【登場人物】
提督(メガネ男子)
お前に一目惚れじゃあ!抱くぞ!
ヘレナ(鉄拳の持ち主)
全米屈指のハード・パンチャー、生半可なガードをすると腕がいっぱつで折れる
梅雨入り待ったなしの五月も終わりの執務室…
「ずっと前から好きでしたーッ!」ペコォ…
「Hi Reportを持って来てあげたわよ……って、ナニやってんの?」
もしかして、ヘレナお邪魔だったかしら?と言いつつ手にしたファイルを遠慮がちに執務机に置いたヘレナくんだったが、俺と秘書艦サミー子を交互に見て、なんか思ってたのと違うのでは?とすぐに察してくれた…
「…いや、マジでナニやってんの?」
「見てわからんか?告白の練習なのだよ」
「ハァ?告白……?え?proposeのコト?」
「プロポーズか、フッ、オシャレな言い回しをするとそうとも言うかもな、ハッハッハッハ、ほら!サミーも笑え笑え!外人さんはやはり告白もオシャレなようじゃわい!ガハハハ!」
とりあえずひとしきり大爆笑したところで、秘書艦サミー子にヘレナくんに冷たいティーでも淹れてあげなさいと冷静で的確な指示を出すと、秘書艦サミー子はレモンティーしかないですけど?と言ってカップを用意し、粉末タイプのレモンティーをサッー!とカップに入れた…
「…で?バカなの?」
「失礼だなキミは」
「いや、バカすぎでしょ、秘書の人もタイヘンね」
秘書艦サミー子はそうなんですよと冷静で的確な回答と共に頷き、レモンティーと菓子皿に載せたチ●コパイをヘレナくんにどうぞと手渡した
「それで?コクハクのレンシューはどうなの?イケそうなの?」
「あたぼうよ!」
「へぇ~」
「…………と言いたいところだが、まだまだだな、完璧ではない」
「そうなの?」
「おそらく今の完成度では勝率は2割………いや、1割弱、まだ実戦で使えるレヴェルではない」
「全然ダメじゃない、そんなんでよくアタボーヨ!とか言えたわね」
「やかましい」
完璧な告白とはナニか?その、答えを探し続けてどのくらい経ったのだろう…?古来より先人達が考え抜き、古代、近代、そして現代にまで至り、人類はその答えを手にしたのだろうか?
否ッッッ!!!
断じて否ッッッ!!!
人類は未だ………“完璧”を手にしていないッッ!!
「テイトク、どうせならヘレナさんに相手をしてもらったらどうですか?」
「え?ムリ」
サミー子の何気ない提案……
いやぁ………ムリっしょ?
「ハァ!!?ちょっと!!ムリってナニよ!ムリって!!ヘレナじゃ不満なのかしら?」
「いや、ハハハ……だってヘレナくん、ハハハ…ヘレナくんだぜ?ハハハ…」
「ナニよそのムカつく顔は!!頭くるわね!」
「せめてホノルルくんとかアトランタくんならやる気出るっーか………ヘレナくんじゃ、その……ハハ」
「よし、それは殺してくれって意味でいいのよね?」ニコォ…
ヘレナくんの右拳に目に見えてワカるほどの念のオーラ………なるほど、アレは死ぬわね
「やめてくれヘレナ、そのパンチは俺に効く」
「へぇ~」ニコォ…
「やめてくれ」
俺の必死の懇願に、とりあえず右拳を下げてくれたヘレナくんだったが、オーラはそのままなのでたぶん次に何かをミスった場合に即発動する気満々なのだろう
つまり、ここから先は
選択肢を間違える=DEAD END
…………なるほど、TOUGHな展開になりそうね
「わかったわかった、オーケーオーケー、わかったよ、オーケー、俺は今からヘレナくんにプロポーズする、I'm going to make a proposal to Helena right now、オーケー?」
「ワカればいいのよ、やってみなさい!」
ナニがワカればいいのよだこのアマ…
っーかなんだそのドヤァ顔は…!クソみてぇに腹立つツラしやがって…
まぁいい、とりあえず、俺はヘレナくんに対して告白すればいいのだ…
…………だが、俺は一見テキトーな男に見えるとかディスられがちだが、そうでもない、何故なら俺は紳士道を尊ぶ紳士であり、本当の紳士をめざしているからだ!
紳士には勇気を持って戦わなくてはならない時があるからだ!
「………えー」
しかしだ、しかし相手はヘレナくんだ
ハッキリ言って僕はヘレナくんを見てムラムラする気持ちにはならない!それは僕が紳士だからなのか、もしくはマジでヘレナくんに対して興味がないからなのか(性的な意味で)たぶん前者だろう
1人寂しいクリスマスの夜に自宅に来たサキュバスはエッチで巨乳でなければ往復ビンタして叩き出す、それが本当の紳士だろう
「早くしなさいよ、ヘレナもヒマじゃないのよ」
「まぁ待ちたまえよ、俺はこう見えて練習とは言え手は抜かないタイプなのだよ」
そう、だからこそ練習とは言え本気でなければならない…
つまり、本気でヘレナくんの良いところを考える必要がある
ヘレナくんのコトを考える、貫く…
ヘレナくんのコトを考える、弾く…
ヘレナくんのコトを考える、砕く…
ヘレナくんのコトを考える、響かせる…
ヘレナくんのコトを考える、切る…
ヘレナくんのコトを考える、跳ばす…
ヘレナくんのコトを考える、潰す…
ヘレナくんのコトを考える、壊す…
ヘレナくんのコトを考える、抉る…
ヘレナくんのコトを考える、折る…
ヘレナくんのコトをだけを考える、そう…ヘレナくんのコトだけを、ヘレナくんのコトだけを……ヘレナくんのコトだけを…………
「あ、ああああああああー………!!ああー!!あー!!あー!!ウォォォォー!!」ガクガク!
「え?ナニよ急に!?」ビクッ!
「ヘレナァァァァァァァァァァァァ!!」
「ハァ!?」
「愛してる!!お前に夢中だァァァァァァ!!ヘレナァァァァァァ!!」
そうだ!!難しいコトなんかナニも無い!!
告白とは、プロポーズとは…
こんな単純なコトだったんだ!!
「ウワアァァァァァァァァァァァ!!アーァァァァァァ!!」
「どうですか?ヘレナさん、キュン死しました?」
「お、お……O、Oh……あまりの勢いに危うくヘレナもOKしかけたわ」
「なるほど、やはり勢いは大事なんですかね」
「…いや、どうかしら?ってかSammy、テイトク、なんかクスリとかヤってるの?」
「さぁ?たまに頭痛薬飲んでますけど」
「それ大丈夫なクスリ?」
この後、とりあえず外で頭で冷やして来いと執務室から叩き出された俺は執務棟の中庭のベンチで缶コーヒーを飲みつつ、中庭で飼い犬と戯れるフレッチャーくんのおっぱいをガン見していると脳が回復した