【登場人物】
提督(昭和向け)
正義の心はメタルヒーローから学んだ
夕張(M女)
海軍入隊前、悪の組織に悪の女幹部の募集に面接行ったらキミ、エロくないからダメと言われてちょっとヘコんだ
どんなシャバい奴にも一度はやって来るたった一度の今日と言う日、そんな良き日に大してやるコトもなく執務室で古鷹さんから借りたブルーロ●クを読んでると、執務室の重厚な扉がギィィィと開き、ドブ川のように濁った目をした軽巡がヌルリと顔を出した…
「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」
「ハッキリ言う、気に入らんな」
ヌルリと顔と身体だけ出したのは良識と人間性を産まれる前にカオスの闇に捨ててきた生粋のサイコ軽巡、夕張
かつては駆逐艦以下の貧弱な肉体に天才の頭脳と神の腕を持つスーパー軽巡と呼ばれた事もあるとかないとか…
あと、生粋のマゾである
そんなマゾ軽巡夕張は不気味な笑みを浮かべつつヌルリと執務室に入って来た夕張は秘書艦サミー子にナニか飲み物とかないですかねぇぇぇぇ!と声をかけた
「麦茶か烏龍茶かギムネマ茶ならありますが?」
「なんでそんなお茶ばっかなの!?まさか五月雨ちゃん、お茶に凝ってるの?」
「いえ、単純に買い置きがやたらあるだけです、邪魔なので早く処分したいんですよ」
そう言って五月雨は夕張に烏龍茶のペットボトル(1.5L)を手渡し、それを受け取った夕張は片手を腰につき、勢いよくペットボトルを呷った
「ブハァ!うんめぇ!」
「それで?今日はどんなゴミを作ってきた?あ?」
「ゴミではありません、自信作です」
「やかましい、それを判断するのは俺だ、ペットボトルの茶を口いっぱい含め、修正してやる」
「まぁまぁ、まずは見てから判断してくださいよ、もし気に入らなければ如何なる処罰でもこの身に受ける所存です」
そう言って夕張は悪意のカケラも感じない、ただただ不気味なだけの笑顔のスマイルを浮かべたのでとりあえず右の弁慶にローキックを入れてやった
「キャオラッ!」
「痛い!!い………いた、なんで今、蹴られたんですか?私」
「痛いか?蹴った提督も痛い」
「いや、絶対ウソですよね…」
夕張は右足をガクガクさせつつもそれでは今回のビクーリドキーリメカ〜…とイマイチやる気あるのかないのかわからないテンションで自信作とやらのビニル・シートを勢いよく剥ぎ取り、そこから現れたのは…ッ!!
「ゲ、ゲェーッ!」
シルバーを基調としたフルメタル・ボディのメタルヒーロー的なナニかだったッッッ!!
「今回開発しました対・犯罪組織バイ●ロン取り締まりサイボーグ、名付けまして機動艦娘キヨシです」
「………足があるな」
「足なんて飾りです」
足があるいつもの様式美ノルマをこなし、夕張はでは早速ご説明しますとポケットから小汚いメモ帳を取り出した
っーかバイ●ロンってなんだよ、バイ●ロンって!そんなの取り締まる前に深海棲艦を取り締まれよ!
「こちらの機動艦娘キヨシ、ボディはジンファイバー製で並の火力程度ではまるで歯が立たず、35.6cm砲の直撃でもビクともしません、そのパワーも鉄骨を軽がると持ち上げ、スピードはサラブレッド並みです」
ちなみに、サイボーグ戦士なのでサイボーグ改造された被害……被験者は執務棟の中庭でアイス落として泣いてた清霜だそうだがコイツの心には僅かながらでも良心の呵責とかないのだろうか…
「次は五段のやつ買ってあげるから改造させてくださいと頼んだら快く引き受けてくれました」
「お前のズボンがアイス食っちまったワケじゃねぇのな」
そういやコイツ、たまにツナギみたいなの着てるが妙にサイズが合ってないんだよな、ちゃんと試着して買ってんのか?
