不健全鎮守府   作:犬魚

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頭痛が痛い(3日目)…
いや、ホント、もう勘弁して欲しい

【登場人物】

提督(薄型メガネ)
紳士道を尊ぶ紳士的提督、巨乳好き

由良(由良さん)
かつては絶壁と言われた時代もあったが最近はわりと盛られる感がある疑惑の軽巡、提督からは特に変わらず絶壁扱いされる事に殺意を抱いている



提督と由良とBBQ?

夏!クソ暑いのだか梅雨戻りしているのかよくわからないそのステキな天候が提督を行動させた…ッ!

 

とりあえず明石の店で菓子パンと缶コーヒーを買い、基地体育館の裏にあるベンチで水着でウロつく艦娘でも眺めて各人の健康状態が“良好”であるか否かをチェックしようと考えた…

 

「ふむ…」

 

10点(朧)

20点(曙)

45点(潮)

10点(伊47)

2点(白露)

30点(竹)

 

どいつもコイツもまだまだ熟しきっていない、まだ青い果実………狩るか、いやいやダメダメ、我慢我慢と菓子パンを齧っていたその時……

 

95点……

 

背後に感じたその脅威に、思わず臨戦態勢で振り向いた…!!

 

「ね?ナニしてんの?ね?」

 

「なんだ由良さんか」

 

「なんだとはゴアイサツね?それは殺してくれって意味でいいのかしら?」

 

「いいワケねぇだろ、まったく、由良さんはいつだってバイオレンスだな」

 

俺は小粋なテイトクジョークを交えつつ冷静に、そして正確かつ精密に由良さんとの距離を測る…

俺の射程は最大15メートル、しかしそれは蛇使い座の詠唱を完璧に唱えた限定的条件に限り、そうでないなら射程2メートルがいいところ、この状況ならノーモーションから撃てる最速最大の技となるとスネーク・バ●トだが由良さん程のレヴェルの相手となると必殺に成り得ず、手痛い反撃は必至…

 

奥の手とも言える必殺の邪●もスリー・セコンド先が視えている由良さんには通用しない…

 

まさしく由良さんは俺にとって最悪の相性と言っていい…

 

仮に、基地内でルール無用のデスマッチを挑まれたとして……“強い”のは金剛だが、“怖い”のは由良さんを措いて存在しないだろう

 

「今から姉妹でBBQするの、提督さんも来る?」

 

「行かない」

 

「なんで?」

 

「俺は由良さんが嫌いだからだ」

 

「そうなんだ、由良も提督のこと嫌いだから一緒だね?ね?」

 

既に俺たちの間合いは互いに必殺の間合い、先の先を打つか後の先をとるか…

由良さんにとって暴力はまるで息をすることぐらい自然な行為に過ぎず、それ故に由良さんには常人が攻撃的行動をとる際に発する気のようなものが感じられない為、攻撃を開始する瞬間がわかりにくい…

 

むしろ、由良さんの全ての動作が攻撃と思うのが対由良さんにおけるセオリー…

 

「そもそも何故俺が由良さん達仲良し姉妹のバーベに参加せにゃならんのだ?そーゆーのは姉妹仲良く、水入らずでやるから尊いんじゃないか?姉妹でやるから絆が深まるんじゃないか?」

 

「大丈夫大丈夫、提督1人増えたぐらいじゃ誰も文句言わないし、今、鬼怒と阿武隈が自分達が行きますって志願して肉を買いに行ってるから由良達は準備しないと、ね?」

 

買いに行かせてるの間違いだろう?由良さんのコトだ、自分には決して歯向かえない従順な妹達にドン引きするほど紙幣を手渡し、これで美味しい肉買ってきて、ね?といらんプレッシャーを与えたに違いない…

 

今頃、鬼怒と阿武隈は本当にこの肉でいいの?でも高価いやつだし、たぶん美味しいと思うけど…バカヤロウ!死にたいの!?たぶんじゃダメなのよ!たぶんじゃ!!と恐怖と絶望と疑心暗鬼で涙しているだろう

 

「しかしねぇ…」

 

「しかしもナニもない、早く行きましょ、ね?」

 

今日の由良さんはいつになくグイグイくるな、そんなに俺とヤリたいのか?俺とヤリ合いたくてウズウズしてるんだろうか…?

