたかった。めんどくさいので手身近に言いますね」
「な、何?」
「斎藤先生。あなたに、俺達の部活、現代電子遊戯部の顧問をやってほしいのです」
「・・・私は前に断ったはずよ」
「確かに俺は英騎にそう聞きました。けど、今日答えが変わるはずです」
「何をする気?」
「言ったでしょう。俺はあなたと話がしたかったと。話をするだけですよ。まず先生を顧問に推薦する理由が今日だけで2つできています。まず1つは生徒のことをちゃんと考えている人であること」
これは前提中の前提だ。こう優しい先生でないと玉置が懐いたりするとは到底思えない。玉置が友人や仲間だと思うのはまず、優しさがある人なのだ。
「それが1つ目?」
「はい。先生のその態度が俺達、現代電子遊戯部にとって好意的に見られてる、と思っていただければ」
「そ、そう・・・」
俺にそう言われ斎藤教諭は頬を赤くする。まぁ、これは大前提でしかない。次が重要だ。
「2つ目。これが一番重要です。それは、先生がプレイヤーであることです」
「へ?なんで?」
「俺達は今日、偶然にも先生がLA内でも有名なプレイヤー、『猫姫』であることを知りました」
「そ、そうね・・・」
「先生は1度英騎━━━ルシアンからの告白を断ったそうですね?俺が予想するにめんどくさい・・・というのが一番だと思いますが、実は他に理由があるのではないか、と思ったんです」
そこで1回言葉を止める。喉が渇いた。しかし俺の飲み物は別の席。ここは我慢するしかないだろう。
俺は唾を飲み込み、再び口を開く。
「先生は英騎にこう言いたかったのではないですか。『そんな簡単にネットで繋がっただけの人に更なる繋がりを求めちゃダメだよ』・・・と」
これはありとあらゆるネトゲに対して否定の言葉だ。プレイヤーが言っていいことではない。が、事実でもある。
つまり先生は顔も知らない相手のことを考え、ネトゲ内とはいえ、結婚を断ったのだろう。これが重要なのだ。
「先生はゲーム内でも有名なプレイヤーで、おそらく俺達より長い時間、あらゆるゲームをプレイしてきたと思います。つまり先生は
彼らはネットでの本当の恐怖を知らない。それなのに俺達がトラブルに巻き込まれた時助けることができるだろうか?
しかし、斎藤先生は違う。この人はネットの恐怖を知り、素人よりも確実に対処法を知っている。
「これが俺が先生を現代電子遊戯部の顧問に推薦する理由です」
「・・・なるほど」
斎藤教諭は納得したように頷く。というか納得してくれないと切札を出すことになるのだが・・・。
頼む、ここで引き受けてくれ。
「・・・でも私が顧問になる理由はないわね」
「そうでもないですよ」
俺はこの言い訳を予測していた。この先生は確かにいい人だ。だが、基本は腰が重い人。何かしらで断るのは目には見えていた。
「まず、部活成立の少しの期間だけですが仕事を少しだけサボることができます」
「どうやって」
「簡単です。設立された部活にはいろんな資料を提出するように言われるはずです。それはきっと先生にも回ってきます。その普通では出さない少し多めの資料を言い訳にできるはずでしょう?」
「それだけ?それだけならお断り・・・」
「先生。話はまだ終わりではありません。俺の母親はとあるメーカーの社長令嬢で過去にはなかった保険を会社で作ったんです」
「それが私となんの関係が・・・」
「いいから聞いてください。その保険を作るために母はいろんな職業の給料の出方を調べ、聞き、学び尽くしました。その母から聞いたのですが学校によりますが顧問をすることで給料が僅かながら上がるそうです。顧問をしていなかった先生は他の人より少し給料が少ないなぁ、と思ったことがあるはずです」
「うっ・・・。確かにあるわ・・・」
