【登場人物】
明石(クズ)
基地クズ大人ツートップの一角、金と権力が本当に好き
ああ………それにしても金が欲しいっ………!!
円が!ドルが!ユーロが!元が!とにかく欲しいっ!金を!マネーを!キャッシュを!!あまねく財をこの手に掴んだその暁には我一切の不労を課し、ハワイあたりでイケメンのボーイズ達を召使いにして悠々自適に暮らしたい…っ!!
「明石さん!今日も買いにきたわ!」
「今日こそ激レアカード引くのです!」
「あーはいはい、いいの入ってるといいねー」
150円、150円か………ボーイズにちやほやされて悠々自適な生活は遠い、手にした小銭をレジに入れて保温器に入っている缶のミルクティーを取り出しフタを開け、一口飲んでみる………ん、甘いなコレ
この、明石には黄金のような夢がある!
今はこんな小汚い小売店の店主だがいつかは大金を掴み、最高の酒を飲み!最高の料理を喰らい!最高のボーイズをはべらせ豪華で優雅な暮らしをしたい、そんな慎ましい夢が…
「ゲェーッ!またマン●スの墓場だわ!」
「今日もハズレだったのです!」
それがどうだ!そんなささやかな夢か遠い現実!ガキども相手にしょーもないカード売ったり、クズども相手に雑誌だの菓子パンだのタバコだの新聞だの売ったりして小銭を稼ぐ日々…
「…明石さん、エサやり終わったよ…」
「んまー、山風ちゃんおつかれー、ホント助かるわー、はい、お駄賃」
金の鳥かと思いきやまるで金にならない穀潰しのエミュー牧場、その、クソみてぇな鳥を飼うことを強いられているのは頭が痛いし懐も痛い、この山風ちゃんが安価でエサやりと世話をお手伝いしてくれるのが唯一の救いか…
「あ、あとコレもあげる、ミルクティー」
「…いいの?ありがとう」
お手伝いのお駄賃(500円)と保温器から取り出した缶のミルクティーを山風ちゃんに手渡すと山風ちゃんはキチンとお礼を言って頭を下げた…
んまー、まったく良い子だわー、山風ちゃん良い子だわー、私ひとりっ子だからこーゆー素直で可愛い妹とかマジ欲しかったわー
「…明石さん、今日テイトクみた?」
「テイトク?見てないけど?」
「…そう」
山風ちゃんはベンチに座ってミルクティーを啜りつつ飼い猫のお高価い猫の後ろ足を持ち上げてプラプラと身体を振って遊び始めた…
なんなのその遊び?虐待?え…?虐待なの?いや、でも猫も別にイヤそうでもないし、まさか私が知らない高度な遊びだとでも言うの?
「あ、そー言えば昼頃にマミー屋のとこでちらっと見たかも、五月雨ちゃんと一緒だったし、今日ナニ食う?的なハナシでもしてたんじゃない?」
「ふ〜ん」
心底興味なさげに猫をプラプラしていた山風ちゃんだったが、さすがに猫の方がイヤだったのか、猫は勢いよく飛び出しその辺の床に着地し、何事もなかったかのように山風ちゃんの膝の上に戻ってきた…
「そういや五月雨ちゃんって山風ちゃんのお姉さんだっけ?」
「…そう、五月雨姉ぇは海風姉ぇの1つ上だから私の2つ上」
「海風…?あぁ、あのおっぱいデカい子」
「そう、おっぱいデカい海風姉ぇ」
五月雨ちゃんは絶壁なのにすぐ下の妹は駆逐艦の枠を超えるモンスター・サイズ………姉妹の悲哀を感じますね
「海風姉ぇは口うるさいけどおっぱいデカいし、真面目だから五月雨姉ぇと秘書艦代わって欲しい」
「いやいや、あんなおっぱいデカい子に秘書艦やらせたらテイトクがチラチラ見てギンギンになって仕事にならないでしょ…」
「むしろそれでいい」
「え?ナニ?山風ちゃん、海風ちゃんになんか恨みでもあるの?」
「…ないよ?」
う〜ん………やっぱり山風ちゃんみたいな今風で繊細な子はナニ考えてるのかさっぱりわからん
っていかんいかん!まるでこの私が若くないような発想!ダメダメ、私は若い!まだ全然イケイケよ!
