【登場人物】
提督(マネ)
アイドル知識はアイ●リープライドとセレクシ●ンプロをふわっと見たぐらいしかない愛奴隷調教師、好きな言葉はア●ルならセーフ
桃(モモタス)
松型姉妹の四女、幼い頃に見た伝説のアイドルに魅了されて自らもアイドルを目指す王道系、姉妹の中でも特に、ぶっちぎりに頭が悪いらしく、わり算が怪しい
NAKAさん(トップ・アイドル)
現役最強のトップ・アイドル、口先だけの新人には厳しい
「オイ、次のLIVEがキマったぞ」
「ハイハイ、どーせまた近所の公民館かクソみたいな田舎のジジババしかいないクソみたいなステージイベントでしょ?知ってるし」
「ナマイキ言うんじゃないよこの子は」
可愛くして生まれたからには誰でも一生のうち一度は夢を見る“トップ・アイドル”!!
松型駆逐艦桃とは、トップ・アイドルを目指す駆逐艦の事である
…………今日も日差しはないものの何気にクソ暑い5月の日、いつものように駆逐艦の本分である戦闘トレーニングをサボり、体育館裏でアイドル・トレーニングを積みハァハァ息を吐きつつ水ないの?水?フランス産、すぐ買ってきてよ!使えないマネね!と息を吐くようにモンクタレたので往復ビンタをくれてやった
「ぐえっ!?アイドルは顔が命ぃ!しかも二度もぶった!」
「やかましい、キサマの顔など良くてB級だ」
「B級!?」
とりあえず、まずその汗クセーのをなんとかしろと今治タオルを投げてやるとモモタスはクサくないもん!とか反論しつつ汗を拭き、日陰の手近な石の上に座った
「で?LIVEの内容は?」
「そのLIVEだが………今回はライブ・バトルだ」
「ライブ・バトル…ッ!!」
ライブ・バトルとは…ッッッ!!
アイドルとアイドルが互いのPRIDEと人気を賭けて戦う伝統と格式のある戦いである、古来より、アイドルとアイドルが己の方が相手より優れていると広く民衆に知れ渡す画期的なイベントとして現在も盛んに開催されている…
しかしこのライブ・バトル、勝てば天国、負ければ地獄を地でいく戦いである
勝ち続ける事はそれすなわちトップ・アイドルへのビクトリー・ロードだが、その反面、ただ一度の敗北が二度と這い上がる事のできないデモンズ・ホールにもなる…
「……」ブルブル…
「どうした?ビビってんのか?」
手にした今治タオルを握りしめて肩を震わせるモモタス、無理もない、勝者は全てを得る、しかし敗者は全てを失う、この恐怖に打ち勝つのは…
「つ……ついに、ついにアタシも参加できるのね!」
「お?おぅ…!」
「よっしゃー!!勝つぞぉー!」
フッ、どうやらいらない心配だったらしいな…
たしかに、モモタスには才能がある、アイドルとしての才能が、しかし今はまだ未熟、本物のアイドル達に比べれば努力も経験も体格も劣る………が、しかし!!俺はあの日、この子に、いや、この子の綺羅星のような才能に賭けてみたくなったのだ
「で!相手は!?もしかしてNAKAサン!?」
「馬鹿者、オマエのようなアイドル弱者がいきなりNAKAさんと同じステージに立てると思うな」
「アイドル弱者じゃないもん!」
「今のキサマなどNAKAさんからすれば視界にすら入らぬゴミ同然だ、まずは視界に入るゴミになれ」
「ゴミってゆーな!」
コイツめ、いきなりトップ・アイドルであるNAKAさんと同じステージに上がるつもりとは……バカなのか、大物なのか、いや、バカだな、この顔は考えなしの大バカの顔だ!
だが、それでいいッ!トップ・アイドルを目指すなんて口にできるのは大バカ野郎じゃないとな!
