不健全鎮守府   作:犬魚

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ifエンド回も書いてはいるものの、とりあえず先にこちら、すぐお持ちしまーす

【登場人物】

提督(メガネ男子)
毎日の血圧チェックに朝からうんざりしてる系男子

早霜(ハヤシ)
提督からは対・妖怪のスペシャリストと信頼が厚い駆逐艦
妖怪語ペラペラの妖怪語ネイティブらしい


提督と立春の日

「今日も元気だウ●コもぶっとい〜♪」

 

「…おはようございます」ボソボソ…

 

どんなダセぇヤツにでも必ずある、たった一度の今日と言う日…

日々、明日を捨てた今日を生きる事について考えつつトイレで朝の排泄ア●メをキメて執務室に行くと、知らない子?が深々と頭を下げてアイサツをキメていた…

 

「…おはよう、キミは…?キタローくん?」

 

「…早霜です」ボソボソ…

 

「あぁ、そうか、いや、そうだな、ハハ…いつもと服装が違うから少し戸惑ってしまったのだよ」

 

この基地の仲間達は皆“家族(ファミリー)”じゃねぇか!グラララ、“家族(ファミリー)”を忘れたり間違えたりはしねぇよ?俺は、うん

俺はキタローくんにチャーミングな服だねとイケメン特有のフォローを入れつつ努めて平静に椅子に座った

 

「…で?なんでまた朝からキタローくんが…?と言うか、サミー子は遅刻か、けしからんな」

 

「…五月雨さんなら今日は体調があまり良くないのでお休みするそうです」ボソボソ…

 

キタローくん曰く、朝、食堂に来ていた寒色系秘書艦のサミー子が鼻水と咳を患っていたので体調がおもわしくない状態であれば今日は自分が秘書艦業務を代わりましょうと言ってくれたそうな

よく見たらケイタイにメールが来ていたな……たぶんサミーだろう

 

「そうか、なら今日はキタローくんにお願いしないとな!」

 

「…はい」ボソボソ…

 

俺はとりあえず机に置かれた今日の基地スポを広げ…

 

「とりあえずお茶でも…」

 

「…お茶です」ボソボソ…

 

早いッッッ!!まるで俺が普段から朝は基地スポを読みつつアツゥイお茶を飲むコトを日課の紳士道としているのを熟知しているかのような速さ…ッ!

普段ならばオイ、茶と言ってからめんどくさげなツラしてグツグツ煮えたったマグマのような茶が出てくるのに…

 

まるで数秒時間が飛んだような奇妙な感覚……

 

「あ、あぁ、ありがとう」

 

「…いえ」ボソボソ…

 

キタローくんは何事も無かったかのように秘書艦席に戻り書類ケースの中に入っている書類に目を通し始めた…

 

どうやらキタローくんは見た目に違わず真面目な子のようだ…

駆逐艦のキッズと言えば基本、バカガキかアホガキしか居ないイメージだがたまにこーゆー真面目で良い子がいるものだ

 

ゴン!ゴン!(ノックしてもしもし)

 

「入って、どうぞ」

 

俺の返答の後、執務室の重厚な扉が開き入ってきたのは自称キラッキラのアイドル(自称)を名乗る異常者モモタス…

 

「マネ!昨日の公民館なんで来なかったの!?」

 

「忙しいからだ」

 

「ハァ?忙しい…?マネ!忙しいからって担当アイドルを1人で送り出すとかありえなくない!?」

 

「やかましい、いいですかモモタスさん、アイドルにはランクと言うものがあります、ブロンズ・シルバー・ゴールド……シルバーやゴールドとなればそれなりのハコやステージで仕事する事になりますのでアイドル1人に行かせては問題がありますが、主な仕事が近所の公民館でジジババの相手をするのがメインのモモタスさんには基本的にマネージャーは同行しません、たしかに私はモモタスさんは担当ではありますがモモタスさん専属と言うワケではありません、ハッキリと言わせてもらえばモモタスさんはその他大勢の1人にすぎないのです、ここまではよろしいですか?」

 

「…………お、オウヨ!」

 

わかってねぇなコイツ、だがそれでいい、この手のアホンダラには反撃のゆとりを与えない怒涛のラッシュが有効打であると古事記にもある

 

「わかったら消えろ、お前はつまらん」

 

「ハァ!?つまらんってナニ!!つまらんって!頭きた!殴ってやる!」

 

「殴る…?バカめ、お前は既に俺の射程内だ、教えてやろう…艦娘は提督には決して勝てないと言うコトをな!」

 

