提督不在の変則ifエンド回(提督は含まれておりません)
やっぱ怖いっスね、球磨型は…
かつて、戦争があった…
人類との戦いに敗れ深海棲艦は深海コロニーでの生活に新たなる希望を持っていた…
しかし、地球圏統一連合は徹底的な正義とゆるい平和の名のもとに圧倒的な軍事力を以って各深海コロニーを制圧していった…
アフター深海195年、作戦名『オペレーション・メテオ』
連合に反目する一部の深海コロニー居住者達とイカレマッド博士達は流星に偽装した深海棲艦を地上に送り込む行動にでたのだった…
◆◆◆
【オレの姉ちゃん達がオレに構いすぎる件】
深海棲艦との戦いが終わり、海軍からお役御免を言い渡されたオレ達艦娘はそれぞれの生活へと別れることになった…
ある者はクールに去り、ある者は田舎に帰ってもしょうがねぇって仕事がありそうな都会へ行ったり、またある者は海軍暮らしが長かったせいか満足に学校にも行けなかったからと言って故郷に帰って学校に通うんだと言って旅立って行った…
そしてはオレはと言うと…
「木曾、オマエちゃんと学校行ってるクマ?」
「い、行ってるよ…なんだよ?疑うのかよ?」
カチャ…カチャ……(食器)
「…ちゃんと行ってるならいいクマ」
プァーーー!ガタンガタン、ガタンガタン…(電車通過音)
…気まずい、ハッキリ言って気まずい、球磨ねーちゃん自分が聞いてきたくせにこっちを見るワケでもなく新聞読んでるし
「ナニ朝っぱらからつまんない邦画みたいなコトやってるにゃ、っーか球磨ねーちゃん、ご飯にするか新聞読むかどっちかにするにゃ」
クソつまんない邦画シーンを一瞬で終わらせてくれたタマねーちゃんはさっさとメシ食うにゃと卵焼きをちゃぶ台に置いた
「木曾、そういや来週三者面談あるとか言ってなかったかにゃ?」
「あ、うん、あるよ、でも…まぁ来なくていいよ、ねーちゃん達もみんな忙しいだろうし、うん」
ダァン!!!(ちゃぶ台)
「ヒイィィ!?」
「ハアァ!?ナニ言ってるクマァァァァ!!木曾!三者面談ってナニクマ!ネーちゃん初めて聞いたクマよ!!」
「だ、だって…クマねーちゃんに言っても意味ねぇし…」
「意味ねーしとはなんだクマァ!!意味ねーしとは!?だいたい木曾、その汚い言葉遣いはナニクマ?ネーちゃん木曾にそんな言葉遣い教えてないクマ!!オラ!座れ木曾!ここ座れ!説教してやるクマ!」バシバシ!
「まぁまぁクマ姉ちゃん、落ち着いて…」
「タマは黙ってろクマ!!だいたい木曾、オマエ最近帰りが遅くないクマ?帰りが17時過ぎるとはちゃんと事前に遅くなります、何時になりますって連絡するってネーちゃんと約束したクマよね?」
「う、うるせーよ!!ナニが17時だよ!オレだってガキじゃねーんだよ!」
ブチィッ!!!(堪忍袋の緒)
「木曾ォォ!!今なんっつたクマァァァァ!!」
球磨ねーちゃんは怒りの形相で
「あー……朝っからうっさいなー……ゲッ!木曾が吊るされてる」
「球磨姉さん、やりすぎ!やりすぎよ!北上さん!ほら北上さんも止めて!」
この後、怒れる球磨ねーちゃんをオーねーちゃんとキーねーちゃんがなんとか止めてくれたらしく、オレは朝っぱらから軽く………いや、マジに死にかけた
いやマジで
ーーー
「で?三者面談ってなんの三者面談クマ?」
「ハァ…球磨ねーちゃんは何の三者面談か知らずに木曾を絞め上げてたにゃ…?」
みんなが集まる朝の八畳間、中央に置かれたちゃぶ台をぐるっと囲み、4人のねーちゃん達とオレ(正座中)は座っていた
「…進路のだよ」
海軍を辞めて以降、オレはこの4人の姉と共に所謂、普通の生活をしていた、球磨ねーちゃんは何の仕事してるのかよくわからねーけど働いてるらしいし、タマねーちゃんもスーパーでパートとかしてるし、オーねーちゃんとキーねーちゃんはアパレル的な業界で働いている…
で、オレはと言うと…………真面目に学校に通っている
海軍を辞めた時、オレもこれからやりたい事やるぜー!と思ってたら、球磨ねーちゃんからせめて高卒の資格ぐらいとるクマと説教され、大井ねーちゃんに助け船を出してくれよ頼んだら、木曾には良い学校出て貰いたいのよね〜…と、まさかの追い討ちを喰らい、とりあえずねーちゃん達が納得するならと渋々従っているワケだ
「進路ォ?木曾、オマエ勉強して良い大学行けクマ」
「ハァ!?」
「いいから、ネーちゃんの言う通りにするクマ、大丈夫、お金の心配はいらないクマ、オマエ1人大学に通わすなんてワケないクマ」
「そうにゃ、パート増やせばいいだけにゃ」
「イヤイヤイヤ!!まずオレのハナシを聞け……いや、聞いてください」
クッ!!ダメだ、球磨ねーちゃんに対話は通じない、たぶんクア●タムバーストしても通じないであろう確信がある!そしてタマねーちゃんもオレ=進学派か、擁護は期待できないッ!
