不健全鎮守府   作:犬魚

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週1ペースからどうにもアガらないだらしない書いている人ですまない…

今回は特に何も考えていない毒にも薬にもならないお話

⑳ではなく⑲+なのが私の心の弱さなのか…


提督とルート分岐のエンディング⑲+

かつて、戦争があった…

 

キュウシュウのとある繁華街の街角に立地する雑居ビルの1Fにその店はある、かつてはメイドカフェだったらしいがそれも今は昔、テナント募集の張り紙が貼られて久しいその店を居抜きで借り、新たにオープンした喫茶店……本格珈琲専門店五月雨堂

 

【続続・喫茶五月雨軒】

 

「コーヒーです」

 

「うむ」

 

キュウシュウのとある市街地、その市街地の雑居ビルに店を構える本格珈琲専門店、五月雨堂…

軍時代の元部下、五月雨が軍を辞めた後に退職金をつぎ込みオープンしたこの店は、ハッキリ言って客がいない

 

なんで客がいないってか?立地が悪い?店内の内装が悪い?一杯あたりのコスパが悪い?違う違う、答えはもっと単純だ

 

…………不味い

 

この一言に尽きる

 

「相変わらずオマエの淹れるコーヒーはマズいな」

 

「営業妨害ですか?ケイサツ呼びますよ」

 

「ケイサツは困る」

 

他に客が居たら営業妨害かもしれんが、幸いな事に?今は店内に俺と五月雨しかいないので営業妨害ではないだろう、っーかマズいのは事実なのだよ

 

頑なに自らの淹れたコーヒーの味に自信を持つ無駄に高いPRIDEの高さを両断する勇者の剣は未だに現れていない

 

「そーいや最近、近所にコ●ダ珈琲ができてな」

 

「へぇ」

 

「コーヒー的な味は普通だがモーニングの量がバカみてぇに多くてな、ワンパクな量なのだよ」

 

「へぇ」

 

「しかもお値段はまぁまぁ普通」

 

コレをウリに規模を拡大しているだけはあると納得したのだよ

 

「それで?ウチを裏切ってコ●ダ珈琲に鞍替えするのでケジメつける為に指ツめにきたんですか?」

 

「なんで俺がコ●ダに行くのに指ツめねーといけねーんだよダボが」

 

っーか裏切るもナニも俺はテメーんとこの従業員でもなけりゃファンでもねーってのな、どうやらコイツにはこの誰も来ない店をカワイソーと思い、わざわざクソマズコーヒーを飲みに来てやってる聖人だと言うコトをわからせる必要があるな

 

「っーかコーヒー以外のメニュー作れよ、コーヒー以外」

 

「オレンジジュースならありますよ、バヤ●ースですけど」

 

五月雨曰く、コーヒーがまだ飲めない子供連れの来店を想定し、一応バヤ●ースを用意しているらしい

 

「それに、ウチは本格的なコーヒーだけを味わって貰いたいこだわりの店です」

 

「そんなこだわり捨ててしまえ」

 

「イヤです、と言うかなんなんですか?さっきからイチャモンばっかつけて………コ●ダからウチを潰せって金でも握らされたんですか?」

 

「コ●ダがこんなカスみてーな店、ライバル視するワケねぇだろ」

 

「イラっとします」

 

コ●ダの1時間の売上はこの店の1日の売上を遥かに上回る、ハッキリ言って、この店とコ●ダでは神と虫ケラほどの差があるのは最早常識…

 

「イラっとしますけど、まぁ………お客さんが来ないのは正直困りますね」

 

「だろ?なんかこう、もっとイイ感じに経営を変えるべきなのだよ、若くてエロくておっぱいの大きい店員さんを雇うとかサ!」

 

「イヤですよ、ウチはあくまでコーヒーの味で勝負する本格コーヒー専門店です」

 

そのコーヒーの味が勝負にならない味だと言うのを頑なに認めようとしないから…っ!五月雨よ、オマエは優しすぎる、そして純粋すぎる、だがそうでなくては生きる資格がないと言うコトか!

 

「じゃアレだ、ムダだと思うが時雨様にでも頼んで店の宣伝してもらったらどうだ?」

 

「時雨姉さんにですか…」

 

プッツン駆逐艦姉妹、白露姉妹の次女、時雨

それぞれが大なり小なり天性の才能と輝きを持つ姉妹の中でも群を抜く天才性を持って生まれた次女はまるで息を吐くかの如くあらゆる分野でその非凡さを発揮し、特に、格上であるはずの戦艦重巡を含む海軍屈指の艦隊、絶対王者・西村艦隊を従える事ができるのはおそらくは時雨様のカリスマ性あってのコトだろう…

 

そんな時雨様だが、軍を辞めた後は実家の家業を継いだらしく、現在はやり手の経営者としてビジネスシーンで猛威をふるっている…

 

「時雨姉さんに相談すると店の場所が都心の一等地とかに変わっちゃいそうだからイヤです」

 

「いいじゃねーか、都心の一等地、ロックじゃねーか」

 

「あと、よくわからないヒゲのバリスタとかいっぱい雇われて私が仕事できなくなりそうだからイヤです」

 

「いいじゃねーか、よくわからないヒゲのバリスタ、ロックじゃねーか」

 

しかし時雨様ならそうする、ああ見えて、時雨様は妹想いで優しいとこもあるから妹である五月雨が相談したら、わかった、僕に全て任せていいよ、全てに勝つ僕は全て正しいと正しい方向でこの店を軌道に乗せてくれるだろう

 

「私は自分で淹れたコーヒーをお客さんに味わって貰いたいんです」

 

「そんなクソみたいなPRIDEは捨ててしまえ」

 

「イラっとします」

 

コイツ、マジで頑固だなオイ、いや、知ってるけど…

昔から頑固だったよコイツは、一ヶ月オ●禁したガチガチのチ●ポぐれー頑固だよ

 

「だいたいアレだ、コーヒーかバヤ●ースしかねぇ!パンとかケーキとかねぇ!店員のおっぱいもねぇ!そんなのでやっていけるワケねーだろーがよ」

 

「店の商品ラインナップはまぁ聞く耳持ちますが、胸に関してだけは謝ってください」

 

「ゴメーヌ」

 

「土下座してください」

 

「誰が土下座までするかボケ」

 

ったく、相変わらず人のハナシを聞かないのね、この子は…

 

そんなコトをしみじみ考えつつ、店内の時計を見るとそろそろ待ち合わせの時間になりそうだ…

 

「おっといかん、もうそろそろ時間か…」

 

「待ち合わせですか?」

 

「ああ、白露姉ちゃんとな、買い物ついでに俺の性奴隷にしてやるって約束してんだ」

 

「へぇ」

 

五月雨は興味なさげにコーヒーカップを拭いていた手を止め、右手を俺の前にズイっと出した…

 

「…380円です」

 

やっぱフツーに金とるのかよ、コイツ


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