 

とりあえず、このままでは話は平行線になると考えた俺はあえて由良さんの誘いに乗ることにし、由良さんと共に長良姉妹夏のバーベキュー会2022-華天-へ行くコトとなった…

 

◆◆◆

 

基地体育館裏…

既にバーベキューの為にコンロを用意し、炭を入れたりクーラー・ボックスにドリンク的なものを入れている長良姉妹の姉妹達……

 

「お待たせー」

 

「遅いわよ!!由良、アンタ手伝いもしないでどこで道草食って………って、テイトクじゃない?どうしたの?」

 

長良姉妹の次女にしてあの由良さんを頭ごなしに怒鳴る事ができる唯一の存在、五十鈴サンは炭をパチパチさせながらごくごく当たり前の質問を口にした

 

「おたくの妹に誘われてな」

 

「あー……そう、なるほど」

 

さすが五十鈴サンだ、一眼で全てを察してくれたらしい…大した眼力(インサイト)

 

「アンタも大変ね」

 

「そう思うなら妹をどうにかしてくれんかね?」

 

「え?普通にムリだケド?」

 

提督にムリなモンが私にどうにかできるワケないでしょと無責任にケラケラ笑う五十鈴サン…

もし五十鈴サンのパイオツがデカくなかったら今すぐこの場で半殺しにするところなのだよ

 

「五十鈴姉ェ、鬼怒と阿武隈は?まだ肉買って来てないの?」

 

「知らないわよ、長良姉ぇと名取はあの子ら見た?」

 

「見てないわね!!それより五十鈴!まだ焼かないなら走り込みしてきていいかな!!」

 

長良姉妹の長女、ナイスガッツ陸上部のナイスガッツ長良主将

そのアツいナイスガッツはハンパではなく、どんな苦境、どんな強敵を前にしてもナイスガッツさえあればいい、ナイスガッツさえあれば全て解決できるとナイスガッツを心の底から信じているナイスガッツの持ち主である

ちなみに、あの暴力が服を着ているといわれているバイオレンス軽巡の由良さんですら長女でナイスガッツな長良主将は苦手らしい

 

「み、見てないよ…」

 

長良姉妹の三女、名取クン

性格も真面目で控えめで礼儀正しい姉妹唯一の良心でありパイオツも大きい、特に、浴衣での破壊力はハンパではなく、もし俺が紳士でなかったならば首輪で繋いで毎日俺の性処理する為だけの性奴隷として地下の拷問室で飼っているところなのだよ…

 

「…狩るか♠︎」ニマァ…

 

「ナニを狩るのかな?ね?」

 

ノーモーションから放たれた由良さんの手刀が俺の頬を掠める、今のはかなり速いね、俺じゃなきゃ見逃してたよ

 

「由良さん」

 

「ナニかな?」

 

「知っていると思うが俺は名取クンとならステディな関係になっても全然OKだが由良さんだけは絶対にNOなのだよ」

 

「へぇー、奇遇ね、由良も提督だけは絶対にNOだけど」

 

「奇遇同士、アレだよ、ほら、アレ…」

 

「あー…アレな感じ?」

 

「そうだよ」

 

「なるほどねぇ、うんうん、なるほど………ね!」

 

ね!のタイミングで容赦なく俺の顔面を抉りにきた貫手を必殺のスネークバ●トで迎撃し、俺と由良さんは互いに距離を取るかと思いきや、距離を取りたいのは俺だけだったらしく由良さんの足刀が俺のお腹に被弾した

 

「ゴハァ!!」

 

「今のはワン・セコンドよ、提督さん?」

 

「アンタたち!!暴れるなら五十鈴の邪魔にならないとこで暴れなさいよ」

 

「えー…?ナニそれ?偉そうにさぁ、それ、由良にメーレーしてんの?ね?」ピキッ!パキッ!

 

「あ゛ぁ?ナニそのツラと態度…………アンタ久々にオシオキが必要るみたいね、由良ァ…」ピキッ!パキッ!

 

ま、まずい!!五十鈴サンは超無礼な妹の態度より炭火焼きグリル調節の邪魔をされたことを怒るタイプ!

ダメだ!この姉妹を止められるのは長女しかいない!なんやかんやで一番上の長女なら…!!

 

「あ、あの…長良姉ぇなら、その…」

 

「そうだよね、知ってた」

 

走り込みに行っていいかな!ってナイスガッツに言ってたしな、ならば仕方あるまい…

 

 

この後、1時間後に美味しいお肉を買って来た鬼怒と阿武隈だったが、そこにはもう名取クンしか残っていなかったらしく、名取クンから他は誰もいないし3人で食べようと提案され、鬼怒と阿武隈は今日イチ安らいだ笑顔でそれに応えたと言う…

 

ちなみに、長良主将は走り込みから夜まで帰って来なかった


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