「まぁまぁ球磨姉さん、勉強だけが全てじゃないわ、木曾だってやりたいコトあるわよ?ね?」
「オーねーちゃん!」
さすがオーねーちゃんだぜ!普段はやる気ないキーねーちゃんとかつては海軍史上最強と謳われた四割打線を任されていただけはある!
「まー、一応ハナシ聞くだけ聞いてやりなよー」
「キーねーちゃん…」
よし!!これで敵は2!味方は2!数の上では互角になった!
「ダメクマ、北上、大井、だいたいオマエらは木曾に甘すぎるクマ、甘やかして木曾がクズになったらどうするクマ?」
無茶苦茶言うなこの長女は……まぁ、たしかに、この2人の姉はオレに対して若干甘いところがあるのも事実、だってオレも雷巡やってたし
「とりあえず木曾の三者面談は私が行こうと思うけど?」
「は?大井、オマエナニ言ってるクマ」
「だって球磨姉さんが行くとメンドくさくなりそうじゃない?だったら姉妹で1番対人スキルが高くて話がワカる私が行くのがスジ…」
「ナニ言ってるクマ、そーゆーのは長女の仕事クマ、あと大井、オマエあとで説教クマ」
「にゃあ、多摩が行ってもいいにゃ」挙手
「ハアァ!?多摩、オマエまでナニ言ってるクマ!」
「えー……じゃ、私もー」ヘラヘラ
「北上さん!?あ、あの息をするのもメンドクセーが口癖の北上が…」
オイ、なんか空気がヤバくなってきた気が……
よし!逃げよう!とりあえずここは逃げて後の事は後の自分に任せよう!
オレはかつての上司である提督から教わった“絶”を使い、誰にも気付かれないようにゆっくり、そう、まるで中国人がする太極拳のようなスローな動きで、それでいて万力のような力を込めつつ部屋から、そして玄関から脱出した!
ーーー
「ヨォ、今日も朝からシケたツラしてんなーオマエ」
「うるせーよ」
今にもハイパー・バトルが開始されそうな家をなんとか飛び出し登校している途中、ママチャリに乗ったバカに会った
コイツは天龍、見ての通りイタイ奴だ
「オラ、ケツに乗れよ!チコクすんぜ!」
「あーかったりぃーなぁー…天龍、今日ガッコ行くのヤメてフケよーぜ」
オレは天龍のママチャリのケツに乗ると天龍は特攻んでイクでヨロシクーとペダルを漕ぎだした
「そうしたいのはヤマヤマなんだがなぁ〜、俺、出席日数ヤベーんだよ、こないだ龍田から次サボったら殺すと念押しされてるし」
「あー、オマエの妹コエーもんなぁ〜」
「そーいや三者面談どーすんべ?球磨ねーちゃん来るん?」
「さぁ?なんかソレで朝から揉めてた」
「ま、球磨ねーちゃん来たら三者面談どころかモンスター・ウォーズが勃発しかねねーからな、ハッハッハ」
「笑いゴトじゃねーよ!!」
キコキコ…キコキコ…(ペダル回し)
「でもアレだろ!高校出たら俺ら都会に行ってミュージシャンになるってのは忘れてねーだろ?」
「ヘッ!当たり前だろ!」
そうだ、オレ達は今のニホンのクソみたいな音楽シーンを塗り替えるロックな音楽がヤリたいんだ!本物のミュージックで世界を席巻してやるんだ!オレ達2人で!!
「よっしゃ!トバすぜー!!」
「おう!!」
この後、オレと天龍は下り坂でブレーキが利かず田んぼにダイヴすることになったし、初めて買ったギターを買ったその日に喧嘩して壊したが、それもまたロックだ