【登場人物】
鵜来(うくる)
以前から名前だけ聞いてた謎の海防艦、普通にかわいい系
夏雲(ナツ)
遂にその姿を現した朝潮型最後の戦士、白髪
Langley(らんぐれん)
MAJORから来たロッケンローラー、パイ乙のサイズはあまりロックじゃない
しれっと始まりしれっと終わっていた秋の海域作戦…
そんなしれっとした海域作戦ではあったが、終わってみれば久々に備蓄燃料が6ケタを割る大惨事…
「今回の面接はなんと6人です」
「なんと6人かよ」
多いな……いや、多いのか?正直、俺にはよくわからない、たしかに、私は作戦海域を煩わしいと感じ、マシーンのように指示を出していたからだ……
「内訳としてはジャパニーズ2、アメリカ人3、フランス人1です」
「アメリカ人多いな」
オイオイオイ、ここはジャパンだぜジャパニーズ!いつからウチはアメリカ海軍になっちまったんだオイ
思えば、アイオワを皮切りに毎回のようにMAJORから多数の電撃移籍しっぱなしだよオイ、もう助っ人外国人の枠を超えてるんじゃあないのか?
「まぁいい、で?最初は誰だ?また海防艦か?」
「珍しく鋭いですね」
海防艦かよ、まったく……ウチは保育園じゃねーっの、殺すか殺されるか、血と暴力を好み、虐殺を何よりも尊ぶ殺戮の為のマシーンを育成し、戦場と言う名の四角いジャングルに送り込む海軍の基地なのだよ
そんなイカレた時代の淀んだ街角みたいなみたいところに年端もいかない子供を送り込むなど、やはり上層部の闇は深いな……
ーーー
「鵜来型海防艦の鵜来です!提督、私、末永く頑張ります!」
あらら、こりゃまた可愛らしい子じゃないの
海防艦の例に漏れない下手すりゃ完全に声かけ事案で手が後ろに回る系なのだよ…
「鵜来クンか………ふむ」
履歴書的な書類を見るに、トクベツなものは感じないが……まぁアレか、ちょい運が良いって感じか、運が
「ふむ……サミー、彼女にオレンジジュースを、あと、冷蔵庫の中にシュークリームがあっただろう、出してあげなさい」
「はぁ?」
五月雨はナニ言ってんだこのロリ●ンのペ●野郎、イカレているのか?みたいな目をしつつ、冷蔵庫に入っていたバヤ●ースをグラスに注ぎ、箱に入っていたシュークリームを一つ取り出して皿に載せてどうぞとテーブルに置いた
「うわぁ、ありがとうございますっ!」
「いいんですよ、あのメガ……いえ、提督は子供にはわりと優しい系ですから、特に、幼女には」
「オイ、テキトーなコトを言うんじゃあない」
俺は気に入らない奴は女子供には容赦しない鉄拳の持ち主だが、基本的にはナイス・ガイだ
五月雨はそれは失礼しましたとあまり反省してなさげに自分のデスクに戻った
「とりあえずアレだ、鵜来クンはファームで鍛えてからだな!ウチはやる気があれば誰でもすぐに一軍登用できるレベルまで鍛える充実のカリキュラムで苦手分野もすぐ克服なのだよ」
「へぇー」モグ…モグ……
「ま、とりあえずは他の海防艦のバカガ……他の海防艦のやつに当基地のイロハを教えてもらうといい、基本的にはアホばかりだが……まぁ、悪い奴らじゃあない」
「あ、知ってます、対馬ちゃんもいるんですよね?」
「対馬…?あぁ」
曖昧に答えてみたが………誰だっけ?対馬?そんな奴いたっけか……?いや、いた、あー……ほら、アレだよ、アレ、たしか佐渡さまからよく尻キックされてる子、たしかあの子がそうだったような、たぶんそうだ、いかんなぁ…トシのせいか、最近名前がポンとでらんわい
なんっーかアレだ、親戚の集まりに顔出した時に、この子誰の子だっけ?と悩むアレだ
「鵜来クンは対馬クンとは仲良いのかね?」
「はい!一緒にジェンガするくらい仲良しです」
「そうか、ジェンガか…」
無邪気なものだ、まったく…海防艦って最高だな。その純粋さに照らされて、僕も自分を偽らず、素直に生きられる気がするのだよ…
ーーー
お土産にシュークリームを1つ持たせ、無事に退室した鵜来クン
秘書艦サミー子からペ●野郎とディスられたが俺は別にロリ●ンでもないしペ●野郎でもないと厳重注意し、続く2人目…
「朝潮型駆逐艦、7番艦の夏雲です」
幾星霜をこえて、今この時、この
「夏雲クンか…」
手元の履歴書的な書類を見るに、性能的にはごくごく一般的な朝潮型………しかし朝潮型と言えば対・陸上型戦のスペシャリストが揃う駆逐艦きってのハードコア駆逐艦姉妹…
「ちなみにその髪、入隊前にマッキンキンに気合入れるつもりが薬剤が強すぎて脱色した系かね?」
「これは地毛です」
「そうか」
地毛か、まぁ…そーゆー地毛もあるよな、うん
「まぁ、夏雲クンはとりあえずファームで徹底的に鍛えてからになるので今のうちからカクゴしておくよーに」
「わかりました」
なんだ、案外素直な子じゃあないか……あの朝潮姉妹最後の1人っーからにはタダの問題児じゃないとビビってたが、わりとまともそうで提督は安心したのだよ
「サミー、彼女にオレンジジュースとシュークリームを」
「はぁ?」
秘書艦サミー子はめんどうくさげに立ち上がってオレンジジュースとシュークリームをささっと用意してテーブルに置いた…
「あ、なんだか美味しそうですね!」
「貰い物だがね」
そういや冷蔵庫のシュークリーム、あれは誰から貰ったものなのだろうか?なんか昨日から冷蔵庫の中にあり、サミーになんだこれ?と聞いたら貰い物なのでテキトーに食べていいですよと言われたが…
「サミー子、このシュークリームなんだが…」
「うぶっ!!ゲボッ!!ゲボッ!!」
「大丈夫かね夏雲クン」
シュークリームを喉に詰まらせたらしい夏雲クンは自身の無い胸をバシバシ叩き、バ●リースをイッキ飲みして難を逃れた
「ハー……ハー……お見苦しいところを、す、すいません」
「いや、提督は別に気にしないが……サミー、彼女にオレンジジュースを」
「オレンジジュースもう無いのでミルクティーでいいですか?」
ーーー
オレンジジュースが無いのか、困る気がするが、まぁ、無いなら無いで大丈夫だろの精神で乗り切ろうと心の中で誓い、続く3人目……?
