今年もクソみてぇなお話を書いてます、このペースで今年中には終われるかしら?
【登場人物】
提督(メガネ男子)
目・肩・腰が年齢相応からマイナス
五月雨(青髪ロング子)
専業秘書艦、人間ドックの結果来てましたよ
新年に相応しい曇りなき元日を迎え、朝から新しいパンツを穿き執務室へとやって来た俺は既に執務室に来ていた秘書艦青髪ロング子に新年のアイサツをし、革張りの提督様専用椅子に座り基地スポを広げた…
「禁断の姉妹対決!コロラドVSメリーランド!ビッグセブン統一マッチ、6Rに強烈なお腹パンチを受けてリングに光る吐瀉物をブチ撒け、半泣きで命乞いするもののメリーさんの強烈な地を這う上昇ライトアッパーで失禁KO、試合前にビッグセブンのNo.1として、長女としての威厳を見せてやる、メリーは二度とお姉ちゃんに逆らおうと考える気はなくなるだろう、とイキり散らしていただけにこの結果が残当………残念でならない、本紙の取材に対しノーコメントとだけ言い残し、新しいパンツに穿き替えていた…………か」
そういや昨日、体育館がやけに騒がしかったな、なんでそーゆー金取れそうなイベントをシレッとやるんだあのバカどもは…
「サミー子くん、コレ、少ないけど…」
「ありがとうございます」
机の引き出しに入れておいたお年玉と書いた茶封筒を秘書艦サミー子くんに渡し、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出してイッキしてみる………ゴキゲンな缶コーヒーだ
「あー…やる気ねぇなぁ〜」
「年始からアレな発言ですね」
「年始だからなのだよ、考えてもみたまえよキミぃ、年始から提督のやる気に溢れる基地なんてブラック愛国心そのものだよキミぃ、深海棲艦だって大晦日も三が日も休みだよ」
「そんなモンですかね」
「そんなモンなのだよ」
そもそも昔は正月の三が日に買物ついでに遊びに行くなんて言っても店なんか開いてない、初詣行って親戚回りして後はダラダラ箱根駅伝見るか24時間ブッちぎり時代劇見るか、テレビに飽きたらレンタルビデオ屋に行ってビデオ借りるってのが定番の流れだったのだよ
それがアレだ、今は元日から近所の大型ショッピングモールが絶賛オープン状態、そんなフライング上等の近所の大型ショッピングモールに負けてはいけないと中小規模のショップも無理して開けてしまう始末………そう、いつの頃からか、ジャパン人は働き過ぎなのだ…
「だからこそ、我々は何もしない」
「働き方改革ってやつですか」
「然り」
むしろ、改革してしまった働き方を元の形に戻すと言っていいだろう
「そーゆーワケだから今日はやる気なくていいのだよ」
「まぁ、提督のやる気が無いのはいつものコトですが…」
秘書艦五月雨はやる気なさげに立ち上がり冷蔵庫からバヤ●ースのペットボトルを取り出し、グラスにドプッ!と注いで自分のデスクに戻りクロスワードパズルの雑誌を開いた
ゴンゴン!(ノックしてもしもし)
執務室の重厚な扉をノックする重低音…
誰だよ?正月から執務室なんか来るやつは……暇人か?それとも敵か?
「Mes Meilleurs Voeux pour la nouvelle année Mon amiral」ドヤァ!
