とある学生の難儀(?)な日常   作:九牙タイト

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予定を変更してお送りいたします。
前半と後半のギャップに注意しような!


11時間目 Dの復活/二人で一人の警察

現代電子遊戯部もありその週はめまぐるしく回った。

例えば…。

 

「…なぁ、この課金キャラ弱い訳だが」

俺は誕生日席に座って呟いた。

俺らがやってるのはキャラ入れ替え。つまり自分のアバター以外を操作しようというのが今回の活動だ。

ただ楽しんでるだけに見えるが理由はちゃんとある。

アコがルシアンを操作することによって英騎とルシアンは違うというのを自覚させるためだ。

…だからと言って俺に課金重視キャラを使わせるのは間違ってると思う。

「文句言うなよ。その課金重視のマスターを上手く動かせるのお前しかいないんだって」

シュヴァインを操作している英騎がそう言うけど間違ってる。

「あのな。俺が上手いのはある条件が整ってるときだけ。それ以外は平均なの」

つまり俺の《キリト》とかが持つ特殊設定でしか俺は強くないのだ。

回避しづらいわ近距離戦ができないわなんだよこのキャラ。パリィができないのも問題だ。

で、本当の使い手、御聖院は俺のキリトを使っていた。理由としては課金したときと同じ火力が出るから。

いや、まぁ、確かに出るけど使い方にもよるから。

まぁ、別に構わない。死んでも経験値が減るだけで俺のアイテムが消費したりレベルが下がったりしないし。

それに今回の回復は相当使えるしな。

「瀬川。回復頼む」

「了解」

アプリコットの体力が即座に回復する。同時にパリィも回避もできてないキリトの体力も全快していた。

「すまない、シュヴァイン」

「いいけどどんだけ下手なのよ」

「いや、御聖院は悪くない。キリトの使い方は本当に難しいからな。習得に半年もかかるレベルで」

「そりゃ、難しいわ…」

「そろそろmob連れてきますよ~」

今回のルシアン役の玉置がmobを連れてくる。って…。

「多いわ! 今回全員力発揮できねぇんだから少なくしろよ!」

「私が上手くルシアンを使えるんです! ってああ! 死んだ!」

「当たり前だ! いくらタンクでもそれはキツいわ! ああ、俺のルシアンが…」

「いいから下がれ! パーフェクトブリザードで一回相手の動きを止める! 瀬川、その間に頼む!」

「わかってるわよ!」

「御聖院も下がれ! 普通のキャラより防御力が低いキリトは当たるだけで致命傷だ! 基本的に下がって狙えるときにソードスキルで倒してくれ!」

「了解した」

「タイミング合わせるぞ! 3! 2! 1! 凍てつけ、《パーフェクトブリザード》!」

前にいる方は基本的に倒れ後ろのやつらはパーフェクトブリザードの効果で動かなくなった。しかしそれでも全部ではなくモンスターが少しずつ近づいてくる。

「まずルシアンを復活! 英騎はある程度防御力があるシュヴァインで斬り込みしてくれ! 御聖院は俺のタイミングでホリゾンタル・スクエアを頼む!」

「オッケー!」

「了解だ」

「ルシアン復活です!」

「よし。アコのルシアンは後方で待機! その間に防御力と体力アップの呪文を受けとけ! シュヴァインとキリトが引いたタイミングで前衛に戻すぞ!」

「わかりました!」

英騎のシュヴァインがある程度斬り刻んだところで隙間ができる。

「御聖院! あの隙間に飛び込んでホリゾンタル・スクエア頼む!」

「喰らえ、《ホリゾンタル・スクエア》!」

4連撃ソードスキル、ホリゾンタル・スクエア。四角を描くようにして斬るこの技はタイマンでも集団戦でも役に立つ俺の好きなスキルの1つだ。火力も出て使用頻度はゲーム内でもトップクラスではないだろうか。

そして案の定、キリトが放ったホリゾンタル・スクエアは結構な数を巻き込み経験値と金に変えた。

「よし! 御聖院下がれ! で、ルシアン壁役ゴー!」

「了解です!」

なんて疲れることがあったり。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

「んだようっせぇな…。いきなり叫ぶなよ。気持ち悪い」

「そこまで言うなよ。そんなことよりこれ見てくれ!」

「!? こ、これは…!?」

ドロップ確率0.005とまで言われた伝説の鎧《バレンティヌスの鎧》じゃないか!

