今年もあと一週間たらずのこの時期にやって来た、たった一度の今日と言う夜、今夜でなければダメなんだ……同じ夜はもう二度とやってこない…
そんな“悪魔”と出逢いそうな今日と言う日の名は、クリスマス…
「でたー!高雄サンの閃光左ストレート!」
「あのパンチを喰らって顔面粉砕しなかったヤツはいねぇぜーッ!」
「い、いや…!た、立っている!立ち上がっている!あの左をモロに喰らって妙高サンは立ち上がっているーッ!!」
「TOUGHって言葉は妙高サンの為にある」
福利厚生の充実に定評のある当基地で毎年催しているクリスマス・パーティー、毎年、駆逐艦以下のバカガキどもには近所のトイ・ザ●スで購入したステキなプレゼントを、アホどもには浴びるほど用意した酒と前日から超A級グルメ犯罪艦、間宮が腕によりをかけた豪華なパーティー料理を振る舞い、無礼講の催しとなのは既に常識…
「やったぁ!新しいベ●ブレードだぁ!よしっ!対馬、あとでオマエのハムスターとケンカさせよーぜ!」
「え?や、やだよ…可哀想だよぉ」
「軟弱者かーっ!」
酒が入ってバイオレンスに拍車がかかるバカども、サンタ・ルックの鹿島先生からつまらんプレゼントを貰ってハシャぐガキども………最早毎年恒例の様式美と言えよう
「…………そろそろ狩るか♠︎」
そんなアホどもに関わり合うのはナンセンスであると言うコトを知る大人である俺は“絶”を使い、誰にも気取られないようにテーブルに並ぶ料理を掠め取りに行く…
「あ、テイトクじゃん、Merry Christmas!」
「ムダに良い発音かッ!」
地味に良い発音をしつつ蒸したサツマイモを手にしているのはよく見ると美少女と定評のある白露姉妹の長女、白露
仕事はまじめでそつなくこなすが今ひとつ情熱のない艦娘、なんかよく見ると美少女っぽい気品ただよう顔と物腰をしているため童貞にはモテるが海軍からは遠征とか使いっ走りばかりさせられているんだぜ
悪いやつじゃあないんだが これといって特徴のない……影のうすい艦娘さ…
「またイモばっか食ってんのか」
「そりゃ美味しいからね、1ついる?」
「いらねぇよ、それよかなんだクリスマスなのにその乳は誘ってるんですかー?」
「誘ってないよ、ってか息を吐くようにセクハラか!クリスマスカンケーないし」
「セクハラじゃない、小粋なテイトクジョークってヤツなのだよ」
「いや、普通にセクハラ発言だし」
「フッ、心配せずとも俺は駆逐艦程度の乳臭いガキに欲情などせぬわ、この俺からすればキサマらなどまだまだ嘴の黄色いボウヤにすぎん」
一般的な駆逐艦はマッハ1程度、軽巡・重巡はマッハ2〜5程度の動きだが提督ともなるとその動きは光の速さ、つまりはその拳は光速拳となるのだ
「乳臭いとはナニよ!乳臭いとは!」
「まずはそのイモばっか食ってブーブー屁をコいて歩き回るのをやめるのだな」
「ま、まぁ…たしかに多少食べすぎた感はあるけど、ってか屁なんかしながら歩いてないし」
とりあえず白露ねーちゃんと軽くセクハラトークを交えつつカラアゲなどを物色していると…
「あ、テイトクっしゅ!」
「なんだぁ…?テメェ…?」
頭の悪そうなバカガキがゲラゲラ笑いつつウザ絡みしてきたので俺はそんな占守クンの小脇を抱えて持ち上げ、勢いよく落下させて占守クンのダブルニーを破壊した
「ダブルニークラッシャー!」
「ウッギャアアアアアア!!痛てぇぇぇ!痛てぇっしゅゅゅゅゅ!!」
「提督からのクリスマス・プレゼントだぜ」
「プレゼントが痛すぎるっ!!ってか今のがプレゼントとかおかしくねーっすか?」
「おかしくない、何故なら私は提督だからだ、それ以上でもそれ以下でもない」
「いや、今のはフツーにヒドいっしょ…」
白露め!アホの占守クンの味方をするつもりか!長女であり、歳下に対し面倒見が良いことをアピールするつもりだろうが…
「うっせっす!触んなっすよメスブタが!」
「メスブタぁ!?」
占守クンめ、掛け値無しに理解を示そうとしてきた白露の手をビシッと払いメスブタ呼ばわりするとは……コイツ、クソっすね
「シムはおっぱいデカい駆逐艦のセンパイとは仲良くしない主義なんすよ」
「おっぱいデカいって……いや、普通じゃない?」
「ナニ言ってんしゅか!!ナニ食ったらそんなやらしいカラダになるんしゅか!!」
占守クンは白露の乳に強烈なビンタを左右から浴びせ、メチャメチャ柔らかいっすよ!コレ、メチャメチャ柔らかいっすよ!と叫ぶ!!
