【登場人物】
提督(ハンサム顔)
ハンサムなことに定評のあるメガネ男子、気に入らないなら女子供でも容赦しない鉄拳の持ち主
平戸(メガネ)
択捉姉妹の子、いつもしまりのないヘラヘラした顔をしているように見えるがワリと真面目な子
このままでは終わらんぞぉー…終わらんぞぉー……終わらんぞぉー………ぞぉー……
「いや、やっぱつえーな、キミ」
「そうですか」
都市部から微妙に離れたクソみてぇな田舎に根付く地域密着型海軍基地、その、クソみてぇな海軍基地の近所にある日焼けした機械とヤニ焼けした壁紙とでお馴染みの本格派ゲームセンター覇我亜怒…
昨今の女子供でも気軽に入れるゲームセンターとは違い、子供だけで入ればほぼ間違いなくカツアゲの憂き目に遭い、向かい側の筐体からは当たり前のように灰皿が飛んで来てからのリアル・バウト率の高さ…
近所の小学校等では夏休みの前などに決して子供だけで入ってはならないと夏休みのしおりに一文が記載されているのは最早常識である
「ヤメヤメ、勝てる気がしないのだよ、俺あっちでテクノド●イブやってるから平戸クンはコレで好きなゲームでもするといい」
俺は財布から千円紙幣をスタイリッシュに取り出し平戸クンに握らせてやった
「ありがとうございます」
「しかし強いねキミ、ハンパじゃないのだよ」
「そうですか?」
腕に覚えのあるぷよ●よで完封されたのが悔しくてK●F98でリベンジしようとか考えたものの、こっちでも普通に完封の憂き目にあった俺はジュースでも飲むかね?と平戸クンに尋ねると、じゃあオレンジジュースで…との安心のキッズ回答
『クソが!ミョーコォ…テメー!!そのアタマ、鉄腕ア●ムみてぇーに刈り上げっど!』
『先にハメ技使ってきたのは高雄ォ…テメーだろーがァ!』
自販機でジュース買って飲んでいると、なにやらアホな客どもがざわつき、怒号と椅子が店内を飛び交い始めた、まったく、マナーの悪いアホンダラどもなのだよ…
「平戸クンはあーゆー大人になってはダメなのだよ」
「そうでしょうか」
まぁ平戸クンはどちらかと言えばおとなしめで真面目なタイプだろうからきっとあのバカどもとは違ってまっとうな大人になるだろう、きっと将来は美人になり引く手数多なステキなお嫁さんになると見たネ!
「あ、テイトクだ」
「ホントだ、テイトクティーッス」
自販機コーナーでジュースを飲んでいると、見知った顔の2人がヘラヘラしながら歩いて来た…
「よぉ、オマエらは今日も練習か?」
「んにゃ、今日は暇潰し」
上位ランカーの望月さん
特に、バ●チャ2では凄まじい強さを誇り、ランキング1位の“
ちなみに、平戸クンはそのバ●チャ2でこの望月さんを破ったコトがある
「私達にもジュースおごってくださいよー」
望月さんよりは格下ながらランキング的には上位と言っていいランカー、巻雲…
そのテクは少し腕に自信がある程度のルーキーとは別次元、覇我亜怒にはオマエ程度のイキがったルーキーはゴロゴロいるぜとこのゲーセンのレヴェルの高さを教えてくれる
逆に、巻雲に勝てるレヴェルならランカーを狙えるとも言えるが、そんな奴はなかなかいない
「やだよ、テメーで買えや、甘えんな」
「その生っ白い子には買ってあげてるのにフコーヘーじゃないんですかー?」
「やかましい、平戸クンはアレだ、良い子だからな」
「巻雲だって良い子ですよ!」
「良い子はガキだけでこんな不良の溜まり場みてぇーな店に来ねぇんだよ、香取先生にチクられてーのか」
「ヒッ!!そ……それは、へ、へへ…ジョーダン、ジョーダンですよテイトク〜」
夏休みのしおり第一条、子供だけで盛り場に来てはいけない!ですよね!香取先生!
「ちょい待ち巻雲、今ならテイトクがいるからアリじゃね?保護者付き」
「それな!もっちー頭いいなオイ!!」
望月さんによる逆転の発想!なるほど……たしかに、仮に今、香取先生が抜き打ち盛り場巡回に来てもテイトクが一緒ですと言い張れば通る可能性がある…
「大したとんちだ、望月さんにはジュースを奢ってやろう、ナニがいいかね?」
「え?じゃ、オレンジ」
「あの…テイトク、巻雲には…?」
「うっせぇな、望月さんと半分こしなさい、半分こ」
俺は自販機に金を入れファン●オレンジのボタンを連打し、出てきた缶を望月さんに投げつけた
「あざーす」
「もっちー!半分こね!半分くださいよ!」
「あいよー」
仲か良いのだか悪いのだかわからん奴らだな、まぁ駆逐艦のガキどもの間にはまだ友情と言うアツき絆があっても不思議ではない、いずれ大人になり、失われていくものだ、今くらいはあってもいいさ
「まぁどうでもいいか、オイ、オマエらヒマなら平戸クンもゲームの仲間に入れてやれ」
「えー…でもそいつめっちゃ強いし…」
「もうこのゲーセンでその子が本気のファイトができるのはランキング1位の“
「え?マジかよオイ」
平戸クンが数多のシングルナンバーを次々と撃破しているとは聞いてはいたがまさかここまでとはね…やはりこの子、天才ね…
「ぶっちゃけテイトクとかそいつから見たらカス中のカスだよ」
「内心、才能ねーカスは死ねよって思ってますよ」
「平戸クンがそんなコト思うワケねーだろーが、なぁ!?平戸クン!!」
「…まぁ、そこまでは思ってません」
そこまでは……と言う辺りに彼女にいらぬ気遣いをさせていたのか、俺は
「まぁそう気を落とすなよオッさん」
「そうですよオッさん」
「オッさんじゃない、ハンサムな提督だ」
望月さんと巻雲のいらん同情にややイラっとしたが、ここで怒り狂うのは紳士である俺のすることじゃあない、紳士道を尊ぶ俺じゃなきゃコイツら2秒前には天井に頭が突き刺さっていたね
「まぁいい、貴様らには後で罰を与える、グラウンド10周だ」
「ゲェーッ!」
「もっちーが余計なコト言うからぁ!!」
この後、俺たちがベンチのところでたむろしつつどうでもいい話題でダベっていると、香取先生が見回りにきたらしく、ヤベ!香取ティーチャーだ!補導されるゾ!逃げろ!と身に覚えのあるバカどもは店の裏口からダッシュで逃げて行った…
ちなみに巻雲の夏休みの自由研究は基地に居るあの仙人みたいなデカパイ空母が本当に妖怪仙人の類なのか、もしくはドラドラの実(巨乳種)を食べた能力者なのかを研究したらしい