…なんで今ちっちゃい髭のおじさんが頭に浮かんだのだろうか。なんか違う気がする。

「これってLA内でも高防御力を誇るって言われてる鎧よね…。これがあればシュヴァインの強化に…」

やべぇ。瀬川の目が大変なことに。

「なんかリア充イベントの名前に似てますね。イラつくので売りましょう」

「おい、アコレアアイテムを売ろうとするんじゃない!」

「これはマスターの証として私が頂く!」

「「「「……」」」」

…何この闇のデュエル感。負けたら死んだりしないよな?

「それではいくぞ」

『ジャーンケーン、ポンッ!』

レアアイテムの配分で揉めたり。

 

「あ。鯖落ちた」

「ホントだ。珍しい」

鯖落ちとかいつぶりだ? ここ最近なかったからマジで久しぶりだな。

「もしかしたら掃除のおばさんが抜いてしまったのかもしれません」

「むっ…。それは許せないな」

んなわけあるか。

「しっかし暇だな…。なんか潰すものないか?」

「ん。あったぞ。今日がオープンのゲームがある」

ほう? つまり…。

英騎と玉置を見る。目をキラキラさせて俺を見返してきた。

さすが英騎とその嫁。わかってやがるな。

しかしここで一人だけダメなやつが。

「はぁ? 今更新しいネトゲしなくていいでしょ」

ホントダメなやつだなコイツ。

ギルティギルティギルティギルティ…。と俺たちの声が瀬川に迫る。

「な、何よ」

「シュヴァインよ。お前はログインゲームの楽しさを知らないとは。残念でならない」

「なんでよ! そんなのつまらないでしょ!?」

「だったら見ていやがれ。俺たちが楽しそうにやる、ログインゲームをなぁ!」

「マスター権限だ! 今すぐそのゲームをダウンロードしログインゲームを開始するのだ!」

『サー、イエッサー!』

こうして、俺たちの戦いは始まった。

「よし! やっとIDとパスワード登録まで行ったぞ!」

「遅いなルシアン! 私はロードが終わればアバターを作れるぞ! 何!? ここで止まるだと!? 鯖が弱すぎるな!」

「知ってるか御聖院。そこは一回ホームに戻るといいんだぜ」

「ほう…。何!? 止まっただと!? 謀ったな、キリト!」

「はっ! バカめが! 引っ掛かったお前の敗けだよ!」

「やっとアバター制作まで来ました! これで私の1位です!」

「やめろアコ! 今すぐ止めるんだ!」

「戻れ! 生徒会権限だ!」

「くっそ…! 俺はここまでなのか…!?」

「ああ!? パソコンごと固まった!? 何もできません!?」

「ざまぁwww」

「連打階級へようこそアコくん!」

「アバター完成ッ! 俺の勝ちだぁぁぁぁぁぁッ!!」

「「しまった!?」」

「なにが楽しいのよこれ…」

なんて、ログインゲームを楽しんだり。

 

「いやー。いいログインゲームだった」

「しかし2時間で混雑が解消されたのが残念だな」

「まぁ、確かにつまらなかったしな」

「これソフトで発売されないかね」

「で、タグに3時間解消ってつけられるんだろ?」

否定しないわ。

「うぅ~。あそこで止まらなければ私の1位だったのに…」

「負けていいんだよ、アコ。その敗北を次の糧にすればいい」

「はい!」

玉置の頭を撫でる英騎。なんだろう。何か忘れてる気がする。

「仲いいのはいいんだけどさ…。西村、本当の目的忘れてない?」

あっ…。

気付いた英騎が手を離す。が、それを玉置が追いかける。

「もう諦めたら?」

「諦めたらそこで終わっちゃうだろうが! まだ! まだ終わってない!」

「諦めなかったら終わりでもないのよ!」

「ふむ…。今日も失敗か。早く解決してほしいのだが…」

「ん? どういうことだ、御聖院?」

「実はこの部活にはタイムリミットが存在してな。あと

1週間といったところか」

「理由はだいたいわかったぜ。顧問がいないからだろ?」

「その通りだ。どうにかしなければならないのだが…」

…それは俺にはどうにもできねぇよ。

 

