不健全鎮守府   作:犬魚

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ギリギリ週1ペースのロックなペース

【登場人物】

提督(メガネ男子)
12月でも予定開かない不思議に頭を悩ませている大人

鳳翔(軽空母)
通称ビッグママ、主な仕事は店の経営なせいか、最近は空母の仕事道具を倉庫に入れっぱな


提督と戦慄!鳳翔改二

「………なんだコレ?」

 

基地内の至る所に飾り付けられた、飾り!飾り!飾り…っ!提灯!花輪!ネオンサイン…っ!ちょっとタバコでも吸いに行くかと喫煙所へと向かっているとイヤでも目に付くこの異様な光景…っ!ハッキリ言って、俺じゃなくても見逃さないね

 

いや、マジでなんなんだコレ?宴…っ!宴の準備……いや!宴の本番なのか…っ!

 

「うっお―――っ!くっあ―――っ!ざけんな―――っ!」

 

いったいなんの宴だよてめ―――っ!と、そこらの木材を投げたり蹴ったりして心を落ち着かせ、とりあえず冷静に周囲を見回してみる俺…

 

注意深く観察する事でこの飾り付けがなんなのか、それを推理する事は俺であれば可能…っ!

 

「こんなところでナニやってるんですか?」

 

「オ……オマエはーーっ!さ、サミーーー!!」

 

注意深く観察しようとしていると、なにやら酒瓶のようなものを持った秘書艦サミーーー子が背後に立っていた

 

「いや、なんなんですかそのテンション…」

 

「聞いてくれサミー!変なんだ!」

 

「はぁ…?提督が変なのはいつものコトですが?」

 

変の後ろに態が付きますケドと余計な一言を付け加えるのを忘れない秘書艦サミー子はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?と言いたげなツラをしていた

 

「そうじゃない!そしては俺は変じゃない!提督だ」

 

「まぁ、提督が変態なのも足が臭いのも今に始まったコトではありませんが…」

 

「オイオイオイ、この青髪ロング子さん、ナチュラルに上司をナメちゃってるよオイ」

 

「別にナメてないですよ、尊敬はしてませんけど」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」

 

こやつめ!言いおるわい!本来ならば提督に対する不遜、残酷なる死と無限の苦しみをもって制裁を与えるところだが………我が最も信を置く重臣、いや、莫逆の友たるこやつであれば、あえてその無礼は許そう

 

「で?この妙ちきりんな飾り付けと祭囃子はなんだ?クリスマスにはまだちょい早いんじゃあないの?」

 

「今日はビッグママが改二になった事を祝う祝いの式典が開催されてます」

 

「あ?」

 

「今日はビッグママが改二になった事を祝う祝いの式典が開催されてます」

 

「あ?」

 

「耳クソ詰まってるんですか?」

 

「詰まってねーよ、で?なんだって?ババアが改二になっただと?誰の許可得てやってるんだよ?なぁオイ」

 

「提督よりもっと“上”の上層部の許可でしょ、あとババアとか言ったらまた殴られますよ」

 

秘書艦サミー子による冷静で的確な意見、たしかに、ババアとか言ったらまた殴られるな

 

「で?サミー子ちゃんよォ、その酒はなんだ?俺へのバースデープレゼントか?」

 

「違いますケド?あと、提督の誕生日はずっと先じゃないですか」

 

「それな」

 

「ちなみにコレはママへのお祝いの品です、お高価いヤツを買いました」

 

「そうか…」

 

このヤロウ、俺のバースデーにプレゼントの一つもしねぇくせにママにはお高価な酒だと?ズイブンとナメられたものだな、俺も

 

「あとお金です、ほんの気持ちですけど」

 

そう言って五月雨が取り出したズシッ…と擬音付きの茶封筒………

 

「オイオイオイ、気持ちにしてはちょっと重すぎじゃあないかね?」

 

「ナニ言ってるんですか?みんなこのくらいは包んで来ますよ」

 

この俺が、ハハハ…ないないそれはない、と小粋なテイトク笑いで流せない辺り、かなりガチなヤツだ…

 

あのバ……ビッグママはこの基地で唯一、この五月雨や凶暴が服を着ている由良さんですら頭が上がらない存在、それに、あのチンピラ空母どもすら思わず目を逸らしちまうぐらいのカリスマ性を持っているのだ

悔しいが、あのババ……ビッグママはこの基地においてこの俺よりも皆の尊敬と畏怖を集めていると言っても過言ではないだろう…

 

かく言う俺も、あのババアにはやや頭が上がらないところがないワケでもないが………いや、そんなコトはない!俺はこの基地の“帝王”なのだッ!依然変わりなく!

