【登場人物】
提督(知性溢れる天才ファイター)
インテリジェンス・モンスターの異名を持つストロングスタイル、最近尿が近い
潜水艦ズ(実力派エリート集団)
かつては基地1番の働き者であり、基地の高度成長期を支え、羽振りのいい生活を送っていたが昨今の海域刷新により失職、でも蓄えはある
師匠も走る師走に入り、今年も俺はナニやっていたのだろうと自問自答に余念がない今日この頃、執務室で真面目に公的書類に目を通して決裁印を押す大事な大事な仕事をしていたが小便がしたくなったので便所に向かっているワケだが…
「キャオラッ!」
「ギャハハハハ!168サン、バカみてーっス!」
「アホ丸出しなのね」
…潜水艦のアホどもが自販機コーナーでたむろしてゲラゲラ笑っていた、ナニやってんだ?アイツら…
「オイクズども、ナニやってんだ?クスリか」
「あ、テイトクなのね」
「なんか168サンが買ってきたVRゲームやってますですです」
「VR…?」
たしかに、168はナニやら変なゴーグルみたいなのを装着しており、虚空に向かってボッ!ボボボッ!パンパンパンッ!とやっているようだが…
「ウゲェ!!」
168は見えないナニかに悶絶ボディを喰らったかのように膝を折り、頭に被っていたゴーグル的なものを取り外した
「ハー…ハー……なかなかイイ運動になるわ、コレ」
「へぇー、じゃ、次は19にヤらせるのね」
「ハイハイハイ!26も!26もヤリたいです!」
「ろーも!ろーちゃんもヤリたいって!」
「…ユーも、ちょっと、興味ある」
次はオレにヤらせろ!いや、オレだ!とバカどもはこぞって168から変なゴーグルを奪い合う醜い争いを始めたが、
168は、はいはい順番順番、じゃんけんして、じゃんけん!とバカどもに順番待ちをすると言う極めて理性的で文化的なコトを伝えると、とりあえず19が26の両目にチョキを突き刺し、26は床を転げ回った
「ぎゃああああああああ!!26の目が!26の目がァァァァ!!」
「大丈夫ですって!ろーちゃんが治してあげますって!」
ローは床を転げ回る26の股間にカウンターショックですって!と容赦のない蹴りを入れ、アレ?ガンマナイフの間違いでしたっけ?と首をかしげているが、たぶんガンマナイフも間違いだろう
「オイ168、なんなんだ?コレは」
「あらテイトク、いいでしょー?新しいゲーム機買ったのよ!VRよ!VR!すごくない?」
「スゴいスゴくないかはワカらんが…」
168曰く、VRゲーム機を買ってみたものの、とりあえず最初は操作がわかりやすいゲームでもやってみようとボクシング的なゲームを買ったそうで、なかなかのリアリティを感じたと…
「ふ〜ん、バーチ●ルボーイのテ●ロボクサーみたいなモンか?」
「ナニそれ?」
「ご存知ないのですか?」
バーチ●ルボーイ…
今を遡ること27年前、1995年に任●堂から発売された画期的なニュー・ハードである、その、最大の特徴はヘッドマウントディスプレイを使用し、3Dでゲームが楽しめると言うまさしく未来に生きたマシン………だが、当時の人類にはあまりにも急な変革に対応する事が出来る者は少なく、1995年の人類にこの画期的ニュー・マシンは早かった、いや、早過ぎたのだ…
1995年と言えば既に任●堂の牙城を崩す次世代機、セ●・サターン、そしてプ●イ・ステーションが発売・センセーションを巻き起こしており、この早すぎたマシンは時の流れにひっそりと消えて行った
「と言うワケなのだよ」
「説明長すぎ!信者か!」
「信者じゃない、提督だ」
「ってか、その説明じゃよくわかんないんだケド?なんなの?昔そーゆーのっぽいのがあったってコト?」
168のヤロウは説明下手かっ!と俺の説明をディスり、膝に蹴りをブチ込んできたが、俺の硬度10、ダイヤモンド・フットの硬度に逆にダメージを喰らいウッギャアー!と床を転げ回った
「フン、下等艦娘の軟弱な蹴りなどでこの膝を崩せるとでも思ったかーっ!」
「クッ!なんて硬さ!」
「ペ●スのくせにナマイキなのね」
「フニャ●ンですです!」
「ア〝ァ?誰のチ●ポディスってんだこの色情魔どもが、おチ●ポ様の間違いだろーが!」
ギリギリギリギリギリギリギリギリ!!(魔のテイトクダブルクロー)
「ギャアアアアアアアアア!!痛い痛い痛い痛いのねー!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさぁぁぁぁい!!」