部活が終わってバイトに着いたのは5時を少し過ぎたときだった。

「こんにちは、純さん」

「おう、チノ」

「また部活か?」

「まぁな。でも来週には潰れる」

「そうなんですか…」

「理由を聞いてもいいか?」

「顧問がいないんだと。そりゃ潰れるよな」

「それは仕方ないな…。宛になるような先生はいるのか?」

「いや。少なくとも俺には無理だな」

「そうか…」

「純さん」

「なんだよ」

「作り直せばいいじゃんとかはなしですよ」

「……」

なんでバレたんですかね。

「そのときは全力で止める」

そういいながらハンドガンを取り出すリゼ。

「やらねぇから安心しろ。それより俺も買ったよ。見てくれこれ」

「FN-Fivesevenか…。何故それを?」

「理由をあげるならな…」

「…ラビットハウスをミリタリー感でいっぱいにしないでください」

そんなこと俺ら軍人気質に言っても無理だと思うぜ?

 

「ただいまー。あ"ー、疲れだー」

「おかえりだよこーはい君」

「…玄関に仁王立ちしてる理由を聞かせてもらいましょうか」

「なんで部活来ないんだよー!」

「ちょっ、まっ! 帰って来ていきなりヘッドロックは! 当たってる! 当たってるからぁぁぁぁぁぁッ!!」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!!

と走る音が聞こえる。こらこら。家の中は走っちゃいけませんよ。

「姫矢君! 大変だよ! って何してるの…」

「見た通りに制裁喰らってる…。つーかマジで痛い! 離してください!」

「ちぇっ」

ちぇっって言ったよこの人。

「で、何。そんな急いでどうしたんだ、穂高?」

「テレビ!」

「え?」

急いでテレビを見る。

『泊 進ノ介、殉職』

「はっ…?」

何、言ってんだ? 泊さんが、死んだ?

「姫矢、君?」

「……」

嘘だろ。嘘だって言えよ!

膝から崩れ落ちそうになるのを堪える。

そのときポケットに何か入ってるのに気付いた。なんだこれ…?。

「……ッ!? ドリームべガス…!?」

かつて俺が共に戦ったシフトカー、ドリームべガスが入っていた。

なんでお前が俺のポケットにいんだよ…!?

俺の手の上で跳ねるべガス。何を伝えたい!? お前は何故ここにいる!?

…まさか。

「…悪い、穂高。明日、学校休む」

「え、どうするの?」

「泊さんの配属されてる場所に知り合いがいる。それで話を聞いたりする」

「つまりサボると?」

「━━━っ。先生…」

「高校1年でサボりとは感心しないわね」

「それでも…。それでも俺が行かなきゃいけない気がするんです!」

あの人は俺にとって数少ないヒーローというか、尊敬できる人で、大切な人なのだ。俺はあの人ともっと話したいし、一緒に戦いたい。そう思える人なのだ。

「なら私も行きます」

「ほ、穂高」

「私が監視役になればなんの問題もないですよね?」

「問題は大ありだけど…。穂高がついていくならいいわ」

「ありがとうございます!」

なんかいろいろひどかった気がするけど、とりあえずあそこに行こう。特殊状況事件捜査科。通称、特状科に。

 

特殊状況事件捜査科。通称、特状科は機械生命体ロイミュードが引き起こす事件を解決するために設立された。

中学3年のときにロイミュードや異世界生物であるインベスと戦ったため俺も成り行きで情報提供していたりしている。

そのため、俺の居場所の1つと言えるかもしれない。

「すいません、詩島さんはいますか」

「詩島さんですね…。特状科にいるようです」

「ありがとうございます」

俺と穂高は許可証を貰い、特状科のドアを開いた。

「詩島さん!」

「!? 姫矢君!?」

詩島霧子さん。泊さんのバディで変身した当初から知っている数少ないドライブの協力者だ。

「唐突ですみません。いきなりだし失礼なのはわかっているのですが、泊さんに会わせてください」

「…なんでですか」

「こいつが…俺のポケットにいたんです」

「べガス…!?」

「何かの希望があるんだと思います」

「…こっちに来てください」

「はい!」

 

