【登場人物】
提督(テイトク)
メガネ男子、最近の趣味はラーメン屋巡り
夕張(ユウバリ)
狂気のマッド軽巡、最近の趣味はお菓子を食べること
「新しい装備?を開発しました!ハッキリ言って自信作です」
「そうか」
ある晴れた昼下がり、今日の晩飯ナニ食おうと考えつつ資材の粉飾決算の証拠となりそうな書類に黒塗り線で塗り潰し作業に従事していると、今日もヘソ・マルダシの頭のおかしい軽巡が執務室に来た…
そいつの名は夕張、邪悪の化身!!
我々は100年前からそいつと戦う宿命にある!とぼんやりと考えた俺は、とりあえず机の引き出しからガバメントを取り出して夕張に手渡し、にこやかに言った
「しゃぶれよ」
「いやぁ、私、銃フェラする趣味はないんですケド…」
「いいから口開けろや、心配すんな弾は入ってる」ニコォ…
「弾入ってたら危ないじゃないですか!」
「危なくない、むしろお前がこの世界に生きているコトの方が危ないと言うことが何故わからん」
「そんな大人の理屈!いつだって大人は勝手なことを言う!」
とりあえず、こんなにも青い空の昼下がりにヒートを上げるなんてバカらしいと気付いた俺たちはまずはティーでも飲もうかと自分の机で我関せず感を出していた秘書艦サミー子にティーを淹れてくれたまえ、午後のティーをね!とWinkした
「…それで?今日はどんなクソみてぇなモン作ったんだ?あ?」
「クソみてぇなモンではありません、ハッキリ言って自信作です」
「夕張ィ、夕張夕張夕張夕張夕張よォ〜…オメーの言う自信作ってのはクソかクソみてぇかの二択しかねぇだろうがよォー?毎度毎度しょーもねぇーモン作ってよォー…なんなんだオメーはよォー?オシオキされるのがクセになってんじゃあねぇのか?」
「クソかクソみてぇなモンではありません、自信作です、今回は提督もマジビビりますよ、ホントビビっちゃいますよ」
「んなワケねぇだろ、言っとくがもしロクなモンじゃなかったらテメーの口にエミューの卵まるごとねじ込んで擬似魔族の産卵させるからな」
「そ、それは………なかなか唆り……いえ!大丈夫です!ハッキリ言って自信作ですから!」ニマァ…
夕張は不気味な笑みを浮かべ100億パーセント大丈夫です!とワケのわからない自信を持っていたが、基本的にコイツのコトを信用していな………いや、ある意味では信用している、ロクでもねーヤツって点だけは
「で?そのつまらん作品を見せてみろ、見てからキサマの罪を断じてやる」
「あ、いえ、今回作ったものですが〜………些か大きいと言うか、広大と言うか〜…ちょっとここには持って来れないとか言うか〜…できれば提督には足を運んで頂きたいな〜…って」
「ハァ?」
「下にあるんです」
「下ぁ?」
ナニ言ってんだコイツ、イカレてるのか?いや、元からイカレてるんだっけか
「ナニ作ったんだ?デカいロボットか?またガイ●ンか?それともモ●ラか?」
「いえ、エロトラップ・ダンジョンです」
「……………あ?」
「エロトラップ・ダンジョンです」キリッ
…………言っている事がわからない、イカレてるのか?この状況で…
いやいや待て!思わず禁断のイカレてるのか?二度打ちしちまったが、なんだって?エロトラップ・ダンジョンって言ったのか?コイツ
エロトラップ・ダンジョンって言ったらアレだよな?エロいトラップがフル満載で先に進めば進むほど淫紋レヴェルが上がってく…
…っーか今更だが装備どころかメカですら無いあたりがコイツがイカレている事の確かな事実だろう
「1度入ったが最後!ありとあらゆるトラップを潜り抜け、地下27階にある“し しあわせェ…の箱”を手に入れて無事に上りきるか、リレ●トの巻物を使用して脱出する以外の脱出方法なし!1000回遊べるダンジョンです」
なんだよ、そのクソみてぇな目的のアイテムは!どーゆー箱だよ
「服以外を溶かすスライムや鉄の棒すら引きちぎる万力のような力で締めつける触手など多種多様なトラップを用意してます!」
「ふ〜ん」
殺意高けぇなオイ、コイツ、エロトラップがなんなのかわかってないんじゃねぇのか?
「では早速ですが、ダンジョンの紹介をしたいと思いますので提督、下に来て頂けますか?あ、五月雨ちゃんも来る?」
「え?普通にイヤですけど」
五月雨は心底イヤそうな顔をして冷蔵庫からペットボトルの麦茶を取り出しグラスに注ぎ、ハイどーぞとキンキンに冷えた麦茶を夕張に手渡した
「ブハァ!!うんめー!」
「ナニがうんめーだ、バカかテメーは」
「よし!じゃ一緒にダンジョン見に行きましょう!エロトラップ・ダンジョン!これはもうマジすんげーですから!ホントすんげーですから!ホント、テーマパーク来たみたいにテンション上がっちゃいますよ!」
「んなワケねぇだろ」
………こうして、夕張によって工廠の裏に作られたエロトラップ・ダンジョンの入り口へとやって来た俺たちだったが、とりあえず入り口の前でペラペーラとエロトラップ・ダンジョンの説明をしていた夕張のケツにノン・ファイヤーショットを叩き込み帰ろうとしたが、夕張は執念で俺の袖を掴み俺ごとこのエロトラップ・ダンジョンへと引きずり込まれた
『1F』
「あ!服だけ溶かさないスライムですよ!」
「1Fから殺意高すぎだろ!」
『8F』
「あ、さまよう触手アーマーですよ!」
「キモいよ!」
『13F』
「あ、元人間でガスにより石像化されて悔しくて悲しくて自分と同じ仲間を増やそうとする動く石像ですよ!」
「あーあるある、あるよね、そーゆー帰ってこない先輩冒険者」
『18F』
「あ、アーックデーモンですよ!弱点はケツア…」
「見りゃわかるよ!っーかデケぇなオイ!」
『26F』
「あ、モンスター・ハウスですよ!トランス・ヒューマニズムの手術により
「ナニが
『27F』
「ようやく“し しあわせェ…の箱”を手に入れたのにドラ・ゴンの群れに囲まれてしまうとは…」
「なんでドラゴンはガチのヤツなんだよ!エロトラップ・ダンジョンに居ちゃいけねー類じゃねーかよ!」
「クッ、まさかこんなコトになるとは……あ、リレ●トの巻物拾っちゃいました」
「なんだと?」
「しかし“し しあわせェ…の箱”を持っているとリレ●トの巻物は不思議な力で効果がかき消されてしまうのです」
「よし、その巻物を貸せ」
「どうぞ」
「じゃあな!」ニコリス…
「え?ちょ、ま、待って!」
後日、力尽きたらしい夕張がダンジョンの入り口に無惨な姿で叩き出されているところを発見された