「で!相手は誰なの!まぁどんなアイドルが相手でもギタギタにしてやるわ!」
今どきギタギタにしてやるとかジャイアンでも言わないのではないだろうか?まぁいい
「今回のライブ・バトルの相手はオマエと同じ駆逐艦の梅、オマエと同じく松型ファイト・クラブ出身、言うなれば同門対決だ」
「梅ッ!?な、なんで…?」
「そんなコトは知らん!だが、今回のライブ・バトルは相手からオマエに名指しでの挑戦と聞いている」
松型駆逐艦、梅
松型姉妹の三女であり、モモタスの姉にあたる…
なんでも、常日頃からアイドルになるとかバカな夢を見ている妹にUNZARIしていたらしく、今回、そのバカな夢を諦めさせるべく、自らバカな妹に引導を渡すべくライブ・バトルへ参戦したとのコトだ
「あ、あのヤロウ…っ!日頃からアタシにアイドルなんかムリ、ムリな夢は見るなとか現実を見なさいとか言ってたのにぃ…」プルプル…
「あと、今回のライブ・バトル、負けたらオマエはアイドルを目指すの止めて公務員を目指して貰うとのコトだ」
「マネ!アタシ今公務員じゃないの!?」
「バカ者!勘違いするな、オマエは艦娘であって軍人ではない!言うなれば軍の備品みたいなものだ!」
「備品って……えぇ、ヒドくない?」
「フン、口答えだけは一人前だな!」
「ま、いいわ!とにかく梅をアタシのアイドル力で倒せばいいのよね、カンタンじゃない」
「バカ者!」
「ま、またバカって言った…ってかマネ!さっきからアタシのコト、バカバカ言いすぎじゃない?アタシおバカじゃないんですケ…」
ビタンッ!(平手打ち)
「どぉ!!」
アイドルは顔が命ぃー!と叫びつつモモタスは勢いよく地面に転がった
「フン、何度でも言ってやる、キサマはバカだ、それも大バカだ、いや…ウルトラバカだ」
「う、ウルトラ…っ!!」
「ハッキリ言ってやろう、今のオマエではこの梅には勝てん」
「ハアァ!?な、なんですって!!アタシが梅に勝てない…!?フザケんじゃないわよッ!!」
「フン、口答えだけは一人前だな!ならばその身をもって教えてやろう、何故オマエが梅に劣るのか」
俺はモモタスの身体を正面から掴み上げて勢いよく落とし、モモタスの両足と己の膝を激突させモモタスのダブルニーをクラッシュした
ゴガァ!!(ダブルニー・クラッシャー)
「ぎゃー!!」
「わかったか?」
「わ、わかるかァァァァ!!ただ痛いだけじゃない!って痛い!ホント痛い!」
「ならばさらに言葉で説明してやろう」
…たしかに、同じ駆逐艦同士、そして姉妹艦、モモタスと梅の性能に大きく性能差はない、可愛さと言う名のビジュアル面でもモモタスは決して劣らないだろう…
だが、モモタスにはなく、彼女にはある最大の武器が……いや、凶器があるのだッッ!!
それはあの凶暴な上半身にあるッッ!!
胸部に搭載されたあの暴力的なサイズは彼女のベビー・フェイスと相まって相当な破壊力!さらに眼鏡を添えて……バランスが良く、驚異的と言わざるを得ない
ライブ・バトルになれば、並の中高生程度ならあのパイオツだけで釘付けに、いや、ギンギンにできるだろう…
「わかったか?」
「クッ!あのおっぱい女ァ〜…!」
「アイドルがおっぱい女とか言うんじゃあない」
対して、モモタスにそれはない、揺れるものなどないのだ
これは並の中高生からすればとても残念なものに映るだろう…
だが、おっぱいのあるなしは重量的なハンデとなり、余計な重量を背負う分、スピード感が出ず、パワーとスタミナが要求される…
「マネ!なんかないの!?ゼッタイ勝てる方法!」
「…勝ちたいのか?」
「勝ちたい!!」
ゼッタイに!と続けるモモタスの目に迷いは無く、輝きはある…フッ、まったく……不利な勝負とわかっていながらあえて挑戦を受けるとは、大した大バカ野郎だ!
「あるさ!ここにな!」
俺はポケットから若干クシャっとしたメモ帳を取り出した
「よぉーし!マネ!トレーニングよ!トレーニング!」
「フン、よく言った!だが…このトレーニングはかなり厳しいものだ、並のアイドルでも途中で脱落は免れないだろう、それをオマエが………いや」
この目、真っ直ぐなモモタスの目、フン、どうやら下手な脅しなど必要なかったようだな
「よし、トレーニングに出発する!着替えをまとめておけ、シャツとパンツの替えを用意して……いや、パンツは少なめでいい」
「なんでよ!!」
「アイドルのパンツは多少匂いと染みがある方が味がある」
「ヘンタイかッ!!」