前後編の後編ですって、ケーキ食べました?私は食べました、吐きそう
「はー…やっぱケーキはインドアで堂々に限る」
クズどもにウザ絡みされるリスクを回避するべくクリパ会場である基地体育館の隅で生クリーム少なめクリスマスケーキをナポォ…していると
「あ、テイトク」ペコォ…
「やぁ、岸クンじゃないかね」ペコォ…
夕雲姉妹の15女、岸クン
ゆるっとふわっとしたヘアーと死んだ魚のような目がチャーミングなコトに定評のあるアホな駆逐艦の中では比較的真面目で良い子である
「テイトク、ちょっとお願いがあるんですけど」
「ナニかね?お小遣いの前借りなら応相談なのだよ」
「いえ、お小遣いの前借りとかはいいんです、ゴトランドさんが酒飲んでなんとしても彼氏欲しい!って暴れてて手がつけられないんです」
「へぇ…」
「へぇ…じゃないですよ、デロ子さんがワインの瓶でアタマかち割られて今年のボジョレヌーボーは当たり年でヤバ〜イ☆…とか言ってビール瓶で反撃する血で血を洗う惨劇なんですよ」
「そいつはマイッタな」
岸クンはそのケーキ美味しいですか?と言って俺の皿にあるケーキを指差したので、まぁまぁですねと社交辞令的に答えておいた
「岸クン、ハッキリ言って提督は今、忙しいのだよ」
「そうですか?超絶暇そうに見えますけど」
「今日は楽しいクリスマスなのだよ岸クン、艦娘たるものケンカの1つくらいするだろう!殴り合い大いに結構!殴られもせず一人前になったものなどいるものか!」
「まぁ、後で国際問題とかなんとかで揉めないなら別にいいですけど…」
岸クンは背中に担いでいた大きな袋からゴトランドから貰ったとかいう北欧仕立ての大きなノッポの古時計を取り出すと、クリスマスプレゼントですと言ってクールに去って行った…
ーーー
「さて、そろそろタバコでも吸うか…」
「あ、テイトク…」
「うわ…」
タバコでも吸うかと歩いていると、かつての悪魔的弾丸シフトを知らぬ新世代悪行潜水艦ズと目が合った
目ツキと態度が悪く、年中水着がデフォである潜水艦界に革命を起こすオシャレ潜水艦、フーミンくんとフーミンくんの2Pカラーみたいな潜水艦にしてはわりと真面目で礼儀正しいフレ……フレーくん?だったか?
「やぁキミたち、Merry Christmas」
「ムダに良い発音!」
「提督はこう見えて英語はわりとイケるクチだからね、渡航歴もある」
まぁ、パスポートはとうの昔に期限切れしたがね、再び気兼ねなく海外に行ける世界になったらまた行きたいものなのだよ
「潜水艦のバ……いや、潜水艦のセンパイ達ならあっちでバーボンをイッキしていたぞ」
「そのバカなセンパイどもがイヤだから逃げてるのよ、わからない?」
「ヨナは置いて来ちゃったけど…」
「そうか、ヨナタスは犠牲に…」
地獄を知らない新世代悪行潜水艦は彼女達だけではない、だがヨナタスなら大丈夫だろう、あの娘は純粋で、素直で、なんて言うか……そう、真っ直ぐで、あの168や58からも可愛がられており(かわいがり的な意味でなく)
新世代の潜水艦の中でもただ一つの希望と言っていい
「まぁ、ヨナタスは愛され系だがキミたちはナマイキ!系だしな」
「誰がナマイキ系よ」
「ナマイキなのはフーミィだけで私はそうでも…」
反体制派と言っても一枚岩ではないらしい、フーミンくんは裏切りは許さないと言ってフレーくんの口に骨付きチキンをしゃぶれよ!しゃぶりなさいよ!とグイグイと押し込んでいた
「あ、そういやもう1人いたな、地獄を知らない潜水艦が………ほら、あのMAJ●Rから来たルーキーの」
「すきやんぷ?あぁ、アイツなら目ツキ悪くてオッパイデカいアメ●カ人にお腹にパンチされて連れて行かれたわ」
たぶんアトランタくんだろう、オッパイデカいはデフォルトだが目ツキ悪いはMAJ●Rにもそうはいない…
「まぁ、キミたちもこんなところでウロついてないで用がないなら早く部屋に帰りなさい、サンタさんが来ないかもしれないのだよ」
「は?サンタ?」
「そんなの信じてるのヨナくらいですよ…」
ーーー
「フーッ〜………」
タバコ税と言う名の余計な税金払ってんのになんで高額納税者じゃないのか?むしろ、余計な税金払ってる分お国に貢献しているんじゃないだろうか…?
「あら?テイトクじゃない?」
「あぁ…?なんだ足柄か」
「なんだとは何よ、なんだとは」
愛と言うカゲロウを求めさ迷う狩人、その名は伝説の狼、足柄…
基地重巡界を二分する二大勢力、妙高姉妹の三女であり、決して散る事のない鉄の結束に定評のある礼号組の精神的主柱的存在…
「タバコ休憩?まだ飲むなら付き合うわよ?」
「冗談、オマエなんかと飲んでたらみんなから噂されたりして恥ずかしいし」
「とき●モか!」
さすがは伝説の餓狼、ツッコミにも牙のような鋭さがある
「オマエ、ちゃんと礼号組のバカガキどもにプレゼント買ったか?プレゼント、キヨシのヤロウ、カブトムシ欲しいって言ってたぞ」
「カブトムシは買ってないけど自転車なら買ったわ、50万の」
「高価すぎだろ!!ママチャリでいいだろ!?」
足柄曰く、大淀とプレゼントを買いに行こうとした際、たまたま通りがかった妙高姉妹の長女、妙高からコレでビッとしたモン買ってやれとクロコっぽいサイフごと渡されたせいか、ハンパなモンは買えなかったそうな
妙高サン、メチャシブいっす
「ちなみに霞にはcoachのバッグ買ったわ」
「子供の夢!!子供の夢を買ってやれ!!」
「妙高姉さんから領収書とかいらねーからとか言われて安いモン買えるワケないじゃない!私が殺されるわ!!」
足柄的には予算2万ぐらいで大淀と折半する予定だったが、突如として気合の入った財布渡されたせいで命を天秤にかけざるをえなかったらしい
「あ、そうそう、羽黒からプレゼント貰ったのよ、Burberryの財布、あの子ホント良い子なのよねぇ」
それはたぶんオマエにだけだ、羽黒って言ったらあの妙高クンや高雄クンすら思わずブルっちまうぐれーヤバイヤツって定評があるが、一つ上の姉である足柄に対してだけはお姉ちゃん大好きお姉ちゃんっ子の分厚い仮面で通しているらしい
「そうか」
「さて、まだ飲むんでしょ?ちょっと付き合いなさいよ、大淀と明石も呼ぶわ」
「そんな負け組に俺を巻き込むな」
「誰が負け犬よ、ほら、さっさと行くわよ、バスターウ●フするわよ!」
「へいへい、行けばいいんだろ、行けば…」