【登場人物】
提督(知性的レスリング)
いけないなァ、テイトクの事を悪く言っては
雲龍(ドラゴンタイプ)
火は吹かないけど雷を出すタイプの龍、女子供にも容赦なく杖で殴打する
「お腹が空いたわ」
「フーッ〜…そりゃ良かったな」
夏の暑さが未だに思い出にならない今日この頃、執務室で真面目に仕事するのに飽き、喫煙所でタバコでも吸うかと自販機コーナーで缶コーヒーを買って喫煙所に来ると、喫煙所の横に設置されたベンチのところに態度とパイオツがデカい仙人みたいな空母、雲龍が座っていた…
「お腹が空いたと言っているのよ、耳糞が詰まってるの?」
「詰まってねぇーよ、腹減ったらマミー屋に行けよ、マミー屋」
「お金を持ってないわ」
「そうか、ならそこら辺の霞とか食ってろよ」
そんなものでお腹が満たされるワケないわと至極真っ当な回答が返ってきたついでに、手にしていた杖で俺のベンケイを的確にスマッシュしてきた
「痛てぇよ!!」
「お腹が空いているのよ、何か持ってないの?」
「何かねぇ……タバコと缶コーヒーと、あ、オールシーズンチョコならあるな」
「使えないメガネね、生きてるのが恥ずかしくないの?」
「やかましい」
このクソ空母が、この俺が思わずゴクリっ!としちまいそうな巨乳じゃなけりゃ必殺のスネークバ●ト→小パンチ→小パンチ→スネークバ●トの地獄ループでハメ殺してやるところなのだよ…
「そんなに腹が減ってるならその辺の草でも食べてろ、たしかあっちにハーブ的なモンが生えてるとか誰か言ってたぞ」
「ハーブなんか食べても美味しいワケないでしょ、殺されたいの?」
暴君かコイツは……さすが、駆逐艦のバカガキどもからドラドラの実を食った全身ドラゴン人間だの、金鰲出身の超大物妖怪仙人だの噂されているだけある
その危険性たるや同じく金鰲出身の妖怪仙人と噂されている雅な御カタ、初春様と互角、いや……残虐性、異常性はそれ以上ッ!!
「だいたいお前、なんでそんな飢餓状態なんだ?朝飯食ってないのか?」
「食べたわよ」
「食ったのかよ」
「葛城が食べ残したバウムクーヘンも食べたわ」
意外ッッ!!見た目の貧乏風味では秋月姉妹にも負けていない雲龍姉妹が朝からバウムクーヘンを食べているッッッ!!
その、衝撃的事実に動揺を隠しきれなかったが、そのバウムクーヘンは妹の天城が近所のスーパー銭湯で歌謡ショーのバイトした際、おひねりの一環としてお土産にもらったと後日天城本人から聞いた
「葛城はああ見えてワリと少食なのよ」
「ああ見えなくとも少食だろ、アイツは」
そりゃお前や天城と比べたら余計なモン搭載してねぇしな、しかしこの雲龍ほどではないにしてもすぐ下の妹はかなりのご立派様を搭載しているが、コイツほどエンゲル係数が高そうに見えない不思議…
「そう言えば葛城、こないだなんとか言う先輩からご飯に誘われたけど失神したらしいわ」
「へぇ」
そういやこないだ瑞鶴が後輩をご飯に誘うんだけどなかなかうまくいかないとか珍しく悩んでたな、アホのくせに
「テイトクは私をご飯に誘わないの?」
「誘うかボケ」
っーかウチにいる空母なんてだいたい俺の財布の中身を気にしないクソヤローばっかじゃねーか、食い放題以外のメシに誘ったら俺を破産させる気で食いやがるし、仮に食い放題に誘っても出禁になるのがオチなのだよ
そんなごくごく当たり前な事について考えていると、ビニル袋を手にした天龍と木曾が歩いて来た…
「お、テイトクじゃねーか」
「デートか?フッ、妬けるじゃねぇか」
「これがデートに見えるんならお前らはデートについて考え直した方がいいのだよ」
世界で一番自分が強くてカッコいいと心の底から信じているアホの天龍(中二病)と性格と人格に難はあるものの個性派揃いで魅力的な4人のお姉ちゃん達から構われがちなラノベ
主人公属性持ちの木曾(中二病)…
基本的にはアホだが、2人は俺のベスト・フレンドである
「貴方達、何か食べるもの持ってないの?お腹が空いてムシャクシャしているのよ」
「食い物?チューインガムならあるぜ、コーヒー味」
「オレは何も………あ、そういや朝、北姉ぇから兵●餅貰ったのなら…」
「どいつもこいつも使えないわね、殺されたいの?」
新たに現れた2人もロクな食い物を所持していないコトにイラついているのか、雲龍は頭から電気的なスパークをバチバチさせるッッッ!!クッ!なんて覇気だ!心の弱いものなら今の覇気で死んでいるぞ!