俺は椅子からゆらぁ〜っと立ち上がり右手のコンディションを確かめる………うむ、良好だ

射程内とは言ったものの、俺の必殺圏は射程2メートル以内、頭にきたとか言ってズカズカ歩いてくるモモタスが2メートルの範囲に入ってくるにはまだ余裕がある、もう少しだ、もうほんのちょっぴり怒りに任せて歩いてきたらスネークバ●トでそのエ●ゲ顔を壁にメリ込ませてやる

 

「…っと、あぶない」

 

「…なにっ!」

 

な、なんだぁ!コイツ!!俺の射程に入らず立ち止まっただと!?バカな……ありえない、コイツにそんな知能があるとは………?いや、まさか本能!これ以上踏み込むのは危険と頭ではなく本能で察知した?コイツ………“本能型”か…ッ!!

 

「ふっふっふ、テイトクに近付くのはキケン!桃知ってるんだから」

 

「なにィ…?誰だ?誰がキサマにそんな入知恵をした?」

 

「答える必要はない」

 

モモタスは勝ち誇ったように三流アイドル顔でにやけた

なるほど、どうやらモモタスと言うアイドル(自称)の認識を少し改めねばなるまい

 

俺は胸ポケから黒バラを取り出してモモタスに投げた

 

「痛いっ!!」

 

「ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!」

 

「痛いっー!!痛い痛い痛い!!ナニそのバラ!地味に超痛い!!」

 

「バカめ、俺を掴み技しかない投げキャラだとでも思ったか?残念だか提督には飛び道具が実装されている」

 

ピラ●アンローズ(↓↘→+Pボタン)

提督戦法の基本技の1つ、所謂波●拳であり、軌道は一直線だが弾速が速く、カ●ザーウェイブ以外の飛び技は全部貫通する驚異の貫通性があり、キャラによっては画面端で連射されているだけで詰みかねない

 

「クッ!喰らえ!桃ビームー!!」

 

桃ビーム(↓↘→+Pボタン)

モモタス戦法の基本技の1つ、キラキラを発射するらしい、弾速も射程もなく発生も遅い死に技だがたまに画面を埋め尽くす極太レーザーがでる可能性があるらしいが実装はされなかった(データ内に没データがある)

 

「あ!なんかでた!」

 

モモタスの前にキラキラしたナニかが出てきて1メートルほどフォーク気味に前に進んで消えた…

 

「ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!」

 

「だから痛い!!痛いってば!やめてよ!!桃にバラ投げるのやめて!!ハッ…!いや、アイドルが花を投げられるのはむしろ当然のコトなのでは?ま、まさかマネ、マネは……私にそれを教える為にあえて桃に嫌われる悪役を!い、痛いっ!たしかにこのバラは痛いけどバラを通してマネの哀しみが伝わってくる気がする、そうだ…!投げバラは己の愛を表現するものだと教えてくれたのはマネだった…!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「わかったわマネ!桃は今日こそマネを超えてみせ……って、痛い!!」

 

「ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!」

 

「痛い痛い痛い痛い痛い!!ちょ!待って!痛いから!ホント痛い!」

 

◇◇◇◇◇

 

朝っぱらやって来た自称アイドルを撃退し、今日のランチはナニにするかね?とキタローくんと話をしていたら、再び執務室の重厚な扉を叩き、新たなる挑戦者がやって来た…

 

「うりーっすテイトク」

 

「なんだ?秋雲か…」

 

「なんだとはなんすか?なんだとは、秋雲さんが秋雲さんじゃあいけないんすか?」

 

自称、史上最もアツかりし少年漫画家(自称)秋雲…

金やちやほやしてもらいたいからではない、読んでもらいたいから漫画を描いている!と断言するアツい熱意を持っており、本人は艦娘なんかさっさと辞めて憧れの週刊少年ジ●ンプで連載したいと考え、日々努力している…

 

「なんだ?新作か?エロいの描いてきたか?」

 

「エロいのなんか描いてねぇっすよ、っーか山田ゼレフのせいで最近ストレス溜まるモンばっか描かされてるし」

 

「なんだ、ジ●ンプ持ち込む漫画描いてないのか?」

 

「ヒマがねぇんすよ、山田ゼレフのコミカライズで」

 

まぁ秋雲としてはそいつはかなりストレスが溜まるだろう

 

「テイトク、メシまだっしょ?今から秋雲組で会議がてらランチするからテイトクもきてネタと金出してください」

 