「なんだリシュリューか…」
「なんだとはナニよ!な ん だ と は!」
フランスから来た自称最強戦艦、リシュリュー
軍に入る前はパリでスーパーモデルをやっていたらしく、その飛び抜けたbeautifulはそこらの自称beautifulとは一線を画すbeautifulであると言えよう、見た目だけは
その、見た目だけはこの天と地のはざまに立つ美の闘士と呼ばれた俺も認めるところだが、この基地ではただ美しいだけでは実力不足、強さと美しさを兼ね備えた完璧戦艦にはほど遠い…
「このRichelieuが新年の挨拶に来てあげたのよ?他に何か言うコトはないの?」
「ねぇよ、っーかその振袖ナニ?成人式?み●び?み●びで借りたのか?」
「違うわ、これは自前よ!そのみ●びってのがナンなのかは知らないケド…」
「バカお前、み●び知らねーとか成人式ナメてんのか」
新成人達に日本一ド派手な成人式を全力で応援するF県に存在する有名店舗である、その、ブッ飛んだ品揃えはまっこと日本一であり、新成人達を一生に一度、派手に輝かせている
「で?新年の挨拶に来たらしいが………なんだ?金か?金の話に来たのか?」
「なんで新年早々金の話なんかするのよ!」
「違うのか?じゃなんだ?金以外の話となると提督に心当たりは無いが…」
「な、なんて心の貧しい男…」
「やかましい」
まったく、コイツは新年早々提督様に喧嘩売り来たのか?だとしたら大したやつだと言わざるを得ないな
「Mon amiral、これからハツモーデに行くからついて来なさい」
「え?やだよめんどくさい」
「即答…っ!こ……このRichelieuの誘いを秒で断るなんてね、フッ…大した男ね」
リシュリューは一瞬イラっとしたような顔をしたが、すぐに平静を取り戻し爪を噛んだ
「何故私とハツモーデに行きたくないか、このRichelieuが納得できる理由を述べてくれる?」
「え?だってお前と一緒に歩いてたら恥ずかしいじゃん」
「Je suis choquée!」ガーン!
考えて欲しい、リシュリューは目立つ、ハッキリ言って見た目は美女以外の何者でもない、こんなスーパーモデル級の女と共に歩くなんてのはハリウッド俳優でもないと格好がつかないだろう?
それがほら、俺みたいな冴えないオジさ……いや、オッさんじゃない、まぁ……どう考えても合わない
「お前みたいな人目引きまくりの女と歩いてたら俺の存在そのものがかき消されるわい、良くてもスーパーモデルの日本ツアーの案内人、むしろたまたま隣を歩いていただけのラッキーな東洋人認識なのだよ」
「そんなものかしら?」
「そんなものなのだよ」
コイツ、前は自らの美をもうちょい鼻にかける高慢な女だった気がするが………もしかして、この国に来てから自分がスーパーモデルで地元じゃちやほやされていたのを忘れてるんじゃあないのか?
「そう、ならもう少し目立たないようにするべきかしら?」
そう言ってリシュリューはバッグからCH●NELっぽいサングラスを取り出してみたが、安い量産型アイドルじゃあるまいし…どう考えてもそんなモノでコイツの美をどうこうできるモノではない
「サミダーン、卿の意見を聞こう」
こういう時は我が頼れる右腕の意見を求めるのが吉であろう、秘書艦サミー子はクロスワードパズルを解く手を止め少し考えて……
「そうですね、いっそグレートサ●ヤマンぐらいダセー格好したらどうですか?」
「グレートサ●ヤマンはダサくないわ!カッコイイじゃない!」
リシュリュー的にはグレートサ●ヤマンはダサくないらしい
そんなグレートサ●ヤマンがダサいだのダサくないだの銀河一どうでもいいコトで言い合っていると、執務室の重厚な扉が開き、新たなる来訪者が現れた…
「姉さん?ここに姉さんは来ているかしら?」
「あら?Jean Bartじゃない?聞いて頂戴Jean Bart、グレートサ●ヤマンはダサくないわよね?」
「ダサいわ」
「Je suis choquée!」ガーン!
やって来たのはリシュリューの妹、ジャ…ジャ……ジャンポールだっけか?リシュリューの妹なだけあってこのジャンパークも一目でワカる美女だ、俺じゃなくても見逃さないね
「そんなワケのわからないハナシはどうでもいいわ、姉さん、買い物に行くわよ、aller faire les courses」
「え?普通にイヤよ、私はこれからamiralとハツモーデに行くのよ」
「行かないのだよ」
「行かないって言ってるわよ?」
「行くわよ、そうでしょ!Mon amiral」ドヤァ!
「行かないのだよ」
「そうだわ、アナタ車出しなさい、街に買い物に出たいのよ」
「悪いな、俺の車2人乗りなんだ、タクシーでも呼んでくれ」
「使えない男ね、姉さん、やっぱコイツダメだわ、相変わらず姉さん男見る目ないわ」
「うるさいわね!ケンカ売ってんの?それとも蹴られたいのかしら?」
この後、美しきケダモノ達は背景に薔薇が舞うビンタしたりビンタされたりと美を美で洗う熾烈な争いになったが、新年早々、神聖なる執務室が血で汚れるのがイヤなので2人にはジャスト1分の良い“夢”を見せて執務室から叩き出した