「機動艦娘キヨシの武装ですが、まずは主武装のマクシミリアンTYPE3、十手形態マクシミリアンスティック、銃形態マクシミリアンガン、剣形態マクシミリアンソードの3種のモードに変形します」
「ほぉ〜…カッコイイじゃねぇか」
「そして右腕部に内蔵されたドリル型武器、マルチワーカーはニードリルやハイパービームが使え、左腕部にはグリップガンと言うワイヤー付きの手錠を内蔵しています」
さらに!と、夕張は前置きし、現在開発中ではありますが装着することで空中戦が可能となるサポートユニット、ダイダロス!そして最強最大火力を誇る大型火器、オートデリンガーがあるとのコトだ…
「オートデリンガーには敵をいたぶるサブマシンガンモードとストーリーの締めを飾るファイナルキャノンモードがあり、特にファイナルキャノンモードの火力は戦艦タ級ですら1発で消し飛ばします」
「ふ〜ん」
コイツはメチャスゲーですよぉ!メチャスゲーですよぉ!とコーフン気味に語る夕張にやや鬱陶しさを感じつつ俺は冷蔵庫から麦茶を取り出してグラスに注いでからイッキに呷った
「あ、そうそう、機動艦娘キヨシは対バイ●ロン法に基づく行動が許されています」
「あ?なんだって?対バイ……なんだって?」
最近耳が遠いせいか、どうにもヨコモジネームか聞き取り辛いのでもう一回言ってみろと耳に手をあてジェスチャーな動きをしていると、機動艦娘キヨシがなにやら電子手帳みたいなのを取り出して夕張に発砲した
ズギュン!!(マクシミリアンガン)
「痛いっ!!」
「対バイ●ロン法 第二条 機動艦娘キヨシは相手がバイ●ロンと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰することができる!(※補則 場合によっては抹殺することも許される)」
「クッ!き、機動艦娘キヨシ!キサマぁ!この私に牙を剥くとは……!」
「夕張さん、アナタがバイ●ロンの一味だってことはもうわかっている!」
ズギュン!!(マクシミリアンガン)
「アイッター!!」
「対バイ●ロン法 第五条 人間の信じる心を利用し、悪のために操るバイ●ロンと認めた場合、自らの判断で処罰することができる」
「やめ、やめろキヨシ!戦艦を超えた戦艦になりたくないのか!そう、私にならできる!そうだ、ハハハハハ!私ならキミの望みを叶えられる!武器を捨てろ!」
夕張はどてっ腹に2発被弾しながらも不敵な笑みを浮かべ、アタマのおかしい科学者特有の大仰なムーヴで両手を広げてゲラゲラ笑いだした
ズギュン!!(マクシミリアンガン)
「アガァ!!ちょ…痛い!ちょ!待てよ!」
「対バイ●ロン法 第六条 子供の夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い」
機動艦娘キヨシはマクシミリアンガンをマクシミリアンソードに変形させ、夕張とすれ違いざまに斬りつけ、振り向きざまに縦斬りをキメた!
ズバアァン!!(キヨエンド)
「ウギャアアァァァァァァァ!!き…キヨシめェ…!覚えていろ、バ、バイ●ロン万歳!」
夕張はフラつきながら断末魔のセリフを吐きつつ執務室の窓を開け、下に落下して爆発した…
「バイ●ロン…っ!まさかこんなところにまで入り込んでいるとは、必ず叩き潰してやる!」
機動艦娘キヨシはこの世からバイ●ロンを必ず根絶やしにしてやると宣言し、執務室から飛び出して行った…
何故ならキヨシは機動艦娘なのだから、この世からバイ●ロンを抹殺するその日まで、キヨシの戦いは終わらない、戦え!機動艦娘キヨシ!
後日、犯罪組織バイ●ロンがどうなったのかは知らないが、清霜はアホ友達のリベッチオと執務棟の中庭でアリの巣にサラダ油を流し込んでキャッキャとハシャでいた