【登場人物】
提督(38)
とりあえず禁煙場所ではなんかくわえる事を始めてみた
陸奥(3)
陸奥には長門の、知らぬ技がある…
秋の鎮守府杯、略してチンハイ、決勝
「久しぶりだね………海風」
なんかよくわからないがボクサカとかスベスベとか厨二台詞を言い出す前の時雨が帰って来てより手強くなったらしく、更に時雨のチームは全員ゾーンに入ると言う絶望ぶりだ
「コレ無理ゲーじゃね?オマエんとこのミカでも無理じゃね?」
「さすがにコレはないわね」
先日の準決勝で、江風海風を擁するチームに負けた陸奥率いる睦月型
今日はチーム全員で決勝を観戦しに来ているらしく、俺は陸奥の隣に座って缶コーヒーのフタを開けた
「まさかタダでは終わらないとは思ってはいたけど…さすが、王者の壁は厚いわ」
「オマエんトコもたいがいアレだったけどな」
先日の準決勝、結果的には海風のブザービーターに敗北けはしたがあの怪物、江風をほぼ完璧に抑えていたからな
「あ、提督、1人でジュース飲んでるぜェ!」
「ズリィーよオッサン!」
「オッサンじゃない、腹にパンチされてーのか?」
チームの中心を担うキャプテンの睦月とエースの如月、コート上ではアツいヤツらだがコート外では年相応のクソガキども
「そしてコレはジュースじゃない、コーヒーだ」
「コーヒーか…」
「オレ、コーヒー駄目なんすよ!リンゴとハチミツ入れねーと飲めねーすんよ!」
「ダセェな、オレなんか角砂糖を7個でイケるぜ」
長月、菊月、皐月、どいつもこいつも子供舌めが、なんでもかんでもメープルシロップで解決する世代か
「ちょっと陸奥センセー、コイツらに苦味ってのを教えてやってくださいよォ~」
「私が教えられるのはバスケだけよ?」
「そうすか」
「ピーマンのピーマン詰めとかでいいなら教えられるけど?」
せめて肉を詰めろよ、肉を、流行ってんのか?ピーマンのピーマン詰め
っーか駆逐艦ってのはみんなピーマンが嫌いなのか?冷静に考えりゃ、以前、俺が青椒肉絲を作った時もサミーは露骨に嫌そうな顔してやがったな、全部食ってたけど
「ま…まさか!?コレは…」
「チーム全員がゾーンに入ったカワカゼの動きに合わせてるってのか!?」
「ありえねェ!!」
「ゾーンを超えたゾーン、いや!これがゾーンの真の姿…ッ!直結連動型ゾーン!!」
ピーマンについて考えを巡らせていると、コート上では怒涛の展開になっていた、なんかよくわからんが江風が真のゾーンに入門したらしく、なんかすげぇキラキラしていた
「なるほど…これがダイレクトドライブゾーン」
「は?ちょっと陸奥さん?なに?ダイニングキッチン?」
「ちょっと黙って」
「はいはい…っと」
俺は胸ポケットに手を入れて小箱を取り出した
「館内は禁煙よ」
「残念、ココアシガレットでしたー」
「あっ、そ」
「あー!!提督がお菓子持ってるー!」
「ズリィーよ!オレらにもくれよォ!」
チッ、目ざといガキどもだな
「いいぞ、そのかわりピーマンのピーマン詰め食えよ」
「あ、いらないっす」
「自分ら肉食系なんで」