絶対ナル拒絶者<リジェクター> (凍結)   作:NowHunt

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今年最後の投稿と言ったな?あれは嘘だ。
あ、アリアの方は最後だけどね。

そして、みなさん久しぶりです。覚えている方おられますか?


その4

奉仕部を退部してから最近、総武高で行方不明者が出ている。

 

被害にあったのは、3年、2年、1年の女子生徒、計7名。

 

世間では大ニュースだ。

 

そのせいで、今マスコミや警察がうるさく、先生たちは必死に対応に追われていて校内は慌ただしい。

 

 

その中には……雪ノ下雪乃もいる。

 

クラスでは、

 

「雪ノ下さんもいなくなった……?」

 

「ヤバくない!?」

 

「ああ……、心配だ」 

 

「ゆきのん……」

 

などと、葉山グループが話しているのが耳に入る。もう今の話題はこの事件一色だ。

 

俺は、俺はあいつらを拒絶した。だから、もう、関係ない。

 

「あ、八幡。おはよ」

 

机で寝そべっていると、ジャージ姿の戸塚が寄ってくる。

 

「おお、おはよ」

 

「雪ノ下さんもいなくなったんだよね」

 

「……らしいな」

 

「見つかるといいね」

 

その言葉に俺は反応できなかった。

 

戸塚が反応しないことに不振に思ったが、ちょうどチャイムが鳴り響いた。

 

「あ、じゃあ僕はこれで」

 

「おお」

 

 

そして、時間は過ぎて放課後。

 

授業の半数が自習になるくらい今は落ち着いてないらしい。校門の前には多数の報道記者がいる。その中を生徒は必死に通っている。

 

何か知っているかマスコミが囃し立てる。特に雪ノ下がいない、雪ノ下建設の次女がいないことも話題だ。

 

他に知っている人だと、城廻先輩が行方不明だ。

 

 

 

 

俺は自転車を取りに行き、無理矢理人だかりを突破する。

 

自転車を漕ぐ。そこである場所に向かう。その途中の道すがら、

 

「比企谷君」

 

いつもの仮面はどうしたと言わんばかりの雪ノ下さんがいた。

 

「どうも」

 

「どうして雪乃ちゃん、いなくなったの?何か知ってる?ねぇ!」

 

涙目で訴えかけてくる。

 

「何も、知りません。あいつとは縁を切りました。完全に。だから、知りません」

 

うつむき、答える。関係ないことだ。俺は知らない。

 

「………そう。もし!…もし何かわかったら連絡して、ね」

 

そう言い残し雪ノ下さんは車に乗り、どこかに行ってしまった。

 

その去り際、車の中にいた雪ノ下さんが俺に向かって口を開く。

 

「お願い」  

 

と。

 

何も動けず、その場に立ち尽くしていた。 

 

 

 

 

俺は目的の場所に着く。

 

そこは、俺が学校に行くときに何度か通る近道だ。そこには誰もいなさそうな8階建ての廃ビルがある。

 

「これは、雪ノ下建設?」

 

廃ビルの看板には雪ノ下建設が管理している。一般人は立ち入り禁止。だが、どうみても管理を放棄してそうな雰囲気だ。雪ノ下さんはこれを知っているのか?

 

 

この廃ビルからやけに獣臭がする。普通なら気にならないが、なぜか五感が良くなり、そのおかげか気づくことができた。

 

特にすることなど今の俺にはない。だから、ちょっとした好奇心で中を覗くことにした。

 

自転車を置き、階段を登っていく。明かりは外から入る夕日だけだ。そんな薄暗いビルを進む。

 

 

 

「うっ…」

 

歩くとさらに匂いが濃くなる。獣臭がひどい。この匂いの源は?

 

 

ーー俺は辿り着いた。

 

6階に上がるとそこには…………………総武高の女子生徒の制服。

 

「………マジか」

 

まだこれだけでは証拠にはならない、と思ったから、もう少し進む。

 

…………?

 

俺の耳から微かな音が聞こえる。カタコトと。

 

音の発生源はもっと上からだ。行ってみるか。

 

「ううっ。寒っ」

 

もう冬なのだ。しかも一番冷え込む時間帯。マフラーを首に巻き、階段を登る。

 

 

 

 

 

 

ーー8階、最上階。

 

見渡す限り窓ガラスが割れている。そして、もう夕日も沈み、辺りが暗い。入ってくるのは月光だ。

 

ここからかなり寒くなっている。ポケットに手を突っ込み歩く。

 

パキ、パキとガラスを踏みながら歩く。

 

 

 

 

 

「………………なっ!?」

 

ようやく匂いの発生源まで来た。

 

これは…………下着姿の女子生徒が固まっている、並んで凍っている。全員行方不明者だ。………もちろん雪ノ下もいる。

 

ど、どうなっている?なんで氷漬けに?

 

それに、もう亡くなっている。肌があまりにも白すぎる。息も、していない。

   

 

 

「ひ、比企谷、君……」

 

「あっ!」

 

………いや、昨日行方不明になった女子生徒。…………城廻先輩だけ息がある。まだ完全に凍りきってない。顔は凍ってなく無事だ。

 

助けようと城廻先輩に触れる。

 

冷たい。冷たすぎる。どうすればいい?どうするのが最善だ?どうすれば?何をすれば?

 

 

 

ーーーーその時。

 

「あっ。あぁっ!」

 

一瞬で氷が溶けた。今度は熱い。水が沸騰したのか。凍傷か火傷は確実だ。

 

とりあえずブレザーを被せ、マフラーを巻く。

 

これでいいのかわからない。早く病院に………。

 

「ん?」

 

ーー音がする。

 

コツ、コツ、コツ。足音がする。

 

 

 

「アハハ、ダメじゃないか。せっかくあともうすぐで氷の彫刻が完成しそうだったのに。美しい城廻先輩の。1日かけてゆっくりと仕込んだのに、君が触れたらダメだろ。僕以外触れたらダメなのに。また1からだ」

 

影から現れる。この声はかなり聞いた。今朝も、夏休みも、文化祭も、そして修学旅行も。

 

金髪の皆の王子様。 

 

「ああ……。雪乃ちゃんは可愛いな。これを成功させるのに何回も後輩や先輩を使ったな」

 

薄っぺらい仮面の王者。

 

「やあ、比企谷」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー葉山隼人」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これからものんびり投稿しまーす。

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