階段を降りるなか、俺は穂高に聞いた。

「…穂高、大丈夫か?」

「なんで?」

「これから一応死体を見るんだぜ? 大丈夫かなって思ってさ」

「大丈夫」

「そうか」

「だって…」

穂高が手を握ってくる。

「ほ、穂高!?」

「姫矢君がいるから…」

こんな時に何言ってるんですか穂高!?

おもわず顔が熱くなってしまう。

「そ、それならいいんだけど…」

「「……」」

やべぇ。何も言えない。どうしよう…。

「…何をしてるんですか?」

「え!? いや、別に!?」

慌てて手が離れる。もうちょっとこうしたかったような…。

って何考えてんだ俺は! 今は重要な時だろうが! シャキっとしろ!

「…ここです」

慰安室。それもそうか。死んでる人間だもんな。

「泊さん…」

泊さんはベルトさんを着けたままそこに眠っていた。

「…ねぇ、姫矢君」

「なんだよ」

「なんで、えーっと泊さん? はベルト着けっぱなしなの?」

「えっ」

よく考えてみればそうだ。なんで死体にベルトさんが着いてんだよおかしいだろ。

「何故か外れないんです。クリムも機能停止しているのに…」

クリム…ベルトさんも動いてないのに外れない。やっぱり何かあるのだろう。

ん? 待てよ?

「…なんで死体なのに腐敗が始まってないんだ?」

よくよく考えたら死体特有の臭いもない。腐敗もしてない…。

「…もしかして2人ともまだ生きてるのか?」

「「えっ」」

「機能停止しているのに外れないベルトさん。殉職して1日経っているのに腐敗しない死体。やっぱり生きてるんじゃないかなぁ、これ」

「で、でも脈だってないし冷たいんですよ!」

「そうですね。だけど腐ってない。つまりここから生き返らせることは、できる」

「じゃあ、ベルトさん…? が生命維持装置になってるの?」

「そういうこと。だから結論を言えば━━━

 

━━━ベルトさんを起動させれば泊さんも生き返る」

 

べガス…。お前、俺を連れてきた意味はこういうことか。

「でも問題はどうやってベルトさんを起動させるかなんだよぁ」

「根本的解決になってなかった!?」

「文句言うなよ穂高。俺はそういう系統は苦手なんだ」

「皆見てー!」

「!? りんなさん!?」

りんなさん。ドライブ…いや、特状科の開発担当でどんより探知機とか重加速でも動けるようになる『ピコピコくん』を作り出した若き天才ってやつである。最近の悩みは彼氏がいないこと。

あ、いえ、なんでもないです。

「あれ? 純君来てたんだ」

「はい。べガスに呼ばれて…。それより何を見せたいんですか?」

「これ」

タブレットを見せてくる。

「これって…俺たちが探してたベルトさん復活の方法!?」

「あれ? 気付いてたんだ?」

「姫矢君が…。泊さんに劣らない推理でした」

「将来は警察官だね」

「俺の未来勝手に決めないでくださいよ! それにそんな緩くない職業向いてませんから!」

「つれないねー。でも純君に向いてるのは確かだよ」

「どこが!?」

「姫矢君正義感だけは強い気がするよ…。なんだろう。自分が信じる道は、何があっても曲げない、とか」

「だから警察官に向いてると?」

それは間違ってる。俺はそんな強い人間じゃない。

でも、そういう人である泊さんには…憧れるけど。

「で、りんなさん。俺が警察とかの話はいいんです。ベルトさん復活させないとマジで泊さん死にますよ」

「そうだったね! じゃあ説明するよ…」

 