左右両手のアイアンクローでガンメンを掴んだ19と26を同時に床に激しくKISSさせる制裁を喰らわせてやり、ついでに、ケツにネオ・ファイヤーだぁ!をブチ込んでやった
「ペッ!クズどもが」
「おーおーオッサン、あんまウチらの仲間可愛がらんでやってくれでちかー?」
実力派エリート集団と呼ばれた潜水艦だが今やそれも過去の話、だが、潜水艦どもは仲間意識だけは高い、生まれも育ちも海外艦もない、まるで潜水艦は皆ファミリーであるようにアツく、そして固い結束を持っている
そして、その結束の中心に居るのが基地潜水艦のカリスマ的存在、生ける
「フン、躾がなっていないぞ、58」
「ウチのモンは昔からこんなモンでち、まぁ、19と26はマリフ●ナ抜けてねーケド」
「フン、まぁいい」
とりあえず件のVRゴーグルをろーが被っており、死ね!死ね!死ねですって!と汚い言葉を吐きつつ暴れており、たまに近くに居たユーにキックを入れていた
「…痛い」
「ルイも!次ルイもやりたい!」
そんなアホどもを眺めつつさっさと便所にでも行くかと考えていると、赤い髪の女騎士が廊下を練り歩いて来た
「む、Admiralではないか」
「よぉ騎士サマ、こんなところで珍しいな」
赤い髪の女騎士こと女王陛下の騎士、アークロイヤル、見ての通り、女騎士だ
「おやおや騎士サマがこんな場末の自販機コーナーにいらっしゃるとは〜?」
「ここには騎士サマが嗜むような上等なミルクは置いてないですです!」
「帰ってママのミルクでも飲むのがお似合いじゃないですかねぇー?ギャハハハハ!」
アークロイヤルは潜水艦どもの汚いヤジを特に気にした様子もなく、フッ…と笑い首を横に振った
「で?騎士サマがこんなところに何の用だ?」
「陛下が基地内を散策なさるとのコトでな、警護だ」
……今、コイツなんて言った?散策?
陛下が…?
「アナタ、それは一体なんなのでしょう?」
………声だけで理解るッ!その、圧倒的とも言える王の存在感
陛下がッ!!絶対にして高貴なる女王陛下が変なゴーグル付けてハシャいでいる潜水艦のアホガキどもに興味津々丸じゃねぇかァァァァ!!
「コレ、VRゲーム機ですって」
「…すごい見える」
「まぁまぁ、スゴいのですか!」
………ヤバい、この流れはヤバい、絶対的高貴な存在であるあの方に万が一にも失礼があればそれは即ち死罪を意味するッ!
そして、それはこの失礼の塊である潜水艦どもには無理な話っ!間違いなく致命的な失礼をカマし、陛下の逆鱗に触れ、良くて俺と潜水艦一族郎党死罪、悪くて第三次世界大戦勃発となる…っ!
…その、世界の危機に気付いたのは俺だけではない、58や168など潜水艦の中でも最古参でありリーダー的存在達…
ヤツらもコイツはマジヤバイと冷や汗を流していた
「さて、提督はこれで失礼させてもら…」
「オイ待て失礼するんじゃないわよ」
最初で最期である自然な流れでの離脱、が!168に肩を掴まれたッ!!
「チイッ!放せ!放さんか下郎め!」
「逃すかよっ!」
「バカな!今ざっと計算してみたが任意の環RとRの任意の nil イデアルJに対して、行列イデアル Mn(J) は任意のnに対して Mn(R) の nil イデアルは…」
「ワケわからんコトゆーな!」
なんだこの168のパワーは!グゥゥゥム!振りほどけん!潜水艦には私の知らないパワーが隠されているとでも言うのか!168の目にハッキリと“お前も死ぬんだ!”と力強さもある!
「168クン!聞こえているならやめろ!ナンセンスだ!」
正気か!?このままでは死ぬ!俺もお前達も死んでしまうんだぞ!ならばこの基地の責任者であるこの俺だけでも逃すのがベストであることが何故わからん!
「Admiral、女王陛下があのヘンテコなゲェムに大変興味津々丸のようだが…」
「オマエは黙ってろ!っーかオマエが止めろよ!女王陛下の騎士サマだろ!」
「ハッハッハ、Admiralジョークと言うやつだな!ハッハッハ」
「笑ってんじゃねーよ!」
この後、誰かが陛下に対して無礼を働かないか、陛下に気持ち良くVRゲームを楽しんで頂き、何事もなく帰って頂くべく俺たちは心をすり減らし精神を摩耗した…
あと、小便の事を忘れていた俺は便所まで行くのは不可能と判断し、とりあえず建物の裏で用を足していたら、たまたま通りがかった白露姉ちゃんに汚物を見るような目で見られた