絶対ナル拒絶者<リジェクター> (凍結) 作:NowHunt
あ、アリアの方は最後だけどね。
そして、みなさん久しぶりです。覚えている方おられますか?
奉仕部を退部してから最近、総武高で行方不明者が出ている。
被害にあったのは、3年、2年、1年の女子生徒、計7名。
世間では大ニュースだ。
そのせいで、今マスコミや警察がうるさく、先生たちは必死に対応に追われていて校内は慌ただしい。
その中には……雪ノ下雪乃もいる。
クラスでは、
「雪ノ下さんもいなくなった……?」
「ヤバくない!?」
「ああ……、心配だ」
「ゆきのん……」
などと、葉山グループが話しているのが耳に入る。もう今の話題はこの事件一色だ。
俺は、俺はあいつらを拒絶した。だから、もう、関係ない。
「あ、八幡。おはよ」
机で寝そべっていると、ジャージ姿の戸塚が寄ってくる。
「おお、おはよ」
「雪ノ下さんもいなくなったんだよね」
「……らしいな」
「見つかるといいね」
その言葉に俺は反応できなかった。
戸塚が反応しないことに不振に思ったが、ちょうどチャイムが鳴り響いた。
「あ、じゃあ僕はこれで」
「おお」
そして、時間は過ぎて放課後。
授業の半数が自習になるくらい今は落ち着いてないらしい。校門の前には多数の報道記者がいる。その中を生徒は必死に通っている。
何か知っているかマスコミが囃し立てる。特に雪ノ下がいない、雪ノ下建設の次女がいないことも話題だ。
他に知っている人だと、城廻先輩が行方不明だ。
俺は自転車を取りに行き、無理矢理人だかりを突破する。
自転車を漕ぐ。そこである場所に向かう。その途中の道すがら、
「比企谷君」
いつもの仮面はどうしたと言わんばかりの雪ノ下さんがいた。
「どうも」
「どうして雪乃ちゃん、いなくなったの?何か知ってる?ねぇ!」
涙目で訴えかけてくる。
「何も、知りません。あいつとは縁を切りました。完全に。だから、知りません」
うつむき、答える。関係ないことだ。俺は知らない。
「………そう。もし!…もし何かわかったら連絡して、ね」
そう言い残し雪ノ下さんは車に乗り、どこかに行ってしまった。
その去り際、車の中にいた雪ノ下さんが俺に向かって口を開く。
「お願い」
と。
何も動けず、その場に立ち尽くしていた。
俺は目的の場所に着く。
そこは、俺が学校に行くときに何度か通る近道だ。そこには誰もいなさそうな8階建ての廃ビルがある。
「これは、雪ノ下建設?」
廃ビルの看板には雪ノ下建設が管理している。一般人は立ち入り禁止。だが、どうみても管理を放棄してそうな雰囲気だ。雪ノ下さんはこれを知っているのか?
この廃ビルからやけに獣臭がする。普通なら気にならないが、なぜか五感が良くなり、そのおかげか気づくことができた。
特にすることなど今の俺にはない。だから、ちょっとした好奇心で中を覗くことにした。
自転車を置き、階段を登っていく。明かりは外から入る夕日だけだ。そんな薄暗いビルを進む。
「うっ…」
歩くとさらに匂いが濃くなる。獣臭がひどい。この匂いの源は?
ーー俺は辿り着いた。
6階に上がるとそこには…………………総武高の女子生徒の制服。
「………マジか」
まだこれだけでは証拠にはならない、と思ったから、もう少し進む。
…………?
俺の耳から微かな音が聞こえる。カタコトと。
音の発生源はもっと上からだ。行ってみるか。
「ううっ。寒っ」
もう冬なのだ。しかも一番冷え込む時間帯。マフラーを首に巻き、階段を登る。
ーー8階、最上階。
見渡す限り窓ガラスが割れている。そして、もう夕日も沈み、辺りが暗い。入ってくるのは月光だ。
ここからかなり寒くなっている。ポケットに手を突っ込み歩く。
パキ、パキとガラスを踏みながら歩く。
「………………なっ!?」
ようやく匂いの発生源まで来た。
これは…………下着姿の女子生徒が固まっている、並んで凍っている。全員行方不明者だ。………もちろん雪ノ下もいる。
ど、どうなっている?なんで氷漬けに?
それに、もう亡くなっている。肌があまりにも白すぎる。息も、していない。
「ひ、比企谷、君……」
「あっ!」
………いや、昨日行方不明になった女子生徒。…………城廻先輩だけ息がある。まだ完全に凍りきってない。顔は凍ってなく無事だ。
助けようと城廻先輩に触れる。
冷たい。冷たすぎる。どうすればいい?どうするのが最善だ?どうすれば?何をすれば?
ーーーーその時。
「あっ。あぁっ!」
一瞬で氷が溶けた。今度は熱い。水が沸騰したのか。凍傷か火傷は確実だ。
とりあえずブレザーを被せ、マフラーを巻く。
これでいいのかわからない。早く病院に………。
「ん?」
ーー音がする。
コツ、コツ、コツ。足音がする。
「アハハ、ダメじゃないか。せっかくあともうすぐで氷の彫刻が完成しそうだったのに。美しい城廻先輩の。1日かけてゆっくりと仕込んだのに、君が触れたらダメだろ。僕以外触れたらダメなのに。また1からだ」
影から現れる。この声はかなり聞いた。今朝も、夏休みも、文化祭も、そして修学旅行も。
金髪の皆の王子様。
「ああ……。雪乃ちゃんは可愛いな。これを成功させるのに何回も後輩や先輩を使ったな」
薄っぺらい仮面の王者。
「やあ、比企谷」
「ーー葉山隼人」
これからものんびり投稿しまーす。