1時間後。俺らは特状科の外。つまり、教習所に来ていた。

「トライドロンをマックススピードで走らせてシフトトライドロンを完成。その力でベルトさん復活ねぇ…」

よくわからない。どうやってそんな方法で復活するんだろうか。

「説明してあげようか?」

「結構です」

りんなさんの目がキラキラしてた。こういうときはマジで危ない。

「でも、信じられるんですか? そのミスターXってやつは」

「わからない。でも少しでも希望があるのなら」

「やるしかない…」

トライドロン。ドライブのサポートマシンで車。

ライダーってバイクじゃないの? と、言われるがそれは間違いだ。ライダー、つまり、乗る人という意味なので別に車でもいいのである。

以上俺のいらない考察終わり。

運転手は詩島さん。助手席に泊さん。

トライドロンが走り出す。ベルトさん復活の始まりだ。

と、金色の怪人が行く先に見えた。

「アイツは!?」

「001…!」

……ッ! アイツが泊さんを殺した張本人…!

俺は叫んだ。

「来い、ドア銃!」

トライドロンからドア型の銃が飛んできて俺の手に収まる。

味方の1人であるチェイスもベルトを腰に巻きつけ変身した。

「変身…!」

仮面ライダーチェイサー。ドライブやもう1人のライダー、マッハと違ってパワー型の仮面ライダーだ。鈍い銀色と紫色がクールでカッコいい。

「俺が前に出る。後ろは頼むぞ、純」

「わーってるよ!」

ドア銃とシンゴウアックスをそれぞれ構える。

「「行くぞ!」」

邪魔は絶対にさせない!

「姫矢君!」

俺は穂高の声を無視してドア銃の射程内に入る。

すこしでもダメージを与えるためにあらかじめべガスを入れておく。

ディメンションキャブも準備OKだ。

トリガーに指をかけ躊躇いなく撃つ。

銀色の光弾が襲うが、その前に金色のオーラにかき消されてしまった。

足りないなら火力を上げるまで!

「行くぞ、べガス! フルスロットルだ!」

べガスのヘッドライトが光る。

弾数は減るけど火力がないんじゃ意味がない。

チェイサーはシンゴウアックスで斬りつけているのだがこっちも金色のオーラに防がれてしまっている。

「チェイサー! 最大火力で!」

相手が余裕ぶって手を出さない今のうちなら!

『ヒッサツ! フルスロットル! マッテローヨ!』

シンゴウアックスにエネルギーが溜まる。

ドア銃の銃口が銀色に輝く。

『イッテイイーヨ!』

その電子音声と共に互いのトリガーを引く。

俺は心の中で叫んだ。

(頼むぜ! キャブ!)

時空を操るキャブに弾を転送させ一番オーラが薄いところに当てさせた!

シンゴウアックスとドア銃ので少しはダメージを与えられたらしい。

『…小賢しいな』

「…何?」

『ただの人間が、下級ロイミュードが、超進化態の私に抗うとわな!』

金色のオーラが弾け俺とチェイサーは吹っ飛ばされてしまう。

「ぐあッ…!」

「くっ…!」

「姫矢君!」

「チェイス!」

穂高とりんなさんの声が聞こえるが立てない。

と、001はその手を走っているトライドロンに向けた。

「……ッ! やめろォォォォォォォッ!」

俺の声も虚しく、相手を絶対に絶命させる一撃が、トライドロンに直撃した。

爆発。

俺の前で起きたことは、信じたくもないことだった。

「くっ、そがァァァァァァァッ!」

立ち上がってドア銃を向けるが氷の針に弾かれてしまう。

べガスはドア銃の中。つまり今の俺に戦うことはできない。

チェイスも変身が解けている。

…ここまでかよ…ッ!

