【登場人物】
提督(クズの人)
梅雨?明けたんスか…?
五月雨(秘書艦の人)
さぁ?天気にルールは無用でしょ
雨が降っては微妙に晴れ雨が降ってはまた微妙に晴れると言う無間獄に突入中のたった一度の今日と言う日…
今日は珍しく晴れているので基地内を巡回がてらパイオツの大きな美女にセクハラでもするかと歩いていると、基地グラウンドでバカどもがワーワーハシャいでいた…
『コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!』
『オイオーイ!藤波、ちゃんと投げないと相手のエースにケガさせちゃうぞぉ』
…どうやら陽炎姉妹と夕雲姉妹がヤキュウをしているらしい
ピッチャー藤波の投げた球がバッター不知火のあわや頭部直撃になりかねない危険球
たしかに、藤波のコントロールの悪さはわりと有名ではあるが、これは夕雲の指示か………?いや、ないな、夕雲クンはそんなケチな真似はしないだろう、普通に藤波が悪い
『アーッ!不知火のヤロウ!危険球の報復に藤波に向けてバットを投げたー!』
『ナメてんのかテメー!!』
『は?不知火の落ち度とでも?あんな怖い球2球続けて投げられたらバットを握る手に力が入らなくなるのも当然では?』
不知火のヤロウは何事もなかったように投げたバットを拾いに行くと、バットを回収して何事もなくバッターボックスに戻り、あーまたあんな怖い球きたら、またバットを握る手から力が抜けちゃうかもなーとヌケヌケと言った…
これは陽炎の指示か………?いや、間違いないな、ベンチにいる陽炎の顔を見てくださいよ、ほら、なんて悪い顔してるんでしょうね、あの子は
そんなアホンダラどものハリキリベースボールを眺めつつ胸ポッケから取り出したタバコに火を点けてケムリを吸っていると薄着なアメリカ人どもがコンロを囲んでたむろしているのが目についた…
「おーおー、神聖なる海軍基地でバーベキューとはムチャをなさる」
「アラ?Admiralじゃナーイ?」
MAJORから来た最初の刺客にしてアメリカ最強、全米中からとびきりの強ぇヤツが集まるスーパーポリスアカデミー4701名、その、全米の荒くれ者どもを力で抑え頂点に君臨するアメリカでイチバン強ぇヤツだ…
「誰の許可得てバーベキューなんかヤってんだテメーらは」
「ンー?…………it's me?」ニカッ
「なるほどなるほど、HAHAHA」
アイオワにNO!と言えるヤツなどそうはいない……そうはね
アメリカ最強とは“自由”でなければならない、そう、彼女こそ“地上最自由”なのだ…
「まぁいい、後片付けまでちゃんとヤれよ、キチンと片付けるまでがバーベキューだからな」
「Of course、モチロンネ!」
既にバーベキューは狂乱の宴と化しているのだろうか?サウスダコとワシントンがアンアン言いながらメンチを切り合っていたかと思ったら互いの大ジョッキでクロスカウンター・カンパイをキメ、そのままキィーキィー言いつつ掴み合いを始めていた…
『コノヤロー!ブッ●してやる!』
『ハァ?ブッ●す?そのまま返してやるわ!』
『オー!ヤれヤれー!』
『SARA、どっちが勝つと思う?』
『ン~………Princeに10』
『よし!ワタシはMightyに15よ!』
全米ハードパンチャー同士のケンカを肴に博打とはイイ根性してやがるぜ、まったくアメリカさんの海兵の教育はどうなってるのかね
「あ、Admiralね!」
「よぉ、サムくん」
ヤン・キーの集まりであるMAJORきっての良心、サムくん
基本的にガラの悪いMAJORの刺客達だが、サムくんはノーパンツだがとても素直でかわいい子である、きっと将来は良いおワイフさんになるだろう
「AdmiralもBBQ?」
「そんなワケないのだよ、テイトクは陽キャではないからね」
「ヨーキャ?ナニそれ?」
「昼間に外でバーベキューをしていいのは陽気なアメリカンファミリーか陽気なパーティーピープルだけなのだよ」
「?、Admiralのニホンゴはサムにはたまにムズかしいネ!」
「アー………Only cheerful American families or cheerful party people are allowed to barbecue outside during the day、オーケィ?」
「OKネ!」
「HAHAHA!」
俺はサムくんの頭に手を置き、Stand and Fight、立って、そして戦いなさい、とだけ伝えてテーブルに置いてあったBudweiserの缶を1つ手にとってその場をクールに去った………
◇◇◇
雨が降っているようでたまに晴れる今日この頃、この夏に向けて備蓄資材でもチェックしておこうかと考え、書類棚に入っているファイルを取り出していると、執務室の扉を叩く音がしたのでどうぞと返答したらイヤな顔が来た…
「テイトクさん、由良が来てあげましたよー…って、テイトクは?」
「いませんよ」
「なんだ、いないのか………死んだの?」
「さぁ?基地の中をセクハラしつつ練り歩いてるんじゃないですか?」
「ふ~ん」
由良さんは興味なさげに私の回答を聞き流しつつテイトクの執務椅子によっこらしょとか言いながら座って執務机の引き出しをガタガタと引き始めた
「エロ本とか入ってないかしら?ね?」
「エロ本なら一番下の引き出しに入ってますよ、快●天とメガス●ア」
「詳しいじゃない?テイトクとは仲良いの?」
「由良さんとあんま変わらないくらいじゃないですか、たぶん」
とりあえず、由良さんにナニか飲みますか?と尋ねたらコーヒーと言われたので缶コーヒーでいいですかと言って冷蔵庫から缶コーヒーを1つ取り出して由良さんの前に置いてやった
「あれ?サミー子が淹れてくれるんじゃないの?」
「味のわからない人に淹れたくありません」
「あ、そっ」
由良さんは缶コーヒーのフタを開けて一口啜ると苦っと顔をしかめた
「ちなみにナニか用ですか?」
「テイトクさんに?」
「テイトクに用があるから来たのでは?」
「あぁ、用ね………あー………うん、特にないケド?」
「そうですか」
由良さんのめんどくささは今日に始まった事ではないのでイチイチ気にしても仕方ない
「そういや由良さん、最近テイトクが消火器のカタログ見ながらコイツで殴れば由良さんでもKOできっかなーって言ってましたよ、死んだ魚みたいな目で」
「へぇー…そうなんだぁ~…へぇー」
由良さんは缶コーヒーの中身を机の一番人気の引き出しにドボドボと流し込み、缶を握り潰した
「あーあ、怒られますよ」
「由良はそれ以上に怒ってるけど?ね?テイトクはまだ戻って来ないかな?」
「さぁ?今ごろ酒でも飲んでベンチで寝てるんじゃないですか?」
次回からIFエンド回ですって