不健全鎮守府   作:犬魚

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本日珍しく二本立て、誰得長編回と普通のお話のデリシャスミックス

【登場人物】

提督(クズ)
まっことクズ、個人的には女騎士より姫騎士の方が好き

Ark royal(女騎士)
女王陛下が頭を痛める真面目系めんどくさい残念騎士

Victorious(女騎士)
アークロイヤルと同じく女王陛下に忠誠を誓う騎士、わりと真面目系でめんどくさいタイプらしく、女王陛下が頭を痛める新たなる火種でもある


提督と英国式野外炊飯部

夏!その…ステキな季節が提督を行動させ………なかった

 

単純に日差しが暑いわ、妙に蒸し暑いわ、よくわからんタイミングで通り雨が降るわ、こんな日は何も考えず、ただ、過ぎ去るのを待つのも大人の特権である

 

そんなコトを考えつつ明石の店で買ったガリ●リくんをガリガリしつつ基地の中を歩いていると、基地グラウンドの隅にある林から煙が上がっているのが目についた…

 

「え?ナニ?火事?」

 

いやいやいや、火事とか困るよキミぃ!ウチで問題とか起こると困るんだよキミぃ!ただでさえ上からの評判が悪いんだから、これ以上問題を起こして私のキャリアに傷がつくのはマズいよキミぃ!

 

とりあえず、まずは現場を確認、然るのち対応を決めるべくなにやら煙がモクモクしている現場へ向かった…

 

ーーー

 

「チョットArk、火力が足りてないんじゃない?火力が、まったく、コレだから田舎騎士は…」

 

「火力か……そうだな、Jervis、薪を持って来てくれ」

 

「エー…メンドくさいからヤダー、Janus持ってキテー」

 

「ヴェ!?なんでアタシだけ…!?Jervis!アンタも手伝いなさいよ!」

 

「メンドくさいからイヤ」

 

火災現場(仮)へとやって来た俺だったが………ナニやってんだアイツら?

そこに居たのは2人の女騎士とキンパツ英国小淑女の2人、その、女騎士達とキンパツ少女達はなにやら薪のようなものを集めて火を囲んでいる…

 

「ナニやってんだ?オマエら…」

 

「む?あぁ、Admiralか」

 

女王陛下への忠誠心と騎士としてのPRIDEの高さに定評のある赤い髪の女騎士、アークロイヤル、見ての通り、女騎士だ

 

「え!?Darling!」

 

見た目はロイヤルなサラサラキンパツ美少女でありながら驚異的な侵略を持つスピードアタッカーでグイグイくるキンパツ少女、ジャーヴィーくん

 

「あ、テイトクだ、ちょうどいいや!テイトクも手伝って!」

 

姉と違ってワリと強烈なパーマのジェーナスくん、姉と違って比較的常識人である

 

「こんなトコでナニやってんだ?まさかこの高度な情報化社会に狼煙とかあげてるんじゃあないだろうな?」

 

「そんなワケないでしょう?コレだから田舎者は……フッ、お里が知れるわね」

 

とりあえず二言目にイラっとくる感じのいらんコトを付け加えるのが高貴の証、ア●ルが弱そうなキンパツ美女騎士、ヴィク……ビクトリーだっけ?コイツ

 

「我が女王陛下からせっかくのナツヤス・ミーなんだからJervisとJanusにナニかプライスレスな感動体験をさせてはどうかと勅命を頂いてな」

 

「ハァ?」

 

アークロイヤル曰く、せっかくのナツヤス・ミーなのに部屋でダラダラ(主にジャーヴィスが)ナツヤス・ミーの宿題もテキトーにダラダラ(主にジャーヴィスが)なコトに心を痛め、この機会に子供達を鍛えなお……非日常的体験をさせてはと提案し、色々と案を出し合った結果、基地の外れに森と川っぽいものがあるのでCampでもしてはどうかとなったらしい…

 

「それでだ、基地内とは言えやはり子供だけでCampは危険が伴う事を考え、このアークロイヤルがCamp指導員として同行している」

 

「なるほど」

 

アークロイヤル曰く、英国に居た頃に遠征中に野営などは何度も経験しているらしく、食材を森や川で調達したり、夜は仲間と交替で見張りをしたりと経験豊富なのだとアピールしてきたが話が長くなりそうなので途中からスルーした

 

「で?アーッくんはいいとしてだ、このア●ル弱そうな………いや、縦ロール様も指導員なのか?」

 

「ハァ?このVictoriousがこの田舎騎士と同じ指導員……?笑わせないで貰える?死罪にするわよ」

 

いきなり死罪かよ、なんだよコイツ、見た目を裏切らないPRIDEの高さ…ッ!ナチュラルに貴族階級にあぐらをかき、平民を見下す目!