「ハハッ、遠慮がないな!」

 

だがそれでいい、秋雲は常に自由であるべきだ、そう!まるで秋の雲のように薄く、水平に流れるように…

 

「いいだろう」

 

「…私も同行しても?」ボソボソ…

 

「うおっ!早霜じゃねーっすか?アンタさんいつから居たんすか?」

 

「…最初からよ」ボソボソ…

 

「まぁ、別にアンタさんが居ても問題なしこちゃんっす、ガッハッハッハ」

ーーーーー

 

「秋雲さんはカツ丼大盛り、夕雲姉サンは?」

 

「では私もカツ丼で、巻雲さんは?」

 

「じゃ、私もカツ丼で、風雲は?」

 

「私は〜………もりそばで」

 

「カーッ!!風雲ォ!風雲風雲風雲よォ!テイトクのオゴリなんすからそんなケチなモンじゃなくてもっと攻めてイイんすよ!もっと!ほら、このシャトーブリアンのやつとか超美味そう!ってかコレ頼んで秋雲さんにも一切れください」

 

史上最もアツかりし少年漫画家(自称)をサポートする最高のアシスタント集団、通称、秋雲組…

トーン、背景、お茶汲みなどあらゆる面で秋雲をサポートし、秋雲を“夢”を叶えるべく苦楽を共にしている

 

「キタローくんも好きなものを食べてくれて構わんよ」

 

「…では私はBLTサンドで」ボソボソ…

 

基地食堂でもあり甘いモノも辛いモノも取り扱う本格派スイーツショップ、マミー屋…

その…マミー屋に集まった秋雲組の面子と俺とキタローくんはとりあえずランチを注文して席に座った

 

もちロン、注文する際に間宮に、よっ!いい尻してるね!おじさんもうギンギンだよ!と小粋なテイトクジョークを交えつつ上司と部下のコミュニケーションをとるコトを忘れなかったがね!

 

「えー…では皆さん、えー…今日は秋雲さんの為にアリガトウ、えー…こんな秋雲さんなのにアリガトウ」ペコォ…

 

「秋雲さんならイケます」

 

「そうです、自信を持って!」

 

「秋雲の漫画は面白いよ!きっとジ●ンプで連載できるって!」

 

「お、オマエらぁ…!」ポロポロ…

 

コイツらホントに仲良いな、しかし、何故その美しい連携を対深海棲艦との戦いに活かすコトができないのか…

 

「みんなアリガトウ…!心からアリガトウ!謝りたいと感じているからアリガトウ!秋雲さんはこれからも男を描き続けます!」

 

「もうジャ●プで連載目指すのやめてコミックアン●アルにしとけよ、そっちの方が売れるぞ」

 

「イヤっす、秋雲さんは週刊少年ジャ●プで連載したいんすよ!月刊でもフレッシュでもビジネスでもない!週刊少年ジャ●プなんすよ!!」

 

「月刊もフレッシュもビジネスももうねぇよ」

 

まぁ、秋雲の週刊少年ジャ●プへの信仰は提督もわからなくないがね…

少年達に大切なものを教えてくれたのは教科書だけじゃあない、友情・努力・勝利を教えてくれるのは何時だってジャ●プなのだ…

 

「だがそれでいい」ニコォ…

 

「て、テイトクェ…!」ポロポロ…

 

秋雲は俺の手をアツくガッチリと掴み、アリガトウ!こんな秋雲さんにアリガトウ!とアツいNAMIDAを流した

 

「秋雲さんがジャ●プで連載してアニメ化したらケッコンしてください」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

「えー!そこはお清楚に、喜んでー!とか言って恥じらいを含んだ返答するトコっすよー、ガッハッハ!」

 

「マジ?ガハハハハ!」

 

俺たちは小粋なジョークで笑いつつ互いの背中をバシバシ叩きあった

 

「…秋雲、死ねばいいのに、死ねばいいのに、死ねばいいのに、死ねばいいのに…今すぐ提督に触れるその穢らわしい手を掴んでうずまきにしてやりたい…」ボソボソ…

 

殺意…………!!いや、そんな生温いモノではないものを一瞬感じたが気のせいだったか?

 

「どうかしたかね?キタローくん」

 

「なんかうずまきとか聞こえた気がしたっすけど……あ、そーいやテイトク、うますぎソフトって知ってるすか?」

 

「うずまきソフトだろ、ナニ言ってんだオマエ、イカレてんのか?」







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