「次の方どうぞー………って、返事がありませんね」
秘書艦サミー子は返事がないので扉を開けて廊下を見回してみるも、誰もいないとの回答…
「初日から遅刻かぁ?イイ度胸してるじゃねーか、あー?」
「おかしいですね、ちゃんと面接の連絡は…………あ」
「あ、ってなんだ?あ、ってのは?」
ガッシャアァァァァァァァン!!!(最後のガラス)
「なんじゃい!!?」
俺の座る場所、執務机の背後にある窓ガラスがナニかに当たったように勢いよくブチ割れ、何かがゴロゴロと転がり込んできたッッッ!!
「MeはIndependence級航空母艦!Langley!!ヨロシク!Whoooo!」
転がり込んできたナニかはスタイリッシュに立ち上がり、ヨロシクWhooo!と言ってお客様ソファーに座った
「あー……とりあえず、オマエ」
「Langleyだぜ!」
「窓ガラス、弁償しろ」
「Whooooo!!」
前代未聞のロックな登場をカマしたバカに、ごくごく当然の要求をすると、ミーはカネ持ってないぜ!とロックな回答が返ってきたので、とりあえず俺はそのロックな顔面をまるで生卵を掴むように掴んだ
「弁 償 し ろ」
ギリギリギリギリギリギリ(魔のテイトククロー)
「GYAAAAAAAAAAAAA!!痛い痛い痛い痛い痛い!Meのガンメン割れるゥゥゥゥ!!」
「ナメてんのかテメーは?アァ?今すぐ金持って来いや、5分以内、逃げたら●すぞ」
とりあえず現金とカード類だけ置いていけよと言い、魔のテイトククローから解放してやった
「クッ!そ、そんなカネねーよ!!」キッ!
「アー?金がないだとぉー?ならその貧相な身体で払うってかー?笑えねぇジョークだぜ」
「だいたい…いくら払えって言うんだよ、たかが窓ガラス1枚だろーが!」
「たかが…?そうだなぁ〜……よし!100万円持って来い!」ニマァ…
「百万ッ!?ふざけろよテメー!!窓ガラス1枚でそんなにするワケねーだろォ!」
「うるせぇー!!悪いのはそっちだろーがァー!!もし払えねーっーなら、こっちはオヤでもガッコーでも連絡してやってもいいんだぜー!!」
「ッッッ!!」
俺は執務机の上に置いた足を勢いよく叩きつけ、菓子皿にあったチ●コパイを投げつけた
「クッ!」
「ま、どーしても払いたくないっーなら南方海域でも行って深海のバカどもをシメて来いや」
「わかった……いいぜオイ!やってやんよォー!!」
窓ガラスブチ割り犯は言ったコト忘れんじゃねーぞぉー!と勢いよくタンカを切って執務室を飛び出して行った…
◻︎南方海域◻︎
『ナンダコイツ!頭オカシインジャネーノカ!』
『深海ナメンジャネーゾコラァ!』
『生キテ帰レルト思ウナヨテメー!』
ラングレーはボコられた………
それはまぁ当たり前のように…
お気に入りのF4F-3にツバを吐きつけられ、ついカッとなってキレちまって暴れたはいいが普通にボコられ、バカっすよね、Me…ナニやってんだか……と執務室の前の廊下で転がっていた
「へっ……へへへへ…」
「…バカなんかじゃねーさ!………それでいいんだよ!」
「え?」
「初めて貰った艦戦は真っ白なF4F-3!貰ったその日にケンカでたたき壊しました!ロックンローラーなんて、それでいいんだよ!オマエ………カッコイイぜ」
「テ、テイトク!」
この後、ラングレーは無事、初日から医務室送りとなった