「オイ雲龍、弱い者イジメはやめ……やめろ」
天龍と木曾はたしかにアホだが俺のベスト・フレンドだ
「んだとぉ…誰が弱き者だ!」
「よせ!天龍!のるな!」
木曾は弱き者とディスられたベスト・フレンドの天龍を諌めるように肩を掴んだ
「まぁいいわ、そもそも、金なし、暇なし、甲斐性なしの基地マヌケトリオに期待した私が悪かったわ…」
「誰がマヌケトリオじゃコラァ!!」
「よせ!テイトク!のるな!」
木曾にのるな!と肩を掴まれたが……このクソアマァ、ちょっとおっぱいデカいからってチョーシにノリやがって、そのパイ●リ専用パイオツでズリセンコかせてもらってもモンクねーよな!!
そしてどうやらコイツにはわからせが必要らしい、この基地の絶対支配者が誰なのかを………と考えていると、何やらチーズ臭い箱を持った長鯨クンが歩いてきた
「あ、テイトク……と、雲龍さんと天龍さんと木曾さん、珍しい組み合わせですね」
プッツン潜水母艦、迅鯨クンの妹でありながらプッツン姉とは対照的にワリとマトモな妹、長鯨クン、見ての通り、この基地には珍しい善人だ…
そんな長鯨クンが手にしたチーズ臭い箱に、雲龍はスンスンと匂いを嗅ぎつつ長鯨クンの手をとった
「なにコレ?チーズ臭いわ」
「え?あ、ハイ、コレはピザです、なんか潜水艦の皆さんから頼まれて今から持っていくところです」
長鯨クン曰く、潜水艦のバカどもから寮でカラオケするからピザ持って来いよ!ピザ!とデリバリーを依頼されたらしいのだが、長鯨クンはピザの作り方を知らないらしく、たまたまマミー屋にいたメガネの魔女みたいなイタリア人に頼んで作って貰ったそうな
「へぇ、美味しそうね…」
「たぶん美味しいと思います!本場イタリア人の人が作ったものですから!」
「そう…」
雲龍はスンスンと匂い嗅ぎつつごくごく自然な流れで箱を開け、中に入っていたアツアツのピッツアを一切れつまんで口に放り込んだ
「美味いわ」
「ですよね!私もそんな気がしてました!」
「もっとよこしなさい、いえ、全部よ」
「え?いや、でも全部だと潜水艦の皆さんに持っていく分が…」
「全部よ」ギロッ!!
「ヒギィ!?」
なんて覇気だッ!!雲龍の覇気の前に長鯨クンは若干漏らしつつ両膝から崩れ落ちた
「…………美味いわ」ナポォ…モニュ……モニュ…
「暴君かッ!!」
この後、もっと食べたいわ、マヌケトリオ、今すぐマミー屋に行って追加を貰ってきなさいと更なる追加を求めた雲龍だったが、マヌケトリオとディスられた俺たちの怒りを買い、ハゲしい戦闘状態となった…
この戦いで、天龍は壁にメリ込み、木曾は地面にメリ込み、俺も危うくイ●ポになりかけるぐらいに電撃を浴び、雲龍にもそれなりのダメージを与えたつもりだったがワリと大丈夫だったらしく、戦いの途中、そろそろ天城がバイトから帰ってくる時間だわと雲龍は何事もなかったように去って行った…