『仮面ライダーもいない! 私に敵う人間もいない! これで人間も終わりだ!』

「本当にそうかな?」

『何?』

「は…?」

俺はありえない声を聞いて顔を上げた。

詩島さんの笑顔を見て、その人も笑う。

「その笑顔を見れただけでも、帰って来た意味があった」

『何故だ! 何故貴様が生きている! 泊 進ノ介!』

「ギリギリで間に合ったのさ。純と、チェイスのおかげでな」

『ナイスドライブだよ2人とも。あとは私たちに任せたまえ』

ベルトさんも復活している。でも泊さんの口からベルトさんの声が聞こえたような…。

「行くぜ、フリーズ。これで終わらせる」

『Start your engine!』

泊さんは新しいシフトカー、シフトトライドロンのボタンを押した。

『Fire! All engine!』

シフトブレスに挿入する。

「『変身!』」

シフトトライドロンをシフトアップさせる。

『DRIVE! Type-Tridoron!』

トライドロンが分解し泊さんの周りに集まり、その姿を変えさせた。

あれが、ドライブ タイプトライドロン。

泊さんとベルトさん、仮面ライダードライブの新しい力…!

「フルスロットルで行くぜ!」

パンチを浴びさせる。よろける001。すげぇ。ダメージを簡単に与えてる!

『なっ…!? バカな!』

「今の俺はベルトさんと心が1つ。負けるわけがない!」

『ふざけるな!』

001が上空に飛び上がった。

『ふむ…。運転を替わろう』

ベルトさんがそう言うと目の色が黄色から赤に変わった。

相手の氷攻撃を静かに弾いていく。

埒が明かないと思ったのか地上に戻り格闘戦を仕掛けてくる。

が、静な━━━いつもの動きを動というなら━━━静の動きで001を圧倒していく。

転がる001。目が黄色に戻るドライブ。

まさか、今のはベルトさんが泊さんの体を動かしてたのか…!?

これが泊さんとベルトさんの融合。

最強のドライブか…ッ!

「次はこいつで行くぜ」

シフトトライドロンのボタンを押す。

『カモン! フレア! シャドー! スパイク!』

シフトアップ。

『タイヤカキマゼール! Attack! 1! 2! 3!』

3つのタイヤが混ざった…!?

ドライブが3人に分身しトゲで牽制。そして炎のパンチで相手を怯ませた!

そうか! タイヤを混ぜることによって複数の能力が使えるようになったのか! 今まで1つしか使えなかったというデメリットを回避してる!

と、001が立ち上がりその手をドライブに向けていた。

「やらせるかよッ!」

俺はドア銃を拾い上げその手を目掛けて撃った。

『グアッ!』

「泊さん、今です!」

「ああ! 決めるぜ! 来い、トレーラー砲!」

トレーラー型の大砲がドライブの手に収まる。

上にシフトスピードをセット。

『スピード砲!』

シフトブレスからシフトトライドロンを外し、ボタンを押す。

『Fire! All engine!』

トレーラー砲の中に入れる。

『ヒッサーツ! フルスロットル! フルフルスピードビッグ大砲!』

「喰らえッ!」

トレーラー砲のトリガーが引かれトライドロン型のエネルギーが001に直撃する。

爆発。

が、コアだけ残っていた。

「何!?」

『真犯人は…私ではないぞ? 泊 進ノ介』

「え…?」

『フハハハハ…。ハーッハッハッハッ!』

笑いながらついにコアも爆散した。

事件、解決。

俺はそこに倒れてしまうのであった。

 

解放されたのは空が暗くなっているころだった。

その間、始末書(何故俺と穂高まで)とかケガの治療とかで気づいたらこの時間だった。

「ふぃー…」

「姫矢君、無茶しすぎ」

「それぐらい守りたかったんだよ」

それに、奇跡を消させないために。

「何を守りたかったの?」

「奇跡とか、人の命、あと…。穂高、とか」

「……っ!?」

やっべぇ恥ずかしい何言ってんだよ俺ー!

でも本音なんだよな。あそこで負けたら、穂高を守れないと思って。だから無茶したんだと思う。

…我ながらマジで恥ずかしい。

「…だったら」

「?」

「ちゃんと、守ってね…」

「あ、ああ…」

互いの顔を見れないまま帰路につく俺ら。

でも何故か。

少し、誇らしいと思う俺がいた。




つーわけで前半日常後半異常でお送りしました。
なんでMOVIE大戦 フルスロットルを休み時間したかまぁまぁわかったと思います。休み時間は、本編に繋がる…。
そう言いましたしね。
次こそ休み時間なので(たぶん)待っててねー!
それじゃ、あばよ

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