 

「まぁいい、で?そのババアはどこにいるんだ?店か?」

 

「今日は店を貸し切ってみんなでお祝いしてますから、たぶん店にいますよ」

 

「よし!わかった、ならこの提督様も男を見せてやらねぇとな!ババアの為に!」

 

「提督の場合は男を見せる前に溜まってるツケ払った方がいいですよ」

 

ーーー

 

『ママ、本日はオメデトウ御座います!』

 

『おめでとうゴザイマス!ビッグママ、いつも空母をベンキョーさせて貰ってます!』

 

『コレ、マ●カラン40年っス!ほんの気持ちっス!』

 

『あ、コレ……少ないんすけど、オレらからママへの気持ちです』

 

ざわ…ざわ……

 

薄暗くシックな店内を照らす煌びやかなライトに高級感を感じる革のソファー………夜の店、倶楽部HO-SHOW…

ビッグママこと鳳翔が経営するこの店は夜と言う闇に輝く大輪の花…

 

今日、そんな倶楽部HO-SHOWは貸し切り御礼、ビッグママを祝うべく基地中から多くの有力者達が顔を出していた…

 

「オイ、あの胡蝶蘭、金剛の名前書いてあんぞ」

 

「そりゃ金剛さんだって花ぐらい贈りますよ」

 

マジかよ、あの金剛だぞ!?この基地に頭は二ついらぬと今なお俺の命を狙い続けているあの金剛だぞ!!

 

「あ、テイトクと五月雨じゃない?今来たの?ね?」

 

「ゲェー!ゆ、由良さん!」

 

俺のゲェー!に特に気にした様子もなく、由良さんはヒラヒラと手を振り、ごくごく自然な流れで俺の喉元に手刀を放っ…

 

「由良さんも今来たところですか?」

 

「そう、ちょっと買い物手間取ってね、ね?」

 

五月雨は由良さんにしては珍しいですねと余計な一言を付け加えつつ由良さんの手刀を横にいなした

 

「なんでジャマしたの?ね?」

 

「今日は祝いの席ですよ、ママへのプレゼントをラムレーズンからストロベリーチップにしちゃうつもりですか?」

 

「…そうね」

 

由良さんにしては珍しくアッサリ引き下がったな…

 

「まぁいいわ、今日はママの顔を立てましょ?ね?」

 

「そうですよ、今日くらい昔みたく仲良しな感じアピールしてママを安心させましょう」

 

「ヘドがでるわ、ね?」

 

「まったくです」

 

っーかコイツら仲悪すぎだろ!どんだけ仲悪いんだよ、俺たちが誇れるのは付き合いの長さだけだよ

 

「フーッ〜………おや、アンタ達かい?」

 

バカみてぇに長い煙管からプカプカ煙を吐きつつ現れたのは本日の主役!倶楽部HO-SHOWのオーナーこと鳳翔…ッ!

 

若僧(ボーイ)が顔出すとは意外だねぇ…」

 

「オイオイ、ママ、いつも言ってるだろ?いい加減若僧(ボーイ)はヤメてくれよ、兵に笑われてしまう」

 

「フーッ〜………軽口だけは一丁前だねぇ、そーゆーのは好きなあの娘を口説いてからにしな」

 

「うっせぇよババア」

 

相変わらずムカつくババアだな………って痛てぇ!!左右から俺の脇腹を抉るような痛みが!!痛みが!!

 

「ママになんて口利くんですか」

 

「バカじゃないの?ね?」

 

「アンタらも相変わらずだねぇ、フーッ〜…サミーも由良もあの頃から変わりゃしないさね」

 

「いやいやママ!由良は変わってるよ!ほら、なんかオシャレになってるし、ね?」

 

「由良さん、なんで今こっち見たんですか?ケンカ売ってるんですか?」

 

「フーッ〜………アンタら、仲良くしな」

 

『『…はい』』

 

グゥゥゥム、コイツら、俺の言うコトはまるで聞かねぇくせに昔からビッグママの言うコトだけは聞きやがる

 

「あ、そーいや改二になったお祝いだったか………あー………肩叩き券でいいか、サミー、紙とペン貸してくれや」

 

「アンタも相変わらずだねぇ、っーかアンタはまずツケ払いな、ツケ、あの顔はキレーなイタリア人と潜水艦のお嬢ちゃんの分も」

 

「なんでそのバカどもの分もなんだよ!!」

 

「フーッ〜…ナニ言ってんのかね、アンタのカキタレだろ?ならアンタが払いな」

 

「おかしいですよ!」

 

 

とりあえず今日は持ち合わせがないと華麗にスルーした俺は後日、ツケを払ってやるべくアホのポーラとイヨティンを連れて再びHO-SHOWに来店し、何故かツケが増えると言う大惨事に見舞われた

 

あと、ババアには最近ラジオの調子が悪いとか言ってたので新しいラジカセを買った






次回
①メインヒロインが遊びにくる
②山風とジャーヴィスが殴り合いになる
③フランス人が酒瓶で頭を殴る

…の、どれかですって

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