「これで利害の一致は見えたと思いますが?俺達は顧問を手に入れ、部活を安泰にしたい。先生は給料を増やしながらも少しでも仕事を少なくしたい・・・と。どうです?悪い話ではないと思いますが」
しかし、斎藤教諭は唸っていた。
「(;´・ω・)ウーン・・・」
はぁ、仕方がない。本当にこれは使いたくなかったのだが。
俺は斎藤先生の前にスマホを置く。
「ところで先生。こちらを見ていただけますか」
「スマフォがどうしたの」
スマフォとは、少し古い言い方をする。まぁ、スマホもスマフォも変わらないのだが。
「これは先程、友人から送られてきた動画です。とりあえず見ていただければ」
画面をタップし動画を再生する。
動画の再生時間が進むたびに先生の顔が青ざめていく。
「ひ、姫矢君、これって・・・」
「駅前でのとある学生と教師のいざこざのようですね。・・・おっと。正当防衛とはいえ生徒にラリアットとは。この教師は勇気がありますね。警察や学校に出せばこの教師はすぐ解雇されるでしょう。最悪、教諭免許剥奪かもしれませんね」
「あ、あなた・・・」
「なんですか?」
俺は青ざめている先生に対し笑顔を向ける。
しばらく考えた後、斎藤教諭は肩を落とし俺に言った。
「・・・わかったわ。現代電子遊戯部の顧問に就任します」
「ありがとうございます」
「ただし」
「なんでしょうか」
「1つだけ条件があるわ」
ふむ・・・。条件、ね。けどまぁ、それを拒む理由もない。
「いいでしょう。なんでも受けましょう」
「じゃあ、皆聞いて。私が顧問になる代わりに出す条件は・・・」
こうして、俺達、現代電子遊戯部は顧問を手に入れ、正式な部活の仲間入りを果たしたのだった。
・・・しかしあのときは酷いことをしてしまった。顧問を何がなんでも手に入れるために脅迫までしてしまったのだ。斎藤教諭には何度も謝っているが本当に許してもらえているかは自信が無い。
彼女が本気で怒ってないことを祈るしかない。
「・・・ん。純」
「ん?って椎名!?」
今の今まで日曜日のことを思い出していたら部屋にいつの間にか椎名が。
「お前、いつからそこに・・・」
「少し前。みやびが、お風呂上がったから呼んで、って」
「ああ、なるほど・・・。わかった」
「あと」
「・・・まだ何かあるのか?」
「これ」
椎名が手に持っているのは黒いアタッシュケース。
「どっからんなもん出てきやがった」
「銀色のバイクのうしろに乗ってた」
つまりはあれか。持ち主不明のあのバイクの。
そのうしろに乗ってたとか怖いんですけど・・・。
「中身、見ないの?」
「・・・お前が見たいだけなんじゃないのか?」
目を逸らされた。
俺も気にならない訳ではない。とりあえず受け取る。
アタッシュケースの表面には会社名らしきものが。
「ん?スマートブレイン・・・?これって・・・」
ユグドラシルコーポレーションと鴻上ファウンデーションに並ぶ『日本何してるかよく分からない三大企業』の1つじゃないか。けど確か数年前に倒産していたはず。
その会社の物が、何故うちに?
恐る恐る開けると中には何故こんなものが?と思う物が複数入っていた。
基本カラーはすべて銀、黒、赤。まずガラケーが1つにベルトが1つ。カメラと・・・サーチライトか?横には腕時計らしきものが・・・。
「ねぇ、純」
「なんだよ」
「泣いてるの?」
「え?」
頬に手を伸ばす。その頬は濡れていた。何故、俺は泣いている?
泣いている意味もわからずただただ、涙を流す。
椎名は、そんな俺を、黙って見ていた。
サブタイトルの元ネタ・・・School Daysより。
今回の純の口調・・・後半は特に折木奉太郎を意識。
以上。交信終了。
・・・ちなみに。現実では部活の顧問になったところで給料は上がりません。この世界でのみです。悲しいっすね。