そんなジェネレーションについて深刻に考えていると、店の扉を開け、酒臭い美少女が入ってきた…
「えへ、へへへへ〜…明石さ〜ん、酒、お酒売ってくださぁ〜い」
「ポーラちゃんいらっしゃい、いつもの?」
「はい〜!いつものやつを〜…」
ポーラちゃんはスカートのポケットからクシャクシャになった紙幣を取り出しカウンターに置いた…
「…おねえさん、酒臭い」
「え?そうですかぁ〜?」
ベンチに座っていただけの山風ちゃんにすら溢れるアルコール臭を指摘されたポーラちゃんだったが大して気にした様子もなく、スィマセェンと山風ちゃんのトゲトゲしい頭を撫でてイテェ!と壁に頭をぶつけた
「ダメダメ、山風ちゃんのトゲトゲヘアーは普通に触るとめっちゃ刺さるから」
「なるほどぉ〜」
ポーラちゃんはトリートメントはしてますかぁ〜?と聞きつつ改めて頭を撫で、山風ちゃんは煩わしげにその手を叩いた
「うっさい、あとお酒臭い」
「まるでキレたナイフみたいな子ですねぇ〜」
ポーラちゃんはよっこらセクメトとか言いつつベンチに座り、手にしたワンカップ●関のフタを開けグィーッ!とひと息に呷った
「ぶはぁ!!うんめェ〜…!犯罪的過ぎるっ!」
「あ、そうそう、そういや最近なんか羽振りのいいアメリカさんが居てね、ビールサーバー部屋に設置したいからって言ってきてねー、キャッシュでポンっと」
「ゔえっ!?な、なんなんですかぁ!?そのアメ公!?」
「なんかキンパツの美人で名前なんったけかな〜…え〜…」
「アメ公の癖にナマイキですねぇ〜……ポーラなんてザラ姉さまに頼み込んで必死に頭下げてお小遣い貰ったり、テイトクにおっぱい揉ませたりしてお金稼いでるのに〜……世知辛いですねぇ〜」
「…酒臭いおねえさん、テイトクにおっぱい揉まれたりしてるの?」
「はい〜たまに、15分1000円でぇ〜」
「…ふ〜ん」
「ちょ!ポーラちゃん、ダメよ!山風ちゃんはポーラちゃんとこのアホガキと違って
「…ふ〜ん」
「明石さ〜ん、ビールサーバーっておいくら万円ですかぁ〜?」
「業務用?家庭用?まぁ、そんなゲロ吐くほど高いモンじゃないけど」
「ポーラ頑張ってお金貯めたら買えますかねぇ〜?」
「買えるよ、でもポーラちゃんの場合、ビールサーバー部屋に置きたいとか言ったらお姉さんにギタギタにされるのがオチなんじゃない?」
「ゔえぇぇ〜…そうでしたぁ〜」
「あ、そうそう、思い出した!レンジャーさんですよ、レンジャーさん、最近ママの店にもちょくちょく入り浸ってるらしいってテイトクが言ってました」
その、レンジャーさんと同じくちょくちょく入り浸ってるテイトクもドン引きするほど飲むらしいですが、テイトク曰く、ポーラちゃんみたく吐く姿は見たことないらしく、やっぱ見た目聖なる属性は違うな!と感心してました
「ゔえっ!?テイトク、ポーラに黙ってママの店に行ってるんですかぁ!?な、なんで誘ってくれな……!許るさーん!!」
ポーラちゃんはベンチをバシバシ叩き力強く立ち上がるとポーラは許しませんよぉー!とか言いながら千鳥足で走って行った…
「山風ちゃんはあーゆー大人になっちゃダメだからね」
「…知ってる」