「そ…そんなに柔らかいのん?」
「柔らかいっすよ!ハッキリ言ってそこらの戦艦よりモチっとしてるっしゅね、テイトクも揉んでみるっすか?」
「いや、やめておこう、提督は真摯な男なのでね」
俺は占守クンを白露から引き離すと、提督が確保していたフランク・フルトを占守クンの口にねじ込んでやった
「ウゲェ!!」
「ナニ吐き出そうとしてんだコラ、肉汁を丁寧にしゃぶれ、提督のフランクフルトありがとうございますだろーが」
「やめなよテイトク!イヤがってるじゃん!」
白露はここにきて正義の心に目覚めたのか、俺の肩を掴み、やめなよカノジョイヤがってるぜとイケメン特有のムーヴを使った
「バカな、それはイケメンにしか許されないムーヴ!何故キサマ如き下等艦娘がそれを……まさか!偶然か!いや、白露には元々その才能があったとでも言うのか、そして、その才能の片鱗が今、まさに目覚めたとでも…!」
思えば白露はあのプッツン姉妹と名高き白露姉妹の長女、生まれながらに“帝王”の資質を持つ次女に全てを奪われた出涸らしの長女と言われていた白露だったが、やはりあの時雨様が一目を置くだけはあるのか!
えぇい!この基地にイケメン枠は2人といらんのだよ!白露、君に眠る才能がどれほどかは知らんが基地No.1イケメンののわっちクンを脅かす可能性かあると言うならば今、この場で君を排除す…
グシャアッ!!(アンクルブレイク)
「バ、バカな…っ!!」
ふと、背後から俺の肩に手を置かれたと思ったらこの俺の膝が力無く崩れ、尻もちをつかされた…!こ、こんなバカみてぇーにアッサリ、アンクルブレイクをキメるなんて芸当ができるのは…っ!!
「やぁ、白露姉さん、あっちで姉妹で集まっているから姉さんも呼びに来たよ」
駆逐艦でありながら基地最強チームと名高い絶対王者!西村艦隊を率いる唯一無二の帝王、時雨様…!
時雨様は俺にバカみてぇーにアッサリとアンクルブレイクをキメたことを気にした様子もなく、アッサリと長女の手を引いた
「あ、時雨じゃん、ってか姉妹で集まるって……よく集まったね」
「僕の命令は絶対だからね」
ちなみに、ここに来る前にプレゼント箱を持ってソワソワしていた有明を床にメリ込ませたらしいが、それはまた別の話
「じゃ、テイトク、私行くから、あんま子供イジメるとかやめてよね」
そう言って白露はヒラヒラ手を振りつつ焼き芋を俺の皿に置いて去って行った…
「やっぱ怖いっしゅね、白露型は」
後編はバイオレンス編、帰ってきたゴトランドさん