 

「このVictoriousはArkがヘマをしないか監視しているだけよ」

 

「ふ〜ん」

 

「言っておくケド!女王陛下が心から信頼してくださる真の騎士はこの私、決してッッ!Arkではないから!覚えておきなさい」

 

PRIDE高けぇなコイツ…

後でジェーナスくんから聞いた話だが、このビクトリーくんはアークロイヤルを目の敵にしているらしく、地方出身の田舎者が貴族でエリートである自分より女王陛下の信頼が厚いっぽい気がするといらん妄想に取り憑かれているそうな

 

「ねーねーDarling、ヒマなんでショー?ねー?」

 

「いや、テイトクはヒマではないのだが…」

 

「Darling!一緒にカレー作りまショー!カレー!ワタシ、bitchシショーから教わったコトあるねー!」

 

「bitch…?あぁ、鈴谷か」

 

そういやジャーヴィーくん、何故か鈴谷のアホと仲良いんだったっけな……テイトクとしてはジャーヴィーくんのような根は良い子はあんな真性ドビッチと仲良くしてるとか悪影響しか与えないからあまりオススメはしないのだが…

 

「ナニを言っているのだJervis、今日はカレーなど作らないぞ」

 

「ハァ!?ナンデ…っ!?」

 

「材料が無いからだ、材料は現地調達、もしくは事前に立ち寄った町や村で購入した保存の利く干し肉などが原則だ」

 

「キビ・シー!!」

 

さすがは英国のどこぞの田舎出身の女騎士、コイツ、女王陛下に仕える前は冒険者でもしていたのだろうか…

 

「ヴェ!?じゃ、じゃあテントは…!せっかく持ってきたのに!」

 

「それはアリだ、何故なら事前に用意しているからな」

 

「そ、そっかぁ」

 

ジェーナスくんはホッとしたように無い胸を撫で下ろし、しまりのない顔で笑っていると、高貴な方の騎士がWANA-WANAと肩で震えていた…

 

「こ…こんな粗末なテントで私に寝泊まりしろと!?貴族である私を!!ありえない……ありえないわ!Ark!アナタ、この私にこんな粗末なテントで一夜を過ごせと言うのか!」

 

「粗末粗末言うなVictorious、イヤならここでなく普通に部屋で寝れば良かろう」

 

アークロイヤルはこの任務はあくまで自分が受けたものでありビクトリーくんは関係ないのだから好きにすればいいと無自覚にいらんコトに油を注ぐとビクトリーはなめてるんじゃあないわ!とキレた

 

「ちょっと女王陛下から気に入られているからって調子に乗るんじゃあないわよ平民上がり!貴女程度にできるコトをこのVictoriousにはできない…?こんな屈辱!あってはならないわ!」

 

「いや、別に私は…」

 

「うるさい!そこのメガネ!このお金でもっといいテントを買ってきなさい!貴族の私に相応しいやつを!今すぐに!!」

 

そう言ってビクトリーくんはポッケからありえない量の札束を取り出し俺に押し付けた…

 

「Victoriousは貴族でお金持ちだからすぐにお金で解決するのが悪い癖よ」

 

ジェーナスくん曰く、ネルソンも同じく金持ちだが、その使い方には致命的に違いがあるらしく、ネルソンは大抵のコトは金で解決するのがデフォルトだが、ビクトリーくんは本来、金で解決するのは良しとせず、物事が自分の思い通りにいかず困った時に金や権威をチラつかせる悪役令嬢タイプだそうな…

 

「悪役令嬢ってホントにいたんだな」

 

「いるのよ」

 

それ故に、平民上がりなのに貴族である自分を差し置いて女王陛下のお気に入りで第一騎士な(偏見)アークロイヤルとはトコトン、ウマが合わないそうだが、アークロイヤルはビクトリーくんとは同じ女王陛下に忠誠を誓う騎士同士、仲良くやっていきたいと…

 

「ねー!Darling!今日は一緒のテントで寝てくれルー?夜はいっぱいオシャベリしまショー!オシャベリ!好きな子の名前言い合っことか!」

 

「いや、テイトクは普通に自分の部屋で寝るが……」

 

「エー!!じゃ、ワタシもDarlingと一緒にDarlingの部屋に行くネー!」

 

相変わらずグイグイくるなこの子は、テイトクはこーゆーグイグイくる感じの今風で繊細な子は苦手なんだが…

 

「Jervis、夜は交替で見張りをするのだ、勝手な行動は許さんぞ」

 

「チッ、このカタブツ女騎士!ってかナンデ見張りとかいるの?ここ、基地の中でショー?」

 

「夜だと言って油断はできない、いや、むしろ夜だからこそゴブリンには警戒が必要だ」

 

「え!?この基地ゴブリンでるの!?Darling!ゴブリンいるの!?」

 

いや、基地には普通にいないし、この国のどこを探してもゴブリンなど存在しない、ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし…

 

「フッ、JervisやJanusのような王都育ちにはピンとこないか………あれはそう、かつてまだ私が生まれ故郷の村にいた頃だ……あの日は昼間は快晴で私も父や兄達と家畜の世話に精を出し……」

 

とりあえず、アークロイヤルの話は長くなりそうなのでスルーしておくかとジャーヴィーくんとジェーナスくんにアイ・コンタクトを通すと2人は即座に理解してくれた

 

っーか英国ってゴブリン出るのかよ、ヤベーな英国


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